愛媛大学2014年度 数学の過去問解説|全9大問・41項目の問題と解答

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藤原進之介です。このページでは愛媛大学2014年度の数学過去問の問題資料と学習情報を無料公開しています。掲載している問題・解答・解説の範囲は、ページ内の各見出しでご確認ください。

愛媛大学2014年度・前期日程の数学を、全9大問・41項目に分けて解説します。各小問・枝問に「問題文→解答→解説」を配置し、必要な共通条件を再掲しました。問題文は原本の条件を保って表記を整理しています。

問題PDF / サイト掲載の解答PDF 掲載解答PDFは数強塾作成で、大学公式解答ではありません。原本の条件を照合し、独立に検算した解説です。

原本の対象学部・コース解答する大問
教育学部・農学部・工学部環境建設工学科社会デザインコース第1・2・3・4問
理学部・工学部(環境建設工学科社会デザインコースを除く)第4・5・6・7・8問
医学部第4・6・7・8・9問

第1問 図形・常用対数・集合

(1) 三角形の内部の交点までの距離

問題文

AB=1, ∠A=90∘ を満たす直角二等辺三角形 ABC において、辺 AB の中点を P、辺 AC を 2:1 に内分する点を Q、線分 CP と BQ の交点を R とする。線分 AR の長さを求めよ。

解答

AR=54

解説

直交する2辺を座標軸に取り、A=(0,0),B=(1,0),C=(0,1) とします。P=(1/2,0)、内分比は AQ:QC=2:1 なので Q=(0,2/3) です。

CP:y=1−2x,BQ:y=23(1−x).

連立すると 3−6x=2−2x より x=1/4、y=1/2。よって

AR=(14)2+(12)2=54.

直角二等辺三角形の中点Pと内分点Q、交点R。ABCPQRAB = AC = 1
座標を A=(0,0)、B=(1,0)、C=(0,1) と置いた図。橙色が求める AR です。

ベクトルによる別解:以下ではAB、ACなどをAを始点とするベクトルとして扱います。RがCP上にあるのでAR=t AC+(1−t)AP=(3t/2)AQ+((1−t)/2)ABと書けます。RがBQ上にある条件はAQとABの係数の和が1、すなわち3t/2+(1−t)/2=1なのでt=1/2です。よってAR=(1/4)AB+(1/2)AC。ABとACは直交する長さ1のベクトルだから、|AR|²=1/16+1/4=5/16となり、座標解法と一致します。

(2) 最初に0でない数字が現れる小数の位

問題文

(1/3)26 を小数で表すと、小数第何位に初めて0でない数字が現れるか。必要なら log10⁡3=0.4771 として計算せよ。

解答

小数第13位

解説

常用対数を取ると log10⁡(1/3)26=−26log10⁡3≃−12.4046。これが −13 と −12 の間にあるので

10−13<(13)26<10−12.

したがって小数第1位から第12位までは0で、第13位に初めて0でない数字が出ます。厳密にも 1012<326=2541865828329<1013 から同じ不等式を確認できます。負の対数の整数部分を見て、誤って第12位としないよう注意しましょう。

(3) 不等式の解集合の包含関係

問題文

k を実数とする。x2−2x−3>0、x2−(k+1)x+k>0 を満たす実数 x の集合を、それぞれ A,B とする。A⊂B となるための必要十分条件を k で表せ。

解答

−1≦k≦3

解説

因数分解から A=(−∞,−1)∪(3,∞)。一方 x2−(k+1)x+k=(x−1)(x−k) なので、B に含まれない点は閉区間 [min(1,k),max(1,k)] にあります。

A⊂B となるのは、この閉区間が A の補集合 [−1,3] に収まる場合です。1はすでにこの区間内なので、条件は −1≦k≦3 となります。

端点 k=−1,3 も含みます。もとの A には −1,3 自体は入らないためです。またこの範囲では A≠B なので、包含記号を真部分集合と解釈しても答えは同じです。

第2問 絶対値の積分と接線

(1) 絶対値を外してグラフを描く

問題文

実数 t に対し f(t)=2|t−1|+t+1 と定める。y=f(t) のグラフを描け。

解答

f(t)={−t+3(t≦1),3t−1(t≧1).

2本の半直線が点 (1,2) でつながるグラフです。

解説

t≦1 では |t−1|=1−t なので f(t)=−t+3。t≧1 では |t−1|=t−1 なので f(t)=3t−1 です。境界 t=1 ではどちらも2となり、グラフは途切れません。

絶対値関数fは点(1,2)でつながる2本の半直線。Oty123(1, 2)y = −t + 3y = 3t − 1
左側の傾きは −1、右側は3。最小値は f(1)=2 です。

(2) 上端が変数の定積分

問題文

f(t)=2|t−1|+t+1、F(x)=∫0xf(t)dt とする。実数 x に対して F(x) を求めよ。

解答

F(x)={−12x2+3x(x≦1),32x2−x+2(x>1).

解説

x≦1 では、0と x の間で f(t)=−t+3 です。したがって

F(x)=∫0x(−t+3)dt=−12x2+3x.

x<0 でも、積分の向きを含めてこの式が成り立ちます。x>1 では式の切り替わる1で積分を分けます。

F(x)=∫01(−t+3)dt+∫1x(3t−1)dt=52+[32t2−t]1x=32x2−x+2.

両式は x=1 で 5/2 に一致します。

(3) 積分で定義された曲線の接線

問題文

F(x)=∫0x{2|t−1|+t+1}dt とする。曲線 y=F(x) 上の点 (0,F(0)) における接線 ℓ の方程式を求めよ。

解答

ℓ:y=3x

解説

積分区間の長さが0なので F(0)=0。被積分関数は連続であり、微分積分の基本定理から F′(x)=2|x−1|+x+1 です。よって F′(0)=3。接線は原点を通り傾き3なので y=3x です。

(4) 区分的な曲線と接線で囲まれる面積

問題文

F(x)=∫0x{2|t−1|+t+1}dt とする。曲線 y=F(x) と、原点での接線 ℓ:y=3x で囲まれた図形の面積を求めよ。

解答

23

解説

x≦1 では F(x)−3x=−x2/2 なので交点は x=0。x>1 では

F(x)−3x=32x2−4x+2=32(x−23)(x−2).

この場合に適する解は x=2 だけです。x=2/3 は x>1 を満たさないため交点ではありません。区間 0<x<2 では接線が上側にあるので

面積=∫01x22dx+∫12(−32x2+4x−2)dx=16+12=23.

接線y=3xと曲線Fの間の領域。積分はx=1で分ける。O126xyy = F(x)ℓ : y = 3x
青い部分の面積を求めます。曲線の式は x=1 で切り替わり、交点は x=0,2 です。

第3問 各桁の階乗の和になる3桁の数

(1) 階乗の大きさで数字を絞る

問題文

3桁の自然数 A の百・十・一の位を x,y,z とし、100x+10y+z=x!+y!+z! が成り立つとする。6! を求め、x,y,z がすべて5以下であることを示せ。

解答

6!=720,x,y,z≦5

解説

6!=1⋅2⋅3⋅4⋅5⋅6=720 です。まず、いずれかの桁が7以上なら A=x!+y!+z!≧7!=5040 となり、3桁であることに反します。したがって各桁は6以下で、A≦666 です。

さらにいずれかが6なら A≧6!=720>666 となり矛盾。よってすべて5以下です。6!=720 だけでは3桁という条件と矛盾しないので、先に7以上を除く段階が必要です。なお 0!=1 です。

(2) 百の位を絞る

問題文

3桁の自然数 A=100x+10y+z が A=x!+y!+z! を満たすとする。百の位 x が3以下であることを示せ。

解答

x≦3

解説

前問の議論から各桁は5以下です。したがって A=x!+y!+z!≦3⋅5!=360。もし x≧4 なら3桁の数として A≧400 となり矛盾するので、x≦3 です。百の位は0ではないため、候補は1、2、3です。

(3) 十の位か一の位に5が必要であること

問題文

3桁の自然数 A=100x+10y+z=x!+y!+z! について、y,z の少なくとも一方が5であることを示せ。

解答

y=5 または z=5

解説

各桁は5以下、百の位は3以下です。もし y,z がともに4以下なら

A=x!+y!+z!≦3!+4!+4!=6+24+24=54.

これは3桁、すなわち A≧100 に反します。よって少なくとも一方は5です。「または」は両方が5の場合も含みます。

(4) 条件を満たす数をすべて求める

問題文

各桁を x,y,z とするとき 100x+10y+z=x!+y!+z! を満たす3桁の自然数 A を求めよ。

解答

A=145

解説

すでに x∈{1,2,3}, y,z≦5、かつ y=5 または z=5 と分かります。

x=3 なら A≧300 ですが、A≦3!+5!+5!=246 となり矛盾します。x=2 なら A≧200。y,z の一方が4以下だと A≦2!+5!+4!=146 なので両方5が必要ですが、255≠2!+5!+5!=242 です。

残る x=1 を調べます。y=5 なら式は z!−z=29、z=5 なら 10y−y!=16 になります。各桁の候補0〜5を表にします。

r012345
r!−r100320115
10r−r!−19182416−70

前者に29はなく、後者が16になるのは y=4 のみ。したがって A=145。実際に 1!+4!+5!=1+24+120=145 と確かめられます。

第4問 正四面体の頂点を移動する2点

この大問では、各点が移動先をそれぞれ独立に選ぶ通常の確率モデルで考えます。

(1)(i) PがCに移った場合

問題文

1辺1の正四面体 ABCD 上で、時刻0に P は A、Q は B にいる。各時刻に、各点は現在地以外の3頂点のいずれかへそれぞれ確率 1/3 で移動する。時刻1に P が C にいるとき、2点の距離 d1 が1となる Q の位置は何通りか。

解答

2通り (A,D)

解説

Q は B から動くので、移動先は A,C,D。P のいる C と同じなら距離0、それ以外なら辺の長さ1です。よって A,D の2通りです。

(1)(ii) PがBに移った場合

問題文

1辺1の正四面体 ABCD 上で、時刻0に P は A、Q は B にいる。各点は現在地以外の3頂点へそれぞれ確率 1/3 で移動する。時刻1に P が B にいるとき、距離 d1 が1となる Q の位置は何通りか。

解答

3通り (A,C,D)

解説

Q は出発点 B にとどまれず、A,C,D のどれかにいます。いずれも P のいる B と異なるため、3通りすべてで距離1です。

(2) 1回移動後に異なる頂点にいる確率

問題文

1辺1の正四面体 ABCD 上で、P,Q は時刻0にそれぞれ A,B にいる。各時刻に各点は現在地以外の3頂点へ、独立にそれぞれ確率 1/3 で移動する。時刻 n の距離を dn、dn=1 の確率を pn とする。p1 を求めよ。

解答

p1=79

解説

P の行き先は B,C,D、Q の行き先は A,C,D で、順序を区別した9通りが同様に確からしい場合です。同じ頂点になるのは (C,C),(D,D) の2通りだけなので、p1=1−2/9=7/9 です。(B,A) のような位置の交換でも距離は1です。

(3) 2時刻の距離の和が1になる確率

問題文

1辺1の正四面体の異なる頂点 A,B から P,Q が出発する。各時刻にそれぞれ独立に、現在地以外の3頂点のいずれかへ確率 1/3 で移動する。時刻 n の距離を dn とするとき、d1+d2=1 となる確率を求めよ。

解答

2681

解説

距離は0か1なので、対象は (d1,d2)=(0,1),(1,0) の2場合です。同じ頂点から出発した2点は、次に同じ頂点へ移るのが9通り中3通り、異なる頂点へ移るのが6通りです。異なる頂点からは、同じ頂点へ移るのが9通り中2通りです。

現在の距離次が0次が1
01/32/3
12/97/9

P(d1=0)=2/9, P(d1=1)=7/9 より、求める確率は

29⋅23+79⋅29=12+1481=2681.

d1 と d2 は独立ではありません。次の距離の確率を、現在の距離ごとに分けることが必要です。

(4) 確率の漸化式と一般項

問題文

1辺1の正四面体の異なる頂点から P,Q が出発し、各時刻にそれぞれ独立に、現在地以外の3頂点へ確率 1/3 で移動する。時刻 n の2点の距離が1となる確率を pn とする。pn+1 を pn で表し、pn を求めよ。ただし n≧0 は整数である。

解答

pn+1=19pn+23,pn=34+14⋅9n

解説

現在の距離が0である確率は 1−pn。同じ頂点から次に異なる頂点へ行く確率は 2/3、異なる頂点から次も異なる頂点へ行く確率は 7/9 なので

pn+1=(1−pn)23+pn79=19pn+23.

定常値 3/4 を両辺から引くと pn+1−3/4=(pn−3/4)/9。初期値は p0=1 だから

pn−34=(p0−34)(19)n=14⋅9n.

n=0 でも成り立ち、n=1 では 7/9 に一致します。

第5問 積分方程式・極限・微分可能性

(1) 定積分を定数とおく

問題文

すべての実数 x に対して f(x)=sin⁡πx+∫01tf(t)dt が成り立つような関数 f(x) を求めよ。

解答

f(x)=sin⁡πx+2π

解説

積分区間が固定されているので、C=∫01tf(t)dt は x によらない定数です。f(x)=sin⁡πx+C を積分の中へ戻すと

C=∫01tsin⁡πtdt+C∫01tdt=1π+C2.

ここで部分積分から ∫01tsin⁡πtdt=[−tcos⁡πt/π+sin⁡πt/π2]01=1/π を使いました。よって C=2/π。この関数を元の積分に代入しても定数項が 2/π になり、条件を満たします。

(2) 三角関数の差を含む極限

問題文

limθ→0θ3tan⁡θ−sin⁡θ を求めよ。

解答

2

解説

0に十分近い θ≠0 に対し、tan⁡θ−sin⁡θ=sin⁡θ(1−cos⁡θ)/cos⁡θ です。(1−cos⁡θ)(1+cos⁡θ)=sin2⁡θ を使うと

θ3tan⁡θ−sin⁡θ=(θsin⁡θ)3(1+cos⁡θ)cos⁡θ.

sin⁡θ/θ→1, cos⁡θ→1 より、極限は 13⋅2⋅1=2 です。

(3) 和を区分求積法に直す

問題文

limn→∞∑k=n+12n1k を求めよ。

解答

log⁡2(log⁡は自然対数)

解説

k=n+j と置き換えると、j は1から n まで動きます。

∑k=n+12n1k=1n∑j=1n11+j/n.

これは区間 [0,1] を n 等分し、右端 j/n で関数 1/(1+x) の値を取った面積和です。連続関数の区分求積法から

limn→∞1n∑j=1n11+j/n=∫01dx1+x=log⁡2.

各項が0に近づくだけでは和の極限は決まりません。項数も増えることを、幅 1/n と合わせて扱います。

(4) 絶対値を含む関数の微分可能性

問題文

f(x)=|x|(ex+a) が x=0 で微分可能であるとする。定数 a を求めよ。

解答

a=−1

解説

f(0)=0 なので差商を左右から調べます。

limx→+0f(x)−f(0)x=1+a,limx→−0f(x)−f(0)x=−(1+a).

両者が一致する条件は 1+a=−(1+a)、すなわち a=−1 です。このとき両方の極限が0なので、実際に微分可能で f′(0)=0 になります。絶対値を含むというだけで微分不可能とは限りません。

第6問 解と係数の関係から整数解を絞る

(1) 積と和を比較する不等式

問題文

実数 α,β が α≧1, β≧1 を満たすとき、αβ≧α+β−1 を示せ。

解答

αβ≧α+β−1

解説

α−1≧0, β−1≧0 より (α−1)(β−1)≧0。展開して移項すると αβ−α−β+1≧0 となります。等号は α=1 または β=1 のときに成立します。

(2) 一方が整数解なら他方も整数になること

問題文

m を整数、k を実数とし、2次方程式 x2−mx+k=0 の2つの解を p,q とする。p が整数なら、q,k も整数であることを示せ。

解答

q=m−p, k=p(m−p) なので、どちらも整数です。

解説

解と係数の関係から p+q=m, pq=k。m,p が整数なら、その差 q=m−p も整数です。さらに整数同士の積 pq が k に等しいので、k も整数になります。重解の場合も同じ議論が成り立ちます。

(3) どの自然数でも整数解を持たないこと

問題文

自然数 n≧1 に対し、2次方程式 x2−n2x+n=0 は整数の解を持たないことを示せ。

解答

すべての自然数 n で整数解を持たない

解説

整数解を1つ持つと仮定すると、前問より2つの解 α,β はともに整数です。α+β=n2>0, αβ=n>0 なので、ともに正の整数、つまり1以上です。

したがって αβ≧α+β−1 を使い、n≧n2−1、すなわち n(n−1)≦1 を得ます。自然数でこれを満たすのは n=1 だけです。

しかし n=1 なら α+β=1 であり、正の整数2つの和が2以上であることに反します。よって仮定が誤りで、整数解はありません。

(4) 整数解が存在するnをすべて求める

問題文

自然数 n≧1 に対して x2−(n−2)2x+n=0 が整数解を持つとき、n とその解をすべて求めよ。

解答

n=4,x=2(重解)

解説

整数解を持てば2つの解 α,β はともに整数で、α+β=(n−2)2≧0, αβ=n>0 です。積が正なので同符号であり、和が非負なのでともに正です。

よって αβ≧α+β−1 から

n≧(n−2)2−1⟺n2−5n+3≦0.

n≧5 では左辺は n(n−5)+3>0 となるため、候補は n=1,2,3,4 だけです。

n方程式判定
1x2−x+1=0判別式 −3、実数解なし
2x2+2=0実数解なし
3x2−x+3=0判別式 −11、実数解なし
4(x−2)2=0整数解 x=2

候補をすべて調べ、n=4 のとき実際に成立するので、これが唯一の答えです。

第7問 指数関数の2本の接線と面積比

(1) 2本の接線の交点

問題文

a>0 とする。曲線 y=ex の点 (0,1)、(a,ea) における接線をそれぞれ ℓ1,ℓ2 とし、その交点の x 座標を p(a) とする。p(a) を求めよ。

解答

p(a)=(a−1)ea+1ea−1

解説

微分すると (ex)′=ex なので、接線の方程式は ℓ1:y=x+1、ℓ2:y=ea(x−a+1) です。連立して

x+1=ea(x−a+1)⟹(ea−1)x=(a−1)ea+1.

a>0 より ea−1>0 なので割ることができ、答えの式になります。

(2) 接線と曲線の間の2つの面積

問題文

0<b<a とし、y=ex の点 (0,1)、(a,ea) における接線を y=f(x),y=g(x) とする。0≦x≦b, f(x)≦y≦ex の領域の面積を S1、b≦x≦a, g(x)≦y≦ex の領域の面積を S2 とする。S1,S2 を求めよ。

解答

S1=eb−12b2−b−1

S2={12(a−b)2−(a−b)+1}ea−eb

解説

接線は f(x)=x+1, g(x)=ea(x−a+1) です。指数関数は接線以上の値を取るので、それぞれ「曲線−接線」を積分します。この大小は、関数 eu−u−1 が u=0 で最小値0を取ることからも確認できます。

S1=∫0b(ex−x−1)dx=eb−12b2−b−1.

S2 では u=x−a とおけば、下端は b−a、上端は0です。

S2=ea∫b−a0(eu−u−1)du=ea[eu−u22−u]b−a0={12(a−b)2−(a−b)+1}ea−eb.

指数曲線と2接線の間の面積S1とS2。baOxy1y = eˣℓ₁ℓ₂S₁S₂
配置の例(a=2、b=1.2)。青色が S₁、橙色が S₂。第(2)問では b を接線の交点に限定していません。

(3) 面積を指数関数で割って整理する

問題文

0<b<a とする。曲線 y=ex と、点 (a,ea) での接線 y=ea(x−a+1) の間の、b≦x≦a における面積を S2 とする。R=e−bS2, t=a−b とおくとき、R を t のみの関数で表せ。

解答

R=(12t2−t+1)et−1

解説

面積の積分から S2={(a−b)2/2−(a−b)+1}ea−eb。両辺を eb で割り、ea/eb=ea−b を使うと、現れる a,b はすべて差 a−b=t にまとめられます。

(4) 接点と交点の横方向の隔たり

問題文

a>0 とし、y=ex の点 (0,1)、(a,ea) における2接線の交点の x 座標を p(a) とする。lima→∞(a−p(a)) を求めよ。必要なら limx→∞xke−x=0(自然数 k)を用いてよい。

解答

1

解説

p(a)={(a−1)ea+1}/(ea−1) を代入し、差を先に整理します。

a−p(a)=ea−a−1ea−1=1−ae−a1−e−a.

a→∞ で ae−a→0、e−a→0 なので、極限は1です。発散する2つの量の差を、別々の極限に分けないことが大切です。

(5) 境界を接線の交点にした面積比

問題文

a>0 とし、y=ex の点 (0,1)、(a,ea) の接線を y=f(x),y=g(x)、交点の x 座標を p(a) とする。b=p(a) とし、S1=∫0b(ex−f(x))dx、S2=∫ba(ex−g(x))dx とする。lima→∞S2/S1 を求めよ。必要なら xke−x→0 を用いてよい。

解答

e2−1

解説

まず 0<p(a)<a を確認します。p(a) の分子 H(a)=(a−1)ea+1 は H(0)=0, H′(a)=aea>0 なので正です。また ea>1+a より a−p(a)=(ea−a−1)/(ea−1)>0。したがって面積の区間は正しく定まります。

t=a−b とおくと、前問より t→1、よって b=a−t→∞ です。eb で分子・分母を割ると

e−bS2=(12t2−t+1)et−1⟶e2−1,

e−bS1=1−(12b2+b+1)e−b⟶1.

よって S2/S1=(e−bS2)/(e−bS1)→e/2−1 です。面積自体は大きくなっても、共通の増大因子 eb で割ると比の極限が見えます。

第8問 3乗が単位行列となる2次行列

E は2次の単位行列、O は2次の零行列です。本問は当時の高校数学の範囲に従い、行列の成分を実数として扱います。

(1) 行列の3乗の差を因数分解する

問題文

A を A3=E を満たす2次正方行列、t を実数とする。(A−tE)(A2+tA+t2E) を t,E で表せ。

解答

(1−t3)E

解説

A と E、また A とその累乗は交換できるので、展開すると中間項が打ち消し合います。

(A−tE)(A2+tA+t2E)=A3−t3E=(1−t3)E.

行列の積は一般には交換できませんが、今回の式では同じ行列の多項式同士なので、この因数分解が使えます。

(2) 逆行列を具体的に作る

問題文

A3=E を満たす2次正方行列 A と実数 t≠1 に対し、A−tE が逆行列を持つことを示せ。

解答

(A−tE)−1=A2+tA+t2E1−t3

解説

実数 t では t≠1 なら 1−t3≠0 です。前問の積の公式を 1−t3 で割ると

(A−tE)A2+tA+t2E1−t3=E.

積の順序を逆にしても同じ結果です。したがって右の因子が逆行列となります。t=1 ではこの式の分母が0になるので、同じ式では判断できません。

(3)(i) Aが単位行列の場合

問題文

A3=E を満たす2次正方行列 A について、A=E なら A2+A+E≠O であることを示せ。

解答

A2+A+E=3E≠O

解説

A=E を代入すれば E2+E+E=3E。E の対角成分は1なので、3E の対角成分は3であり、零行列ではありません。

(3)(ii) 積が零行列でも因子を消せない場合

問題文

A3=E を満たす2次正方行列 A について、A2+A+E≠O なら A−E は逆行列を持たないことを示せ。

解答

A−E は逆行列を持たない

解説

(A−E)(A2+A+E)=A3−E=O です。もし A−E が逆行列を持つなら、左からその逆行列を掛けて A2+A+E=O を得ます。しかしこれは仮定に反するので、逆行列は存在しません。

通常の数と違い、行列では積が零行列でも一方が零行列とは限りません。逆行列の存在を確かめずに因子を消すことはできません。

(3)(iii) 逆行列を持たない場合のAを決める

問題文

実数成分の2次正方行列 A が A3=E を満たすとする。A−E が逆行列を持たないなら A=E であることを示せ。

解答

A=E

解説

A=(abcd)、p=a+d, q=ad−bc とおきます。2次行列のケーリー・ハミルトンの定理より A2−pA+qE=O です。

A−E に逆行列がない条件は (a−1)(d−1)−bc=0、すなわち q=p−1。よって A2=pA−(p−1)E です。これを使って A3−E を整理すると

O=A3−E=pA2−(p−1)A−E=(p2−p+1)(A−E).

p は実数なので p2−p+1=(p−1/2)2+3/4>0。これは0でない実数係数ですから、両辺を割って A−E=O、つまり A=E を得ます。

ここでは「2次」「実数成分」の条件が重要です。任意の大きさや複素数成分の行列に、そのまま一般化はできません。

第9問 試行を続ける基準と賞金の期待値

各回は同じ確率分布による独立な試行として考えます。[x] は x 以下の最大の整数(床関数)です。「最大になる」は、その基準だけが唯一の最大化条件であるとは限りません。

(1) 最大2回の試行の期待値

問題文

自然数 n に対し、試行 T では得点 j∈{0,1,…,n} が確率 pj>0 で得られ、∑j=0npj=1 とする。1回の得点の期待値を a とする。整数 1≦k≦n を決め、1回目の得点が k 以上ならその得点を賞金とし、k 未満なら1回目を無効にして2回目の得点を賞金とする。賞金の期待値 bk を求めよ。

解答

bk=a∑j=0k−1pj+∑j=knjpj(a=∑j=0njpj)

解説

1回目が j≧k ならその場で賞金 j が決まるため、期待値への寄与は ∑j=knjpj です。1回目が k 未満となる確率は ∑j=0k−1pj。この場合の2回目の期待値は、独立性により a のままです。両者を足して答えを得ます。

最初の得点は無効になるため、2回目へ進んだときに1回目の得点を足してはいけません。

(2) 最大2回の場合の最適な基準

問題文

試行 T は 0,1,…,n 点を確率 p0,p1,…,pn>0(総和1)で生み、期待値を a=∑j=0njpj とする。1回目が k 以上ならその得点、未満なら1回目を捨てて2回目の得点を賞金とする期待値を bk とする(1≦k≦n)。A=[a]+1 とするとき、k=A で bk が最大になることを示せ。

解答

bA=max1≦k≦nbk

解説

すべての pj が正なので 0<a<n です。よって 1≦A≦n であり、基準 A は選択可能です。n≧2 では、隣り合う期待値の差が

bk+1−bk=apk−kpk=(a−k)pk(1≦k≦n−1).

pk>0 より、k≦A−1=[a] なら差は非負、k≧A なら差は負です。したがって bk は A まで減らず、そこから先では減るので、bA が最大です。n=1 では選べる基準が A=1 だけなので同じ結論になります。

補足:a が整数 r なら br+1−br=0 となり、k=r,r+1 の両方が最大です。a が整数でなければ最大にする基準は A のみです。

(3) 最大3回の試行の期待値

問題文

試行 T は j=0,1,…,n 点を確率 pj>0(総和1)で生み、a=∑jpj, A=[a]+1 とする。整数 1≦m≦n を決め、次のルールで最大3回行う。

  1. 1回目が m 以上ならその得点を賞金とし、終了する。
  2. 1回目が m 未満なら2回目を行い、2回目が A 以上ならその得点だけを賞金とする。
  3. 2回目が A 未満なら3回目を行い、3回目の得点だけを賞金とする。

賞金の期待値 cm を求めよ。

解答

cm=bA∑j=0m−1pj+∑j=mnjpj

ただし bA=a∑j=0A−1pj+∑j=Anjpj です。

解説

1回目が m 以上なら、その得点が確定するので寄与は ∑j=mnjpj。1回目が m 未満なら、残る2回は「基準 A で最大2回行う」ルールと同じです。その期待値は bA なので、継続する確率を掛けて答えを得ます。

bA を展開すると、原本の変数だけによる形は

cm=a(∑j=0m−1pj)(∑j=0A−1pj)+(∑j=0m−1pj)(∑j=Anjpj)+∑j=mnjpj.

それぞれ3回目で終了、2回目で終了、1回目で終了する場合の寄与になっています。

(4) 最大3回の最適な基準と期待値の比較

この小問でも、自然数 n と整数 m の範囲は 1≦m≦n です。

問題文

試行 T は得点 j=0,…,n を確率 pj>0(総和1)で生み、a=∑jpj, A=[a]+1 とする。bA は、1回目が A 以上ならその得点、未満なら1回目を捨てて2回目の得点を賞金とする期待値である。cm は、1回目が m 以上なら終了し、未満ならその得点を捨てて残り2回を基準 A のルールで行う期待値とする。B=[bA]+1 とおくとき、m=B で cm が最大となり、cB≧bA であることを示せ。

解答

cB=max1≦m≦ncm,cB≧bA

解説

最大2回の賞金は0以上 n 以下です。また正の賞金になる確率が正であり、2回とも0点で賞金0になる確率 p02 も正なので、0<bA<n。よって 1≦B≦n です。

cm=bA∑j=0m−1pj+∑j=mnjpj から

cm+1−cm=(bA−m)pm(1≦m≦n−1).

m≦B−1 なら非負、m≧B なら負なので、m=B で最大です。n=1 のときも唯一の基準 B=1 で成立します。bA が整数なら m=B−1 も同じ最大値を与えます。

さらに ∑pj=1 を使うと

cB−bA=∑j=Bn(j−bA)pj≧0.

j≧B=[bA]+1>bA なので各項が非負です。実際には B≦n かつ pj>0 より、この差は正になります。残り2回の期待値より高い得点が出たら確定し、低ければ継続する、という判断が式に表れています。

(5)(i) 5枚の硬貨の得点分布

問題文

n=5 とし、5枚の硬貨を同時に投げ、表の出た枚数を得点とする試行 T を考える。表裏はそれぞれ確率 1/2 で、各硬貨は独立とする。得点 j の確率 pj(j=0,…,5)と、1回の期待値 a を求めよ。

解答

(p0,p1,p2,p3,p4,p5)=132(1,5,10,10,5,1),a=52

解説

5枚の表裏は 25=32 通りで同様に確からしく、表が j 枚になるのは (5j) 通りです。したがって pj=(5j)/32。期待値は

a=0⋅1+1⋅5+2⋅10+3⋅10+4⋅5+5⋅132=8032=52.

各硬貨について「表なら1、裏なら0」の期待値が 1/2 であることを用い、5⋅1/2 と求めることもできます。

(5)(ii) 硬貨を最大2回投げる場合

問題文

5枚の公平な硬貨を独立に投げ、表の枚数を得点とする。整数 1≦k≦5 を決め、1回目が k 以上ならその得点を賞金とし、未満なら1回目を捨てて独立な2回目の得点を賞金とする。期待値 bk の最大値を求めよ。

解答

maxbk=9532(k=3)

解説

1回の期待値は a=5/2 なので、最適な基準は A=[5/2]+1=3。1回目が0〜2点となる確率は (1+5+10)/32=1/2 です。よって

b3=52⋅12+3⋅10+4⋅5+5⋅132=40+5532=9532.

つまり、1回目に表が3枚以上なら確定し、2枚以下なら投げ直すと最大になります。

(5)(iii) 硬貨を最大3回投げる場合

問題文

5枚の公平な硬貨を独立に投げ、表の枚数を得点とする。整数 1≦m≦5 を決め、1回目が m 以上なら確定する。未満なら1回目を捨て、2回目が A=[5/2]+1=3 以上なら2回目の得点を賞金とし、未満ならそれも捨てて3回目の得点を賞金とする。各回は独立とする。期待値 cm の最大値を求めよ。

解答

maxcm=20564(m=3)

解説

残り2回の最適な期待値は bA=95/32=2+31/32 なので、初回の最適な基準も B=[bA]+1=3 です。1回目が3未満となる確率は 1/2、3以上で確定する場合の寄与は 55/32 です。したがって

c3=9532⋅12+5532=95+11064=20564.

最大2回の 95/32=190/64 より 15/64 高くなっています。1回目・2回目ともに表3枚以上なら確定、2枚以下なら続行し、3回目は出た結果を受け入れるルールです。

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問題冊子は全9大問を収録し、第9問は最終ページまで続きます。学部ごとの解答指定は冒頭の対応表を参照してください。

補助教材:漸化式のオリジナル類題

今日の一問
数列 は 、 をみたす。
一般項 を求めよ。
——さて、どこから手をつける?
数強塾オリジナルの類題です。2014年度の実際の入試問題ではありません。

解答

an=8·6n−1−2

解説

an+1=6an+10の両辺に2を足すと、an+1+2=6(an+2)。bn=an+2とおけば、初項8、公比6の等比数列となるので、bn=8·6n−1です。最後に2を引いて一般項を得ます。

検算:n=1で8−2=6と初項に一致します。一般のnでも6(8·6n−1−2)+10=8·6n−2となり、第n+1項と一致するので、初項と漸化式をともに満たします。

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愛媛大学の数学の過去問は18年度ぶんを公開しています。そのうち18年度は全問の解答解説つきです(「解説」の印がついた年度)。志望校の傾向は1年だけでは見えないので、最低でも3年ぶんを続けて解くことをおすすめします。

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愛媛大学 2014年度 数学入試問題の文字起こし・出題分析

公開中の問題PDFを検索・復習しやすいよう文字データ化し、読み取れた語句から出題分野を整理しました。

  • 関数・グラフ
  • 微分・積分
  • 図形・三角関数
  • 方程式・不等式
  • 整数

この年度の出題範囲と傾向

2014年度の問題PDFでは、関数・グラフ、微分・積分、図形・三角関数、方程式・不等式、整数に関する語句や設問を確認できました。愛媛大学の公開PDFを年度横断で調べると、微分・積分は18年度、図形・三角関数は17年度、関数・グラフは15年度で検出されており、複数年を比較して対策したい分野です。

分野判定はPDFから読み取れた語句に基づく集計です。数式・記号・図表は文字変換で崩れる場合があるため、正確な条件は必ず原本PDFで確認してください。

問題文の文字起こし

問1画像OCR

検出分野: 関数・グラフ、微分・積分、図形・三角関数、方程式・不等式、整数

(1) 関数>ニア() のグラフをかけ。
(2) 関数Fx)を求めよ。
(3) 曲線ッーア/(*)上の点(0. (0 ))における接線の方程式を求めよ。
(4) 曲線=が(z)と(3) で求めた接線 ? とで囲まれた図形の面積を求めよ。
ーー 3ー OM1(176—4)

CF & = Ai
数学の試験問題は次に続く。
= 4一 ぐるMi 76一5)

(教育学部・農学部・工学部環境建設工学科社会デザインコース)
4は3燃の自然数で. その吾の位の数*, 十の位の数 一の位の数zは.

100x+ l0ytz=x!+yl tz!

を満たしている。

(1) 6!の値を求めxy, <はすべて5 以下であることを示せ。

(2) *は3 以下であることを示せ。

8) zのうち少なくとも1つは5 であることを示せ。

(4 4を求めよ。

ーー 5 一 OM1(176—6)

(下書き用紙)
数学の試験問題は次に続く。
= 王 ぐやMIG76一の

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