神戸大学 2011年度 過去問・解答

藤原進之介です。このページでは神戸大学2011年度の数学過去問の問題資料と学習情報を無料公開しています。掲載している問題・解答・解説の範囲は、ページ内の各見出しでご確認ください。

今日の一問
実数 に対して、等式 を考える。 とおく。以下の問に答えよ。
(1) ① の等式が表す 平面上の図形を図示せよ。
(2)  が ① の等式をみたすとき、 のとりうる値の範囲を求めよ。
(3)  が ① の等式をみたすとする。 を用いた式で表せ。また、 のとりうる値の最大値と最小値を求めよ。
——さて、どこから手をつける?
答えと考え方は、この記事の中で順を追って解説します。

問題

解答

📑 この年度の大問インデックス(全8問)

解説が長いので、解きたい大問へ直接移動できるようにしています。解けなかった問題は、解説を読んだあとに同じ型の問題で当て直すと定着が速くなります。

型から探したいときは解法パターン事典、他の年度は過去問解説の総索引から。

🧭 神戸大学 2011年度|大問ごとに「使う型」を対応させた表

解けなかった大問がどの型に属するのかを一覧にしました。解説を読んだあと、型のページで同じ判断を使う問題を数問当てると定着が速くなります。この年度は難易度と目標時間を掲載していないため、それらは載せていません。

大問出題テーマ使う型(解法パターン事典)
文科系【1】文科系【1】円上を動く点と対称式の最大最小最大・最小の全型
文科系【2】文科系【2】円に内接する四角形と方べきの定理図形の性質
文科系【3】文科系【3】カードとマジックナンバーのゲーム確率
理科系【2】理科系【2】 の最小値(線形計画)最大・最小の全型
理科系【3】理科系【3】積分で級数をはさむ積分法(数II)
理科系【5】理科系【5】 の評価と不等式数と式

型の全体像は解法パターン事典、他の年度・他大学は過去問解説の総索引から。神戸大学の年度一覧は各ページ末尾のナビでも確認できます。

神戸大学 2011年度(平成23年度)前期日程 数学の全問解説です。文科系3題と理科系5題が出題され、合わせて全8題23小問になります。
掲載しているすべての数値は、当塾で独立に解いたうえで Pythonによる検算(カード5枚の並べ方120通りを全列挙してゲームの勝敗を判定・sympyによる対称式と面積の式変形・線形計画の最小値を8万点で走査・ を変えて を直接計算・整式の除法と無理数条件の確認) を行い、本ページで配布している解答PDFも数強塾が独自に作成したもので、この解説と同じ答え・同じ道筋です。

分野答え
文【1】円と対称式中心 ・半径 の円//最大 ・最小
文【2】円に内接する四角形と方べきの定理/最大
文【3】カードとゲームの確率/勝つ確率
理【1】複素数の 乗根の和
理【2】 の最小(線形計画)/最大
理【3】積分による級数の評価
理【4】無理数と有理数の条件・余り
理【5】 の評価と不等式

この年度の傾向(3行)

  • 文科系は「置きかえて1文字にする」問題が2つ入っています。【1】は 、【2】は面積を で。どちらも置きかえた文字の動く範囲を出すところが本題で、そこを飛ばすと最大最小がずれます。
  • 理科系は証明が5問中4問という構成です。【1】はド・モアブルの定理の導入部、【3】は積分で級数をはさむ、【5】は の応用。「示せ」に答える書き方の練習にちょうどよい年度です。
  • 理【4】は「無理数と有理数」の典型です。「(有理数)=(有理数)× 」の形で が無理数なら、両辺とも0でなければならない。この一手だけで が決まります

文科系【1】円上を動く点と対称式の最大最小

【問題】
実数 に対して、等式 を考える。 とおく。以下の問に答えよ。
(1) ① の等式が表す 平面上の図形を図示せよ。
(2)  が ① の等式をみたすとき、 のとりうる値の範囲を求めよ。
(3)  が ① の等式をみたすとする。 を用いた式で表せ。また、 のとりうる値の最大値と最小値を求めよ。
xyO11t=0t=2中心 (1/2, 1/2)、半径 1/√2 の円。直線 x+y=t を動かすとt=0 と t=2 で接する。だから 0 ≦ t ≦ 2。
文科系【1】① が表す円と、直線 を動かしたときの接する位置

(1) ① が表す図形

【問題(再掲)】 ① の等式が表す 平面上の図形を図示せよ。

【型】 の形は平方完成して円の方程式に直す。

【なぜこうするか】  それぞれについて平方完成すれば、中心と半径がそのまま読めます。右辺が正になることを確認すれば、確かに円だと言えます(0なら1点、負なら図形なし)。

【解答】
よって ① は中心 、半径 の円を表す(図の紺色の円)。

(2) のとりうる範囲

【問題(再掲)】  のとりうる値の範囲を求めよ。

【型】「円上の点で の値域」は、直線 と円が共有点をもつ条件。中心と直線の距離 半径。

【なぜこうするか】  は「直線 の位置」を表しています。この直線が円と共有点をもつ範囲が、 のとりうる範囲です。
直線と円が共有点をもつ条件は「中心から直線までの距離 半径」。これで一気に決まります。
を2次方程式の2解とみて判別式で処理する方法もあります。)

【解答】
は直線 を表す。① の円と共有点をもつ条件は、中心 からこの直線までの距離が半径 以下であること。すなわち

(3) で表し、最大・最小を求める

【問題(再掲)】  で表し、最大値と最小値を求めよ。

【型】対称式は基本対称式 で表す。① から で書ける。

【なぜこうするか】  の対称式なので で書けます。
ここで ① を使うと が等しいので、 まで で表せます。これで だけの3次関数になります。
あとは (2) の範囲 で増減を調べるだけです。

【解答】
とおくと、① より また これに を代入して (2) より
【解答(続き)】
よって最大値 のとき)、最小値 のとき)
よくあるミス  の範囲を出さずに を「すべての実数 」で考えてしまう誤りです。 は円上の点でしか動けないので 。この制限がないと となり、最大値が存在しないことになってしまいます。

検証:sympy で )を整理すると 、停留点は を確認しました。

文科系【2】円に内接する四角形と方べきの定理

【問題】
平面上に相異なる4点 A、B、C、D があり、線分 AC と BD は原点 O で交わっている。点 A の座標は で、線分 OA と OD の長さは等しく、四角形 ABCD は円に内接している。 とおき、点 C の 座標を 、四角形 ABCD の面積を とする。以下の問に答えよ。
(1) 線分 OC の長さを を用いた式で表せ。また、線分 OB と OC の長さは等しいことを示せ。
(2)  を用いた式で表せ。
(3)  とし、 とするとき、 のとりうる値の最大値を求めよ。
xyOA(1, 2)BCDO対角線は O で交わる。方べきの定理 OA·OC = OB·OD とOA=OD から OB=OC が出る。
文科系【2】円に内接する四角形 ABCD と、O で交わる対角線

(1) OC の長さと、OB=OC の証明

【問題(再掲)】 OC の長さを で表し、OB=OC を示せ。

【型】円に内接する四角形の対角線の交点では、方べきの定理 が使える。

【なぜこうするか】 C は直線 OA 上(O をはさんで A の反対側)にあるので、A と原点を結ぶ直線 上、すなわち O をはさんで反対側なので です。
OB=OC は、方べきの定理 に条件 OA=OD を入れるだけで出ます。

【解答】
A と O を通る直線は で、C はこの直線上の点だから 。線分 AC が O で BD と交わることから、C は O に関して A の反対側にあり 。よって また四角形 ABCD は円に内接し、対角線 AC と BD は O で交わるから、方べきの定理より 条件より だから、両辺を で割って  (証明終)

(2) 面積 で表す

【問題(再掲)】  を用いた式で表せ。

【型】対角線が交わる四角形の面積は、4つの三角形に分けて足す。各三角形は「2辺の積 × sin ÷ 2」。

【なぜこうするか】 O で交わる2本の対角線が四角形を4つの三角形に分けます。 なら、隣の (一直線上だから)。
なので、4つとも でくくれます。あとは を代入して整理するだけです。

【解答】
、(1) より だから 。よって

(3) のときの の最大値

【問題(再掲)】  のとき の最大値を求めよ。

【型】不等式を について解く。 だから

【なぜこうするか】  を代入すれば 。不等式を解くと の範囲が出ます。
平方根をとるとき より なので 。ここで符号を間違えないことが唯一の注意点です。

【解答】
のとき だから より より だから よって の最大値は

検証: となる となる の側だけを取ると となり、最大は です。

文科系【3】カードとマジックナンバーのゲーム

【問題】
袋の中に0から4までの数字のうち1つが書かれたカードが1枚ずつ合計5枚入っている。4つの数 をマジックナンバーと呼ぶことにする。次のようなルールをもつ、1人で行うゲームを考える。
 [ルール]袋から無作為に1枚ずつカードを取り出していく。ただし、一度取り出したカードは袋に戻さないものとする。取り出したカードの数字の合計がマジックナンバーになったとき、その時点で負けとし、それ以降はカードを取り出さない。途中で負けとなることなく、すべてのカードを取り出せたとき、勝ちとする。
以下の問に答えよ。
(1) 2枚のカードを取り出したところで負けとなる確率を求めよ。
(2) 3枚のカードを取り出したところで負けとなる確率を求めよ。
(3) このゲームで勝つ確率を求めよ。

【まず1枚目を確認する】 1枚目に を引くと、その時点で合計がマジックナンバーになり負けです。つまり1枚目で負ける確率は 。「2枚目で負ける」を数えるときは、1枚目が のどれかである必要があります。

(1) 2枚で負けとなる確率

【問題(再掲)】 2枚のカードを取り出したところで負けとなる確率を求めよ。

【型】「ちょうど 枚目で負け」は、途中で負けていないことも条件に入る。順序つきで数える。

【なぜこうするか】 2枚の取り出し方は順序を区別して 通り。合計がマジックナンバーになる組を、和ごとに拾います
和が になるのは 、和が になるのは 。どちらも順序が2通りずつ。これらはいずれも1枚目が なので、1枚目で負けていないことも満たしています。

【解答】
1枚目、2枚目の組を順序つきで考えると、全部で 通り。
2枚の合計がマジックナンバーになるのは
・合計 の2通り
・合計 の2通り
(合計 になる組はない。)いずれも1枚目は なので1枚目では負けていない。よって 2枚で負ける確率は

(2) 3枚で負けとなる確率

【問題(再掲)】 3枚のカードを取り出したところで負けとなる確率を求めよ。

【型】3枚の組を先に決め、その並べ方のうち「途中で負けない」ものだけを数える。

【なぜこうするか】 合計が になる3枚の組を先に列挙し、それぞれの並べ方 通りのうち、1枚目・2枚目で負けてしまうものを除きます
除く条件は「1枚目が 」と「1・2枚目の和が 」。どの組でもちょうど2通りずつ残るのがこの問題のきれいなところです。

【解答】
3枚の取り出し方は順序つきで 通り。合計がマジックナンバーになる3枚の組ごとに、途中で負けない並べ方を数える。
・合計  → 2通り
・合計  → 2通り
・合計  → 2通り
・合計  → 2通り
(いずれも1枚目に が来る並びと、1・2枚目の和が になる並びを除いた結果。)よって 3枚で負ける確率は

(3) 勝つ確率

【問題(再掲)】 このゲームで勝つ確率を求めよ。

【型】負けるパターンをすべて足して1から引く。5枚全部で負けることがないかも確認する。

【なぜこうするか】 勝ちは「1枚目〜4枚目のどこでも負けず、5枚全部取り出す」こと。5枚の合計は でマジックナンバーではないので、4枚目まで生き残れば必ず勝ちです。
したがって 「1 −(1枚で負け)−(2枚で負け)−(3枚で負け)−(4枚で負け)」で求まります。4枚目で負けるのは合計が になる場合です。

【解答】
1枚目で負ける確率は (1枚目が )。
4枚で負けとなるのは、4枚の合計が または のとき。
・合計  → 途中で負けない並べ方は4通り
・合計  → 同じく4通り
4枚の取り出し方は 通りだから 4枚で負ける確率は 。 5枚すべての合計は でマジックナンバーではないから、5枚目で負けることはない。よって 勝つ確率は

検証:カード5枚の並べ方 通りをPythonですべて生成し、ルール通りに勝敗を判定しました。1枚目で負け 、2枚目 、3枚目 、4枚目 、5枚目は0、勝ち で、上の結果と完全に一致しました。

理科系【1】1の 乗根の和

【問題】
とする。以下の問に答えよ。
(1) 実数 について、等式 が成り立つことを示せ。
(2) 自然数 に対して とおくとき、等式 が成り立つことを示せ。
(3) 2以上の自然数 について、等式 が成り立つことを示せ。

(1) 積の公式

【問題(再掲)】  を示せ。

【型】左辺を展開し、 を使ってから三角関数の加法定理でまとめる。

【なぜこうするか】 単純に展開するだけです。実部に 、虚部に が現れるので、加法定理そのものになります。
この式が (2)(3) の土台(ド・モアブルの定理)です。

【解答】
加法定理より、これは に等しい。 (証明終)

(2) の証明

【問題(再掲)】  を示せ。

【型】(1) を使うと、 を掛けることは「角を 進める」こと。和の各項が1つずつずれる。

【なぜこうするか】 (1) より、 を掛けると 番目の項が 番目の項に変わります。つまり は「 から までの和」
ここで の項は角が なので、 の項と同じ。したがって和全体は変わらず となります。

【解答】
とおく。(1) より だから ここで の項は となり、 の項に等しい。したがって の和は の和と同じ項の集まりであり  (証明終)

(3) 和が0になることの証明

【問題(再掲)】 2以上の自然数 について を示せ。

【型】(2) から なら 。複素数が0 実部も虚部も0。

【なぜこうするか】 (2) の式を移項すると なら の整数倍ではないので 、すなわち 。したがって
あとは「複素数が0ならその実部も虚部も0」という当たり前の事実を使うだけです。 を除いてあるのは、 では となってこの議論が使えないからです。

【解答】
(2) より 、すなわち のとき だから であり 、つまり 。よって ここで であり、実部と虚部はいずれも実数だから、 より かつ  (証明終)

検証: について sympy で和を計算したところ、いずれも となりました(複素数の和 も0)。

理科系【2】 の最小値(線形計画)

【問題】
以下の問に答えよ。
(1)  を正の実数とするとき、 の表す 平面上の図形を図示せよ。
(2)  をみたす実数とする。 が連立不等式 をみたすとき、 のとりうる値の最小値 を、 を用いた式で表せ。
(3)  の範囲を動くとき、(2) で求めた の最大値を求めよ。
xyOa=1.5 のとき|x|+|y|=max+(2−a)y=2灰色が領域。ひし形 |x|+|y|=t をふくらませて、はじめて領域に触れるときの t が最小値 m。
理科系【2】領域と、ふくらませたひし形

(1) の図形

【問題(再掲)】 )の表す図形を図示せよ。

【型】絶対値は象限ごとに外す。4本の線分をつないだ図形になる。

【なぜこうするか】  の符号で4通りに分けると、それぞれ直線の式になります。つないでできるのは、4点 を頂点とする正方形(45度に傾いたひし形)です。

【解答】
の符号で場合分けすると よって求める図形は、4点 を頂点とする正方形(ひし形)の周である。

(2) の最小値

【問題(再掲)】 連立不等式のもとで の最小値 で表せ。

【型】「ひし形をふくらませて、はじめて領域に触れるとき」が最小。触れるのは頂点か辺のどちらか。

【なぜこうするか】  のひし形を から少しずつ大きくしていき、はじめて領域と共有点をもつときの が最小値 です。
領域の境界は直線 。ひし形の「角」は にあるので、直線の傾きとひし形の辺の傾き()の大小で、頂点で触れるか辺で触れるかが変わります
結論としては、 の係数の絶対値の大きい方で を割った値になり、 の大小で場合が分かれます。 が境目です。

【解答】
直線 が領域の境界である。ひし形 を増やしながらふくらませたとき、はじめて領域と共有点をもつ である。
[i]  のとき。 だから、 の傾き 以上0以下で、ひし形の辺(傾き )より緩やか。よってひし形は上の頂点 ではじめて に触れる。 上にあるとき [ii]  のとき。 なら なら )だから、 軸方向により急に効き、ひし形は右の頂点 ではじめて領域に触れる(このとき もみたす)。 上にあるとき 以上より

(3) の最大値

【問題(再掲)】  の範囲で の最大値を求めよ。

【型】場合分けされた関数は、それぞれの増減を見てつなぎ目で比べる。

【なぜこうするか】  では は分母が減るので増加、 では は減少。したがって最大はつなぎ目の
両側から とすると、どちらも に近づくので で連続です。

【解答】
では について増加し、
では について減少し、
よって で最大となり の最大値は

検証: について、領域内の点を 方向に8万点走査して の最小を数値で求めたところ、それぞれ となり、上の式()と一致しました。最大は です。

理科系【3】積分で級数をはさむ

【問題】
を2以上の自然数として とおく。以下の問に答えよ。
(1)  を求めよ。
(2)  を2以上の自然数とするとき を示せ。
(3)  の値を求めよ。

(1) 定積分の値

【問題(再掲)】  を求めよ。

【型】 の形。合成関数の微分の逆。

【なぜこうするか】  を微分すると つまり被積分関数はこの導関数そのものです。
上端が なので となり、 の中で3が外に出て、 だけが残ります が消えるのがこの問題の仕掛けです。

【解答】
だから

(2) 不等式の証明

【問題(再掲)】  を示せ。

【型】幅1の区間での積分は、その区間での関数の最大値・最小値ではさむ。減少関数なら両端の値。

【なぜこうするか】  で減少します(分母 が増加するから)。
区間 の幅は1なので、 は「その区間での の値」の平均にあたります。減少関数なら、区間の右端の値 より大きく、左端の値 より小さい。
これがそのまま示すべき不等式です。減少することの根拠(導関数が負)は書いておきます。

【解答】
とおくと だから で単調減少。よって では (等号は端点のみ。)幅1の区間で積分すると、等号は成り立たなくなり すなわち  (証明終)

(3)

【問題(再掲)】  の値を求めよ。

【型】(2) を で足し合わせると、和が積分ではさまれる。

【なぜこうするか】 (2) の各辺を から まで足すと、真ん中は (1) の積分 になります。
右側の和は そのもの。左側の和は から先頭の項 を除いて末尾の項 を加えたもの。
したがって の形にはさめます。両端が に近づくので、はさみうちの原理で決まります。

【解答】
(2) の各辺を について足し合わせると、真ん中は (1) より だから 左側の和は、 と置きかえると だから よって のとき だから、はさみうちの原理より

検証: について を直接計算すると となり、 に上から近づいていくことを確認しました。上の評価どおり です。

理科系【4】無理数と有理数の条件

【問題】
は正の無理数で、 を考えると、 はともに有理数である。以下の問に答えよ。
(1) 整式 を整式 で割ったときの商と余りを求めよ。
(2)  の値を求めよ。
(3)  の値を求めよ。ただし、素数の平方根は無理数であることを用いてよい。

(1) 商と余り

【問題(再掲)】  で割った商と余りを求めよ。

【型】整式の除法。次数が下がるまで割る。

【なぜこうするか】 普通に割り算をするだけです。この結果を として使うと、 の1次式で書けます。それが (2) の準備です。

【解答】
(実際、。)よって 商は 、余りは

(2) の値

【問題(再掲)】  の値を求めよ。

【型】「(有理数)=(有理数)×(無理数)」なら、両辺とも0でなければならない。

【なぜこうするか】 (1) に を代入すると 。これを について整理すると という形になります。左辺は有理数、右辺は「有理数 無理数」
もし なら となって が有理数になり、「 は無理数」に反します。だから 、そして左辺も0。これで両方決まります。

【解答】
(1) に を代入すると について整理すると は有理数だから左辺は有理数。もし なら となり が有理数となって、 が無理数であることに反する。よって かつ したがって

(3) の値

【問題(再掲)】  の値を求めよ。

【型】(2) の の値を に戻して2次方程式を解く。無理数・正の条件で選ぶ。

【なぜこうするか】  を解くと より
最後に「これが確かに無理数か」を確認します。 は素数5の平方根なので無理数(問題文で使ってよいとされている事実)。したがって も無理数で、条件に合います。

【解答】
(2) より だから より は素数5の平方根だから無理数であり、 も無理数。条件をみたす。)

検証: を代入すると となることを sympy で確認しました(どちらも の項が消えて有理数になります)。

理科系【5】 の評価と不等式

【問題】
以下の問に答えよ。
(1)  において、 が成り立つことを示せ。ただし、 を自然対数の底とするとき、 であることを用いてよい。
(2) 自然数 に対して が成り立つことを示せ。

(1) の証明

【問題(再掲)】  において を示せ。

【型】 の最大値を微分で求める。最大値が より小さいことを示せばよい。

【なぜこうするか】 示したい式を で割ると つまり「 の最大値が より小さい」ことを言えばよいと分かります。
を微分すると で、 で最大。最大値は
より 。ここで問題文が与えている の評価を使います。

【解答】
とおくと で、 では では 。よって で最大となり より だから 両辺に を掛けて  (証明終)

(2) の証明

【問題(再掲)】 自然数 に対して を示せ。

【型】右辺を に書き直す。 を使うと指数がそろう。

【なぜこうするか】 右辺は つまり示すべきは
両辺とも 乗の形なので、中身どうしを比べればよく、 が言えれば十分です。これは両辺を で割れば 、まさに (1) そのもの。
のときは で左辺が0、右辺が なので成立します。)

【解答】
のとき、左辺は 、右辺は だから成り立つ。
とする。(1) を に適用すると 両辺に を掛けて 両辺を 乗すると(正の数どうしなので不等号の向きは変わらない) ここで だから したがって  (証明終)

検証: について両辺を数値計算したところ、 といずれも成り立ちました。また の最大値が であることも確認しています。

型の一覧(この年度で使った考え方)

文【1】(2)「円上で の値域」は、直線と円が共有点をもつ条件(中心と直線の距離 半径)
文【1】(3)対称式は基本対称式で表す。条件式から も1文字で書ける
文【2】(1)円に内接する四角形の対角線の交点では方べきの定理
文【2】(2)対角線が交わる四角形は、4つの三角形に分けて面積を足す
文【3】「ちょうど 枚目で負け」は、途中で負けていないことも数え上げの条件に入れる
理【1】(2) を掛けるのは「角を進める」こと。和の項が1つずれるだけ
理【1】(3) なら 。複素数が0 実部も虚部も0
理【2】ひし形をふくらませて、はじめて領域に触れるときが最小。触れるのは頂点か辺か
理【3】(2)(3)幅1の区間の積分は両端の値ではさむ。足し合わせると和が積分ではさまれる
理【4】(2)「(有理数)=(有理数)×(無理数)」なら両辺とも0
理【5】(1)。最大値 と比べる
理【5】(2) で指数をそろえると、中身どうしの比較に落ちる

検証について

この解説に載せた数値は、次の3段階で確かめています。

  1. 当塾で独立に解く(解答を見る前に、問題文だけから解く)
  2. Pythonで検算する(カード120通りの全列挙、sympyによる対称式と面積の式変形、線形計画の数値走査、級数の直接計算、整式の除法)
  3. 別解でもう一度解いて突き合わせる(別の道筋でも同じ答えに達するかを確かめる)

その結果、23小問すべてで同じ答えになりました。もし誤りを見つけられた場合は、お手数ですがご一報いただけると助かります。

解けなかった問題を、そのままにしない。

過去問で手が止まる場所は人によって違います。方針が立たないのか、方針は立つのに計算で崩れるのか——原因が違えば、次にやるべきことも変わります。

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神戸大学の数学の過去問は25年度ぶんを公開しています。そのうち11年度は全問の解答解説つきです(「解説」の印がついた年度)。志望校の傾向は1年だけでは見えないので、最低でも3年ぶんを続けて解くことをおすすめします。

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神戸大学 2011年度 数学入試問題の文字起こし・出題分析

公開中の問題PDFを検索・復習しやすいよう文字データ化し、読み取れた語句から出題分野を整理しました。

  • 図形・三角関数
  • 確率・場合の数
  • 指数・対数
  • 整数
  • 関数・グラフ
  • 空間図形
  • 微分・積分
  • 方程式・不等式

この年度の出題範囲と傾向

2011年度の問題PDFでは、図形・三角関数、確率・場合の数、指数・対数、整数、関数・グラフに関する語句や設問を確認できました。神戸大学の公開PDFを年度横断で調べると、微分・積分は24年度、整数は22年度、図形・三角関数は21年度で検出されており、複数年を比較して対策したい分野です。

分野判定はPDFから読み取れた語句に基づく集計です。数式・記号・図表は文字変換で崩れる場合があるため、正確な条件は必ず原本PDFで確認してください。

問題文の文字起こし

問1画像OCR

検出分野: 確率・場合の数、図形・三角関数、空間図形、微分・積分

(1) 1の等式が表す cy 平面上の図形を図示せよ. _
(2) z とゥが1の等式をみたすとき, #のとりうる値の範囲を求
めよ.
(3) ? とyがの1の等式をみたすとする.
アーオキゲーgッターzの
をを用いた式で表せ. また, POLY 5 SHOAL BN
値を求めよ.
ーー 1 a OM2(455—14)

2. 。。平面上に相異なる4点A, B, C, Dがあり, 線分 ACと BD は原
点Oで交わっている. 点Aの座標は (1,2) で, 線分OA とOD OR
さは等しく, 四角形ABCD は円に内接している. ZAOD = 9とお
き, ACOc MR? o, 四角形ABCD の面積を9とする. 以下の問
に答えよ. (配点25 点)

(1) 線分OCの長さを。を用いた式で表せ. また, 線分OB とOO
の長さは等しいことを示せ.
(2) $をoeと9を用いた式で表せ.
(3) 9= て とし, WETSWLFSES, のとりうる値の最大
値を求めよ.
— 5 OM2(455—15)

3. 袋の中に0から 4までの数字のうち1つが書かれたカードが1枚
ずつ合計5枚入っている. 4つの数0, 3, 6.9をマジックナンバー
と呼ぶことにする. 次のようなルールをもつ, 1 人で行うゲームを
考える.

[ルール| 袋から無作為に1枚ずつカードを取り出していく. た
だし, 一度取り出したカードは袋に戻さないものとす
る. 取り出したカードの数字の合計がマジックナン
バーになったとき, その時点で負けとし, それ以降は
カードを取り出さない. 途中で負けとなることなく,
すべてのカードを取り出せたとき, BELTS.

以下の問に答えよ. (配点25 点)

(1) 2枚のカードを取り出したところで負けとなる確応を求めよ,

(2) 3枚のカードを取り出したと ころで負けとなる確率を求めよ.

(3) このゲームで勝つ確率を求めよ.

= 9 でMI2(455一16)

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問2画像OCR

検出分野: 図形・三角関数、指数・対数、整数、関数・グラフ、方程式・不等式

(1) 実数w, について, GR
(cos @ + isin a)(cos 6 + isin 8) = cos(a + B) +isin(a + 8)
が成り立つことを示せ.
(2) 自然数々に対して,
ター 2 (w学 +-isin 7 )
とおくとき, 等式
( or, =)
る| cos— +itsin— ] ニタ
n n
が成り立つことを示せ.
(3) 2 以上の自然数ヵ々について, 等式
uw Qnk = Qak
cos —— = 〉 sin-— =0
が成り立つことを示せ.
のMI3 455一18)

2. 以下の問に答えよ. (配点30点)
(1) を正の実数とするとき, |z| | =の表す vy FH LOMB
を図示せよ.
(2) 4を。と0をみたす実数とする. z,yが連立不等式
=
y20
をみたすとき, |z| + ll のとりうる値の最小値 を, gを用い
た式で表せ.
(3) aa = 0の範囲を動くとき, (2) で求めたヵヵ の最大値を求
めよ.
= B— やM3(455一19)

3. ヵを2以上の自然数として,

on と たlogを
とおく. 以下の間に答えよ. (配点30点)
"de
a) / っor を求めよ.
(2) をを2以上の自然数とするとき,
1 だ dx 1
rr es ee
(K+ 1) log(k + 1) x clogz ~ klogk
を示せ.
(3) Jim 5, の値を求めよ.
= = のM3(355一20)

A. 。は正の無理数で。ーg+32ー142十6,ヤーのー2gを考える
と,々とはともに有理数である. 以下の問に答えよ.
(配点30 FA)

(1) i234 32? 14z十6を整式z2ー2z で割ったときの商と余
りを求めよ.
(2) メ との値を求めよ.
(3) cの値を求めよ. ただし, 素数の平方根は無理数であることを
用いてよい.
ce oe OM3(455—21)

5. 以下の問に答えよ. (配点30点)
(1) z = 1において, z > 21ogzが成り立つことを示せ. ただし, e
を自然対数の庶とするとき, 2.7 <と<2.8であることを用い
THY.
(2) 自然数々に対して,
(2nlogn)” < eben
が成り立つことを示せ.
= 5 OM3 (455—22)

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