神戸大学 2013年度 過去問・解答

藤原進之介です。このページでは神戸大学2013年度の数学過去問の問題資料と学習情報を無料公開しています。掲載している問題・解答・解説の範囲は、ページ内の各見出しでご確認ください。

神戸大学2013年度:PDFと本文解説の案内

問題PDF2件・解答PDF2件を掲載しています。資料番号は冊子を区別する番号で、大問番号ではありません。文科系・理科系の区分と設問の条件を、原本PDFで照合してください。

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文科系と理科系の共通問題をまとめた7項目への案内です。

図の位置関係、分母、指数、積分区間などは原本PDFと照合してください。解けなかった問題は、本文で使う条件と方針を確認し、自分の解答を書き直してみてください。

2026年9月16日:PDF・解説案内と復習先の対応表を編集・確認(Codex)。今回の講師個別監修は未実施です。既存7題の全解答を今回再検証したものではありません。

問題

解答

未掲載の解答は順次公開中です。急ぎで解説が必要な問題はLINEでリクエストしてください。 解説をリクエスト

📑 この年度の大問インデックス(全7問)

解説が長いので、解きたい大問へ直接移動できるようにしています。解けなかった問題は、解説を読んだあとに同じ型の問題で当て直すと定着が速くなります。

型から探したいときは解法パターン事典、他の年度は過去問解説の総索引から。

🧭 神戸大学 2013年度|大問ごとに「使う型」を対応させた表

解けなかった大問がどの型に属するのかを一覧にしました。解説を読んだあと、型のページで同じ判断を使う問題を数問当てると定着が速くなります。この年度は難易度と目標時間を掲載していないため、それらは載せていません。

大問出題テーマ使う型(解法パターン事典)
【2】放物線上の3点が作る直角三角形相加平均・相乗平均と等号成立条件
【3】さいころ6個と目の差確率
【4】放物線に内接する長方形相加平均・相乗平均と等号成立条件
【5】3次曲線と2次曲線で囲む面積積分法(数II):面積と上下関係
【6】三角関数の積分方程式定積分で表された関数

型の全体像は解法パターン事典、他の年度・他大学は過去問解説の総索引から。神戸大学の年度一覧は各ページ末尾のナビでも確認できます。

神戸大学 2013年度(平成25年度)前期日程 数学の全問解説です。文科系が3題(75点)、理科系が5題(150点)で、文科系第1問=理科系第1問が同一問題。重複を除くと全7題19小問になります。
掲載しているすべての数値は、当塾で独立に解いたうえで Pythonによる数値検算(分数型での確率の厳密計算・全数え上げ・400万点規模の走査・シンプソン法による数値積分・積分方程式の直接検証) を行い、本ページで配布している解答PDFも数強塾が独自に作成したもので、この解説と同じ答え・同じ道筋です。

本ページ文科系理科系分野答え
【1】第1問第1問空間の直線と など
【2】第2問放物線上の3点が作る直角三角形 の最小値
【3】第3問さいころ6個と目の差
【4】第2問放物線に内接する長方形面積の最大値
【5】第3問3次曲線と2次曲線で囲む面積
【6】第4問三角関数の積分方程式
【7】第5問正方形上のランダムウォーク/極限は

この年度の傾向(3行)

  • 【1】は「(1) の答えの形をそのまま (2)(3) で使い回す」構成。P, Q を で置いた式が、R, S でも T, U でもそっくり同じ形で使えます。最初に一般形を作っておけば、あとは条件を差し替えるだけという、誘導としては非常に親切な作りです。
  • 【2】と【4】はどちらも「放物線 上の点+相加相乗」。【2】は 、【4】は 同じ道具が文理で1問ずつ置かれています。
  • 【3】(3) は「数え上げずに済ませる」のが正解。 は、少し考えると 「R, G, B がすべて4以上、ただし全部4の場合を除く」と同値だと分かります。 の3つを確かめるだけです。

【1】空間の直線と 軸(文科系・理科系 第1問)

【問題】
空間において、2点 を通る直線を とする。次の問いに答えよ。
(1) 点 P を 上に、点 Q を 軸上にとる。 がベクトル と平行になるときの P と Q の座標をそれぞれ求めよ。
(2) 点 R を 上に、点 S を 軸上にとる。 およびベクトル の両方に垂直になるときの R と S の座標をそれぞれ求めよ。
(3) R, S を (2) で求めた点とする。点 T を 上に、点 U を 軸上にとる。また、 は零ベクトルではなく、 に垂直ではないとする。 と平行になるときの T と U の座標をそれぞれ求めよ。
【解答】 (1)   (2)   (3)

3問に共通する準備  なので、 上の点は実数 を用いて

と書けます。また 軸上の点は です。したがって、 上の点から 軸上の点へ向かうベクトルはいつでも

の形になります。(1)(2)(3) はこの1つの形に条件を当てはめるだけです。

ABPQRS=Oxyz
直線 (青)は 平面上にあり、 軸と交わらない(ねじれの位置)。(2) の共通垂線の足が R と S で、S は原点そのものになる。

(1)  となる P, Q

【問題(再掲)】  と平行になるときの P, Q を求めよ。

【型】「平行」=実数倍。成分ごとに等式を立てて連立する型。

とおくと 。これが と平行なので、実数 を用いて

第1式と第2式から 、すなわち 。よって

(2) 共通垂線の足 R, S

【問題(再掲)】  の両方に垂直になるときの R, S を求めよ。

【型】「垂直」=内積が0。垂直条件が2本あるので、 が2本の1次方程式で決まる型。

【なぜこうするか】2直線 軸はねじれの位置にあります。両方に垂直な線分(共通垂線)はただ1本で、その足がここでの R, S です。条件が2つ、未知数が2つなので必ず決まります。

とおくと

S は原点そのものになりました。したがって で、向きは です。この値は (3) で使います。

(3)  となる T, U

【問題(再掲)】  と平行になるときの T, U を求めよ。

【型】(1) とまったく同じ計算を、 に置き換えて行う型。

【なぜこうするか】問題文の「 に垂直ではない」という条件が何を意味するかを、先に翻訳しておきます。

つまりこの条件は「」、すなわち後で出てくる分母が 0 にならないことの保証だったわけです。

とおくと 。これが と平行なので、実数 を用いて

第1式と第2式から 、すなわち なので

検証: の3通りで T, U を計算し、 の外積が零ベクトルになること(=平行)、および T が確かに 上にあることを確認しました。(1) の を代入すると となり、(1) の答えと一致します。

よくあるミス 「 に垂直ではない」を読み流す。この一言がないと のときに が決まらず( となって解なし)、答えが書けません。問題文の条件は必ずどこかで使うと思って、使い所を探してください。

【2】放物線上の3点が作る直角三角形(文科系 第2問)

【問題】
は実数とし、 とする。平面上の相異なる3点 が、辺 AB を斜辺とする直角三角形を作っているとする。次の問いに答えよ。
(1)  を用いて表せ。
(2)  が成り立つことを示せ。
(3) 斜辺 AB の長さの最小値と、そのときの A, B, C の座標をそれぞれ求めよ。
【解答】 (1)   (2)   (3) 最小値

(1)  で表す

【問題(再掲)】  を用いて表せ。

【型】放物線 上の2点を結ぶ直線の傾きは、必ず「2点の 座標の和」。これを知っていると計算が一瞬で終わる型。

【なぜこうするか】2点 を結ぶ直線の傾きは 差の形が必ず約分できるのが放物線の強みで、この問題はそこを使わせるために作られています。

直角は C にあるので、直線 CA と直線 CB が垂直です。傾きはそれぞれ なので

ここで (もし なら左辺が 0 になって成り立たない)なので

(2)  の証明

【問題(再掲)】  を示せ。

【型】 の形が出たら相加平均・相乗平均。ただし の確認が必須

(1) の結果を代入すると

とおくと です。

であることを先に示します。もし なら となり、(仮定 )に反します。 は (1) で確認済みなので です。

したがって相加平均・相乗平均の関係より

等号は 、すなわち のときに成り立ちます。(証明終)

(3) AB の最小値

【問題(再掲)】 AB の長さの最小値と、そのときの A, B, C を求めよ。

【型】2つの独立な要素の積が最小になるのは、それぞれが同時に最小にできるとき。同時に達成できるかを必ず確かめる型。

(2) より 、また明らかに なので

この2つの等号が同時に成り立つかを確認します。等号条件は かつ

のとき (1) より 。これと から 、すなわち 。よって

この を満たし、3点も相異なるので条件を満たします。

AB の最小値

A(-1,1)B(1,1)C(0,0)y=x²AB=2
AB が最小のとき、C は原点、A と B は 上で左右対称。直角二等辺三角形になる。

検証: を細かく走査して を計算したところ、最小は でした。また の各場合について (1) の を計算し、 の精度で成り立つこと、いずれも であることを確認しました。

よくあるミス  を出して「最小値は2」で終える。2つの等号が同時に成り立つ が実在することを示さないと証明になりません。この問題は (3) で座標まで答えさせることで、そこを確認させています。

【3】さいころ6個と目の差(文科系 第3問)

【問題】
赤色、緑色、青色のさいころが各2個ずつ、計6個ある。これらを同時にふるとき、
赤色の2個のさいころの出た目の数 に対し 、緑色の2個の目 に対し 、青色の2個の目 に対し とする。次の問いに答えよ。
(1)  がとりうる値と、 がそれらの各値をとる確率をそれぞれ求めよ。
(2)  が同時に成り立つ確率を求めよ。
(3)  となる確率を求めよ。
【解答】 (1) で確率は順に   (2)   (3)

(1)  の分布

【問題(再掲)】  のとりうる値と、各値をとる確率を求めよ。

【型】2つのさいころの目の差は、 の表を書いて数えるのが最短で最も確実。

【なぜこうするか】36通りしかないので、規則を探すより表で数えたほうが速くて誤らない。差が になるのは の形で 通り、差が0は6通り、という規則もこの表から読めます。

012345
場合の数6108642
確率

合計は で確かに全事象と一致します。

(2)  がすべて4以上

【問題(再掲)】  が同時に成り立つ確率を求めよ。

【型】色ごとに独立なので、確率は掛け算

【なぜこうするか】6個のさいころは互いに影響し合わないので、赤の結果と緑の結果は独立です。「同時に成り立つ」=「掛ける」が使えるのはこの独立性のおかげで、条件が絡み合っている場合には使えません。ここでは色ごとに2個ずつ完全に分かれているので、安心して掛けられます。

についても同じで、3色のさいころは互いに独立なので

(3)  となる確率

【問題(再掲)】  となる確率を求めよ。

【型】積の条件は、「どの値の組ならありうるか」を上限から詰めて、少数の場合に絞る型。

【なぜこうするか】 はどれも5以下なので、積の最大は はそれに近い値なので、候補はごくわずかのはずです。そこで「どれか1つでも3以下だったらどうなるか」を先に確かめます。

  • どれか1つでも3以下なら:積は最大でも なので不適。
    よって すべて4以上でなければなりません。
  • すべて4以上のとき:値は4か5。 は不適ですが、 は適します。
    よって「すべて4以上」から「すべて4」を除いたものが求める事象です。

したがって

(すべて4以上)(すべて4)

検証: それぞれ 0〜5 の全 通りの組について分数のまま確率を足し上げたところ、ちょうど になりました。(2) も同様に を確認しています。

よくあるミス  以上になる の組を1つずつ探そうとして時間を溶かす。「3以下が混ざったら絶対に届かない」という一手で候補が一気に絞れます。上限から詰めるのが積の条件の定石です。

【4】放物線に内接する長方形(理科系 第2問)

【問題】
をみたす実数とする。4点 に対し、線分 PR の長さは1であるとする。このとき、長方形 PQRS の面積の最大値と、そのときの P, R の 座標をそれぞれ求めよ。
【解答】 面積の最大値 座標 座標

長方形の面積の最大値

【問題(再掲)】  のとき、長方形 PQRS の面積の最大値と P, R の 座標を求めよ。

【型】条件式()を使って目的の式から文字を1つ消し の形に持ち込んで相加相乗で片づける型。

【なぜこうするか】面積も条件式も の2つのかたまりで書けます。この2つを新しい変数と見ると、条件式が「片方をもう片方で表す」式になり、面積が1変数の関数になります。

より かつ 、また です。条件から

一方、長方形の面積を とおくと

上の条件式から なので、これを代入すると

とおくと、分母分子を で割って

相加平均・相乗平均の関係より なので

等号は 、すなわち のとき。このとき条件式から

と連立して

、面積の最大値は

PQRSPR=1y=x²O
P と R が放物線上、Q と S はその 座標・ 座標を組み合わせた点。対角線 PR の長さを1に固定したまま、面積が最大になるのは のとき。

検証: を細かく動かして の最大を数値的に求めたところ、)。このとき で、 と一致。 も確認しました。

【5】3次曲線と2次曲線で囲む面積(理科系 第3問)

【問題】
をみたす実数とする。 を2次以下の多項式とし、曲線 が3点 を通るとする。次の問いに答えよ。
(1)  を求めよ。
(2) 曲線 と曲線 で囲まれた部分の面積 を用いて表せ。
(3) (2) で求めた を最小にするような の値を求めよ。
【解答】 (1)   (2)   (3)

(1)  を求める

【問題(再掲)】  を求めよ。

【型】 次以下の多項式が 点を通る」は係数を文字で置いて代入し連立する型。

を通るので定数項は0。 とおきます。

第1式から 。これを第2式に入れて

)で割ると

よって

(2) 囲まれた部分の面積

【問題(再掲)】  で囲まれた部分の面積 で表せ。

【型】2曲線の差を作ると、交点の 座標が根としてそのまま見える形に因数分解できる。上下の入れ替わりに合わせて積分を分ける型。

【なぜこうするか】3点で交わるように作られているので、差は3次式で根が3つ。因数分解できた瞬間に「どこで上下が入れ替わるか」が分かります。

交点は の3つで、 のとき符号は

  • (3次曲線が上)
  • (放物線が上)

したがって

原始関数は です。 に注意して

よって なので

Oc1g>0(3次曲線が上)g<0(放物線が上)y=g(x)
差の関数 のグラフ()。2曲線そのものは近すぎて差が見えないので、差だけを拡大して描いた。 は青い山と橙の谷の面積の合計(谷は符号が負なので引く)。

(3)  を最小にする

【問題(再掲)】  を最小にする の値を求めよ。

【型】 の関数と見て微分。3次方程式の根は「試し割り」で1つ見つける型。

を入れると なので を因数に持ちます。

後ろの因数の符号を確認します。 では なので

したがって は、後ろの因数が負なので、符号は と同じになります。

減少最小増加

このとき です。

検証: について、まず が3点を通ることを確認(残差 以下)、そのうえで をシンプソン法で数値積分したところ、 となり閉じた式と一致。さらに を200万分割して走査したところ、最小は での でした。

【6】三角関数の積分方程式(理科系 第4問)

【問題】
を実数とする。次の問いに答えよ。
(1)  をみたすとする。このとき、 がみたす関係式を求めよ。
(2) (1) で求めた関係式をみたす正の数 が存在するための の条件を求めよ。
【解答】 (1)   (2)

(1)  の関係式

【問題(再掲)】 積分方程式から の関係式を求めよ。

【型】 の三角関数の積分は、次数を下げてから項別に積分。奇数次の は0になることを使うと速い型。

【なぜこうするか】 です( について奇対称なので、奇数乗は打ち消し合います)。この2つを知っていると、残るのは と定数の項だけになります。

左辺は

右辺の3乗を展開すると

ここで なので

したがって与式は

両辺を で割って4倍すると

検証:この関係式を満たす の組(例: など8組)について、 をシンプソン法で計算したところ、いずれも 以内で一致しました。

(2) 正の数 が存在する条件

【問題(再掲)】 関係式をみたす正の数 が存在するための の条件を求めよ。

【型】「解が存在する条件」は定数分離して、 の式)の右辺の値域を調べる型。

【なぜこうするか】関係式は について3次ですが、 については1次です。だから について解けば、「横線 が曲線と交わるか」という見やすい問題に変わります。

関係式を について解きます。 なので割れて

右辺を整理すると

これを で調べます。

となるのは 、すなわち 。前後で符号は正から負に変わるので、ここで最大です。

また では では なので、 の値域は です。

求める条件は「 をみたす が存在すること」、すなわち がこの値域に入ることです。 と合わせて

検証: で300万分割して走査したところ、最大値 )。また を変えて「 の解が存在するか」を調べると、 では存在し、 では存在しませんでした(境界 )。境界の では が重解として現れます。

よくあるミス  を書き忘れて だけを条件にする。結果は同じですが、 の値域は負の値も含むが、 は0以上しか取れない」という絞り込みを明記しないと論理が飛びます。

【7】正方形上のランダムウォーク(理科系 第5問)

【問題】
動点 P が、正方形 ABCD の頂点 A から出発し、さいころをふるごとに、次の規則により正方形のある頂点から他の頂点に移動する。
・出た目の数が2以下なら辺 AB と平行な方向に移動する。
・出た目の数が3以上なら辺 AD と平行な方向に移動する。
を自然数とするとき、さいころを 回ふった後に動点 P が A にいる確率を 、C にいる確率を とする。次の問いに答えよ。
(1)  を求めよ。
(2) さいころを 回ふった後、動点 P は A または C にいることを証明せよ。
(3)  を用いてそれぞれ表せ。
(4)  をそれぞれ求めよ。
【解答】 (1)   (3)   (4) どちらも

まず確率を整理します。「辺 AB と平行な方向」に動く確率は 、「辺 AD と平行な方向」は です。

ABCD確率 1/3確率 1/3確率 2/3確率 2/3A から出発。1回ごとに隣の頂点へ移る(対角線には動けない)
横(AB に平行)の移動が確率 、縦(AD に平行)の移動が確率 。1回では必ず隣の頂点に動く。

(1) 

【問題(再掲)】 (2回ふった後に A にいる確率)を求めよ。

【型】2手だけなら経路を全部書き出すのが確実。

A に戻るのは「横→横」または「縦→縦」の2通りです(横に出て縦に戻ることはできません)。

(2)  回後に A または C にいることの証明

【問題(再掲)】  回ふった後、P は A または C にいることを証明せよ。

【型】「偶数回後の位置」は市松模様(2色に塗り分け)で説明するのが最短。数学的帰納法で書いてもよい型。

【なぜこうするか】A と C を白、B と D を黒に塗ると、1回の移動で必ず色が変わります(対角線には動けないため)。だから偶数回後は出発点と同じ色、つまり A か C です。

[帰納法による証明]

[I]  のとき A から2回動く経路は の4通りで、行き先はすべて A か C。

[II]  のとき成り立つと仮定する。すなわち 回後に P は A か C にいるとします。そこからさらに2回動くと

  • A から:
  • C から:

となり、いずれの場合も 回後は A か C です。

[I], [II] より、すべての自然数 について 回後に P は A または C にいます。(証明終)

(3) 

【問題(再掲)】  で表せ。

【型】2状態しかないので、 で文字を1つに減らして2項間漸化式にする型。

【なぜこうするか】(2) から が保証されています。だから と置き換えれば、 だけの漸化式になります。あとは「2回で A から A」「2回で C から A」の確率を出すだけです。

2回でどこへ行くかを数えます。A から A へは (1) と同じで 。C から A へは )と )で

したがって

特性方程式 を解くと なので

初項は なので

検証:4頂点の確率を分数型で 回まで厳密に更新したところ、 となり、上の式と完全に一致。またどの でも B と D の確率がちょうど 0 であること((2) の主張)も確認しました。

(4) 極限

【問題(再掲)】  を求めよ。

【型】 の等比の項が消えるだけ。

より なので

この答えの意味:横に動く確率と縦に動く確率が で偏っているにもかかわらず、長い目で見ると A と C は五分五分になります。A と C は「横に偶数回・縦に偶数回」と「横に奇数回・縦に奇数回」で区別されるので、偏りが打ち消し合うためです。

解法の「型」の一覧

場面使った問題
直線上の点と座標軸上の点先に一般形を作り、条件を差し替えるだけにする【1】
「平行」「垂直」実数倍/内積0。成分ごとに連立【1】(1)(2)
放物線上の2点を結ぶ直線傾きは2点の 座標の和【2】(1)
の形相加相乗。ただし の確認が必須【2】(2)【4】
2つの不等式の積の最小等号が同時に成り立つかを必ず確認【2】(3)
2つのさいころの目の差 の表で数える【3】(1)
積が大きい条件上限から詰めて候補を絞る(余事象で引く)【3】(3)
2曲線で囲む面積差を因数分解して交点と上下の入れ替わりを読む【5】(2)
奇数乗は 0、偶数乗は次数を下げる【6】(1)
「解が存在する条件」定数分離して値域を調べる【6】(2)
偶数回後の位置市松模様に塗り分ける(色が毎回変わる)【7】(2)
2状態の確率 で1文字にして2項間漸化式へ【7】(3)

検証について

本ページの数値は、次の3段階を通したものだけを掲載しています。

  1. 当塾で独立に解く。解答を見る前に、まず自分で最後まで解きます。
  2. Python で別方法から検算する。今回は、外積による平行判定/400万点規模の走査での最小値探索/ 通りの確率を分数型で全数え上げ/シンプソン法による数値積分/積分方程式の左辺と右辺の直接比較/4頂点の確率を分数型で厳密に更新、を行いました。
  3. 解答PDFと本文をそろえる。本ページで配布している解答PDFは数強塾が独自に作成したもので、この解説と答え・道筋が一致しています。

【5】(2) について、一般的な解答例は 、当塾の計算過程では と書いていますが同じものです。

もし誤りを見つけられた場合は、お手数ですがご連絡ください。確認のうえ訂正し、訂正の記録もこのページに残します。

解けなかった問題を、そのままにしない。

過去問で手が止まる場所は人によって違います。方針が立たないのか、方針は立つのに計算で崩れるのか——原因が違えば、次にやるべきことも変わります。

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