藤原進之介です。このページでは関西学院大学2004年度の数学過去問を解答・解説つきで無料公開しています。
問題
解答
関西学院大学2004年度の数学について、解答と解説を掲載します。数値はすべて当塾で独立に検算し、公開している全問を独立に検算しています。
〔3〕時計の3本の針は正三角形をなさない
アナログ時計の中心を O とし、秒針・長針・短針の先端をそれぞれ A, B, C とします。ある基準の向き OP から測った角を考え、時刻 t(秒)における各針の回転角を求めます。
(1) 各針の回転角
一周にかかる時間は、秒針が60秒、長針が60分=60² 秒、短針が12時間=12 × 60² 秒。
1周を 2π として、経過時間に比例して回るので
| 針 | 一周の時間 | 回転角 |
|---|---|---|
| 秒針 OA | 60 秒 | θ₁ = 2π · t/60 |
| 長針 OB | 60² 秒 | θ₂ = 2π · t/60² |
| 短針 OC | 12·60² 秒 | θ₃ = 2π · t/(12·60²) |
(2) 三角形ABCは正三角形にならないことの証明
背理法を使います。3点が正三角形をなしたと仮定しましょう。
3点は同じ円周上(それぞれ針の長さは違いますが、角度だけを問題にします)にあり、正三角形をなすには互いの回転角の差が 2π/3 の整数倍ずれである必要があります。すなわち、整数 m₁, m₂ を用いて
|θ₁ − θ₂| = (2/3)π + 2πm₁ / |θ₂ − θ₃| = (2/3)π + 2πm₂
1本目を整理します。
θ₁ − θ₂ = 2πt(1/60 − 1/60²) = 2πt · (60 − 1)/60² = 2πt · 59/60²
2π で割って (59/60²)t = 1/3 + m₁ …①
2本目を整理します。
θ₂ − θ₃ = 2πt(1/60² − 1/(12·60²)) = 2πt · (12 − 1)/(12·60²) = 2πt · 11/(12·60²)
2π で割って {11/(12·60²)}t = 1/3 + m₂ …②
t を消去します。②より t = (12·60²/11)(1/3 + m₂)。これを①に代入すると
(59/60²) × (12·60²/11)(m₂ + 1/3) = 1/3 + m₁
60² が約分されて
m₁ = (12·59/11)(m₂ + 1/3) − 1/3 = {12·59(3m₂ + 1) − 11}/(3·11)
ここで矛盾が生じます。分子 12·59(3m₂ + 1) − 11 を3で割った余りを考えます。
12·59(3m₂ + 1) は 12 が3の倍数なので3の倍数。一方 11 は3の倍数ではありません。したがって分子は3の倍数になりません。
ところが分母には因数3が含まれています。よって m₁ は整数になりえず、m₁ が整数であるという仮定に矛盾します。
「秒針と長針は 59/60² の速さで離れ、長針と短針は 11/(12·60²) の速さで離れる」— この2つの比が 12·59 : 11 という、3の倍数と3の倍数でない数の組み合わせになっているのが証明の核心です。
もし針の速さの比が違っていたら、正三角形になる瞬間があったかもしれません。時計の設計(60進法と12時間)が、この不可能性を生んでいるわけです。
この年の学習ポイント
この問題は「あり得ないことの証明」の典型で、手順は決まっています。
(あ) 成り立つと仮定する/(い) 条件を式にする(このとき整数の未知数を導入する)/(う) 変数を消去して、整数であるべき量が整数にならないことを示す。
「整数でなければならないのに、3で割り切れないから整数にならない」という余りによる矛盾の作り方は、整数問題全般で使える強力な道具です。
また、円周上の3点が正三角形をなす条件を「回転角の差が 2π/3 の整数倍ずれ」と表現するところも重要です。2πm という項を必ず付ける(角度は 2π 周期だから)ことを忘れないでください。
関西学院大学2004年度は複数日程が実施されています。当塾で解答PDFを公開できている範囲から順に解説を掲載しており、裏づけのない問題について推測で解説を作ることはしていません。
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関西学院大学の数学の過去問は30年度ぶんを公開しています。そのうち2年度は全問の解答解説つきです(「解説」の印がついた年度)。志望校の傾向は1年だけでは見えないので、最低でも3年ぶんを続けて解くことをおすすめします。
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