大学受験

名古屋工業大学 2017年度 過去問・解答

数強塾のプロ講師陣

藤原進之介です。このページでは名古屋大学2017年度の数学過去問を解答・解説つきで無料公開しています。

今日の一問
関数 に対して とおく。
(1)  の極値を求めよ。
(2)  の値を求め、 となる の範囲を求めよ。
(3)  とする。曲線 および2直線 で囲まれた図形の面積 を求めよ。
——さて、どこから手をつける?
続きの小問と、答え・考え方は本文で解説します。

問題

解答

📑 この年度の大問インデックス(全4問)

解説が長いので、解きたい大問へ直接移動できるようにしています。解けなかった問題は、解説を読んだあとに同じ型の問題で当て直すと定着が速くなります。

型から探したいときは解法パターン事典、他の年度は過去問解説の総索引から。

🧭 名古屋工業大学 2017年度|大問ごとに「使う型」を対応させた表

解けなかった大問がどの型に属するのかを一覧にしました。解説を読んだあと、型のページで同じ判断を使う問題を数問当てると定着が速くなります。この年度は難易度と目標時間を掲載していないため、それらは載せていません。

大問出題テーマ使う型(解法パターン事典)
【1】指数関数の微分・面積・極限極限
【3】の数列と無限級数数列・漸化式
【4】複素数平面と円複素数平面

型の全体像は解法パターン事典、他の年度・他大学は過去問解説の総索引から。名古屋工業大学の年度一覧は各ページ末尾のナビでも確認できます。

名古屋工業大学 2017年度(平成29年度)前期日程 数学の全問解説です。全4題16小問(試験時間120分)。
掲載しているすべての数値は、当塾で解いたうえで Pythonによる検算(極値・極限・面積をsympyで厳密計算・媒介変数表示の速度と加速度を三角関数の恒等式まで含めて確認・数列の漸化式と部分和を を変えて小数第10位まで照合・複素数の条件を成分に分けて厳密に解く) を行い、本ページで配布している解答PDFも数強塾が独自に作成したもので、この解説と同じ答え・同じ道筋です。

分野答え
【1】指数関数の微分・面積・極限極大値
【2】媒介変数表示の運動(速度・加速度・道のり)/最小値2()/
【3】 の数列と無限級数/(証明)/
【4】複素数平面と円/中心 、半径

この年度の傾向(3行)

  • 4題すべてが数学IIIで、しかも各大問が4小問ずつの誘導形式です。120分で16小問なので1問あたり7分半。計算量が多いので、前の小問の結果をそのまま使えているかを毎回確認しながら進めないと時間が足りません。
  • 【2】と【3】は「式の形を見て公式を選ぶ」だけで進みます。【2】は のような和が出たら和積の公式、【3】は の関係を作るのに2倍角。どちらも自然に手が動く形なので、ここは確実に取りたいところです。
  • 【4】(2) がこの年度の白眉です。 の絶対値と偏角から が分かり、この三角形は の直角三角形。すると円周角の定理から円 C の直径が OA だと即座に決まります。複素数の問題を図形の問題に翻訳できるかが問われています。

【1】指数関数の微分・面積・極限

【問題】
関数 に対して とおく。
(1)  の極値を求めよ。
(2)  の値を求め、 となる の範囲を求めよ。
(3)  とする。曲線 および2直線 で囲まれた図形の面積 を求めよ。
(4) (3) で求めた に対して、極限値 を求めよ。

(1) の極値

【問題(再掲)】  の極値を求めよ。

【型】商の微分。分子を整理して でくくると符号が読める。

【なぜこうするか】 商の微分法で計算し、共通因数をくくり出して分子を簡単にするのが要点です。 分子の中括弧は はつねに正なので、符号を決めるのは だけです。

【解答】
商の微分法より だから、 の符号は の符号と一致する。
【解答(続き)】
のとき よって 極大値 をとる。極小値はない。

(2) の値と の範囲

【問題(再掲)】  の値を求め、 となる の範囲を求めよ。

【型】 では 。置換して極限をとる。

【なぜこうするか】  とおくと のとき なので 不等式のほうも同じ置換が効きます。 なので、分母を払っても不等号の向きは変わりません と合わせて 、すなわち

【解答】
とおくと、 のとき だから 次に を解く。 だから より 、すなわち

(3) 面積

【問題(再掲)】  とする。曲線 と2直線 で囲まれた図形の面積 を求めよ。

【型】 の置換積分。 なので、被積分関数に を作る。

【なぜこうするか】 (2) より より )。よって 被積分関数を整理すると 末尾に を作れたので、)で置換できます。
置換後の は、分子を の式に書き直すのが定石: これなら1項ずつ積分できます。

xyO極大 25/16(log3, 1)−log Ry=c=1y=f(x)図は R=3 のとき。青い部分の面積が S(R)。x→−∞ で f(x)→1 なので、R を大きくしても面積は無限にはならず、3−log4 に収束する。
【1】(3) 面積 (図は のとき)
【解答】
(2) より だから とおくと で、 のとき 。よって したがって

(4)

【問題(再掲)】  を求めよ。

【型】 の形に書き直してから極限をとる。

【なぜこうするか】 (3) の式を が見える形に整理します。 「面積が無限に広がらない」のは、 に近づくから。左に伸ばしても曲線と直線の隙間がどんどん薄くなるので、面積は有限の値に収まります。

【解答】
(3) より のとき だから 。)
よくあるミス (3) の積分で をそのまま部分分数分解しようとして手間取ることです。分母が なら、分子を の1次式として書き直すのが最短:。この一手で積分できる形になります。

検証:sympy で 、極大値 を確認しました。 は厳密積分の結果が上の式と一致し()、 の極限も となります。

【2】媒介変数表示の運動(速度・加速度・道のり)

【問題】
座標平面上を運動する点 P の時刻 における座標 で表される。時刻 における点 P の速度を とし、加速度を とする。
(1) 点 P の 座標の取り得る値の範囲を求めよ。
(2)  のとき、速度 が直線 と平行である時刻 を求めよ。
(3)  のとき、加速度の大きさ の最小値とその値を取る時刻 を求めよ。
(4) 時刻 から までに点 P が通過する道のり を求めよ。

(1) 座標の範囲

【問題(再掲)】 点 P の 座標の取り得る値の範囲を求めよ。

【型】3倍角の公式で だけの式にし、 の3次関数として値域を求める。

【なぜこうするか】  には が混ざっています。3倍角の公式 を使えば だけの式になります。 あとは とおいて での3次関数の値域を求めるだけ。 から まですべての値をとる が実数全体を動くから)ので、置換して大丈夫です。

【解答】
3倍角の公式 より とおくと であり、 とおくと よって増減は次のようになる。
【解答(続き)】
だから、最大値は 、最小値は 。したがって の範囲は
よくあるミス 増減表の端の値 を最大・最小と勘違いすることです。この3次関数は極値のほうが端点より外側にある)ので、最大・最小は極値のほうで起こります。端点と極値の大小を必ず比べてください。

(2) と平行になる

【問題(再掲)】  のとき、速度 が直線 と平行である時刻 を求めよ。

【型】速度は 。和積の公式で共通因数をつくる。

【なぜこうするか】 微分すると ここで和積の公式を使うと、両成分に が共通因数として出てきます だから では なので、向きは で決まります
直線 と平行 ⟺ 傾きが 、すなわち (解答例のように「直線の法線ベクトル との内積が0」としても同じです。)

【解答】
和積の公式より だから では だから、 が直線 と平行である条件は より だから

(3) の最小値

【問題(再掲)】  のとき、 の最小値とその値を取る時刻 を求めよ。

【型】 を展開すると、加法定理で にまとまる。

【なぜこうするか】 もう1回微分して 2乗して足すと 最後の括弧が加法定理そのもので 。だから のとき最小

【解答】
より より だから から までのすべての値をとり だから、最小値は のときで となるのは 、すなわち

(4) 道のり

【問題(再掲)】 時刻 から までに点 P が通過する道のり を求めよ。

【型】道のりは 。絶対値を外すときは符号を場合分けする。

【なぜこうするか】 (2) で と分かっているので 驚くほど簡単な形になります。( と直接計算しても同じ。)
あとは で、 を境に の符号が変わるので2つに分けます。絶対値を外さずに積分すると0になってしまうので注意してください。

【解答】
(2) より だから よって したがって
よくあるミス  として「道のりが0」としてしまうことです。道のりは移動距離の合計なので、速さ(=速度の大きさ)を積分します。速さは必ず0以上なので、 の絶対値を外す場合分けが要ります。

検証:sympy で がいずれも恒等式として成り立つことを確認しました。(2) の方程式を解くと の範囲ではこれのみ)、(4) の積分は厳密に となります。

【3】 の数列と無限級数

【問題】
をみたす定数とし、自然数 に対して とおく。
(1) 数列 の極限を求めよ。
(2)  が2以上のとき が成り立つことを示せ。
(3)  とおく。 が2以上のとき で表せ。
(4) 無限級数 の和を求めよ。

(1) の極限

【問題(再掲)】 数列 の極限を求めよ。

【型】 の形に持ち込む。

【なぜこうするか】  は、 で「」の不定形。 とおくと なので のとき で、有名な極限 が使えます。
と分けて書いてもよいです。)

【解答】
のとき だから したがって

(2) の証明

【問題(再掲)】  が2以上のとき が成り立つことを示せ。

【型】 だから、 の2倍角。

【なぜこうするか】 角に注目します。 のちょうど2倍なので、 の2倍角の公式が使えます。 これを に代入すれば 移項すればそのまま示すべき式です。 を保証するための条件 なので )。

【解答】
より だから 。とくに
だから、 の2倍角の公式より よって( より) したがって (証明終)

(3) で表す

【問題(再掲)】  が2以上のとき で表せ。

【型】(2) の両辺を で割ると、階差の形()になる。

【なぜこうするか】 求めたいのは の和。(2) の等式の両辺を で割ってみます 右辺は とおくと 、つまり階差の形。だから から まで足すと途中が全部打ち消し合って(望遠鏡和) 最初の項 だけ別に足せば完成です。

【解答】
(2) の両辺を で割ると、 のとき よって のとき 和の中は階差の形だから、途中の項が打ち消し合って したがって

(4) 無限級数の和

【問題(再掲)】 無限級数 の和を求めよ。

【型】(3) の 。(1) の結果がそのまま使える。

【なぜこうするか】 (3) の式で とすると、(1) より なので 残りは を含む定数部分。ここで の2倍角を逆向きに使うと、きれいにまとまります。 とおくと の逆数です。) だけの式に戻るのがこの問題のねらいです。

【解答】
(3) より のとき (1) より だから また であり、 の2倍角の公式 より したがって
よくあるミス (3) で の下端を と書いてしまうことです。(2) の等式が成り立つのは のときだけ は定義されていない)なので、 の項 別に取り出して足す必要があります。

検証: について、(2) の左辺 と右辺 で小数第10位まで一致することを確認しました。(3) の式も で部分和と完全に一致し、(4) は となり、 の値と一致しています。

【4】複素数平面と円

【問題】
複素数平面上の原点 O と異なる2点 に対して が成り立つ。3点 O、A、B を通る円を とする。
(1)  を極形式で表せ。ただし、偏角 の範囲は とする。
(2) 円 の中心と半径を を用いて表せ。
(3)  を用いて表せ。
(4) 次が成り立つとき を求めよ。
 (ア) 点 が円 上を動くとき 上にある。
 (イ)  は正の実数である。
 (ウ) 

(1) の極形式

【問題(再掲)】  を極形式で表せ()。

【型】 の斉次式は で割って の2次方程式にする。

【なぜこうするか】 与式は について2次の斉次式(すべての項が2次)なので、 で割れば比 だけの方程式になります(B は O と異なるので )。 解の公式で 極形式に直すには絶対値と偏角を出します。 より 。)この「絶対値 、偏角 」が (2) 以降のすべての鍵になります。

【解答】
B は O と異なるから 。与式の両辺を で割ると これを の2次方程式とみて解くと ここで だから (複号同順。)

(2) 円 の中心と半径

【問題(再掲)】 円 の中心と半径を を用いて表せ。

【型】 は辺の比、。三角形の形を決めてから円周角の定理。

【なぜこうするか】 (1) から すなわち 三角形の2辺の比と挟角が決まったので、形が完全に決まります。残る辺 AB を余弦定理で出すと とおくと 、つまり
ここで 。三平方の定理の逆から
直角三角形の外接円は斜辺が直径(円周角の定理)なので、円 C は OA を直径とする円です。中心は OA の中点 、半径は

xyOA(α)B(β)α/221√3π/6OA:OB=2:√3、∠AOB=π/6 から △OAB は ∠ABO=π/2 の直角三角形。よって円 C は OA を直径とする円(中心 α/2、半径 |α|/2)。
【4】(2)  と円
【解答】
(1) より だから )とおくと、余弦定理より よって であり 三平方の定理の逆より
したがって、円周角の定理より、3点 O、A、B を通る円 の直径は線分 OA である。よって円

中心は 、半径は

(3) で表す

【問題(再掲)】  を用いて表せ。

【型】(1) の を代入するだけ。

【なぜこうするか】 (1) の結果を (複素数) の形に書き直して代入します。 となって係数がきれいになるのがポイント。絶対値は なので、答えは 複号のどちらでも同じ値になります。

【解答】
(1) より と表せるから よって

(4) 条件 (ア)(イ)(ウ) をみたす

【問題(再掲)】 (ア) 点 が円 上を動くとき 上にある、(イ) は正の実数、(ウ) が成り立つとき、 を求めよ。

【型】「 が同じ円上」を 「」の形( は中心、 は半径) に書き換え、中心が一致する条件を出す。

【なぜこうするか】 条件 (ア) を式にします。(2) より円
から を求めると、両辺の共役をとって 、すなわち 。これを円の式に代入すると を使って括り出すと …と進めてもよいのですが、共役をとってから整理するほうが見通しがよいです。結果として つまり は「中心 、半径 」の円上を動きます。これが円 (中心 、同じ半径)と一致する条件は とおけば より
あとは (イ) が 、(ウ) と (3) から 、そして (1) の比から が決まります。

【解答】
(ア) の言い換え (2) より円 の両辺の共役をとると 、すなわち 。これを代入して 左辺は より に等しく、さらに絶対値は共役をとっても変わらないから よって は中心 、半径 の円上を動く。これが円 と一致するためには( より半径は等しいから)中心が一致すればよく は実数)とおくと (イ) の言い換え  より
(ウ) から を決める (3) より だから (1) より だから まとめ  より したがって (このとき となり (ア)(イ)(ウ) をすべてみたす。)
よくあるミス (4) で の描く円が と一致する」を「」と取り違えることです。条件 (ア) は「 が動いたとき 上にある」であって、 が同じ点である必要はありません。集合として一致すればよいので、中心と半径を比べるのが正しい扱いです。

検証:sympy で 、その絶対値 、偏角 を確認しました。(2) は によらず厳密に成り立つこと、(3) は )が複号どちらでも成り立つことを確認しています。(4) は を成分に分けて解くと が得られ、 が3条件をすべてみたすことを数値でも確かめました。

この年度で使った「型」の一覧

使った問題
商の微分では共通因数をくくり出して分子を簡単にする【1】(1)
を含む式は と置換して の有理式にする【1】(2)(3)
型は分子を の式に書き直す【1】(3)
3倍角の公式で だけの式にする【2】(1)
3次関数の値域は、極値と端点の値を必ず比べる【2】(1)
のような和は和積の公式で共通因数を作る【2】(2)(4)
を展開すると加法定理で1つの にまとまる【2】(3)
道のりは速さ の積分。絶対値の場合分けを忘れない【2】(4)
に持ち込むため、角を とおいて係数を作る【3】(1)
角が2倍の関係にある項どうしは、2倍角の公式で結ぶ【3】(2)(4)
階差の形 が作れれば、和は望遠鏡和で一気に潰れる【3】(3)
2次の斉次式は で割って比 の方程式にする【4】(1)
は辺の比、【4】(2)
直角三角形の外接円は斜辺が直径(円周角の定理)【4】(2)
「変換した点が同じ図形上」は、変換後の図形の中心・半径を比べる【4】(4)

検証について

本ページの数値は、次の三段階で確認しています。

  1. 当塾で解く 問題文から自力で解答を作成しました。
  2. Pythonによる独立検算 【1】はsympyで導関数・極値・極限・面積を厳密計算し でも数値照合、【2】は の式・ が恒等式として成り立つことを確認、【3】は について漸化式と部分和を小数第10位まで照合、【4】は複素数の条件を実部・虚部に分けて厳密に解きました。
  3. 別解との突き合わせ 全16小問について、別の道筋でも解き直して1問ずつ答えを突き合わせました。16小問すべてで同じ答えになりました。

問題文・解答例の著作権は名古屋工業大学に帰属します。本ページは学習目的の解説であり、問題の全文転載ではありません。数値に誤りを見つけられた場合は、お手数ですがお問い合わせフォームよりご連絡ください。

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