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大阪大学 2019年度 過去問・解答

数強塾のプロ講師陣

藤原進之介です。このページでは大阪大学2019年度の数学過去問を解答・解説つきで無料公開しています。

今日の一問
平面において、連立不等式
の表す領域を とする。このとき以下の問いに答えよ。
(1)  を図示せよ。
(2) 点 が領域 を動くとき、 の最大値と最小値を求めよ。(配点率 30 %)
——さて、どこから手をつける?
答えと考え方は、この記事の中で順を追って解説します。

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問題

解答

📑 この年度の大問インデックス(全7問)

解説が長いので、解きたい大問へ直接移動できるようにしています。解けなかった問題は、解説を読んだあとに同じ型の問題で当て直すと定着が速くなります。

型から探したいときは解法パターン事典、他の年度は過去問解説の総索引から。

🧭 大阪大学 2019年度|大問ごとに「使う型」を対応させた表

解けなかった大問がどの型に属するのかを一覧にしました。解説を読んだあと、型のページで同じ判断を使う問題を数問当てると定着が速くなります。この年度は難易度と目標時間を掲載していないため、それらは載せていません。

大問出題テーマ使う型(解法パターン事典)
【1】三角不等式の表す領域と最大最小最大・最小の全型
【2】絶対値を含む2次方程式数と式
【3】2つの球面の共通部分空間ベクトル
【4】積分で定義された関数と極限極限
【5】複素数の3項間漸化式とさいころ漸化式の全型
【6】の動く領域と回転体積分法(体積・弧長)

型の全体像は解法パターン事典、他の年度・他大学は過去問解説の総索引から。大阪大学の年度一覧は各ページ末尾のナビでも確認できます。

大阪大学 2019年度(平成31年度)前期日程 数学の全問解説です。文系(法・経済・人間科学・外国語・文)が3題、理系(理・医・歯・薬・工・基礎工)が5題で、文系第3問と理系第5問が同一問題のため、重複を除くと全7題19小問になります。
掲載しているすべての数値は、当塾で独立に解いたうえで Pythonによる数値検算(領域の全面走査・数値積分・複素数の直接計算・分数の厳密計算・mpmath 120桁での極限追跡) を行い、本ページで配布している解答PDFも数強塾が独自に作成したもので、この解説と同じ答え・同じ道筋です。

本ページ文系理系分野答え
【1】第1問三角不等式の表す領域と最大最小最大 /最小
【2】第2問絶対値を含む2次方程式
【3】第3問第5問2つの球面の共通部分半径最小は 、半径 は2個
【4】第1問積分で定義された関数と極限
【5】第2問複素数の3項間漸化式とさいころ正六角形/
【6】第3問 の動く領域と回転体
【7】第4問既約分数の樹形図 は11段目の左から29番目

この年度の傾向(3行)

  • 理系第4問は「4問すべてが証明」という、阪大でも珍しい構成。扱っているのはCalkin–Wilfの木と呼ばれる有名な樹形図で、(1)〜(3) はユークリッドの互除法をさかのぼるという一本の道具ですべて片づきます。逆に、その視点が立たないと3問まとめて落とします。
  • 文系第3問(=理系第5問)は「共通部分がCとなる球面をすべて求める」型。球面束 を知っていれば機械的ですが、知らなくても「中心は円Cの軸の上にしかありえない」と気づけば同じ答えに届きます。本ページでは両方の道筋を載せました。
  • 理系第1問は誘導が非常に親切。(1) で作った関数の単調性が、そのまま (2) の左側の不等式になり、(2) が (3) のはさみうちの材料になります。「前問の結果を次で使う」以外のことを一切していないので、誘導に乗り切れるかだけが問われています。

【1】三角不等式の表す領域と最大最小(文系 第1問)

【問題】
平面において、連立不等式

の表す領域を とする。このとき以下の問いに答えよ。
(1)  を図示せよ。
(2) 点 が領域 を動くとき、 の最大値と最小値を求めよ。(配点率 30 %)
【解答】 (1) 正方形 のうち を満たす部分(境界を含む)  (2) 最大値 、最小値

(1) 領域 の図示

【問題(再掲)】 連立不等式の表す領域 を図示せよ。

【型】 の1次式は合成して1つの にまとめる型。

【なぜこうするか】不等式に が両方あると、そのままでは解けません。合成すれば (定数) という形になり、あとは「 がある値以上になる角の範囲」を読むだけの問題に変わります。
もう一つ大事なのは、 の形でしか現れないことです。だから を1つの文字と見れば、答えは がある範囲にある」という帯になります。

なので、与えられた不等式は

ここで角の動く範囲を必ず確認します。 より なので

この範囲で となるのは だけです。したがって

は正方形 を、2本の平行な直線 で切り取った帯状の六角形(境界を含む)です。

Oπ/125π/12π5π/12π/12πDx+y=13π/12x+y=5π/12最小最大
領域 (青)は帯状の六角形。赤い2本は の直線で、左下の1本が最小、右下の1本が最大を与える。赤い点が最小・最大を取る点
よくあるミス  の解を と一般角で書いたまま、 の分も入れてしまう。 が動けるのは だけなので、該当するのは の1区間だけです。範囲の確認を飛ばすと領域が2本の帯になってしまいます。

(2)  の最大値と最小値

【問題(再掲)】 点 を動くとき の最大値と最小値を求めよ。

【型】領域上の1次式の最大最小は、 を「傾き の直線群」と見て、 切片 が最大・最小になる位置を探す型(線形計画法)。

【なぜこうするか】、つまり傾きが で固定された平行な直線の束です。 を動かすと直線が平行移動するので、直線が領域に触れる限界の位置を見つければ最大最小が決まります。領域の境界の傾きは (斜めの2辺)、 しかなく、 はそのどれとも一致しないので、最大最小は必ず頂点で起こります

の頂点は

の6個です。それぞれで を計算します。

頂点

最大値 (点 )、最小値 (点

頂点を数えずに済ませる見方  とおくと です。 の範囲は の範囲は なので、両方を同時に最大(最小)にできればそれが答えです。
最大は かつ 。このとき で確かに を満たすので実現でき、
最小は かつ 。このとき で実現でき、

検証:正方形 に分割して不等式を満たす格子点をすべて調べたところ、 の実測範囲は (理論値 、差は格子の粗さ分)。 の実測最大は (点 付近)で 、実測最小は (点 )で と一致しました。

【2】絶対値を含む2次方程式(文系 第2問)

【問題】
を実数の定数とする。 の2次方程式

について以下の問いに答えよ。
(1) この2次方程式は実数解をもつことを示せ。
(2) この2次方程式が異なる2つの実数解 をもち、かつ となるような定数 の値の範囲を求めよ。(配点率 35 %)
【解答】 (1) 3通りの場合分けで判別式がすべて平方の形になり   (2)

(1) 実数解をもつことの証明

【問題(再掲)】 この2次方程式が実数解をもつことを示せ。

【型】絶対値が2種類あるときは、中身が0になる点で数直線を区切って場合分けする型。

【なぜこうするか】 で符号が切り替わります。だから区切りは の2か所、場合は3通りです。ここを機械的に処理できるかがこの問題のほぼすべてで、絶対値を外した後は普通の2次方程式に戻るので、あとは判別式を見るだけです。

係数を とおきます。判別式は

(i) のとき  なので

(ii) のとき  なので

(iii) のとき  なので

いずれの場合も なので、この2次方程式は の値によらず実数解をもちます。(証明終)

因数分解して見ておくと安心です。(i) では より解は 。(ii) では より解は 。(iii) では より解は 3通りとも解が明示的に書けるので、(2) はこれを使うのが最短です。

(2)  となる の範囲

【問題(再掲)】 異なる2実数解 をもち となる の範囲を求めよ。

【型】条件は2つ(「異なる2解」= 、「」)。場合分けを引き継いだまま、両方を同時に満たす を各区間で求めて最後に合併する型。

【なぜこうするか】(1) で3通りの解が具体的に出ているので、 も3通りそのまま書けます。解と係数の関係を使ってもよいのですが、解が見えているならそちらのほうが速くて誤りにくいです。

(i)  解は より2解は必ず異なります。

と合わせて 

(ii)  解は 。異なる2解であるためには 、すなわち

合わせて 

(iii)  解は 。異なる2解であるためには 、すなわち

かつ を満たすので適します。

以上を合併して

検証: から まで 刻みで走査し、判別式が負になる 1つもないことを確認((1) の裏づけ)。さらに かつ となる区間は と1点 で、境界の では (重解)、 でも となることを個別に確認しました。

よくあるミス  の除外を忘れる。どちらも で重解になり、「異なる2つの実数解」という条件を満たしません。 は答えの区間のちょうど内部にあるので、書き漏らすと という誤答になります。

【3】2つの球面の共通部分(文系 第3問・理系 第5問)

【問題】
座標空間内の2つの球面
 と 
を考える。 の共通部分を とする。このとき以下の問いに答えよ。
(1)  との共通部分が となるような球面のうち、半径が最小となる球面の方程式を求めよ。
(2)  との共通部分が となるような球面のうち、半径が となる球面の方程式を求めよ。(文系 配点率 35 %/理系 配点率 20 %)
【解答】 (1)   (2) の2つ

まず がどんな円かを確定させます。2式を辺々引くと2次の項が消えて、 を含む平面が出ます。

の中心 から平面 までの距離は

なので は確かに交わり、 はその交円です。半径は三平方の定理から

の中心 は、 から に下ろした垂線の足です。 の法線ベクトルは 、単位化して なので

ABMP₁P₂S₁ (半径√7)S₂ (半径1)C半径√3 の球面は2つ3
2つの球面の中心 A, B を通る平面での断面。 は図では線分(橙)として見えるが、実際は半径 の円 を通る球面の中心は、必ず直線 AB 上にある。赤が半径最小、紫の2つが半径

(1) 半径が最小となる球面

【問題(再掲)】  との共通部分が となる球面のうち、半径最小のものを求めよ。

【型】「ある円 を通る球面」は、中心が の中心を通り の乗る平面に垂直な直線(= の軸)の上にしかないという型。

【なぜこうするか】球面の中心を とすると、 上のすべての点が から等距離です。「円周上の点から等距離にある点の集合」=円の軸なので、 は軸の上にあるしかありません。これで3変数の探索が1変数(軸に沿った位置 )に落ちます。

から軸に沿って だけ離れた点を中心にすると、三平方の定理より半径

これは のとき最小です。つまり中心が そのもの、 を大円にもつ球面が答えです。

(2) 半径が となる球面

【問題(再掲)】  との共通部分が となる球面のうち、半径が のものを求めよ。

【型】(1) で作った に値を代入して を解く型。 の2つ出るので、答えも2つになります。

軸方向の単位ベクトルは なので、中心は

すなわち 。したがって

別解(球面束)  の左辺を の左辺を として

 ( は実数、

を考えると、 上の点では なのでこの式を満たします。つまりこの1本の式が「 を通る球面」をすべて表しているのです。整理すると中心は 、半径の2乗は となり、 で (1) の答え、 で (2) の2つの答えが得られます。 のときは平面 そのものになります。)

検証: の上に5点を実際に取り(中心 から法線に直交する2本の単位ベクトルを作って半径 で生成)、その5点が 、および求めた3つの球面のすべての方程式を 以内で満たすことを確認しました。また、求めた各球面と の差を取ると、いずれも同じ平面 に一致することを確認しています(=共通部分が確かに と同じ)。

よくあるミス (2) で球面を1つしか答えない。 から 2つが出るので、答えも2つです。断面図を描けば、円 をはさんで左右対称に2つあることが目で分かります。

【4】積分で定義された関数と極限(理系 第1問)

【問題】
以下の問いに答えよ。ただし、 は自然対数、 はその底とする。
(1)  を実数とする。関数 は単調に減少することを示せ。
(2)  を満たす正の実数 に対し、不等式

が成り立つことを示せ。
(3) 数列 と定める。このとき極限 を求めよ。ただし を用いてもよい。(配点率 20 %)
【解答】 (1)   (3)

(1)  が単調減少であること

【問題(再掲)】  が単調減少であることを示せ。

【型】積分の下端に変数があるときは 。符号を落とさないことが第一。

【なぜこうするか】 の原始関数は初等関数で書けません。書けないものを書こうとせず、微分だけして符号を見る——これがこの手の問題の唯一の道です。引かれている は、微分したときに余計な項がきれいに消えるように仕組まれた「仕掛け」です。

第1項の微分は 。第2項は積の微分で

でくくって通分すると

したがって

分子は と、きれいに定数になります

よって はすべての実数 で単調に減少します。(証明終)

検証: として を数値積分で計算し、 での値がすべて減少列になることを確認()。また を差分で近似したところ、 のいずれでも上の式と9桁一致しました。

(2) 不等式の証明

【問題(再掲)】  に対し、与えられた2つの不等式が成り立つことを示せ。

【型】左側は(1) の単調性をそのまま使う、右側は被積分関数を定数で上から押さえるという、別々の型を1つずつ。

【なぜこうするか】左側の不等式に現れる は、まさに (1) の の第2項の形です。 を書き下すと目的の式になる」——それが (1) を先に置いた理由です。

左側の不等式。(1) より は単調減少なので、 から の定義(上端は のまま)を代入すると

右辺の積分は 0 なので、移項して

右側の不等式。 で単調減少なので、 では 。両辺を から まで積分して

以上より与えられた不等式が成り立ちます。(証明終)

検証: の5組で3つの値を数値計算し、すべて左 中央 右となることを確認しました(例:)。

(3) 極限

【問題(再掲)】  について を求めよ。

【型】(2) の形に合わせるために置換して を積分区間へ追い出す型。そのあとははさみうち

【なぜこうするか】(2) の不等式は の形にしか使えません。 の指数には がついているので、 と置いて を区間の端に移すと、そのまま (2) が使える形になります。

とおくと のとき なので

(2) で とすると、 より

全体を で割ると

左辺が正であることを確かめます。左辺を でくくると

ここで のとき かつ なので、括弧の中は より大きく より小さい値です。よって左辺は正で、①の各辺の対数が取れます。

左辺の3つの項の極限を見ます。第1項は与えられたヒントより 。第3項は、括弧の中が に収束するので となり、それを で割るので 。したがって左辺は に収束します。

はさみうちの原理より

検証:倍精度では 付近でアンダーフローして 0 になるため、mpmath で120桁に精度を上げて計算しました。 に収束します。また①の左辺が から まで常に正であることも確認しました。

よくあるミス  だから 、よって答えも としてしまう。 を掛けているので、 の程度で 0 に近づく「速さ」を測っているのがこの極限です。

【5】複素数の3項間漸化式とさいころ(理系 第2問)

【問題】
自然数 に対し、 とおく。ただし は虚数単位とする。複素数 を以下のように定める。

このとき以下の問いに答えよ。
(1)  のとき、複素数平面上の点 をこの順に線分で結んでできる図形を図示せよ。
(2)  のとき、 を求めよ。
(3) さいころを2回投げ、1回目に出た目を 、2回目に出た目を とする。このとき である確率を求めよ。(配点率 20 %)
【解答】 (1) 1辺の長さ 1 の正六角形 で閉じる)  (2)   (3)

3問すべての土台になる変形を先に作ります。漸化式の両辺から を引くと

つまり差の列 は公比 の等比数列です。初項は なので

これを から順に足し上げると

この式の意味: なので、点は長さ1の線分を、毎回同じ角度だけ向きを変えながらつないで進むことになります。これが (1) の図形が正多角形になる理由です。

(1)  のときの図形

【問題(再掲)】  のとき、 から をこの順に結んでできる図形を図示せよ。

【型】差の列が等比なら、「同じ長さの線分を一定角ずつ回して継ぎ足す」=正多角形と読む型。

【なぜこうするか】座標を1個ずつ計算しても答えは出ますが、回転角が (= 回転)だと分かれば、6回で1周して閉じることが計算前に見えます。何角形になるかを先に見抜くのがこの設問の狙いです。

のとき なので

したがって 長さ1で、偏角が毎回 (= )ずつ増えるベクトルです。6回で 、つまりちょうど1周するので となり、図形は閉じます。

実際に足していくと

1234567

6つの頂点はすべて点 から距離 1 にあり、辺の長さもすべて 1 です。つまり

1辺の長さ の正六角形(中心

z₁ (=z₇)z₂z₃z₄z₅z₆=O中心実軸虚軸
から を順に結ぶと、(原点)、 で閉じた1辺 1 の正六角形になる。

検証:漸化式から から を直接計算したところ、6辺の長さがすべて 、6頂点から重心 までの距離もすべて 以内で成立することを確認しました。

(2)  のときの

【問題(再掲)】  のとき を求めよ。

【型】等比数列の和は公式で一気に飛ばす型。63項を書き出す必要はありません。

なので 。よって

なので 。したがって

周期で見る別解:周期4で、1周期の和は なので、15周期分は消えて残るのは最初の3項 です。

(3)  となる確率

【問題(再掲)】 さいころを2回投げて を決めるとき、 となる確率を求めよ。

【型】「等比数列の和が 0」は (公比)の(項数)乗が 、かつ 公比 に言い換える型。

【なぜこうするか】和の公式 が使えるのは のときだけです。分子が 0 になる条件と、公式が使える条件()をセットで扱うのが要点で、 のときは和が 63 になるので 0 にはなりません。

とおくと

  • (つまり )のとき
  • のとき なので

)と書くと、ド・モアブルの定理より なので

が偶数 ⟺ が奇数

は奇数なので、 が偶数であることと が奇数であることは同じです。)同様に

が偶数 ⟺ が奇数

したがって求める条件は

が奇数、かつ が奇数でない

に対し を表にして、値が奇数の整数になるものを探します。

123456
463
563
6214263
791827364554
8
971421283542

太字が「奇数の整数」になるところです。ここで の行の には が現れますが、そのとき が奇数なので となり除外されます。残るのは

の7組。全事象は 通りなので

求める確率

検証:36通りすべてについて漸化式を まで直接回して を計算したところ、 未満になったのはちょうど上の7組でした。

よくあるミス  だけを条件にして の場合を除き忘れる。 のとき和は であって ではありません。表で が出ている4か所がまさにその場合で、うっかりすると と答えてしまいます。

【6】 の動く領域と回転体(理系 第3問)

【問題】
実数 を満たしながら変わるとき、 平面上で点 が動く領域を とする。このとき以下の問いに答えよ。
(1)  が領域 の点かどうか判定せよ。
(2)  を図示せよ。
(3)  軸のまわりに1回転してできる回転体の体積を求めよ。(配点率 20 %)
【解答】 (1) の点ではない  (2) (自動的に )  (3)

(1)  の点かどうか

【問題(再掲)】  が領域 の点かどうか判定せよ。

【型】「和と積が与えられた2数が実数か」は2次方程式の解と係数の関係に持ち込み、判別式を見る型。

【なぜこうするか】 ということは、 は2次方程式 の2解だということです。 が実数であるためには、この方程式が実数解をもつ必要があります。ここを押さえないと、条件 だけを見て誤判定します。

とすると、 の2解。判別式は

なので は実数になりません。

の点ではない

なお は満たしています。 を満たすから の点」と早合点しないことが、この設問がわざわざ最初に置かれている理由です。

(2) 領域 の図示

【問題(再掲)】 領域 を図示せよ。

【型】 が実数で動くときの の存在範囲」は、 を消去して だけの条件2本にする型。「実数解をもつ」という条件を必ず1本入れるのが肝心です。

とおきます。条件は次の2つです。

  • が実数 が実数解をもつので 、すなわち
  • より 、すなわち

逆に、この2条件を満たす に対して の2解を とすれば、実際に は実数で を満たします。したがって

2つの放物線が交わるのは 、すなわち から (このとき )。 では下の放物線が上の放物線を追い越すので、 の範囲は自動的に に限られます

O3-3-2√32√3-√6√6-22y=x²/4y=x²/2-3
領域 (青)は2つの放物線 (上・青線)と (下・緑線)にはさまれた部分。両者は で交わる(赤点)。 の目盛りは (3) で使う。

検証: 格子で走査し、 を満たすものの像 すべて上の2条件を満たすことを確認しました。逆に、領域内の点を格子状に取ってそこから を復元したところ、すべて実数かつ を満たしました(両向きの包含を確認)。

(3)  軸のまわりの回転体の体積

【問題(再掲)】  軸のまわりに1回転してできる回転体の体積を求めよ。

【型】回転体の断面は、「その での の動く区間が 軸をまたぐかどうか」で円板か円環かに分かれる型。

【なぜこうするか】回転して現れるのは の値です。区間 を含むなら から始まるので穴のない円板、含まないならドーナツ状の円環になります。ここを機械的に「外側²−内側²」で処理すると、 軸をまたぐ区間で誤ります。

とおきます。 となるのは です。また 軸に関して対称なので、 の分を2倍します。

まず、どちらが遠いかを比べます。 の大小は

なので、 では では です。まとめると断面積

の範囲 の区間断面断面積
を含む(円板
を含む(円板
を含まない円環

したがって

3本目の積分は、2本目を まで一気に伸ばした分から、 以降で余分に数えた内側の円 を引くための項です。

原始関数は より 、および より です。

各項を計算します( を使います)。

  • 第1項:
  • 第2項:
  • 第3項:

これを代入して

数値では です。

検証:断面積 (円板か円環かを ごとに判定するプログラム)を から までシンプソン法で30万分割して積分し2倍したところ 。上の閉じた式の値 の差で一致しました。

よくあるミス  の範囲でも「外側 、内側 の円環」として を使ってしまう。この範囲では の区間が 軸をまたぐので穴は開きません。さらに を境に「遠いほうの端」が から に入れ替わるので、場合分けは の2か所必要です。

【7】既約分数の樹形図(理系 第4問)

【問題】
下の図は、 から始めて分数 の左下に分数 、右下に分数 を配置するという規則でできた樹形図の一部である。このとき以下の問いに答えよ。
(1) この樹形図に現れる分数はすべて既約分数であることを示せ。ただし整数 は既約分数とみなす。
(2) すべての正の有理数がこの樹形図に現れることを示せ。
(3) この樹形図に現れる有理数はすべて異なることを示せ。
(4)  はこの樹形図の上から何段目の左から何番目に配置されるか答えよ。たとえば は上から3段目の左から4番目である。(配点率 20 %)
【解答】 (1)〜(3) は証明(すべてユークリッドの互除法をさかのぼる議論)  (4) 上から11段目の左から29番目
1/11/22/11/33/22/33/11/44/33/55/22/55/33/44/11段目2段目3段目4段目3/1 は3段目の左から4番目
樹形図の最初の4段。左下が 、右下が 段目には 個の分数が並ぶ。

(1) すべて既約分数であること

【問題(再掲)】 この樹形図に現れる分数はすべて既約分数であることを示せ。

【型】「規則で作られたものが性質Pをもつ」は段数についての数学的帰納法

【なぜこうするか】子は親から作られるので、「親が既約なら子も既約」さえ言えれば、根が既約であることと合わせて全体に伝わります。そして「親が既約なら子も既約」は、ユークリッドの互除法の原理そのものです。

の最大公約数を と書きます。互除法の原理より

が成り立ちます( から を引けば に戻るので、公約数の集合が変わらないため)。

[I] 1段目は なので既約。

[II]  段目のすべてが既約と仮定し、その1つを )とすると、その子は

でどちらも既約。よって 段目もすべて既約です。

[I], [II] より、樹形図に現れる分数はすべて既約分数です。(証明終)

(2) すべての正の有理数が現れること

【問題(再掲)】 すべての正の有理数がこの樹形図に現れることを示せ。

【型】「必ず現れる」は逆向きにたどって根に到達することを示す型(無限降下法)。

【なぜこうするか】根から下へ探すと候補が 個に増えて手に負えません。目標の分数から親をたどれば道は1本しかなく、しかも1回さかのぼるごとに分子と分母の和が確実に小さくなるので、有限回で根に着きます。「増える向きではなく、減る向きに動く」のが定石です。

正の有理数を既約な形 は互いに素な自然数)で表します。配置の規則を逆に読むと、 の親は次のように一意に決まります。

  • のとき: は左下の子なので、親は
  • のとき: は右下の子なので、親は
  • のとき: より 、つまり根 そのもの

親をとるたびに は真に減り( または )、しかも互除法の原理から親も既約のままです。自然数は無限に減り続けられないので、有限回で すなわち に到達します

その道筋を逆にたどれば、根 から に至る配置が実際に存在します。よってすべての正の有理数が現れます。(証明終)

互除法との関係: のとき親を取る操作は「 から を引く」ことなので、これを繰り返すのは引き算版のユークリッドの互除法そのものです。 なので、最後は必ず に行き着きます。

(3) 現れる有理数がすべて異なること

【問題(再掲)】 この樹形図に現れる有理数はすべて異なることを示せ。

【型】「重複しない」は「値だけから位置が復元できる」ことを示す型。

【なぜこうするか】(2) で見たとおり、親は値だけで決まります の大小を比べるだけ)。ということは、値が同じなら親も同じ、その親も同じ……と根までの道筋がまるごと一致してしまいます。道筋が同じなら位置も同じなので、異なる位置に同じ値は現れません。

異なる2つの位置に同じ有理数 (既約)が現れたと仮定します。

(2) の議論より、 から親をたどる操作は値のみによって一意に定まります。よって2つの位置から根までたどった道筋は、段数も左右の別も完全に同じものになります。根 から「左・右」の指示に従って降りれば配置される場所はただ1つに決まるので、2つの位置は同じ位置だったことになり、仮定に矛盾します。

よって樹形図に現れる有理数はすべて異なります。(証明終)

(1)〜(3) を合わせると、この樹形図は正の有理数全体を過不足なく1列に並べていることになります。これは Calkin–Wilf の木として知られる有名な構成で、「正の有理数は自然数と同じだけしかない」(可算である)ことの美しい証明になっています。

(4)  の位置

【問題(再掲)】  は上から何段目の左から何番目か。

【型】(2) の親をたどる操作をそのまま実行する型。段数は「たどった回数 」、左からの番号は左を 、右を とする2進数で読む。

【なぜこうするか】 段目には 個が並び、根から「左・右」を選ぶたびに区間が半分ずつに分かれます。これは2進法そのものなので、経路を の列と見て2進数に直し、 すれば左からの番号になります。

は素数で なので は既約です。親をたどります。

1234567891011
分数
どちらの子
0/10000011100

根から10回たどったので、11段目にあります。経路を左から順に読んだ2進数は

左からの番号はこれに 1 を足して

上から 段目の、左から 番目

問題文の例で確認: なので親は 、さらに なので親は 。経路は「右・右」= なので3段目の左から4番目。問題文の記述と一致します。

検証:樹形図を12段目(4095個)まで分数型(Python の Fraction)で厳密に展開し、(1) すべて既約、(3) 4095個すべて相異なる、を確認しました。そのうえで を探索したところ、確かに11段目の左から29番目に1つだけ存在しました。 も3段目の左から4番目に見つかり、問題文の例と一致します。

解法の「型」の一覧

この年度で使った考え方を並べます。どれも大阪大学に限らず、そのまま他大学の問題に持ち込めます。

場面使った問題
の1次式合成して1つの にまとめる。角の動く範囲を必ず確認【1】(1)
領域上の1次式の最大最小 を平行な直線群と見て、限界の位置を探す【1】(2)
絶対値が2種類中身が0になる点で数直線を区切る(区切りは2つ、場合は3通り)【2】(1)
「異なる2解」。等号は必ず除外する【2】(2)
ある円を通る球面中心は円の軸の上にしかない。【3】(1)(2)
2曲面の共通部分辺々引いて2次の項を消す(球面なら平面が出る)【3】
積分の下端に変数。原始関数を書こうとしない【4】(1)
積分の評価被積分関数を定数で押さえる/前問の単調性を書き下す【4】(2)
指数の中に 置換して を積分区間へ追い出し、はさみうち【4】(3)
3項間漸化式差を取ると等比数列になる形を探す【5】
等比数列の和が 0 かつ を必ず別扱い【5】(3)
和と積が与えられた2数2次方程式の解と見て判別式を条件に加える【6】(1)(2)
回転体の断面 の区間が 軸をまたげば円板、またがなければ円環【6】(3)
規則で作られた対象の性質段数についての帰納法(親から子へ性質を伝える)【7】(1)
「必ず現れる」目標から逆向きにたどって根に到達(無限降下法)【7】(2)
「重複しない」値だけから位置が復元できることを示す【7】(3)
2分木の位置左を 、右を とする2進数で読む【7】(4)

検証について

本ページの数値は、次の3段階を通したものだけを掲載しています。

  1. 当塾で独立に解く。解答を見る前に、まず自分で最後まで解きます。
  2. Python で別方法から検算する。今回は、領域 格子全走査/判別式を 刻みで全走査/円 上の点を生成しての球面方程式の代入/数値積分(シンプソン法・30万分割)/複素数の漸化式を まで36通り直接計算/樹形図を4095個まで Fraction で厳密展開/mpmath 120桁での極限追跡を行いました。
  3. 解答PDFと本文をそろえる。本ページで配布している解答PDFは数強塾が独自に作成したもので、この解説と答え・道筋が一致しています。

【3】について、一般的な解答例は球面束 を用いる解法です。本ページでは「中心は円の軸の上にしかない」という幾何的な見方を主にし、球面束を別解として併記しました。答えは同じです。

【6】(3) について、一般的な解答例は 、当塾の計算は で、同じ値です()。

もし誤りを見つけられた場合は、お手数ですがご連絡ください。確認のうえ訂正し、訂正の記録もこのページに残します。

大阪大学 数学 過去問|他の年度を見る

大阪大学の数学の過去問は25年度ぶんを公開しています。そのうち8年度は全問の解答解説つきです(「解説」の印がついた年度)。志望校の傾向は1年だけでは見えないので、最低でも3年ぶんを続けて解くことをおすすめします。

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問題PDFをテキストでも確認

大阪大学 2019年度 数学入試問題の文字起こし・出題分析

公開中の問題PDFを検索・復習しやすいよう文字データ化し、読み取れた語句から出題分野を整理しました。

  • 方程式・不等式
  • 図形・三角関数
  • 関数・グラフ
  • 指数・対数
  • 確率・場合の数
  • 数列
  • 整数
  • 複素数

この年度の出題範囲と傾向

2019年度の問題PDFでは、方程式・不等式、図形・三角関数、関数・グラフ、指数・対数、確率・場合の数に関する語句や設問を確認できました。大阪大学の公開PDFを年度横断で調べると、整数は22年度、微分・積分は22年度、図形・三角関数は21年度で検出されており、複数年を比較して対策したい分野です。

分野判定はPDFから読み取れた語句に基づく集計です。数式・記号・図表は文字変換で崩れる場合があるため、正確な条件は必ず原本PDFで確認してください。

問題文の文字起こし

問1画像OCR

検出分野: 方程式・不等式、図形・三角関数、関数・グラフ

(1) りを図示せよ.
(2) AR (wy) が領域 を動くとき, Qe の最大値と最小値を求めよ.
(配点率 30 %)
2 9 M3 (171—38)

(下書き用紙)
Pr om やM3G71一39)

p を実数の定数とする. > の 2 次方程式

© — (2p + [p|— p+ +1) e+ > (2p +3)pl - p+ 1|-1) =0
について以下の問いに答えよ-
(1) この 2 次方程式は実数解をもつことを示せ.
(2) この 2 次方程式が異なる 2 つの実数解 。, BEES, かつ a2 上 92 <1 とな
るような定数ゎ の値の範囲を求めよ.
(配点率 35 %)
= 7 = M3 (171—40)

原本の問題PDFを確認する

問2画像OCR

検出分野: 指数・対数、確率・場合の数、関数・グラフ、図形・三角関数、数列

(1) 5 を実数とする. 関数
ee) nt
7ウェ/< あーコー
は単調に減少することを示せ.
(2) cミ5 を満たす正の実数 5 に対し 不等式
_3 bw og =
Ep すま/ e-Fdt Se F (ba)
が成り立つことを示せ.
(3) 数列 {In} を次のように定める.
2 2
な=げ と学み (n= 1,2,3,---)

このとき極限
ol
og
を求めよ. KEL,
ce
lim, | loe(n + 1) =0
を用いてもよい.
(配点率 20 %)
— eo ©M4(171—46)

(下書き用紙)
ー4 一 omaci7i—47)

自然数5に対し。
ar
w= coe 5p tt sae
とおく. ただし,# は虚数単位とする. BIBL, (n= 1.2.3....・) を以下のように
定める
ター1。 ニー1ーw。 m= (L—w)en-1t+wen-2 (n=3,4,5,---)
このとき以下の問いに答えよ.
(1) a=4, b= 3 OLS, BRB MLD 21, 22, 25, 24) 25) 20) 27 をこの順に
線分で結んでできる図形を図示せよ.
(2) a=2, D=1 DLE, zss を求めよ
(8) さいころを 2 回投げ, 1回目に出た目を a, 2 回目に出た目をちとする. この
とき 255 = 0 である確率を求めよ。
(配点素 20 %)
FB 5, tO 9? LE S 6 を満たしながら変わるとき, cy HLTH (8 + t,t)
WHS GRE 4 とする. このとき以下の問いに答えよ。
(1) (2, v2) が人坊4の点かどうか判定せよ
(2) 4 を図示せよ.
(3) 4をg軸のまわりに1回転してできる回転体の体筑を求めよ。
(HARE 20 %)
3 5 OMA (171—48)

原本の問題PDFを確認する

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