藤原進之介です。このページでは東京大学2004年度の数学過去問を解答・解説つきで無料公開しています。
解答
東京大学2004年度の数学(第1問)について、解答と解説を掲載します。数値はすべて当塾で独立に検算し、公開している全問を独立に検算しています。
第1問 放物線 y = x² 上に3頂点をもつ正三角形
放物線 y = x² 上に3つの頂点 P, Q, R をもつ正三角形について、1辺の長さ a を求めます。ここでは PQ が特定の方向を向く場合を扱います。
設定:P と Q を s と a で表す
P(s, s²) とおきます。PQ の向きが与えられており、その成分は
PQ = (a/√3, √(2/3)·a)
(長さの確認:|PQ|² = a²/3 + 2a²/3 = a² なので確かに |PQ| = a です。)
したがって Q(s + a/√3, s² + √(2/3)a)。
Q が放物線上にある条件から s を決める
s² + √(2/3)a = (s + a/√3)² = s² + (2/√3)sa + a²/3
s² が消えて、a > 0 で割ると
√(2/3) = (2/√3)s + a/3 ⇔ (2/√3)s = √(2/3) − a/3
両辺に √3/2 を掛けて
s = √2/2 − (√3/6)a
R を複素数の回転で表す
正三角形なので、R は P を中心に Q を ±60° 回転した点です。複素数平面で考えると、回転は複素数の掛け算で表せます。
R を表す複素数を X + Yi、PQ を表す複素数を a(1/√3 + (√2/√3)i) とすると
(X + Yi) − (s + s²i) = (1/2 + (√3/2)i) × a(1/√3 + (√2/√3)i)
右辺を展開します(i² = −1 に注意)。
= a(√3/6 − √2/2) + a(√6/6 + 1/2)i
したがって
X = a(√3/6 − √2/2) + s、Y = a(√6/6 + 1/2) + s²
ここに s = √2/2 − (√3/6)a を代入すると、X では (√3/6)a が打ち消し合って
X = (√2/2)(1 − a)
Y については s² = 1/2 − (√6/6)a + a²/12 なので、(√6/6)a も打ち消し合って
Y = 1/2 + a/2 + a²/12
2か所できれいに項が消えるのは偶然ではありません。s の値が「Q が放物線上にある」という条件から決まっているためで、計算が正しく進んでいる証拠でもあります。
R も放物線上にある条件から a を決める
Y = X² なので
1/2 + a/2 + a²/12 = {(√2/2)(1 − a)}² = (1/2)(1 − 2a + a²)
右辺を展開して 1/2 − a + a²/2。両辺から 1/2 を引くと
a/2 + a²/12 = −a + a²/2 ⇔ (3/2)a = a²/2 − a²/12 = (5/12)a²
a > 0 で割って
3/2 = (5/12)a ⇔ a = 18/5
検算:a = 18/5 = 3.6 のとき s ≒ −0.332 で
P ≒ (−0.332, 0.110)、Q ≒ (1.746, 3.050)、R ≒ (−1.838, 3.380)
3点とも y = x² を満たし、3辺の長さはすべて 3.6 ✓ 確かに正三角形です。
この問題の学習ポイント
東大らしい、複素数平面の回転を図形問題に使う典型問題です。
回転の掛け算:点 α を中心に点 β を θ 回転した点 γ は
γ − α = (cosθ + i sinθ)(β − α)
正三角形なら θ = ±60° で cos60° + i sin60° = 1/2 + (√3/2)i。この1つの式を使うだけで、3つ目の頂点が求まります。
ベクトルの回転行列でも同じことができますが、複素数のほうが「掛け算1回」で済むぶん計算が軽くなります。平面図形で回転が出てきたら、複素数平面を検討してください。
また、条件を「1つずつ順に課す」という進め方も重要です。
(あ) P を放物線上に置く(媒介変数 s)/(い) Q も放物線上 → s が a で表せる/(う) R も放物線上 → a が決まる
未知数を1つずつ潰していく — この段取りが立てられれば、計算量は多くても最後まで到達できます。
東京大学2004年度の全大問について、当塾で解答PDFを公開できている範囲から順に解説を掲載しています。裏づけのない問題について推測で解説を作ることはしていません。

