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東京農工大学 2019年度 過去問・解答

数強塾のプロ講師陣

藤原進之介です。このページでは東京農工大学2019年度の数学過去問を解答・解説つきで無料公開しています。

問題

解答

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※ 問題文は東京農工大学が公表した平成31年度(2019年度)前期日程入学試験問題を、解説のために引用したものです。解答・解説はオンライン数学専門塾「数強塾」が独自に作成したもので、大学が公表した公式解答そのものではありません。作成にあたっては大学公表の解答と全11問を突き合わせて一致を確認し、さらに 200万分割の数値走査と行列式による体積計算複素数の直接代入2円の中心・半径・接点距離の実測数値積分(絶対値つき被積分関数)を について1001点でスキャンして独立に検算しています。

2019年度(平成31年度)東京農工大学 前期日程 数学(Z)の傾向
  • 大問4題・全問記述式(試験時間90分)。「論証過程や計算過程がわかるように解答しなさい」と明記された、過程重視の出題です。
  • 分野は空間ベクトル+三角関数の合成/複素数平面(楕円と焦点)/微分(凹凸・接線法線・円の接触)/絶対値つき定積分で定義された関数の最大最小数学III が全大問に絡む典型的な国公立理系セットです。
  • 全体を貫くテーマは「1文字に集約する」加法定理で 1個にまとまり、楕円の媒介変数表示そのものになります。この「きれいにまとまる瞬間」を信じて計算を続けられるかが勝負。
  • 2点 が楕円 の焦点になっているという、気づくと気持ちのよい設計。ただし気づかなくても「直径に対する円周角」で解けます。
  • 〔3〕は「解と係数の関係で だけ求めれば十分」という抜け道が用意された良問。2円の中心を個別に求めると計算が重くなります。
  • 絶対値の中身が と因数分解できるのが出発点。 の位置で場合分けし、2つの放物線をつないだ関数になります。
  • 目標時間は各大問20〜25分。計算量は多いが方針は素直なので、完答を狙えるセットです。

空間ベクトル——平面との交点・大きさの最大最小・四面体の体積

分野:空間ベクトル・三角関数の合成 難易度:標準 目標時間:22分

【問題】

を満たす実数とする。O を原点とする座標空間に 3 点 がある。平面 と直線 PQ の交点を S とする。次の問いに答えよ。

〔1〕点 S の座標を の式で表せ。

〔2〕ベクトル の大きさの最大値と最小値を求めよ。また、最大値を与える の値と最小値を与える の値を求めよ。

〔3〕直線 OR が平面 OPQ に垂直であるときの の値を求めよ。また、このときの四面体 OPQR の体積を求めよ。

【解答】

〔1〕

〔2〕最大値 、最小値

〔3〕、四面体 OPQR の体積

〔1〕 点 S の座標

【問題(再掲)】

とし、平面 と直線 PQ の交点を S とする。点 S の座標を の式で表せ。

【型】直線上の点は とおき、 座標の条件で を決める

【なぜこうするか】
直線と平面の交点を求める、空間ベクトルの基本中の基本です。手順はいつも同じで

  1. 直線上の点を1 つの助変数 で表す:
  2. 平面の条件(ここでは )を代入して を決める
  3. その を戻す

本問がやさしいのは、P の 座標が 、Q の 座標が であること。すると 座標はちょうど になるので、 が即座に決まるのです。 を含む複雑な計算はいっさい要りません。
なお ということは、S は線分 PQ を に内分する点。だから と内分点の公式で書いても同じです。

S は直線 PQ 上の点だから、実数 を用いて と表せる。ここで

だから

S の 座標が だから 。代入して

よって

検算。 の 3 通りで、P と Q から直線の助変数表示を数値的に解いて となる点を求めたところ、上の式の値と3 通りとも全成分が一致 ✓(例:)。

【定石】「直線と平面の交点」は助変数 1 個で表して条件を代入 座標が の 2 点を結ぶ直線なら、助変数がそのまま 座標になるので即決できます。

【よくあるミス】向きを逆にすること。(終点 始点)です。また の計算で を入れたあと などと間違えないように。

〔2〕  の最大値・最小値

【問題(再掲)】

ベクトル の大きさの最大値と最小値を求めよ。また、最大値を与える の値と最小値を与える の値を求めよ。

【型】 を展開すると が現れる(加法定理の逆)

【なぜこうするか】
大きさの最大最小は、まず 2 乗して根号を外すのが鉄則( なので の最大最小がそのまま対応します)。
展開すると がそれぞれまとまり、残るのは交差項だけ

この括弧の中が加法定理そのもの。これで の関数が 1 個に集約され、あとは の動く範囲を調べるだけになります。
最後に範囲のチェック なら 。この区間で 両方とる)ので、素直に が使えます。ここが半端な区間だと端点も調べる必要があるので、必ず確認する癖をつけましょう。

〔1〕より

展開して を用いると

加法定理より だから

より であり、この範囲で のすべての値をとる。よって

最小
最大

したがって、最大値は )、最小値は )。

検算(200万分割の数値走査)。 から まで 200 万分割して を計算すると、最大 )、最小 )。一方 すべて一致

【定石】ベクトルの大きさの最大最小は 2 乗して考える。展開したときに の形が出たら加法定理でまとめる——本問のように 1 個に化けるよう作られています。「まとまるはず」と信じて展開しきるのが大事。

【よくあるミス】 の範囲を の範囲のまま考えて、 に直し忘れること。また が最大 が最大」は だから言える、という一言を書き添えると丁寧です。 のとき 最小(符号がマイナスなので逆)という点にも注意。

〔3〕 OR 平面 OPQ となる と四面体の体積

【問題(再掲)】

直線 OR が平面 OPQ に垂直であるときの の値を求めよ。また、このときの四面体 OPQR の体積を求めよ。

【型】直線 平面 平面上の 2 つの(平行でない)ベクトルの両方と垂直

【なぜこうするか】
「直線が平面に垂直」を式にするとき、1 本のベクトルと垂直なだけでは足りません。平面を張る 2 本(ここでは )の両方と内積 になって初めて「平面と垂直」です。
そこで 連立します。片方から候補を絞り、もう片方で確認する、という流れ。
体積は、OR が底面 OPQ に垂直とわかっているので が使えます(OR がそのまま高さ)。三角形の面積は空間では

が定番。「垂直」という条件を体積計算にそのまま活かすのがきれいな解き方です。

の決定。OR 平面 OPQ のとき かつ

より だから

のとき ✓ で、こちらも満たす。よって

体積。 のとき

だから 。よって

また で、これが高さそのもの。したがって

検算(行列式による直接計算)。四面体 OPQR の体積は でも求められる。数値で計算すると 、一方 一致 ✓ また での内積は と、いずれも計算機の丸め誤差の範囲で

【定石】直線 平面は「平面上の 2 本と垂直」を両方書く空間の三角形の面積は (外積を習っていなくても使える公式)。垂直条件が与えられたら高さがタダで手に入るので、体積は一直線です。

【よくあるミス】 だけで と決めてしまい、もう一方の確認を書かないこと(今回はたまたま満たしますが、満たさない可能性を排除する記述が必要)。また の有理化を としてしまうこと(正しくは )。

複素数平面——円が楕円に化ける変換と、焦点に隠された直角

分野:複素数平面・2次曲線 難易度:やや難 目標時間:22分

【問題】

複素数平面において点 を中心とする半径 の円を とする。点 が円 上を動くとき、 を満たす点 が描く図形を とする。次の問いに答えよ。

〔1〕図形 を図示せよ。

〔2〕図形 上の点 と 2 点 を満たし、 の実部と虚部がともに正の数であるとする。

(1)複素数 の値を求めよ。

(2) を満たし、円 上にはない点 を求めよ。

【解答】

〔1〕楕円 (下図) 〔2〕(1) (2)

〔1〕 図形 の図示

【問題(再掲)】

のとき が描く図形 を図示せよ。

【型】 が一定なら極形式 を代入する

【なぜこうするか】
という条件は「動く自由度は偏角 だけ」という意味。だから 1 文字 で表すのが自然です。
このとき が劇的にきれいになります。(絶対値 1 の複素数の逆数は共役)だから

つまり は「大きさ で反時計回りに回る点」と「大きさ で時計回りに回る点」の和。実部では足し算、虚部では引き算になるので、横に伸びて縦に縮む——これが円が楕円になる仕組みです。
一般に )はジューコフスキー変換と呼ばれ、半径 の楕円になります。本問は

より、 と表せる。このとき

よって

は実数)とおくと だから に代入して

したがって 楕円 軸方向に から 軸方向に から )である。

P(√3) Q(−√3) A(α) −2 2 1 −1 O x y

▲ 図形 (青い楕円 )。赤い破線は原点中心・半径 の円で、〔2〕で使う「PQ を直径とする円」。

検算。 から まで 8 等分して を直接計算し、 を求めると9 点すべてで ✓(例:)。

【定石】(一定)なら極形式で 1 文字に のときの は最頻出。媒介変数表示 が出たら を消す

【よくあるミス】 のままにすること。分母を実数化すると共役(虚部の符号が反転)になります。また「図示せよ」なのに式だけ書いて終わること。 切片 切片 を書き込んだ図を必ず描きましょう。

〔2〕(1)  を満たす

【問題(再掲)】

楕円 上の点 と 2 点 を満たし、 の実部と虚部がともに正であるとする。複素数 の値を求めよ。

【型】 A は線分 PQ を直径とする円の周上(直径に対する円周角)

【なぜこうするか】
「ある線分を見込む角が直角」と言われたら、迷わずタレスの定理(直径に対する円周角は直角)を使います。PQ の中点は原点、 なので、A は原点中心・半径 の円周上。式にすれば

これと楕円の式 連立するだけ。2 式を引けば が消えて が一発で出ます。
なお豆知識として、 の焦点は より P、Q はこの楕円の焦点そのものです(出題者が意図的にそう置いています)。気づかなくても解けますが、気づくと「なるほど」となる仕掛けですね。

)とおく。A が図形 上にあるから

 ……①

また より、A は線分 PQ を直径とする円周上にある。PQ の中点は原点、半径は だから

 ……②

① より

②に戻して

したがって

検算。数値では ✓(②を満たす)、 ✓(①を満たす)。さらに を計算すると 丸め誤差の範囲で 、すなわち

【定石】「見込む角が直角」=「その線分を直径とする円の上」。複素数平面でも図形の性質はそのまま使えます。2 つの 2 次曲線の連立は、引き算で片方の 2 乗項を消すのが基本手筋。

【よくあるミス】 の有理化を忘れること()。また「実部と虚部がともに正」という条件を使わず を残すこと。符号の断りを必ず書くのが記述式の作法です。

〔2〕(2) 円 上にない

【問題(再掲)】

を満たし、(原点中心・半径 )上にはない点 を求めよ。

【型】分母を払って の 2 次方程式に。1 つの解は「円 上の点」とわかっているので、因数分解して他方を取り出す

【なぜこうするか】
まず の分母を払うと

という の 2 次方程式。解は 2 つあります。ここで「片方の解はすでに知っている」のが最大のポイント。 は図形 上の点、つまり 上のある に写ってきたのだから、その が解の 1 つです。
〔1〕より と書けるので、(1)の結果 と見比べて

よって が解の 1 つ。2 次方程式で解の 1 つがわかれば、解と係数の関係で他方は割り算いらずで出ます:積が なので、もう一方は
この「積が 」は絶対値でも効きます。 なら他方の絶対値は なので確かに円 上にない——ここまで見通せると気持ちがいい。

の両辺に を掛けて整理すると

 ……③

は図形 上の点だから、〔1〕より と表せる。(1)の結果と比較して

✓)。よって、〔1〕の対応する円 上の点

は③の解の 1 つである。したがって③の左辺は で割り切れ、解と係数の関係より 2 解の積が だから、他方の解は

すなわち③は

と変形できる。ここで

  •  →  上にあるので不適
  •  →  上にないので適する

したがって

検算(直接代入)。)について を計算すると 。これは(1)で求めた 完全に一致 ✓ もう一方の で円 上)も同じ を与えることを確認しました ✓

別の見方(なぜ になるのか)。③の 2 解の積は なので、2 解の絶対値の積も 。一方の解が円 上(絶対値 )なら、他方の絶対値は必ず 。つまり写像 は「半径 の円」と「半径 の円」を同じ楕円に写す——2 対 1 の対応になっているわけです。

【定石】2 次方程式の解の 1 つが問題文の構造からわかるなら、解と係数の関係(和・積)で他方を出す。因数分解や解の公式より速く、複素数係数でも安全です。「円 上にない」という条件は、絶対値を計算して選別する

【よくあるミス】解の公式 を使って、複素数の平方根で詰まること( の平方根を求める羽目になります)。「片方の解を知っている」ことに気づけば計算量は 1/5 以下。また の断りも忘れずに。

微分—— の凹凸・接線と法線・2 つの接触円

分野:微分(第2次導関数・接線・法線) 難易度:やや難 目標時間:22分

【問題】

平面上に曲線 がある。ただし、対数は自然対数とし、自然対数の底を とする。次の問いに答えよ。

〔1〕曲線 の凹凸を調べ、変曲点を求めよ。

〔2〕 とする。曲線 上の点 における接線の方程式および法線の方程式を求めよ。

〔3〕曲線 上の点 における接線と点 P で接し、かつ 軸に接するような異なる 2 つの円が存在する。この 2 つの円の中心をそれぞれ とするとき、線分 の長さを求めよ。

【解答】

〔1〕 で下に凸、 で上に凸、変曲点

〔2〕接線: 法線:

〔3〕

〔1〕 凹凸と変曲点

【問題(再掲)】

曲線 の凹凸を調べ、変曲点を求めよ。

【型】凹凸は の符号。 の前後で符号が変われば変曲点

【なぜこうするか】
凹凸は第 2 次導関数の符号で決まります( なら下に凸、 なら上に凸)。
計算のコツは合成関数の微分と商の微分を順に使うこと。

この 数学III で最頻出の関数なので、その導関数 は暗記しておいてよいレベルです。
そして重要なのは なので符号は分子 だけで決まるという読み。分母が正だと確定していれば、符号の議論は分子だけで済みます。

を微分して

さらに商の微分法より

より だから、 の符号は の符号と一致する。

下に凸下に凸上に凸

だから

  • より下に凸
  • より上に凸

の前後で の符号が変わるから、 は変曲点を与える。そのとき だから、変曲点は

検算。数式処理で を計算すると ✓、 での ✓。また )で )で と、符号の変化も確認できます。

【定石】 の微分は「合成関数」、 の微分は「商」 は覚えてしまってよい。分母が正と確定していれば符号は分子だけで判定

【よくあるミス】 を解いただけで「変曲点」と結論すること。前後で符号が変わることの確認が必須です( でも変曲点でない例:)。また変曲点は 座標まで答えること。

〔2〕 点 A における接線と法線

【問題(再掲)】

とする。曲線 上の点 における接線の方程式および法線の方程式を求めよ。

【型】接線の傾きは 、法線の傾きは ——ただし のときは法線が縦線

【なぜこうするか】
接線・法線の公式は

接線:  法線:

これ自体は機械的。本問で差がつくのは になるという点です。
のとき接線は (水平)で問題ありませんが、法線は「傾き 」となって定義できない。図形的には法線が 軸に平行な直線 になります。
問題文は「」としか言っていないので、 も範囲に入ります。この場合分けを書けるかどうかが本問の採点ポイント。実際、大学公表の解答も「 のとき」「 のとき 」と場合分けしています。

〔1〕より だから、点 A における接線の傾きは 。よって接線

法線は、 または (すなわち )のとき、傾きが だから

のときは接線の傾きが (接線は )だから、法線は 軸に平行な直線

検算。 のとき接線の傾きは 。数値微分(中心差分、)で を求めると で一致 ✓ また のとき接線は となり、 を代入すると で、確かに点 P を通る ✓(この式は〔3〕で使います)。

【定石】法線を答えるときは「接線の傾きが になる場合」を必ず点検する。傾き のときの法線は は接点の 座標)。逆に接線が縦線になる場合( が発散)は接線のほうを場合分けします。

【よくあるミス】 の場合を書かずに だけで済ませること。分母に が来た瞬間に「 すなわち は大丈夫か」と自問する癖をつけましょう。

〔3〕 接線と 軸に接する 2 円の中心間距離

【問題(再掲)】

曲線 上の点 における接線と点 P で接し、かつ 軸に接するような異なる 2 つの円がある。中心を とするとき、線分 の長さを求めよ。

【型】中心は「P における法線上」+「 軸に接するので半径 座標」。求めるのは なので解と係数の関係で十分

【なぜこうするか】
条件を 2 つに分解します。

  1. 接線と点 P で接する → 中心はP を通る法線上にあり、かつ半径
  2. 軸に接する → 中心の 座標の絶対値が半径に等しい

中心を とおくと、①から (半径 軸の上側にあるので )、②から が法線上。
ここからが本問のうまいところ。2 つの円の中心はどちらも同じ法線上にあり、しかもどちらも 軸に接するので、 は「両円の半径の和」——つまり です(下図参照:2 円は P で外接し、 軸に同じ側から接するので、中心間距離=半径の和)。
そして の 1 次式なので、 から求まる。 は 2 次方程式の 2 解だから解と係数の関係で和だけ取り出せば十分——個々の値(無理数)を求める必要がまったくありません。

接線と法線。 だから、P における接線の傾きは 。よって法線の傾きは で、〔2〕の式()より法線は

条件の立式。求める円の中心を とする。P を通り 軸に接する(半径 )から

 ……①

また中心は法線上にあるから

 ……②

②を①に代入して

 ……③

③の 2 実数解が 座標 。解と係数の関係より

長さ。2 円はともに 軸に上側から接し、点 P で互いに接するから、 は 2 円の半径の和に等しい。半径はそれぞれ だから、②を用いて

Q₁ Q₂ P 接線 x 半径 q₁

▲ 点 P で接線(橙)に接し、 軸にも接する 2 円。大きい円 (半径 )と、ごく小さい円 (半径 )が P で外接する。破線が P における法線で、2 中心はこの上に並ぶ。

検算(中心と半径の実測)。実際に 2 円の中心を数値で求めると

中心半径 中心と P の距離中心の 座標
2.9044073112.9044073112.904407311
0.0638745170.0638745170.063874517

「半径=P までの距離= 座標」がどちらの円でも小数第 9 位まで一致 ✓ 中心間距離は で、一致 ✓ 半径の和 とも合っています ✓

【定石】「ある直線上の点と、ある直線に接する円」は中心の座標 を 2 式で縛る。求めるものが和や積なら解と係数の関係で済み、個々の解を出す必要はありません。「2 円の中心間距離=半径の和(外接)または差(内接)」の判定は図で確認を。

【よくあるミス】③を解の公式で解いて を個別に求めようとし、 のような式で計算が重くなること。聞かれているのは和だけです。また半径を とせず符号を検討しないこと(本問は P が 軸の上にあるので )。

絶対値つき定積分で定義された関数の最大最小

分野:定積分と関数(絶対値の場合分け・部分積分) 難易度:難 目標時間:24分

【問題】

関数

で定める。次の問いに答えよ。ただし、 は自然対数の底とする。

〔1〕 の値を求めよ。

〔2〕 における の最大値と最小値を求めよ。また、最大値を与える の値と最小値を与える の値を求めよ。ただし、 であることを用いてよい。

【解答】

〔1〕

〔2〕最大値 )、最小値

〔1〕  の値

【問題(再掲)】

について、 の値を求めよ。

【型】絶対値の中身を因数分解 して符号を確定させ、区間を分割する

【なぜこうするか】
まず はつねに正なので、符号を決めるのは のほうだけ。そしてこれは

きれいに因数分解できます。よって で負、それ以外で正(または 0)。
なら境界は 。積分区間 をまたぐのでそこで 2 分割します。
原始関数は、 の形なので部分積分を 2 回、または「答えを (2 次式)と予想して係数比較」で作れます。後者が速い: を使って係数を合わせるだけ。

であり、 だから

の範囲
または (2 根の外側)
(2 根の内側)

ここで、 を部分積分で求めると

そこで とおく。

の場合。境界は 。積分区間 では

  • なので
  • なので

よって

のとき だから

したがって

検算(数値積分)。 を数値計算すると 。一方 小数第 10 位まで一致

【定石】絶対値つき積分は「中身の符号が変わる点」で区間を分割 の形なら境界は と即座にわかります。 は多項式)は「(同じ次数の多項式)」を予想して微分し、係数比較すると部分積分より速い。

【よくあるミス】 も区間内だと勘違いして 3 分割すること(積分区間は なので は無関係)。また符号の向きを逆にすること:2 根の外側なので正、内側なので負です。

〔2〕  における最大値・最小値

【問題(再掲)】

における の最大値と最小値、およびそれを与える の値を求めよ。ただし を用いてよい。

【型】 の位置で「区間 が 2 根 に対してどう乗っているか」を場合分け → は 2 本の放物線をつないだ形

【なぜこうするか】
絶対値の中身が負になるのは 。積分区間は なので、 の範囲では

  • のとき かつ なので、区間 がまるごと 2 根の内側。分割不要で全域が負。
  • のとき に入るので、 で 2 分割

という 2 通りだけ。それぞれ計算すると、驚くほどきれいに

の範囲展開した形凸性
下に凸
上に凸

と、 の符号だけが違う 2 本の放物線になります。左側は下に凸()、右側は上に凸()。
あとは各区間で頂点を求めるだけですが、 の出番がここ。頂点 が本当に区間内にあるか、そして最大値の候補 のどちらが大きいかを判定するのに使います。 というのが決め手。

[1] のとき。 だから、 で分割して

平方完成できることに注意すると計算が一気に軽くなる。すなわち

よって

これを展開すると で、 より だから、 は区間内にあり、そこで

[2] のとき。 かつ だから、 でつねに 、すなわち中身は負。よって

展開すると で、 より だから、 は区間内にあり、そこで

では両式とも となり、つながっていることも確認できる。)

増減表。

極値の計算は次のとおり。

大小の比較。最大値の候補は より だから

よって最大値は )。最小値の候補は より であり、 より だから

よって最小値は )。以上より

最大値 )  最小値

e(最大) e/(e+1)(最小) e/(e−1) 4−e −1 −1/(e+1) O 1/(e−1) 1 x y

のグラフ。 を境に「下に凸の放物線」から「上に凸の放物線」へ切り替わる。左端 が最大、谷 が最小。

検算(1001 点の数値積分によるスキャン)。 から まで 1001 点動かし、絶対値つき被積分関数を毎回数値積分して を求めた結果

数値積分上で導いた式
2.7182818282.718281828
1.1385814581.138581458
0.7310585790.731058579
1.0000000001.000000000
1.5819767071.581976707
1.2817181721.281718172

すべて小数第 9 位まで一致 ✓ またスキャン全体の最大は )で ✓、最小は 、格子の刻み幅の誤差)で ✓。参考値は です。

【定石】 と平方完成できることに気づくと、代入計算が劇的に軽くなる になる!)。絶対値つき積分で定義された関数は、場合分けごとに「 のふつうの関数」として書き直してから微分する。

【よくあるミス】 のうち 側でも分割が必要だと思い込むこと(不要です)。また最大値の候補を頂点だけにして端点 を忘れること——本問の最大値はまさに端点で実現します。「 を用いてよい」というヒントは「大小比較が必要になりますよ」という合図だと読み取りましょう。

この年度で身につけたい「型」一覧
  • 直線と平面の交点は助変数 1 個で表して条件を代入 座標が なら助変数= 座標)
  • ベクトルの大きさの最大最小は 2 乗してから/展開して出る は加法定理でまとめる
  • 直線 平面 平面上の 2 本の両方と内積 (片方だけでは不十分)
  • 空間の三角形の面積 /垂直条件があれば高さはタダ
  • なら極形式で 1 文字に は円を楕円に写す(ジューコフスキー変換)
  • 「線分を見込む角が直角」=「その線分を直径とする円周上」(タレスの定理)
  • 2 次方程式の解の 1 つがわかっているなら、解と係数の関係で他方を出す(複素数係数でも安全)
  • 凹凸は の符号、変曲点は「符号が変わる」ことまで確認
  • 法線を答えるときは接線の傾きが になる場合を点検(そのとき法線は縦線)
  • 求めるものが和・積なら解と係数の関係で十分——個々の解を出さない
  • 絶対値つき積分は中身を因数分解して符号の境界を出し、区間分割
  • は「同次数の多項式」を予想して係数比較(部分積分より速い)
  • を用いてよい」は大小比較が必要という合図/端点の値を忘れない

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問題PDFをテキストでも確認

東京農工大学 2019年度 数学入試問題の文字起こし・出題分析

公開中の問題PDFを検索・復習しやすいよう文字データ化し、読み取れた語句から出題分野を整理しました。

  • 関数・グラフ
  • 図形・三角関数
  • 指数・対数
  • 空間図形
  • 方程式・不等式
  • ベクトル
  • 整数
  • 微分・積分

この年度の出題範囲と傾向

2019年度の問題PDFでは、関数・グラフ、図形・三角関数、指数・対数、空間図形、方程式・不等式に関する語句や設問を確認できました。東京農工大学の公開PDFを年度横断で調べると、図形・三角関数は14年度、微分・積分は13年度、関数・グラフは11年度で検出されており、複数年を比較して対策したい分野です。

分野判定はPDFから読み取れた語句に基づく集計です。数式・記号・図表は文字変換で崩れる場合があるため、正確な条件は必ず原本PDFで確認してください。

問題文の文字起こし

問1画像OCR

検出分野: 関数・グラフ、図形・三角関数、指数・対数、空間図形、方程式・不等式

(1) 点Sの座標を7の式で表せ。

(2) ベクトル 0S の大きさの最大値と最小値を求めよ。まだ, 最大値を与える
# の値と最小値を与えるの値を求めよ。

(3) 直線ORが平面 OPQ に垂直であるときの#の値を求めよ。また, このと
きの四面体 OPQR の体積を求めよ。
/

of

ーュー

数平面において点 0(0)を中心とする半径3- の円をひとする。点タが
CLEC ER, wot Lem T A の HH DE FETS. KOM
いに符えよ。
(1) 図形を図示せよ。 _
(2) 図形上の点 A(e)と2点P(/3).Q(一73)が ZPAQ => を満たし,
4の実部と虚部がともに正の数であるとする。
(1) 板素数。の値を求めよ。
(2) a= B+ を溢たし 円 上にはない点 を求めよ。
= ier

平面上に曲線
Cyーす(og (x>0)
がある。ただし。 対数は自然対数とし, 自然対数の底をとする。次の問いに稚
えよ。
(1) 曲線Cの凹凸を調べ 変曲点を求めよ。
(2) :>0とする。 MBCLORA(: lose") における矯衣方程式お
よび法線の方程式を求めよ。
(3) matchoar(/e, -二における拉委と点P CL, かっ則に接す
るような異なる 2つの円が存在する。この2つの円の中心をそれぞれ Q,
Q。 とするとき。 線分 QiQz の長さを求めよ。
ーュョュー

BBS (x) &
Fa) = [le @ — 20+ Vlat

で定める。次の問いに答えよ。ただし, clhHRHMORLTS.

(1) # (4) omer.

(2) 一1 ミァミ 1におけるげ(>) の最大値と最小値を求めよ。また, 最大値を
与える>の値と最小値を与えるェの値を求めよ。ただし, 2 くeく3である
ことを用いてよい。

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