授業を聞いて「うんうん、分かった」と思ったのに、いざテストになると手が止まる。問題集を解いて解説を読んで「なるほど」と納得したのに、次の日には同じ問題でつまずく。そんな経験、ありませんか? 実はこの「分かった気がする」で終わる勉強こそ、受験において一番危険な落とし穴かもしれません。今日はその理由を、正直にお話ししたいと思います。
なぜ「分かった気がする」で終わってしまうのか
多くの受験生が、勉強した時間に比べて成績が伸びないと悩んでいます。一生懸命やっているのに結果が出ない。その原因の多くは、僕は「分かった気がする」状態で勉強を終えてしまっていることにあると思っています。
人間の脳は、解説を読んで「理解できた」と感じた瞬間に、なんだか満足してしまうんですね。これを心理学では「流暢性の錯覚」なんて言ったりします。スラスラ読めると、自分はそれを理解した・覚えたと勘違いしてしまう。でも実際には、「理解する」ことと「自分の力で再現できる」ことは、まったく別物なんです。
授業を聞いている時、講師の説明はとても分かりやすく整理されています。だから「分かった気がする」のは当たり前。でもそれは、講師が用意してくれたレールの上を歩いているだけ。テストでは、そのレールが取り払われた状態で、自分一人で答えにたどり着かなければいけません。このギャップに気づかないまま勉強を続けると、頑張っているのに点が取れない、という苦しい状態に陥ってしまうのです。
僕自身が2浪したときの話
偉そうに言っている僕ですが、実は2浪を経験しています。今だから言えますが、現役のときも一浪のときも、僕の勉強はまさに「分かった気がする」で終わっていました。
参考書を読んで、解説を見て、「ああ、なるほどね」と納得する。その瞬間はすごく気持ちがいいんです。勉強した感もあるし、ノートもきれいに埋まっていく。でも、模試になると数学の点数が全然伸びない。当時の僕は「なんでこんなにやってるのに解けないんだ」と本気で悩みました。
2浪目に入って、ようやく気づいたんです。僕は「インプット」ばかりして、「自分の手で再現する」という作業をほとんどやっていなかった、と。試しに、解説を読んだ後に必ず解説を閉じて、何も見ずに自分の力でもう一度解いてみることにしました。すると驚くほど解けない。「分かった気がする」だけで、実は全然分かっていなかったんです。
そこから、解説を読んだ問題には印をつけて、翌日・3日後・1週間後に何も見ずに解き直すようにしました。最初は7割が解けませんでした。でも、解けるようになるまで繰り返すうちに、数学の偏差値が半年で15近く上がったんです。あのとき気づけて本当によかったと、今でも思っています。
「分かった気がする」を「本当に分かった」に変える方法
では、どうすれば「分かった気がする」で終わる勉強から抜け出せるのか。僕が2浪の経験と、その後10年以上の指導で見つけた具体的な方法をお話しします。
1. 解説を閉じて、自力で再現する
これが一番大事です。解説を読んで「なるほど」と思ったら、すぐに解説を閉じてください。そして、何も見ずに最初から自分の手で解いてみる。ここでスラスラ解ければ、それは本当に分かっている証拠です。でも、もし途中で手が止まったら、それは「分かった気がする」だけだった証拠なんですね。この一手間を入れるだけで、勉強の質はまったく変わります。
2. 「人に説明できるか」を試す
誰かに説明するつもりで、声に出して解き方を言葉にしてみてください。「ここでこの公式を使うのは、こういう理由で」と説明できれば本物。説明が詰まる部分が、あなたの本当の弱点です。家族や友達に説明できれば最高ですが、一人なら独り言でも構いません。説明できない部分こそ、もう一度学び直すべきポイントなのです。
3. 時間をあけて解き直す
その場で解けても、それが「定着」したとは限りません。人は驚くほど忘れる生き物です。だからこそ、間違えた問題には日付と印をつけて、翌日、3日後、1週間後と、時間をあけて何度も解き直してください。何も見ずに、毎回スラスラ解けるようになって、はじめて「本当に分かった」と言えると僕は思っています。
4. 情報Iや国語でも同じこと
これは数学だけの話ではありません。僕が専門にしている情報Iでも、用語を「読んで分かった気がする」だけでは共通テストでは戦えません。自分で図を描いて説明できるか、計算問題を白紙から再現できるかが勝負です。国語の読解も同じで、解説を読んで納得しただけでは、初見の文章には対応できない。どの科目でも、「分かった気がする」を「自力で再現できる」に変える作業が、合否を分けるのです。
まとめ:満足感ではなく、再現力を信じよう
「分かった気がする」という満足感は、とても心地よいものです。でも、その心地よさに甘えてしまうと、頑張っているのに伸びないという一番つらい状態にはまってしまう。僕自身が2浪して、痛いほど味わったことです。
大切なのは、勉強した「気持ちよさ」ではなく、「何も見ずに自分の手で解けるかどうか」という事実です。解説を閉じて再現する。人に説明してみる。時間をあけて解き直す。地味で面倒な作業かもしれませんが、これこそが成績を本当に変える勉強だと、僕は確信しています。
今日からぜひ、「分かった気がする」で手を止めず、もう一歩だけ踏み込んでみてください。その一歩の積み重ねが、半年後・一年後の自分を必ず助けてくれるはずです。応援しています。
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