中3数学:毎日の数学 / 数学単元ガイド

関数 y=ax²の利用|制動距離・落下・動点【中3】

身の回りの数量を関数yax²で表すと、測っていない値を予測したり、条件を満たす時刻や長さを求めたりできます。ただし、現実の現象は多くの条件に左右されます。式を作るだけでなく、変数の範囲、単位、モデルが成り立つ条件まで確かめましょう。

利用問題を解く6段階

  1. 変数を決める:何をx、何をyとするか、単位とともに書く。
  2. 変数の範囲を決める:時間なら0以上、線分上の移動なら辺の長さまで、という条件を確認する。
  3. 関係を見つける:y/x²が一定か、図形の公式からx²が現れるかを調べる。
  4. 式を作る:yax²へ値を代入し、比例定数aを求める。
  5. 計算する:求める量に応じて代入または方程式を使う。
  6. 意味を確かめる:単位、定義域、現実の条件に合わない解、モデルの前提を確認する。
数学的モデルとは、現実の特徴を目的に応じて単純化し、式・表・グラフで表したものです。モデルから得た答えは、置いた仮定の範囲で解釈します。

表から二乗に比例するかを見分ける

x≠0の各組についてy/x²を計算し、全て同じ値なら、表の範囲ではyax²と考えられます。

例1:表から式を求める

x 1 2 3 4
y 3 12 27 48
y/x² 3 3 3 3

y/x²が3で一定なので、

y=3x²

と表せます。

測定値には誤差があるため、現実のデータでは比が完全に一致しないことがあります。その場合は、目的に合う近似として二乗比例を採用できるかを、データの範囲と誤差を含めて判断します。

制動距離の簡略モデル

自動車がブレーキをかけてから停止するまでに進む距離を制動距離といいます。一定の条件の下で、制動距離dmがブレーキをかけたときの速さvkm/hの二乗に比例すると仮定すると、

dkv²

と表せます。kは路面、タイヤ、車両などの条件をまとめた比例定数です。

例2:速さ40km/hで制動距離8m

同じ条件で、速さ60km/hのときの制動距離をモデルから予測します。

8=k×40²
k=8/1600=1/200
d=(1/200)×60²=18

モデルによる予測:18m

速さは40km/hから60km/hへ1.5倍になり、制動距離は8mから18mへ2.25倍になっています。1.5²=2.25だからです。

この式は、問題で与えられた「同じ条件」という仮定の下で使う簡略モデルです。実際の停止距離には、運転者が危険を認知してブレーキをかけるまでの空走距離も含まれ、天候、路面、タイヤ、車両、勾配などでも変わります。安全距離をこの計算だけで決めてはいけません。

落下距離の簡略モデル

物体を静かに放し、空気抵抗を無視すると、落下距離ymは時間t秒の二乗に比例します。重力加速度を約10m/s²とする中学校の簡略モデルでは、

y=5t² (t≧0)

となります。より実際に近い重力加速度9.8m/s²を使うと、係数は約4.9です。ここでは計算しやすい5を用います。

例3:3秒後の落下距離

y=5×3²=45

モデルによる予測:45m

例4:80m落下するまでの時間

5t²=80
t²=16
t=±4

時間は0以上なので、t=-4は条件に合いません。

モデルによる答え:4秒

空気抵抗、物体の形、初速度、落下地点までの高さなどを無視したモデルです。高い場所や長い時間の落下へ、そのまま正確な予測として外挿しません。

二つの動点でできる三角形の面積

一辺6cmの正方形ABCDで、点Pは辺AB上を、点Qは辺AD上を、ともにAから毎秒1cmで動きます。

出発してからt秒後は、APAQtcmです。点が辺上にあるため、0≦t≦6です。

例5:三角形APQの面積

ABと辺ADは垂直なので、三角形APQAを直角とする直角三角形です。

面積S=(1/2)×AP×AQ
=(1/2)×t×t
=(1/2)t²

答え:S=(1/2)t²(0≦t≦6)

例6:面積が8cm²になる時刻

(1/2)t²=8
t²=16
t=±4

定義域0≦t≦6に合うのはt=4だけです。

答え:4秒後

式だけなら正負の二つの解が出ても、時間や長さの条件によって採用できる解は一つになることがあります。最初に定義域を書くと、最後の吟味が明確になります。

二つの関数を比べる

同じ時間tに対し、一方の距離が一次関数、もう一方がtの二乗に比例する場合、二つの式を等しくして追いつく時刻を求められます。

例7:s=2ts=(1/2)t²

t≧0として、二つの距離sが等しくなる時刻を求めます。

2t=(1/2)t²
t²-4t=0
tt-4)=0
t=0、4

t=0は出発時です。出発後に再び距離が等しくなるのは4秒後で、そのときs=8です。

答え:出発後では4秒後

変域を現実の条件に合わせる

例8:0秒から5秒までの値域

y=3t²、0≦t≦5とします。t²は0から25まで増えるので、

0≦y≦75

です。時間の範囲を外して「yはいくらでも大きくなる」と答えるのは、問題の条件に合いません。

yax²にできない関係

二乗を含む式が全てyax²になるわけではありません。

場面 yax²か
一辺xの正方形の面積 yx² はい
底辺x、高さが一定4の三角形 y=2x いいえ。一次関数
x、横x+2の長方形 yx²+2x いいえ。xの一次の項もある
一辺xの立方体の体積 yx³ いいえ。三乗に比例

y/x²が一定か、式が定数×x²だけで表せるかを確認します。形が似ているという理由だけで当てはめません。

予測するときの注意

確認項目 問い
単位 xyは何の量で、単位は何か
定義域 負の時間や辺の長さを超える値を使っていないか
仮定 同じ路面、空気抵抗を無視、一定の速さなど、何を仮定したか
内挿と外挿 観測した範囲内の予測か、範囲外へ大きく延ばしていないか
誤差 測定値や係数に誤差がある可能性を考えたか
安全性 簡略モデルだけで安全に関わる判断をしていないか

よくある誤りと直し方

誤り 直し方
表でy/xだけを比べる 二乗比例ではy/x²を比べる
速さが2倍なら制動距離も2倍 二乗比例モデルでは2²=4倍
時間の方程式で負の解も答える 定義域t≧0に合う解だけを採用する
動点が辺を通り過ぎた時刻を使う 速さと辺の長さから時間の上限を求める
単位を書かない 比例定数も含め、問題文と同じ単位で解釈する
モデルを現実の正確な法則とみなす 仮定、データ範囲、無視した要因を明記する

確認問題

  1. x=1、2、3に対してy=4、16、36です。yxの式で表しましょう。
  2. 制動距離dmが速さvkm/hの二乗に比例するとします。30km/hで9mのとき、同じ条件で50km/hの制動距離を求めましょう。
  3. 二乗比例の制動距離モデルで、速さを2倍にすると制動距離は何倍になりますか。
  4. y=5t²の落下モデルで、2.5秒後の落下距離を求めましょう。
  5. 同じモデルで45m落下するまでの時間を求めましょう。
  6. 直角をはさむ二辺を、点PQがともに毎秒2cmで動きます。t秒後の直角三角形の面積Sを式で表し、3秒後の面積を求めましょう。
  7. 問題6の面積が32cm²になる時刻を求めましょう。ただし、0≦t≦5とします。
  8. t≧0で、距離s=3ts=(1/2)t²が、出発後に再び等しくなる時刻を求めましょう。
  9. x=1、2、3に対してy=2、6、12です。この3組はyax²で表せますか。
  10. y=3t²、0≦t≦4のとき、yの値域を求めましょう。
確認問題の解答と考え方
  1. y/x²は全て4なので、y=4x²です。
  2. 9=k×30²よりk=1/100です。d=(1/100)×50²=25なので、25mです。
  3. 2²=4倍です。
  4. y=5×2.5²=5×6.25=31.25なので、31.25mです。
  5. 5t²=45よりt²=9です。t≧0なので3秒です。
  6. 二辺はともに2tcmなので、S=(1/2)×2t×2t=2t²です。3秒後は18cm²です。
  7. 2t²=32よりt²=16です。定義域から4秒後です。
  8. 3t=(1/2)t²より、tt-6)=0です。出発後なので6秒後です。
  9. y/x²は2、3/2、4/3で一定ではないため、一つのyax²では表せません。
  10. 0≦t²≦16なので、0≦y≦48です。

まとめ

  • 変数、単位、定義域を決めてから、数量の関係を式にする。
  • 表ではy/x²が一定かを調べる。
  • 制動距離や落下距離は、問題で示された条件の下で二乗比例の簡略モデルとして扱う。
  • 動点では、速さと辺の長さから時間の定義域を求める。
  • 方程式の解は、時間・長さ・個数などの条件に合うかを吟味する。
  • 予測値は、モデルの仮定、データ範囲、誤差、無視した要因とともに解釈する。

動点・面積・価格の詳しい問題演習

絶対値と場合分けを使う動点関数y=ax²の応用問題で、動くP・Qの座標、三角形の面積、指定面積になる時刻、ピザの価格と半径の関係を図付きで学べます。

学習範囲の根拠

本記事は、文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」の第3学年「関数」にある、具体的な事象の中からyax²として捉えられる関係を見いだし、表・式・グラフを用いて考察し表現する学習内容に沿って構成しています。

前後の単元

前に学ぶ関数yax²で、式・表・放物線・変域・変化の割合を確認できます。

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次に学ぶ相似な図形で、対応する辺の比、相似条件、証明、面積比・体積比を学びます。

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