身の回りの数量を関数y=ax²で表すと、測っていない値を予測したり、条件を満たす時刻や長さを求めたりできます。ただし、現実の現象は多くの条件に左右されます。式を作るだけでなく、変数の範囲、単位、モデルが成り立つ条件まで確かめましょう。
利用問題を解く6段階
- 変数を決める:何をx、何をyとするか、単位とともに書く。
- 変数の範囲を決める:時間なら0以上、線分上の移動なら辺の長さまで、という条件を確認する。
- 関係を見つける:y/x²が一定か、図形の公式からx²が現れるかを調べる。
- 式を作る:y=ax²へ値を代入し、比例定数aを求める。
- 計算する:求める量に応じて代入または方程式を使う。
- 意味を確かめる:単位、定義域、現実の条件に合わない解、モデルの前提を確認する。
表から二乗に比例するかを見分ける
x≠0の各組についてy/x²を計算し、全て同じ値なら、表の範囲ではy=ax²と考えられます。
例1:表から式を求める
| x | 1 | 2 | 3 | 4 |
|---|---|---|---|---|
| y | 3 | 12 | 27 | 48 |
| y/x² | 3 | 3 | 3 | 3 |
比y/x²が3で一定なので、
と表せます。
制動距離の簡略モデル
自動車がブレーキをかけてから停止するまでに進む距離を制動距離といいます。一定の条件の下で、制動距離dmがブレーキをかけたときの速さvkm/hの二乗に比例すると仮定すると、
と表せます。kは路面、タイヤ、車両などの条件をまとめた比例定数です。
例2:速さ40km/hで制動距離8m
同じ条件で、速さ60km/hのときの制動距離をモデルから予測します。
k=8/1600=1/200
d=(1/200)×60²=18
モデルによる予測:18m
速さは40km/hから60km/hへ1.5倍になり、制動距離は8mから18mへ2.25倍になっています。1.5²=2.25だからです。
落下距離の簡略モデル
物体を静かに放し、空気抵抗を無視すると、落下距離ymは時間t秒の二乗に比例します。重力加速度を約10m/s²とする中学校の簡略モデルでは、
となります。より実際に近い重力加速度9.8m/s²を使うと、係数は約4.9です。ここでは計算しやすい5を用います。
例3:3秒後の落下距離
モデルによる予測:45m
例4:80m落下するまでの時間
t²=16
t=±4
時間は0以上なので、t=-4は条件に合いません。
モデルによる答え:4秒
二つの動点でできる三角形の面積
一辺6cmの正方形ABCDで、点Pは辺AB上を、点Qは辺AD上を、ともにAから毎秒1cmで動きます。
出発してからt秒後は、AP=AQ=tcmです。点が辺上にあるため、0≦t≦6です。
例5:三角形APQの面積
辺ABと辺ADは垂直なので、三角形APQはAを直角とする直角三角形です。
=(1/2)×t×t
=(1/2)t²
答え:S=(1/2)t²(0≦t≦6)
例6:面積が8cm²になる時刻
t²=16
t=±4
定義域0≦t≦6に合うのはt=4だけです。
答え:4秒後
二つの関数を比べる
同じ時間tに対し、一方の距離が一次関数、もう一方がtの二乗に比例する場合、二つの式を等しくして追いつく時刻を求められます。
例7:s=2tとs=(1/2)t²
t≧0として、二つの距離sが等しくなる時刻を求めます。
t²-4t=0
t(t-4)=0
t=0、4
t=0は出発時です。出発後に再び距離が等しくなるのは4秒後で、そのときs=8です。
答え:出発後では4秒後
変域を現実の条件に合わせる
例8:0秒から5秒までの値域
y=3t²、0≦t≦5とします。t²は0から25まで増えるので、
です。時間の範囲を外して「yはいくらでも大きくなる」と答えるのは、問題の条件に合いません。
y=ax²にできない関係
二乗を含む式が全てy=ax²になるわけではありません。
| 場面 | 式 | y=ax²か |
|---|---|---|
| 一辺xの正方形の面積 | y=x² | はい |
| 底辺x、高さが一定4の三角形 | y=2x | いいえ。一次関数 |
| 縦x、横x+2の長方形 | y=x²+2x | いいえ。xの一次の項もある |
| 一辺xの立方体の体積 | y=x³ | いいえ。三乗に比例 |
y/x²が一定か、式が定数×x²だけで表せるかを確認します。形が似ているという理由だけで当てはめません。
予測するときの注意
| 確認項目 | 問い |
|---|---|
| 単位 | xとyは何の量で、単位は何か |
| 定義域 | 負の時間や辺の長さを超える値を使っていないか |
| 仮定 | 同じ路面、空気抵抗を無視、一定の速さなど、何を仮定したか |
| 内挿と外挿 | 観測した範囲内の予測か、範囲外へ大きく延ばしていないか |
| 誤差 | 測定値や係数に誤差がある可能性を考えたか |
| 安全性 | 簡略モデルだけで安全に関わる判断をしていないか |
よくある誤りと直し方
| 誤り | 直し方 |
|---|---|
| 表でy/xだけを比べる | 二乗比例ではy/x²を比べる |
| 速さが2倍なら制動距離も2倍 | 二乗比例モデルでは2²=4倍 |
| 時間の方程式で負の解も答える | 定義域t≧0に合う解だけを採用する |
| 動点が辺を通り過ぎた時刻を使う | 速さと辺の長さから時間の上限を求める |
| 単位を書かない | 比例定数も含め、問題文と同じ単位で解釈する |
| モデルを現実の正確な法則とみなす | 仮定、データ範囲、無視した要因を明記する |
確認問題
- x=1、2、3に対してy=4、16、36です。yをxの式で表しましょう。
- 制動距離dmが速さvkm/hの二乗に比例するとします。30km/hで9mのとき、同じ条件で50km/hの制動距離を求めましょう。
- 二乗比例の制動距離モデルで、速さを2倍にすると制動距離は何倍になりますか。
- y=5t²の落下モデルで、2.5秒後の落下距離を求めましょう。
- 同じモデルで45m落下するまでの時間を求めましょう。
- 直角をはさむ二辺を、点P、Qがともに毎秒2cmで動きます。t秒後の直角三角形の面積Sを式で表し、3秒後の面積を求めましょう。
- 問題6の面積が32cm²になる時刻を求めましょう。ただし、0≦t≦5とします。
- t≧0で、距離s=3tとs=(1/2)t²が、出発後に再び等しくなる時刻を求めましょう。
- x=1、2、3に対してy=2、6、12です。この3組はy=ax²で表せますか。
- y=3t²、0≦t≦4のとき、yの値域を求めましょう。
確認問題の解答と考え方
- y/x²は全て4なので、y=4x²です。
- 9=k×30²よりk=1/100です。d=(1/100)×50²=25なので、25mです。
- 2²=4倍です。
- y=5×2.5²=5×6.25=31.25なので、31.25mです。
- 5t²=45よりt²=9です。t≧0なので3秒です。
- 二辺はともに2tcmなので、S=(1/2)×2t×2t=2t²です。3秒後は18cm²です。
- 2t²=32よりt²=16です。定義域から4秒後です。
- 3t=(1/2)t²より、t(t-6)=0です。出発後なので6秒後です。
- 比y/x²は2、3/2、4/3で一定ではないため、一つのy=ax²では表せません。
- 0≦t²≦16なので、0≦y≦48です。
まとめ
- 変数、単位、定義域を決めてから、数量の関係を式にする。
- 表ではy/x²が一定かを調べる。
- 制動距離や落下距離は、問題で示された条件の下で二乗比例の簡略モデルとして扱う。
- 動点では、速さと辺の長さから時間の定義域を求める。
- 方程式の解は、時間・長さ・個数などの条件に合うかを吟味する。
- 予測値は、モデルの仮定、データ範囲、誤差、無視した要因とともに解釈する。
動点・面積・価格の詳しい問題演習
学習範囲の根拠
本記事は、文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」の第3学年「関数」にある、具体的な事象の中からy=ax²として捉えられる関係を見いだし、表・式・グラフを用いて考察し表現する学習内容に沿って構成しています。
