山手学院中学校 算数の傾向と対策【数強塾オリジナル類題つき】
山手学院中学校(横浜市栄区)は、神奈川県を代表する共学の人気進学校のひとつとして広く知られています。「独立自主・不撓不屈」を掲げ、全員参加の海外研修(オーストラリア・北米)に代表される国際交流教育や、クラブ活動・行事に活発に取り組む校風で、多くの受験生・保護者から人気を集めています。JR根岸線「港南台」駅から徒歩圏という通いやすさもあり、神奈川・東京南部の広いエリアから受験生が集まる学校です。本記事では、公開されている入試情報をもとに算数の傾向を整理したうえで、オンライン数学専門塾「数強塾」が作成したオリジナル類題5問(数の性質・場合の数・速さ・平面図形・立体図形)を、考え方・解答・検算つきで掲載します。
入試制度・過去問の入手について
募集人員・入試日程・科目・配点、および受験者数・合格者数・合格最低点・科目別平均点などの入試結果は、山手学院 入試結果(公式) でご確認ください。実際の過去問は、学校配布資料や市販の過去問集でご確認いただけます。本記事では過去問の問題文・図版の転載は一切行いません。
山手学院の入試制度(公開情報より)
山手学院中学校の入試は、複数回の日程で実施されます。公式に公開されている2026年度入試結果によると、A日程(2月1日)・特待選抜Ⅰ(2月1日午後)・特待選抜Ⅱ(2月2日)・B日程(2月3日)のほか、12月には帰国生入試が行われています。A日程・B日程は2科(国語・算数)または4科(国語・算数・社会・理科)を選択でき、特待選抜は2科入試です。
- 算数の配点・試験時間:公式の募集要項(抜粋)では、算数は試験時間50分・100点満点と案内されています。国語も各50分・100点、社会・理科は各40分・80点で、2科合計200点満点、4科合計360点満点です。
- 算数が合否を左右しやすい入試:公式に公開された2026年度の受験者平均点(算数・各100点満点)を見ると、A日程で約60.8点、B日程で約47.6点、特待選抜Ⅱでは約31.4点と、入試回によって算数の平均点が大きく変わるのが特徴です。とくに難度の高い回では算数で差がつきやすく、算数対策の重要度が高い学校といえます。
山手学院の算数はどんな試験か(公開情報にもとづく傾向)
本記事は特定年度の問題の転載・解説ではなく、公開情報から知られる一般的な傾向の整理です。神奈川の共学人気校としては、次のような特徴が知られています。
- 大問構成:例年、前半に計算問題や一行問題(小問集合)、後半に応用的な大問が並ぶ構成が知られています。前半で確実に得点し、後半の応用問題でどれだけ上積みできるかがカギになるといわれます。
- 頻出分野:計算・数の性質のほか、場合の数、割合、速さ(旅人算などの特殊算)、平面図形の求積、立体図形など、受験算数の主要分野からバランスよく出題される傾向が知られています。特定の1分野に偏らず、幅広い単元をまんべんなく仕上げておくことが大切と考えられます。
- 求められる力:50分という試験時間に対して問題量が確保されているため、「計算力」「スピード」「苦手分野を作らないこと」が攻略のポイントとしてよく挙げられます。難問奇問よりも、標準〜応用レベルの問題を正確に速く処理する力が問われる傾向があるといわれます。
※以下の類題5問は、上記の傾向をふまえて数強塾が独自に作成したオリジナル問題です。実在の過去問の複製ではありません。全問、正攻法の解答に加えて独立した別の方法による二重検算を行い、答えの一致を確認しています。
類題1(計算・数の性質)
問題 6で割っても8で割っても5余る3けたの整数について考えます。
(1) このような整数のうち、最も小さいものと最も大きいものを求めなさい。
(2) このような整数は全部で何個ありますか。
(3) このような整数をすべてたすと、いくつになりますか。
【📖大切な考え方】「6で割っても8で割っても5余る」とは、「5を引くと6でも8でも割り切れる」ということです。6でも8でも割り切れる数は、6と8の最小公倍数24の倍数。したがって求める数は「24の倍数に5をたした数」、つまり 24で割ると5余る数 と言いかえられます。「〇でも△でも割り切れる=最小公倍数の倍数」は数の性質の基本の急所です。
解答 (1) 求める数は「24の倍数+5」の形です。3けたで最も小さいものを探すと、24×4+5=101(96+5)。これは3けたで、24×3+5=77 は2けたなので不適。よって最小は 101。
最も大きいものは、24×41+5=984+5=989。次の 24×42+5=1013 は4けたなので不適。よって最大は 989。
(2) 101から989まで、24おきに並ぶ等差数列です。個数は (989−101)÷24+1=888÷24+1=37+1=38個。
(3) 等差数列の和は「(最初+最後)×個数÷2」で求められます。(101+989)×38÷2=1090×38÷2=1090×19=20710。
【✅検算】(2)(3)を別の見方で確かめます。求める数は「24×□+5」で、□は4から41までの整数(101=24×4+5、989=24×41+5)。□の個数は 41−4+1=38個で(2)と一致。和は Σ(24×□+5)=24×(4+5+…+41)+5×38。4から41までの和は (4+41)×38÷2=45×19=855。よって 24×855+5×38=20520+190=20710 となり、(3)と完全に一致します。数強塾では、100から999までを1つずつ調べて条件に合う数を数え上げるコンピュータ計算でも、38個・合計20710を確認しています。
類題2(場合の数)
問題 0、1、2、3、4、5 の6個の数字から異なる3個を選んで並べ、3けたの整数を作ります。
(1) 3けたの整数は全部で何個できますか。
(2) そのうち、偶数は何個できますか。
(3) そのうち、3の倍数は何個できますか。
【📖大切な考え方】3けたの整数を作るときは、いちばん上の位(百の位)に0が使えないのが最大の注意点です。条件のきびしい位から先に決めるのが鉄則。偶数は「一の位が偶数(0・2・4)」で場合分け、3の倍数は「各位の数の和が3の倍数」という判定法を使い、選ぶ3個の組をしぼってから並べ方を数えます。
解答 (1) 百の位は0以外の5通り。十の位は残り5個(0を含む)から5通り。一の位は残り4通り。5×5×4=100個。
(2) 一の位が0・2・4のときに偶数です。
・一の位が0:百の位は残り5個すべて使え5通り、十の位は残り4通り。5×4=20個。
・一の位が2:百の位は0と2以外で4通り、十の位は残り4通り。4×4=16個。
・一の位が4:同様に4×4=16個。
合計 20+16+16=52個。
(3) 各位の和が3の倍数になる3個の組を選びます。6個の数字を3で割った余りで分けると、余り0={0、3}、余り1={1、4}、余り2={2、5}。和が3の倍数になるのは「各グループから1個ずつ選ぶ」場合だけ(余りの和が0+1+2=3)で、2×2×2=8組あります。
・0を含む組(余り0のグループから0を選ぶ):1×2×2=4組。各組の並べ方は、3個の並べ(3×2×1=6通り)から百の位が0の場合(2通り)を除いて4通り。4組×4=16個。
・0を含まない組(余り0のグループから3を選ぶ):4組。各組6通りずつで 4×6=24個。
合計 16+24=40個。
【✅検算】(2)を別の数え方で確かめます。全100個のうち奇数(一の位が1・3・5)を数えると、一の位が1・3・5のいずれでも「百の位はその数と0を除く4通り、十の位は残り4通り」で各16個、計48個。よって偶数は 100−48=52個で一致します。(3)も、和が3の倍数になる8組を具体的に書き出すと {0,1,2}{0,1,5}{0,4,2}{0,4,5}{3,1,2}{3,1,5}{3,4,2}{3,4,5}の8組。0を含む前半4組が各4個、含まない後半4組が各6個で 4×4+4×6=40個。さらに数強塾では、100個すべてを実際に作って偶数・3の倍数を数え上げるコンピュータ計算でも、52個・40個を確認しています。
類題3(速さ・旅人算)
問題 1周1800mの池のまわりを、兄と弟が同じ地点から同時に走り始めます。反対向きに走ると6分ごとに出会い、同じ向きに走ると45分ごとに兄が弟にちょうど追いつきます。2人の速さは一定です。
(1) 兄と弟の速さを、それぞれ分速で求めなさい。
(2) 反対向きに走り始めてから2回目に出会うのは何分後ですか。またそのとき、兄は出発点から池にそって何m進んだ地点にいますか。
【📖大切な考え方】池のまわりを回る旅人算の2大公式です。反対向き(出会い)は「速さの和×時間=1周」、同じ向き(追いつき)は「速さの差×時間=1周」。この2式から「速さの和」と「速さの差」が分かれば、和差算で2人の速さが出せます。「和」と「差」から2つの数を求める——旅人算と和差算の合わせ技です。
解答 (1) 反対向きは6分ごとに出会うので、速さの和は 1800÷6=分速300m。
同じ向きは45分ごとに追いつくので、速さの差は 1800÷45=分速40m。
和差算より、兄(速いほう)=(300+40)÷2=分速170m、弟=(300−40)÷2=分速130m。
(2) 反対向きに進むと、2人の進んだ道のりの合計が1周(1800m)増えるごとに1回出会います。2回目に出会うのは合計が 1800×2=3600m になったとき。速さの和は分速300mなので、3600÷300=12分後。
このとき兄は 170×12=2040m 進んでいます。池は1周1800mなので、2040−1800=240m。よって兄は、出発点から進行方向へ池にそって240m進んだ地点(=出発点をちょうど1周して、さらに240m先)にいます。
【✅検算】(2)を弟の動きから独立に確かめます。12分後、弟は反対向きに 130×12=1560m 進んでいます。兄は同じ地点から反対向きに2040m進んでおり、2人の進んだ道のりの合計は 2040+1560=3600m=ちょうど2周分。2人は反対向きなので、合計が2周ぴったりになる瞬間に同じ地点で出会います。兄の位置240m地点は、弟から見ると出発点から反対向きに 1800−1560=240m の地点でもあり、両者の位置が一致することが確かめられます。(1)も、和170+130=300、差170−130=40 で条件どおりです。
類題4(平面図形)
問題 面積が60cm²の三角形ABCがあります。辺ABを2:1に分ける点をD(AD:DB=2:1)、辺ACを3:1に分ける点をE(AE:EC=3:1)とします。
(1) 三角形ADEの面積を求めなさい。
(2) 四角形DBCEの面積を求めなさい。
(3) BEとCDが交わる点をPとするとき、三角形BPCの面積を求めなさい。
【📖大切な考え方】三角形の面積は「底辺の比×高さの比」で追いかけられます。角Aを共有する三角形ADEと三角形ABCは、2辺の比が AD/AB と AE/AC なので、面積比はその積になります。(3)の交点は、「1本の直線が2点を分ける比は、その直線を底辺とみた2つの三角形の面積比に等しい」という考え方でBP:PEを求めるのが正攻法です。
解答 (1) 三角形ADEと三角形ABCは角Aが共通。AD:AB=2:3、AE:AC=3:4なので、
三角形ADE=三角形ABC×(2/3)×(3/4)=60×(1/2)=30cm²。
(2) 四角形DBCEは、三角形ABCから三角形ADEを除いた部分。60−30=30cm²。
(3) 直線CDが線分BEをPで分ける比 BP:PE は、CDを底辺とみた三角形BCDと三角形ECDの面積比に等しくなります。
・三角形BCD:底辺DB(AB上、DB=AB×1/3)、頂点C。三角形ABCの1/3=20cm²。
・三角形ECD:三角形ACD(=三角形ABCの2/3=40cm²)のうち、底辺をECとみると EC:AC=1:4なので、その1/4で10cm²。
よって BP:PE=20:10=2:1。
次に三角形BPCを求めます。三角形BEC=三角形ABC×(EC/AC)=60×(1/4)=15cm²。三角形BPCは、これを底辺BE上でBP:BE=2:3に切り取った部分なので、15×(2/3)=10cm²。
【✅検算】三角形BPCを、別の三角形CDBから求め直します。三角形BCD=20cm²で、点Pは CD…ではなく BE 上にありますが、三角形BPCと三角形PECは頂点Cを共有し底辺BP:PE=2:1なので、面積比も2:1。三角形BEC=15cm²をこの比で分けると、三角形BPC=15×2/3=10cm²、三角形PEC=15×1/3=5cm²。合計15cm²で三角形BECにぴったり戻ります。さらに数強塾では、A(0,0)・B(1,0)・C(0,1)と座標を置いてD・E・交点Pの位置を計算する方法でも、三角形ADE=全体の1/2、三角形BPC=全体の1/6(10cm²)、BP:PE=2:1を確認しました。
類題5(立体図形・水そう)
問題 底面が縦40cm・横50cm、高さ30cmの直方体の水そうがあります。底に垂直な仕切り板で内部を2つの部分に分けており、上から見ると底面は「縦40cm×横20cmの部分A」と「縦40cm×横30cmの部分B」に分かれています。仕切り板の高さは18cmで、板の厚さは考えません。空の状態から、部分Aの側に毎分4L(=4000cm³)の割合で水を入れます。
(1) 部分Aの水面が仕切り板の高さ(18cm)に達するのは、水を入れ始めてから何分後ですか。
(2) 部分Bの水面が仕切り板の高さに達するのは、何分後ですか。
(3) 水そうが満水になるのは、何分後ですか。
【📖大切な考え方】仕切りのある水そうは、「水がどの部分に、どの順番でたまるか」を段階に分けて考えるのが急所です。まずAだけにたまり、Aが仕切りの高さまでいっぱいになると、あふれた水がBへ流れ込みます。Bが同じ高さに達したあとは、仕切りを越えて全体が1つの直方体としていっしょに水位を上げます。各段階の「たまる体積÷毎分の水量」で時間を求めます。
解答 (1) はじめ、水は部分Aだけにたまります。Aが高さ18cmになるまでの水の体積は 40×20×18=14400cm³。毎分4000cm³なので、14400÷4000=3.6分後。
(2) Aが仕切りの高さに達すると、あふれた水が部分Bにたまり始めます(このときAの水位は18cmのまま)。Bが高さ18cmになるまでの体積は 40×30×18=21600cm³。かかる時間は 21600÷4000=5.4分。よって水を入れ始めてからは 3.6+5.4=9分後。
(3) A・Bの両方が仕切りの高さ18cmに達したあとは、水そう全体(底面40×50)で水位が上がります。18cmから満水30cmまで、あと12cm。体積は 40×50×12=24000cm³で、時間は 24000÷4000=6分。よって満水になるのは 9+6=15分後。
【✅検算】満水までに入れた水の総量から逆算して確かめます。満水時、水そうには 40×50×30=60000cm³=60Lの水が入ります(仕切り板は厚さを考えないので体積に影響しません)。毎分4Lで入れるので、満水までは 60000÷4000=15分。これは(3)の15分と一致します。また各段階の水量の合計 14400+21600+24000=60000cm³ も水そうの容積60000cm³にぴったり等しく、段階分けにもれや重なりがないことが確かめられます。数強塾では、水位を細かく刻んで各時刻の水量を積み上げるコンピュータ計算でも、3.6分・9分・15分を確認しています。
学校公表データで見る、山手学院の算数
山手学院中学校は、入試結果として日程ごとの志願者数・受験者数・合格者数・合格最低点、そして教科別の受験者平均点を公表しています。2科(国算)と4科を選べる日程があり、合格最低点もそれぞれ示されています。
※合格者の教科別平均点は公表されていないため、「合格者と受験者の差」は計算できません。ここでは公表されている数字だけを扱います。
| 日程 | 合格最低点(2科) | 合格最低点(4科) | 算数 受験者平均 |
|---|---|---|---|
| A日程 | 127/200(63.5%) | 228/360(63.3%) | 61.9点 |
| 特待選抜 | 特待146/200(73.0%) 一般112/200(56.0%) |
—(2科のみ) | 50.1点 |
| B日程 | 110/200(55.0%) | 209/360(58.1%) | 52.4点 |
| 後期日程 | 128/200(64.0%) | 242/360(67.2%) | 49.7点 |
※算数は100点満点。得点率は当方で計算しました。
① 特待選抜の算数は、A日程より明らかに重い。算数の受験者平均は、A日程が61.9点なのに対して特待選抜は50.1点。11.8点低い数字です。特待選抜は2科(国語・算数)だけの入試なので、算数1教科の重みがそのまま倍になります。
しかも特待選抜は国語の受験者平均が65.4点と4日程で最も高く、国語で差がつきにくいぶん、算数がそのまま合否になります。特待合格の最低点は200点満点で146点(73.0%)。ここを狙うなら、算数の対策の密度を上げるほかありません。
② 2科と4科で、合格ラインの得点率はほぼ同じ。A日程は2科63.5%・4科63.3%でほとんど差がありません。B日程は2科55.0%・4科58.1%で2科のほうが3.1ポイント低く、後期日程は2科64.0%・4科67.2%で2科のほうが3.2ポイント低い。2科を選んだから有利、4科だから不利ということはありません。得意な組み合わせで受けるのが基本です。
③ 理科の受験者平均が、4日程とも最も低い。80点満点で41.1〜42.3点、得点率にすると51.4〜52.9%です。社会は60.1〜63.4%、国語は48.4〜65.4%、算数は49.7〜61.9%。理科は4科で受ける場合の弱点になりやすい教科です。
④ 合格ラインは概ね6割前後。日程と方式によって55.0〜67.2%(特待合格は73.0%)の幅があります。満点はどの日程でも必要ありません。いちばん低いのはB日程の2科55.0%、いちばん高いのは後期日程の4科67.2%です。
山手学院を目指す受験生への学習アドバイス
【時期別】
- 6年生の夏まで:全分野の典型問題を穴なく仕上げることが最優先です。山手学院のように分野を絞らず幅広く出題される入試ほど、苦手分野を1つでも残すと大きな失点につながります。計算力(速く・正確に・工夫して)も、この時期に徹底的にきたえておきましょう。
- 秋(9〜11月):標準〜応用レベルの問題を、時間を計って解く練習を増やします。本記事の類題のように「最小公倍数で言いかえる」「条件のきびしい所から決める」「和と差から2数を求める」「面積比で追う」「段階に分けて考える」といった型を、確実に使えるようにする時期です。過去問演習は、学校配布資料や市販の過去問集を使い、本番の50分を意識して取り組みましょう。
- 直前期(12月〜1月):50分の時間配分の練習が中心です。前半の計算・一行問題を速く正確に固めて確実に得点し、後半の応用問題に時間を残す——この「解く順番と時間の使い方」を、本番と同じ形式でくり返し練習しましょう。見直し・検算の習慣を最後まで大切にしてください。
【分野別】
- 計算・数の性質:約数・倍数・最小公倍数を「計算技術」ではなく「数のしくみを見る道具」として使えるように(類題1)。余りの条件は「割り切れる形に言いかえる」練習を重ねましょう。
- 場合の数:条件のきびしい所から決める、樹形図・表で数え上げをもれなく行う(類題2)。「全体から除く」数え方も引き出しに入れておくと検算に使えます。
- 速さ:旅人算は「出会い=速さの和」「追いつき=速さの差」を図とセットで(類題3)。線分図やダイヤグラムで状況を図示し、出した答えで全員の動きを再現して確かめる習慣を。
- 平面図形:面積は「底辺の比×高さの比」で追う、共通の角・平行線・相似を見つける(類題4)といった定石を、1つずつ言葉で説明できるレベルまで。
- 立体図形:水そう・容積問題は段階に分けて図に水位をかき込む(類題5)。切断や展開図では、真上・真横から見た図を自分の手でかく練習を重ねましょう。
▶ 関連:中央大学附属横浜 算数の傾向と対策|神奈川大学附属 2026年度 算数|過去問解説・数学問題集
📚 代表・藤原進之介は「書店で会える講師」です
代表の藤原進之介の著書は全国の書店に並んでおり、有隣堂 横浜駅西口エキニア店では直筆サイン色紙を掲出いただいています。横浜エリアの書店で実際に手に取ってご確認いただけることが、私たちの指導品質の何よりの証明だと考えています。
本ページが扱う入試問題の著作権は 山手学院中学校 に帰属します。出典:山手学院中学校 算数年度 入学試験問題「」。
掲載しているのは、受験生の学習支援を目的として数強塾が独自に作成した解答・解説です。学校が公表した公式解答ではありません(一般的な解答例と照合した場合は本文中にその旨を明記しています)。問題文の引用は解法の説明に必要な最小限にとどめています。
掲載内容について権利者の方からご連絡がある場合は、お問い合わせより速やかに対応いたします。
【補講】三角形 \(\mathrm{BPC}\) は、\(1\) つの式で出せます
類題4(3)は、\(\mathrm{BP}:\mathrm{PE}\) を出してから面積へ進み、\(10\;\mathrm{cm}^2\) にたどり着きました。ていねいで正しい道です。ただしこの形の問題は、比を \(2\) つ入れるだけの式で答えが出ます。その式を、記事の解き方から作ります。
① 角を共有する三角形は「\(2\) 辺の比の積」
まず(1)の \(60 \times \dfrac23 \times \dfrac34 = 30\) の中身です。\(2\) 段階に分けると、どちらも「底辺の比」だけの話になります。
| 段階 | どう動かすか | 比 | 面積 |
|---|---|---|---|
| \(\mathrm{ABC} \to \mathrm{ADC}\) | 底辺を \(\mathrm{AB}\) から \(\mathrm{AD}\) へ(頂点 \(\mathrm{C}\) は共通) | \(\dfrac{\mathrm{AD}}{\mathrm{AB}} = \dfrac23\) | \(60 \to 40\) |
| \(\mathrm{ADC} \to \mathrm{ADE}\) | 底辺を \(\mathrm{AC}\) から \(\mathrm{AE}\) へ(頂点 \(\mathrm{D}\) は共通) | \(\dfrac{\mathrm{AE}}{\mathrm{AC}} = \dfrac34\) | \(40 \to 30\) |
どちらの段階も高さが変わらないので、面積は底辺の比だけで決まります(なぜ底辺と高さが同じ三角形は面積が等しいのか)。\(2\) 回続けたのでかけ算になり、\(\dfrac23 \times \dfrac34 = \dfrac12\)。「\(2\) 辺の比をかける」の正体は、\(1\) 辺ずつ \(2\) 回動かしただけです。
② 交点の比を、面積で読む
(3)で \(\mathrm{BP}:\mathrm{PE} = 20:10\) としたところを見ます。これは三角形 \(\mathrm{BCD}\) と 三角形 \(\mathrm{ECD}\) の面積比でした。なぜそれが \(\mathrm{BP}:\mathrm{PE}\) になるのか。
この \(2\) つの三角形は、辺 \(\mathrm{CD}\) を共通の底辺にしています。だから面積比は、\(\mathrm{B}\) と \(\mathrm{E}\) から直線 \(\mathrm{CD}\) までの距離の比。そして \(\mathrm{P}\) は \(\mathrm{BE}\) が \(\mathrm{CD}\) と交わる点なので、その距離の比はそのまま \(\mathrm{BP}:\mathrm{PE}\) です。
「\(2\) 点が直線をまたぐとき、分けられる比=その直線を底辺とする \(2\) つの三角形の面積比」。これは交点が出てくる問題のほぼすべてで使えます。補助線を引かずに比が出るので、時間の短い試験では特に強い手です。
③ まとめると、\(1\) つの式になる
①②を一般の比でやり直します。\(\mathrm{AD}:\mathrm{DB} = p:q\)、\(\mathrm{AE}:\mathrm{EC} = r:s\) とすると、同じ手順で次の式が出ます。
\(\dfrac{\text{三角形 BPC}}{\text{三角形 ABC}} = \dfrac{1}{\ 1 + \dfrac{\mathrm{AD}}{\mathrm{DB}} + \dfrac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EC}}\ }\)
記事の場合、\(\dfrac{\mathrm{AD}}{\mathrm{DB}} = \dfrac21 = 2\)、\(\dfrac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EC}} = \dfrac31 = 3\) なので\(\dfrac{1}{1+2+3} = \dfrac16\)。\(60 \times \dfrac16 = 10\;\mathrm{cm}^2\)。記事の答えとぴったり一致します。
ほかの比でも確かめました。
| \(\mathrm{AD}:\mathrm{DB}\) | \(\mathrm{AE}:\mathrm{EC}\) | \(1+\frac{\mathrm{AD}}{\mathrm{DB}}+\frac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EC}}\) | 式の値 | 図から計算した値 |
|---|---|---|---|---|
| \(2:1\) | \(3:1\) | \(6\) | \(\frac16\) | \(\frac16\) |
| \(1:1\) | \(1:1\) | \(3\) | \(\frac13\) | \(\frac13\) |
| \(2:1\) | \(1:1\) | \(4\) | \(\frac14\) | \(\frac14\) |
| \(1:2\) | \(1:2\) | \(2\) | \(\frac12\) | \(\frac12\) |
| \(3:2\) | \(4:5\) | \(\frac{33}{10}\) | \(\frac{10}{33}\) | \(\frac{10}{33}\) |
| \(5:3\) | \(2:7\) | \(\frac{62}{21}\) | \(\frac{21}{62}\) | \(\frac{21}{62}\) |
きれいでない比でも合っています(なぜ文字を使うと「いつでも成り立つ」ことを証明できるのか)。分数どうしを足すので、通分だけは落ち着いて(なぜ分母の違う分数はそのまま足せないのか)。
④ 両方が中点なら、\(\mathrm{P}\) は重心
③の式に \(\dfrac{\mathrm{AD}}{\mathrm{DB}} = 1\)、\(\dfrac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EC}} = 1\) を入れると\(\dfrac{1}{1+1+1} = \dfrac13\)。
このとき \(\mathrm{BE}\) と \(\mathrm{CD}\) はどちらも中線なので、交点 \(\mathrm{P}\) は重心です(なぜ三角形の重心は中線を2:1に分けるのか)。重心と \(2\) 頂点でできる三角形が全体の \(\dfrac13\) というのは、重心が三角形を \(3\) 等分するという有名な事実そのものです。
式の \(1+\dfrac{\mathrm{AD}}{\mathrm{DB}}+\dfrac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EC}}\) の 先頭の \(1\) が「重心のぶん」だと思うと覚えやすくなります。\(\mathrm{D}\) や \(\mathrm{E}\) が \(\mathrm{A}\) 側に寄る(比が小さくなる)ほど分母は小さくなり、三角形 \(\mathrm{BPC}\) は大きくなる。記事は \(2\) と \(3\) なので、重心のときの \(\dfrac13\) の半分になりました。
⑤ \(4\) つに分けて、全部たす
\(\mathrm{BE}\) と \(\mathrm{CD}\) を引くと、三角形 \(\mathrm{ABC}\) は \(4\) つに分かれます。全部の面積を出して、合計が \(60\) にもどるか確かめます。
| 部分 | 出し方 | 面積 |
|---|---|---|
| 三角形 \(\mathrm{BPC}\) | ③の式で \(60 \times \frac16\) | \(10\) |
| 三角形 \(\mathrm{PEC}\) | 三角形 \(\mathrm{BEC}\ (=15)\) から \(\mathrm{BPC}\) を引く | \(5\) |
| 三角形 \(\mathrm{DBP}\) | 三角形 \(\mathrm{BCD}\ (=20)\) から \(\mathrm{BPC}\) を引く | \(10\) |
| 四角形 \(\mathrm{ADPE}\) | 残り | \(35\) |
| 合計 | \(60\) |
ぴったり \(60\) にもどりました。ここで \(\mathrm{BPC}\) と \(\mathrm{DBP}\) がどちらも \(10\) で等しいことに気づきます。\(\mathrm{BP}\) を共通の底辺と見ると、\(\mathrm{C}\) と \(\mathrm{D}\) から \(\mathrm{BE}\) までの距離が同じ、ということ。
これはこの問題の数字だからそうなっただけで、いつでも等しいわけではありません。中点どうしのとき(④)は \(\mathrm{BPC} = 20\)、\(\mathrm{DBP} = 10\) で \(2\) 倍違います。たまたま同じ数が出たときこそ、「これは一般の性質か、この問題だけか」を分けておくのが大事です(検算のしかた7つ|答えを出したあと30秒で間違いを見つける技術)。
座標でも確かめました。\(\mathrm{A}(0,0)\)、\(\mathrm{B}(1,0)\)、\(\mathrm{C}(0,1)\) と置くと\(\mathrm{D}\left(\frac23,\,0\right)\)、\(\mathrm{E}\left(0,\,\frac34\right)\)、交点は \(\mathrm{P}\left(\frac13,\,\frac12\right)\)。三角形 \(\mathrm{BPC}\) の面積は全体の \(\dfrac16\) で、上の表と一致します(なぜベクトルの和は平行四辺形になるのか)。
数強塾オリジナル類題(4問)
すべて当塾で作成し、答えは③の式と、座標を置いて \(4\) つの部分を全部計算する方法の両方で照合してあります。図はどれも記事と同じ形(\(\mathrm{D}\) は辺 \(\mathrm{AB}\) 上、\(\mathrm{E}\) は辺 \(\mathrm{AC}\) 上、\(\mathrm{P}\) は \(\mathrm{BE}\) と \(\mathrm{CD}\) の交点)です。
類題1 \(\mathrm{AD}:\mathrm{DB} = 1:1\)、\(\mathrm{AE}:\mathrm{EC} = 1:2\)
三角形 \(\mathrm{ABC}\) の面積が \(60\;\mathrm{cm}^2\) です。(1) 三角形 \(\mathrm{ADE}\) の面積を求めなさい。(2) 三角形 \(\mathrm{BPC}\) の面積を求めなさい。(3) 三角形 \(\mathrm{PEC}\) の面積を求めなさい。
答え
(1) ①より \(60 \times \dfrac12 \times \dfrac13 = \mathbf{10}\;\mathrm{cm}^2\)。(2) ③より \(\dfrac{\mathrm{AD}}{\mathrm{DB}} = 1\)、\(\dfrac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EC}} = \dfrac12\) なので\(\dfrac{1}{1+1+\frac12} = \dfrac{1}{\frac52} = \dfrac25\)。\(60 \times \dfrac25 = \mathbf{24}\;\mathrm{cm}^2\)。(3) 三角形 \(\mathrm{BEC} = 60 \times \dfrac23 = 40\)。ここから \(\mathrm{BPC}\) を引いて \(40-24 = \mathbf{16}\;\mathrm{cm}^2\)。
(2)の分母 \(\dfrac52\) が記事の \(6\) より小さいので、\(\mathrm{BPC}\) は記事の \(10\) より大きい \(24\) になりました。\(\mathrm{D}\) と \(\mathrm{E}\) が \(\mathrm{A}\) に近いほど、\(\mathrm{BPC}\) は大きくなります。極端に \(\mathrm{A}\) に寄せれば、\(\mathrm{BPC}\) は三角形全体に近づきます。
類題2 \(\mathrm{AD}:\mathrm{DB} = 1:2\)、\(\mathrm{AE}:\mathrm{EC} = 1:2\)
三角形 \(\mathrm{ABC}\) の面積が \(90\;\mathrm{cm}^2\) です。(1) 三角形 \(\mathrm{ADE}\) の面積を求めなさい。(2) 三角形 \(\mathrm{BPC}\) の面積を求めなさい。(3) \(4\) つの部分の面積をすべて求め、合計が \(90\) になるか確かめなさい。
答え
(1) \(90 \times \dfrac13 \times \dfrac13 = \mathbf{10}\;\mathrm{cm}^2\)。(2) \(\dfrac{\mathrm{AD}}{\mathrm{DB}} = \dfrac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EC}} = \dfrac12\) なので\(\dfrac{1}{1+\frac12+\frac12} = \dfrac12\)。\(90 \times \dfrac12 = \mathbf{45}\;\mathrm{cm}^2\)。(3) 次のとおりです。
| 部分 | 面積 |
|---|---|
| 三角形 \(\mathrm{BPC}\) | \(45\) |
| 三角形 \(\mathrm{PEC}\) | \(15\) |
| 三角形 \(\mathrm{DBP}\) | \(15\) |
| 四角形 \(\mathrm{ADPE}\) | \(15\) |
| 合計 | \(90\) |
\(\mathrm{BPC}\) が全体のちょうど半分で、残り \(3\) つが \(15\) ずつ。\(\mathrm{AD}:\mathrm{DB}\) と \(\mathrm{AE}:\mathrm{EC}\) が同じなので、図が \(\mathrm{A}\) を通る線について対称になり、\(\mathrm{PEC}\) と \(\mathrm{DBP}\) が等しくなります。四角形まで同じ \(15\) になるのは、この比のときだけの偶然です。
類題3 両方が中点のとき
\(\mathrm{D}\) が辺 \(\mathrm{AB}\) の中点、\(\mathrm{E}\) が辺 \(\mathrm{AC}\) の中点で、三角形 \(\mathrm{ABC}\) の面積が \(60\;\mathrm{cm}^2\) です。(1) 三角形 \(\mathrm{BPC}\) の面積を求めなさい。(2) 点 \(\mathrm{P}\) は何と呼ばれる点ですか。(3) \(4\) つの部分の面積をすべて求めなさい。
答え
(1) \(\dfrac{1}{1+1+1} = \dfrac13\) より \(60 \times \dfrac13 = \mathbf{20}\;\mathrm{cm}^2\)。(2) \(\mathrm{BE}\) も \(\mathrm{CD}\) も中線なので、\(\mathrm{P}\) は重心。(3) 三角形 \(\mathrm{BPC} = 20\)、三角形 \(\mathrm{PEC} = 10\)、三角形 \(\mathrm{DBP} = 10\)、四角形 \(\mathrm{ADPE} = 20\)。合計 \(60\)。
(3)で \(\mathrm{BPC}\) と 四角形 \(\mathrm{ADPE}\) がどちらも \(20\) になります。重心は三角形を \(3\) 等分するので、\(\mathrm{BPC}\) が \(20\) なのは分かりますが、四角形も同じ \(20\) というのは少し意外です。残りの \(2\) つの三角形が \(10\) ずつなので、\(20:10:10:20\) という並びになっています。
類題4 答えから比を逆に探す
三角形 \(\mathrm{BPC}\) の面積が、三角形 \(\mathrm{ABC}\) のちょうど \(\dfrac15\) になりました。(1) \(\dfrac{\mathrm{AD}}{\mathrm{DB}} + \dfrac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EC}}\) はいくつですか。(2) そのような比の組を \(3\) つ挙げなさい。(3) 三角形 \(\mathrm{ABC}\) が \(60\;\mathrm{cm}^2\) のとき、(2)のどの組でも三角形 \(\mathrm{BPC}\) が同じ面積になることを確かめなさい。
答え
(1) \(\dfrac{1}{1+x} = \dfrac15\) より \(1+x = 5\)、\(x = \mathbf{4}\)。(2) 和が \(4\) になればよいので、たとえば
| \(\mathrm{AD}:\mathrm{DB}\) | \(\mathrm{AE}:\mathrm{EC}\) | \(\frac{\mathrm{AD}}{\mathrm{DB}}+\frac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EC}}\) | 三角形 \(\mathrm{BPC}\) |
|---|---|---|---|
| \(3:1\) | \(1:1\) | \(3+1 = 4\) | \(12\) |
| \(1:1\) | \(3:1\) | \(1+3 = 4\) | \(12\) |
| \(2:1\) | \(2:1\) | \(2+2 = 4\) | \(12\) |
(3) どれも \(60 \times \dfrac15 = \mathbf{12}\;\mathrm{cm}^2\)。比の組が違っても、\(2\) つの比の和さえ同じなら答えは変わりません。
ただしほかの部分の面積は変わります。三角形 \(\mathrm{PEC}\) は、\(3:1\) と \(1:1\) の組なら \(18\)、\(1:1\) と \(3:1\) の組なら \(3\)、\(2:1\) と \(2:1\) の組なら \(8\)。\(\mathrm{BPC}\) だけが和で決まり、残りは組ごとに違う——ここが③の式の効く範囲です。
\(4\) 問に共通するのは、\(\mathrm{BPC}\) だけなら比 \(2\) つの和で決まることです。\(\mathrm{P}\) の位置も、\(\mathrm{BP}:\mathrm{PE}\) も、途中では要りません。ただしほかの部分まで聞かれたら、②の面積比の手筋にもどる必要があります。式は近道であって、道そのものではありません。
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