朝型・夜型論争に決着をつける。受験生はどちらが有利か

コラム

「やっぱり朝型にしたほうがいいのかな…」「でも自分は夜のほうが集中できるんだよな…」。こんなふうに、自分の生活リズムに悩んだことはないかもしれない、いや、きっと一度はあると思う。受験生にとって「朝型・夜型」はちょっとした永遠のテーマだ。SNSを見れば「朝5時起きが最強」という人もいれば、「深夜の静けさが一番はかどる」という人もいる。一体どっちが正しいんだろう。今日はこの論争に、僕なりの答えを出してみたいと思う。

なぜ「朝型・夜型」はこんなに議論になるのか

そもそも、なぜ受験生の間でこんなに「朝型・夜型」論争が起きるのか。理由はシンプルで、どちらにも一理あるからだと思う。

朝型を推す人は「試験本番が午前中だから、朝に頭が働く習慣をつけるべき」と言う。これは正しい。共通テストも多くの二次試験も、午前9時や9時半から始まる。脳が完全に目覚めるには起床から3時間ほどかかると言われているので、逆算すると朝6時前後には起きておきたい、という理屈になる。

一方で夜型を推す人は「夜は静かで集中できるし、自分のパフォーマンスが一番高いのは夜だ」と言う。これも嘘ではない。実際、人にはもともと持っている体内時計のタイプ(クロノタイプ)があって、遺伝的に夜のほうが活動的な人も一定数いることが研究でわかっている。

つまり、どちらが「絶対に正しい」と言い切れないからこそ、いつまでも論争が続いているわけだ。だから僕は、白黒つけるよりも「受験という特殊なゲームにおいて、どちらが有利か」という視点で考えるべきだと思っている。

2浪した僕が体験した「夜型の落とし穴」

ここで、僕自身の話をさせてほしい。僕は2浪している。1浪目の僕は、完全な夜型だった。

深夜0時を過ぎてから「よし、やるぞ」とエンジンがかかり、午前2時、3時まで勉強する。静かだし、誰にも邪魔されないし、なんだか自分が特別な努力をしているような気分にもなれた。当時の僕は本気で「夜のほうが集中できる」と思い込んでいた。

でも、結果はどうだったか。模試の成績が、なかなか上がらなかったんだ。理由はあとになってわかった。模試はたいてい午前中から始まる。ところが僕の脳は、その時間帯にまだ半分眠っていたのだ。深夜に解いた問題はスラスラ解けるのに、午前9時の数学では計算ミスを連発した。練習と本番の「時間帯」がズレていたら、いくら勉強量を積んでも本番で力を出せない。これは、夜型の一番怖い落とし穴だった。

2浪目、僕は思い切って生活リズムを朝型に変えた。最初の1週間は本当につらかった。眠くて頭が回らない。でも10日ほどで体が慣れてきて、3週間もすると午前中から頭が冴えるようになった。そこから成績は安定して伸び始めた。あのとき生活を変えていなかったら、たぶん今の僕はいないと思う。

結論:受験生は「朝型」のほうが有利。ただし条件つき

こうした自分の体験と、その後の指導経験をふまえて、僕の出した結論はこうだ。受験という土俵においては、朝型のほうが有利だと思う。

理由は、さっきも書いた通り、試験本番が午前中だからだ。これは個人の好みではどうにもならない、受験というゲームのルールそのものだ。どんなに夜のほうが集中できる人でも、本番で実力を発揮できなければ意味がない。だから「朝に頭が働く体」を作っておくことは、受験生にとって明確なアドバンテージになる。

ただし「無理な早起き」は逆効果

とはいえ、ここで気をつけてほしいことがある。「朝型が有利」と聞いて、いきなり朝4時起きを目指す人がいる。でも、これはおすすめしない。睡眠時間を削ってまで早起きしても、日中ずっと眠くて勉強の質が落ちてしまっては本末転倒だからだ。

大事なのは「早起き」そのものではなく、試験本番の時間帯に脳のピークを合わせることだ。僕が指導してきた生徒の中でも、伸びるのは「6時半に起きて7時から軽く勉強を始める」くらいの、無理のない朝型に落ち着いた子が多い。睡眠時間は6〜7時間しっかり確保したうえで、起きる時間を前に倒す。これがちょうどいいバランスだと感じている。

夜型から朝型への切り替え方

もし今あなたが夜型で、これから朝型に変えたいなら、いくつかコツがある。

ひとつは、一気に変えようとしないこと。いきなり3時間も早く起きようとすると体がついてこない。毎日15分ずつ起床時間を早めていくと、体内時計が少しずつ前にずれてくれる。

もうひとつは、朝に光を浴びること。起きたらカーテンを開けて、太陽の光を浴びる。これだけで体内時計がリセットされ、夜に自然と眠くなりやすくなる。逆に、夜遅くまでスマホの強い光を浴びていると、眠気が遠のいてしまう。寝る1時間前にはスマホを手放すだけでも、ずいぶん変わると思う。

そして、切り替えには2〜3週間かかると覚悟しておくこと。最初の数日でうまくいかなくても、それは普通だ。僕も10日かかった。焦らず続けてほしい。

まとめ:自分の体を、試験に合わせてあげよう

「朝型・夜型」論争に、僕なりの決着をつけるとすれば、こうなる。人それぞれ得意な時間帯はあるけれど、受験生に限っては、試験本番に合わせて朝型に寄せておくほうが有利だと思う。これは性格の問題ではなく、戦略の問題だ。

かつての僕のように、夜の集中力に酔って本番で失敗してほしくない。あなたの努力が、ちゃんと本番で報われてほしい。そのために、今のうちから「朝に戦える体」を少しずつ作っておこう。生活リズムを整えることは、地味だけれど、確実に効く受験対策のひとつだ。今日からカーテンを開けて、朝の光を浴びるところから始めてみてほしい。きっと、半年後のあなたを助けてくれるはずだ。


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勉強が「続かない」子に足りないのは、意志ではなく仕組みだ

コラム

「勉強が続かない」という悩みの多くは、意志力の問題ではなく仕組みの問題だ。意志力に頼る勉強は長続きしない。仕組みを作れば、意志力がなくても続けられる。

習慣化の黄金法則:「きっかけ→行動→報酬」

習慣は「きっかけ→行動→報酬」のループで定着する。「夕食後(きっかけ)→数学を30分解く(行動)→好きな動画を10分見る(報酬)」というセットを設計することで、習慣が自動化される。

「やること」を具体化しすぎるくらい具体化する

「今日は数学を勉強する」では続かない。「今日は青チャート例題21番を1問解く」まで具体化する。あいまいな目標は行動を阻害する。具体的な行動目標が、実行率を高める。

「記録する」だけで続きやすくなる

勉強した日をカレンダーに×印をつけるだけで、継続率が上がる。「連続記録を途切れさせたくない」という感覚が、行動の動機になる。シンプルな記録の仕組みが、意志力より強いドライバーになる。


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参考書を何冊も買う子が、一冊だけやる子に負け続ける理由

コラム

本棚に並んだ参考書を見て、ちょっとだけ安心した経験はないだろうか。新しい一冊を買った日は、なんだか勉強が進んだ気がして、心が落ち着く。でも、テストの点はなかなか上がらない。気づけばどの本も最初の30ページだけが手垢で黒くなっていて、後ろは新品のまま。「あれ、こんなに買ってるのに、なんで成績が伸びないんだろう」——もし今、少しでもドキッとしたなら、この記事はきっとあなたのために書いた。

なぜ参考書を何冊も買ってしまうのか

まず言っておきたいのは、参考書を何冊も買ってしまうのは、あなたが怠けているからではない、ということだ。むしろ逆で、真面目で不安を感じやすい子ほど、たくさん買ってしまう傾向があると僕は感じている。

「この一冊で本当に合格できるのかな」「みんなが使ってるあの参考書、自分は持ってないけど大丈夫かな」——そういう不安が、書店やネットで新しい一冊をポチらせる。買った瞬間は、その不安が一時的に消える。でも、それは勉強したわけじゃなくて、「勉強した気分」を買っただけなんだ。

SNSを開けば、合格者が「この参考書がおすすめ」と紹介している。情報が多すぎる時代だからこそ、僕たちは「もっといいやり方があるんじゃないか」と探し続けてしまう。でもその探し続ける時間こそが、本当は一番もったいない時間なのかもしれない。

僕自身が「何冊も買う子」だった

正直に告白すると、2浪していた頃の僕は、まさに参考書を何冊も買う子だった。

数学の参考書だけで、たぶん15冊くらいは持っていたと思う。基礎の薄い問題集、有名な分厚い網羅系、ハイレベルな演習書、過去問集。買うたびに「これで完璧だ」と思った。でも実際に最後までやり切ったものは、ほとんどなかった。

ある日、同じ予備校の友人に「お前、その問題集の例題、全部解ける?」と聞かれて、僕は答えに詰まった。彼は一冊の網羅系問題集を、もう3周も回していた。表紙はボロボロで、付箋だらけ。彼は決して器用なタイプじゃなかったけれど、その一冊に書いてある解法は、まるで自分の言葉のように説明できた。

一方の僕は、10冊以上持っているのに、どの解法も中途半端にしか頭に入っていなかった。模試の結果が出たとき、彼は僕より20点以上も高かった。冊数では僕が圧勝なのに、点数では完敗。あのときの悔しさは、今でもはっきり覚えている。

そこからだ。僕が「一冊を完璧にする」ことの本当の意味を、ようやく理解し始めたのは。

参考書を何冊も買う子が、一冊だけやる子に負け続ける理由

では本題。なぜ参考書を何冊も買う子が、一冊だけやり切る子に負け続けるのか。理由を整理してみたい。

理由1:知識が「定着」する前に次へ行ってしまう

勉強で一番大事なのは「繰り返し」だと、僕は思っている。人間の脳は、一度見ただけの情報をほとんど忘れてしまうようにできている。だからこそ、同じ問題を2回、3回と解き直すことで、初めて知識が自分のものになる。

でも何冊も買う子は、一周目が終わると「次の本」へ行ってしまう。すると最初の本の内容はどんどん抜けていく。新しい本でも同じことを繰り返す。結果、どの知識も「うっすら知っている」だけで、「確実に使える」レベルには到達しない。テストで点を取れるのは後者だけなんだ。

理由2:参考書ごとに解法のクセが違って混乱する

参考書には、それぞれ著者の考え方や解法のクセがある。一冊だけをやり込めば、その流儀が一本筋として身につく。けれど何冊も並行すると、似た問題でも本によって説明が微妙に違い、頭の中がこんがらがってしまう。「この問題、どのやり方だっけ」と迷う時間は、本番では命取りになる。

理由3:「やった量」を勘違いしてしまう

これが一番こわい理由かもしれない。冊数が多いと、自分はたくさん勉強していると錯覚する。でも実際に身についているのは、一冊を3周した子のほうが圧倒的に多い。努力の「見た目」と「中身」がズレたまま受験本番を迎えてしまうんだ。

一冊を完璧にするとは、どういうことか

「一冊だけやる」というのは、決して手を抜くことじゃない。むしろ覚悟がいる。具体的には、その一冊の問題を見た瞬間に解法が浮かぶレベル、さらに「なぜその解法を選ぶのか」を人に説明できるレベルまで仕上げるということだ。

数強塾で生徒を指導していても、伸びる子は本当にシンプルだ。新しい参考書を欲しがる前に、今持っている一冊を「もう完璧です」と胸を張って言えるか、自分に問いかけている。そして次の一冊に進むのは、本当に必要だと判断したときだけ。この潔さが、結果につながっていると感じている。

まとめ:不安を「冊数」で埋めない

もしあなたが今、参考書を何冊も買う子の状態にあるなら、一度だけ立ち止まってほしい。本棚を見て「これ全部、解法を説明できるか?」と自分に聞いてみる。きっと答えは「No」だと思う。それでいい。気づけたなら、もう半分は勝っている。

今日からやることはシンプルだ。一番手に馴染んだ一冊を選んで、それを3周する。新しい本を買いたくなったら、その気持ちをぐっとこらえる。不安を冊数で埋めるのをやめて、一冊への理解の深さで埋めていく。それだけで、数ヶ月後のあなたは、きっと別人になっている。

2浪の僕が遠回りして学んだことを、あなたには少しでも近道してほしい。参考書を何冊も買う子から、一冊をやり切る子へ。その一歩を、今日踏み出してみてほしい。


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