藤原進之介です。このページでは東北大学2019年度の数学過去問を解答・解説つきで無料公開しています。
問題
解答
※ 問題文は東北大学が公表した平成31年度(2019年度)前期日程入学試験問題を、解説のために引用したものです。解答・解説はオンライン数学専門塾「数強塾」が独自に作成したもので、大学が公表した公式解答そのものではありません。作成にあたっては大学公表の解答と全8問を突き合わせて一致を確認し、さらに は数式処理による連立方程式の厳密解、 は底 と での実数値による不等式の直接判定、 は分数のまま第12項までの逐次計算、 は 通りの表裏パターン全数列挙で独立に検算しています。
- 大問4題・全問記述式(試験時間100分)。対象は文学部・教育学部・法学部・経済学部・医学部保健学科看護学専攻です。
- 分野は2次方程式の解と係数の関係/対数不等式と整数解の存在条件/3項間漸化式(比の数列)/反復試行の確率。数学I・A・II・B からまんべんなく出ています。
- 全体を通じて「解と係数の関係」「比を取る」「独立性に気づく」という、計算を減らす発想が問われます。真正面から突っ込むと重いが、正しい着眼を持てば驚くほど短く終わる——文系数学の良問セットです。
- は交点の 座標を「2次方程式の 2 解」と読み替えるだけで、 から一気に片づきます。
- は本セット最難。底 が より大きいか小さいかで不等号の向きが変わるので必ず場合分け。(2) では という端点の値がきれいに出ることに気づけると、答えが と一発で決まります。
- は という積の形の漸化式。両辺を で割って比の数列にするのが定石で、対数を使わなくても解けます。
- は「金貨は 1 回でも裏が出たら消える」=各金貨が独立に確率 で生き残ると見抜けるかどうか。見抜ければ単なる二項分布です。
- 目標時間は各大問 20〜25 分。 を確実に取り、(1)(2) まで押さえるのが現実的な目標です。
直線と放物線の交点——解と係数の関係で一気に
分野:2次方程式・解と係数の関係 難易度:標準 目標時間:18分
を実数とし、 は でないとする。 平面上の直線 と放物線 が相異なる 2 点 、 で交わっているとする。、 のとき、 と を求めよ。
、 (このとき )
と の決定
直線 と放物線 が相異なる 2 点 、 で交わり、、 であるとき、 と を求めよ。
【型】交点の 座標=連立して得られる 2 次方程式の 2 解 → 解と係数の関係
【なぜこうするか】
まず、問題文が「交点は 、」とわざわざ 座標を と書いていることに注目。これは「P, Q は直線 上の点で、 座標がそれぞれ 」という意味です。
連立して を消すと
……①
この 2 次方程式の2 解がまさに と 。だから解と係数の関係が使えます。
ここに を代入すれば、 だけの式が 2 本手に入る。2 本あるから を消去できて が決まる——という筋書きです。
解の公式で と書いて に代入する道もありますが、根号だらけになって収拾がつきません。解と係数の関係が圧倒的に速い。
直線 と放物線 を連立して を消去すると
……①
条件より①の 2 解が であり、、 だから で、確かに相異なる 2 解である。解と係数の関係より
……② ……③
②、③に を代入して
……④ ……⑤
④、⑤から を消去すると
より だから 。よって
より
このとき④より( を使うと計算が楽)
したがって
▲ のときの実際のグラフ。 なので直線は右下がり、放物線の頂点は 軸の下。交点は (左・第2象限側)と (右)で、確かに 。
検算(3 つの角度から)。
① 解と係数の関係の逆確認:、 とすると 、。どちらも と一致 ✓
② 判別式:①が相異なる 2 実数解をもつ条件は 。実際 ✓(きれいに になります)。
③ 数式処理による厳密解:連立 を解かせると解は の 3 組。 かつ を満たすのは 2 番目だけ ✓
【定石】「グラフの交点の座標が文字で与えられたら、連立してできる方程式の解と見る」。あとは解と係数の関係で和と積の 2 本の式に落とすのが最短。 のような「次数下げ」の関係式を作っておくと、 の計算が暗算レベルになります。
【よくあるミス】 の条件を使わずに の両方を答えてしまうこと。また から を残すこと( より不適)。「相異なる 2 点で交わる」という条件(判別式が正)も確認して書くと満点答案になります。
対数不等式——底の大小で場合分け、整数解の存在条件
分野:対数関数・2次不等式・整数 難易度:難 目標時間:25分
を ではない正の実数、 を正の整数とする。次の不等式を考える。
(1) のとき、この不等式を満たす整数 をすべて求めよ。
(2) この不等式を満たす整数 が存在するための についての必要十分条件を求めよ。
(1) のとき / のとき
(2)
(1) のときの整数解
は でない正の実数。 のとき、 を満たす整数 をすべて求めよ。
【型】①真数条件をまず書く ②係数 を の中に入れる ③底が より大きいか小さいかで不等号の向きを場合分け
【なぜこうするか】
対数不等式の手順は完全に決まっています。
- 真数条件: かつ 。つまり 。これを最初に書かないと減点されます。
- 係数を中に入れる: でもよいですが、両辺を 2 倍して とするほうが根号が出ずに楽。
- 底の場合分け: は、 なら 、 なら 。底が より小さいと不等号が逆転するのが対数の最重要ポイントです。
こうして得られる と の大小比較は、差を取ると
ときれいに因数分解できます。あとは真数条件 との共通範囲で整数を拾うだけ。
真数条件。 かつ より
……①
不等式の変形。両辺を 2 倍して
(i) のとき(不等号が逆転)
①との共通範囲は 。この範囲の整数は 。
(ii) のとき(不等号はそのまま)
すなわち または
①との共通範囲は 。この範囲の整数は 。
したがって
| 底 | の範囲 | 整数 |
|---|---|---|
検算(底を具体的な数にして直接判定)。()として で を実数値で判定すると、成立するのは のみ ✓ ()で同じ判定をすると、成立するのは のみ ✓ いずれも上の結論と完全に一致しました。
【定石】対数不等式は「真数条件 → 底の場合分け → 中身の不等式」の 3 手順。係数は両辺を整数倍して の中の累乗に押し込むと根号を避けられます。最後は必ず真数条件との共通範囲を取ること。
【よくあるミス】底の場合分けを忘れて の場合だけ答えること。問題文が「 を ではない正の実数」とわざわざ書いているのは「両方の場合を書け」という指示です。また真数条件を忘れて ( には入るが )を混ぜてしまうこと。
(2) 整数解が存在するための の必要十分条件
不等式 を満たす整数 が存在するための についての必要十分条件を求めよ。
【型】 とおき、 を利用。あとは「端に最も近い整数」1 つだけ調べれば十分
【なぜこうするか】
(1) と同じ変形を一般の で行うと、比較すべきは と 。差を取って
とおきます。ここで区間の両端での値を計算してみるのが決定打。
なんと と というきれいな値になります。これで区間 内で は負から正へちょうど 1 回だけ符号を変えることが確定。つまり
- ( が必要): は左端側で負だから、いちばん左の整数候補 だけ調べればよい。ここで負なら存在、そうでなければ存在しない。
- ( が必要): は右端側で正だから、いちばん右の整数候補 だけ調べればよい。
「一番端の整数だけ調べれば必要十分」——これが本問のいちばん美しいところです。全部の整数を調べる必要はありません。
一般の変形。真数条件より ②。(1) と同様に
ここで とおくと、 である。上で計算したとおり
……③ ……④
▲ 、 なので、 は区間 でちょうど 1 回だけ負から正へ変わる。 を探すなら左端の整数 、 を探すなら右端の整数 を調べれば必要十分。
(i) のとき。不等号が逆転して 、すなわち 。③④より、②の範囲で となるのは左端側の区間だから、 を満たす整数 が存在する必要十分条件は (このとき が該当し、これが満たされなければ②内のどの整数でも )。計算すると
よって 、すなわち 。
(ii) のとき。、すなわち 。③④より右端側で正だから、必要十分条件は 。計算すると
よって 、すなわち または 。 は正の整数だから 。
( が②の範囲にあるためには 、すなわち が必要ですが、 のもとでは自動的に成り立ちます。同様に も で成立。)
(i)(ii) より、どちらの場合も条件は同じで、求める必要十分条件は
検算( を動かして全数チェック)。各 について の整数をすべて調べ、 の場合・ の場合それぞれで解が存在するかを判定した結果
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | |
| で存在 | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| で存在 | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
両方とも でちょうど切り替わる ✓ なお のとき②は で整数は のみ。 となりちょうど等号なので、どちらの不等号も成り立たない——これが が除かれる理由です。
【定石】「区間内に条件を満たす整数が存在するか」は、端点での関数値の符号を調べて「最も有利な整数 1 つ」に絞る。全部調べる必要はありません。 と を計算したら と というきれいな値が出た——これは「この方針で合っている」というサインです。
【よくあるミス】 の解を解の公式で書き下し、 のような値と整数を比較しようとして泥沼にはまること。端の整数 1 つの符号を見るだけで必要十分です。また から を捨てる根拠( は正の整数)を書き忘れないように。
数列——積の形の漸化式は「比を取る」
分野:数列(3項間漸化式・数学的帰納法) 難易度:標準 目標時間:20分
数列 を次の漸化式によって定める。
(1) すべての正の整数 について、 は正であることを示せ。
(2) 一般項 を求めよ。
(1) 数学的帰納法(下記) (2)
(1) の証明
のとき、すべての正の整数 について は正であることを示せ。
【型】3 項間漸化式だから「 と の 2 つを仮定する」タイプの数学的帰納法
【なぜこうするか】
なぜ (1) がわざわざ設問になっているのか。それは(2) で で割り算をするからです。 が保証されていないと、比 を作れません。(1) は (2) の下準備——出題者の親切な誘導です。
証明は数学的帰納法ですが、漸化式が を と の2 つから作るので、仮定も2 つ分必要。これを「2 段仮定型の帰納法」と呼びます。手順は
- で成立を確認(出発点が 2 つ)
- で成立と仮定して を示す
漸化式を と変形すれば、分子は正の 2 乗、分母は仮定より正なので正——それだけです。
証明。「」を について数学的帰納法で示す。
(i) のとき。、 だから成立する。
(ii) を 1 以上の整数とし、 で成立すると仮定する。すなわち かつ とする。このとき だから、漸化式で として
右辺は(分子)、(分母) だから 。よって でも成立する。
(i)(ii) より、すべての正の整数 について である。(証明終)
検算。漸化式から実際に値を出すと 。すべて正で、しかも急激に増加しています ✓
【定石】 が の両方で決まる漸化式なら、帰納法の出発点は 2 つ、仮定も 2 つ。「割り算をする前に分母 を保証する」という論理の順序が、この設問の存在理由です。
【よくあるミス】出発点を だけにして「 と仮定」で進めること。それでは を作るのに必要な が使えません。2 段仮定を明示しましょう。
(2) 一般項
数列 の一般項 を求めよ。()
【型】積の形の漸化式は両辺を で割って「比の数列」を作る
【なぜこうするか】
を見て「和の形の 3 項間漸化式(特性方程式)」を思い浮かべると詰まります。この形は「積」なので、割り算で崩すのが正解。
両辺を ((1) より )で割ると
つまり比の数列 が公比 2 の等比数列になる! これを見抜けるかどうかがすべてです。
(対数を取って から階差を考えても解けますが、比を取るほうが簡潔。文系範囲でも安全です。)
比 がわかったら、 は比を全部かけ算して復元します:。指数の和 がそのまま答えの指数になります。
(1) より だから、漸化式の両辺を で割ることができて
そこで とおくと となり、 は公比 2 の等比数列。初項は
だから
したがって のとき、比を順にかけ合わせて
指数部分は初項 、末項 、項数 の等差数列の和だから 。よって
のときも右辺は となり成立する。ゆえにすべての正の整数 について
検算(分数のまま第12項まで逐次計算)。漸化式から直接計算した値と、上の一般項の値を比較すると
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | |
| 漸化式から | 1 | 3 | 18 | 216 | 5184 | 248832 | 23887872 |
| 一般項の式 | 1 | 3 | 18 | 216 | 5184 | 248832 | 23887872 |
から まですべて厳密に一致 ✓ また比 は で、確かに と一致します ✓
【定石】 型(積の漸化式)は、両辺を で割って比 の等比数列に持ち込む。同様に 型なら対数を取る。「積は割る・対数を取る」が合言葉です。
【よくあるミス】比を 個かけるところを 個にしてしまうこと( から までで 個)。また指数の和を としてしまうこと(実際は から まで)。 で必ず検算すれば防げます。
確率——「各金貨が独立に生き残る」と見抜けば二項分布
分野:確率(反復試行・独立性) 難易度:やや難 目標時間:25分
を 2 以上の整数とする。金貨と銀貨を含む 枚の硬貨を同時に投げ、裏が出た金貨は取り去り、取り去った金貨と同じ枚数の銀貨を加えるという試行の繰り返しを考える。初めは 枚すべてが金貨であり、 枚すべてが銀貨になった後も試行を繰り返す。 回目の試行の直後に、 枚の硬貨のなかに金貨が 枚だけ残る確率を で表す。
(1) を求めよ。
(2) を求めよ。
(3) とする。2 回目の試行の直後では金貨が少なくとも 1 枚残るが、3 回目の試行の直後には 3 枚すべてが銀貨になる確率を求めよ。
(1) (2) (3)
(1)
初めは 枚すべてが金貨。1 回投げて裏が出た金貨は銀貨に置き換わる。1 回目の試行の直後に金貨が 枚残る確率 を求めよ。
【型】反復試行の確率 ——ここでは
【なぜこうするか】
1 回目は状況が単純です。 枚すべてが金貨で、それを同時に投げる。金貨が残る その金貨に表が出る(裏が出た金貨だけ取り去られるから)。
各硬貨の表裏は独立で、それぞれ確率 。よって「 枚のうちちょうど 枚が表」という、反復試行そのもの。
どの 枚が表になるかの選び方が 通り、それぞれの確率が 。表も裏も確率 なので、指数がまとまって になるのが気持ちいいところ。
初めは 枚すべてが金貨である。1 回目の試行で金貨が 枚残るのは、 枚のうちちょうど 枚に表が出るときである(裏が出た金貨だけが取り去られるから)。
表が出る 枚の選び方は 通りで、そのそれぞれについて確率は 。したがって
検算。 のとき 。全パターン 通りを列挙した結果と完全一致 ✓ 和も ✓
【定石】「 個の独立な試行のうちちょうど 個が成功」は 。 なら とまとまります。確率の総和が 1 になるかで検算を。
【よくあるミス】「裏が出た金貨を取り去り、同じ枚数の銀貨を加える」を「硬貨の総数が変わる」と誤読すること。総数はつねに 枚のままで、金貨が銀貨に置き換わるだけです。
(2) ()
回目の試行の直後に金貨が 枚残る確率 を求めよ。
【型】「金貨が 回生き残る 回とも表」——各金貨は独立に確率 で生存。あとは再び二項分布
【なぜこうするか】
回の試行を経た状態を「漸化式で追う」と大変です。1 枚 1 枚の金貨に注目するのが決定的な発想の転換。
ある特定の金貨に着目すると、その金貨が 回目の直後にまだ金貨である条件は「1 回目も 2 回目も… 回目も、すべて表が出た」こと。1 回でも裏が出た瞬間に銀貨に置き換わり、もう二度と金貨には戻らないからです。
したがって 1 枚の金貨が 回生き残る確率は
そして 枚の金貨の運命は互いに独立。だから「 枚のうちちょうど 枚が生き残る」というのは、成功確率 の反復試行そのもの。
(銀貨も一緒に投げていますが、銀貨の表裏は何も引き起こさないので確率計算に影響しません。ここも読み落とさないポイントです。)
特定の 1 枚の金貨に着目する。この金貨が 回目の試行の直後にまだ金貨として残っているのは、1 回目から 回目までのすべての試行で表が出たときであり、その確率は
逆に、 回のうち少なくとも 1 回裏が出ればその時点で銀貨に置き換わり、以後は金貨に戻らない。その確率は
枚の金貨それぞれについてこれらは独立だから、 回目の直後に金貨が 枚残る確率は、残る 枚の選び方 通りを掛けて
整数の形で書けば
(この式は とすると となり、(1) と一致する。)
検算( 通りの全数列挙)。 として、各金貨・各回の表裏をすべて列挙( なら 通り)し、金貨の残り枚数を数え上げた結果
| 式と一致 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 〇 | ||||
| 2 | 〇 | ||||
| 3 | 〇 |
列挙による確率と公式の値がすべて厳密に一致 ✓ 各行の和も になっています。
【定石】「多数の対象が同じルールで独立に変化する」問題は、まず 1 個に注目して「その 1 個がどうなる確率か」を求め、そのあと二項分布に載せる。全体の状態遷移を漸化式で追うより圧倒的に速い。「一度失ったら戻らない(吸収状態)」という構造も重要な着眼点です。
【よくあるミス】銀貨も投げていることに引きずられて、銀貨の表裏まで場合分けすること。銀貨は何が出ても何も起きません。また「 回目に 枚残る」を「 回目に 枚が表」と誤解すること(正しくは 回すべて表だった金貨の枚数)。
(3) で「2 回目は残るが 3 回目で全滅」する確率
とする。2 回目の試行の直後では金貨が少なくとも 1 枚残るが、3 回目の試行の直後には 3 枚すべてが銀貨になる確率を求めよ。
【型】「 かつ 」で のときは引き算——(3 回目で全滅する確率)(2 回目で既に全滅している確率)
【なぜこうするか】
求める事象は「2 回目の直後に金貨 枚」かつ「3 回目の直後に金貨 枚」。
ここで「2 回目の直後に金貨 枚」なら 3 回目の直後も必ず 枚(金貨は増えない)という包含関係に気づくのが鍵。したがって
(3 回目の直後に 0 枚)=(2 回目の直後に 0 枚)または(求める事象)
という排反な分解ができ、単純な引き算で答えが出ます:
(求める確率)
これがいちばん短い道。もちろん公式解答のように「2 回目に 枚()残り、3 回目でその 枚すべてに裏が出る」と場合分けして足しても同じ答えになります(下で両方示します)。2 通りで計算して一致を見るのが最良の検算です。
解法①(引き算)。金貨は増えないから「2 回目の直後に 0 枚」ならば「3 回目の直後も 0 枚」。よって
(求める確率)
(2) の式で として
だから
したがって
解法②(2 回目の残り枚数で場合分け)。2 回目の直後に金貨が 枚()残り、3 回目の試行でその 枚すべてに裏が出る、と考える。3 回目で 枚すべてが裏になる確率は だから
(2) より だから
通分して
解法①と完全に一致する。
検算( 通りの全数列挙)。3 枚の金貨それぞれについて 3 回分の表裏を全列挙( 通り)し、「2 回目の直後に 1 枚以上残る」かつ「3 回目の直後に 0 枚」を満たすパターンを数えるとちょうど 127 通り。すなわち確率 ✓ 解法①②と3 通りすべてが一致しました。
【定石】「A ではないが B である」型の確率は、包含関係を使って引き算。特に「一度なったら戻らない状態(吸収状態)」があると、事象が単調に増えていくので引き算が使える。別解と突き合わせて検算する習慣をつけましょう。
【よくあるミス】 をそのまま答えてしまうこと(それだと「2 回目で既に全滅」も含まれます)。また と を通分せずに引くこと()。分母を に揃えるのが安全です。
- 交点の座標が文字なら、連立してできる方程式の解と見て解と係数の関係(解の公式で押すと根号地獄)
- のような次数下げの関係式を作ると、その後の計算が暗算になる
- 対数不等式は「真数条件 → 底の場合分け → 中身の不等式 → 共通範囲」の 4 手順
- は両辺 2 倍して の形に(根号を出さない)
- 「区間内に条件を満たす整数が存在するか」は、端に最も近い整数 1 つの符号を見れば必要十分
- 端点の値 がきれいに出たら方針が正しいサイン
- 3 項間漸化式の帰納法は「出発点 2 つ・仮定 2 つ」/割り算の前に分母 を保証
- 積の形の漸化式 は両辺を で割って比の等比数列に
- 比 から を復元するときは「 から までの 個」
- 多数の対象が独立に変化するなら、まず 1 個に注目してから二項分布に載せる
- 「一度失ったら戻らない」=吸収状態。事象が単調に増えるので引き算が使える
- 確率は必ず 2 通りの方法で計算して一致を確認(和が 1 になるかもチェック)
この解説を書いている講師に、直接習うことができます。
※ 問題文は東北大学が公表した平成31年度(2019年度)前期日程入学試験問題を、解説のために引用したものです。解答・解説はオンライン数学専門塾「数強塾」が独自に作成したもので、大学が公表した公式解答そのものではありません。理系冊子の は文系冊子と完全に同一問題のため、この記事では重複を避けて の 5 題 13 設問を扱います( の解説は同じページの文系冊子の項をご覧ください)。大学公表の解答と全13設問を突き合わせて一致を確認し、さらに は400 回反復による数値追跡、 は数式処理による剰余計算と 280 万点の格子探索、 は数値積分による関数方程式の直接検証(誤差 )、 は厳密分数での確率分布の逐次計算で独立に検算しています。
- 大問6題・全問記述式(試験時間150分)。対象は理学部・医学部(医学科ほか)・歯学部・薬学部・工学部・農学部です。
- 分野は三角関数と接線/対数不等式(文系と共通)/漸化式と数列の極限/整式の剰余で作った「新しい演算」/偶関数と の対称性を使う定積分と積分方程式/確率漸化式。数学III の比重が非常に高い構成です。
- 本セットの主役は。「 で割った余り」という演算 を自分で定義させ、その性質を段階的に証明させて最後に方程式を解かせる——複素数 の世界を多項式で再現した、東北大らしい良問です。誘導が丁寧なので、順に乗れば完答できます。
- (1) の は「 と足すと 1 になる」という有名な仕掛け。これを知っていれば一瞬、知らないと手が止まります。
- は「 は より が しかない」という詰め方。短いが油断できない一問。
- は「赤を 回引いた後は赤 ・白 」と状態を正しく把握できるかがすべて。あとは確率漸化式の定型処理です。
- 目標時間は各大問 25 分。 を確実に、 を誘導どおり完答できれば大きく差がつきます。
の直交する 2 接線
分野:三角関数・微分(接線) 難易度:標準 目標時間:15分
平面における曲線 の 2 つの接線が直交するとき、その交点の 座標の値をすべて求めよ。
( は整数) すなわち
交点の 座標
曲線 の 2 つの接線が直交するとき、その交点の 座標の値をすべて求めよ。
【型】直交条件 と から、 は に限られる
【なぜこうするか】
2 接線の接点を とすると、傾きはそれぞれ 。直交条件は
ここでふつうの問題なら「 の関係式」として扱うところですが、本問では 、 という強い制約があります。積の絶対値が になるには、両方の絶対値がちょうど でなければならない。つまり
に限定されるのです。これが本問の急所。
そして のとき (接点は 軸上)。つまり直交する接線のペアは、必ず が 軸を横切る点での接線——グラフを描くと、傾き の接線と傾き の接線しかありえないことが見えます。
あとは 2 直線の式を書いて辺々足すと が消えて が一発で出ます。連立して を求めてから代入するより速い。
とおくと 。曲線上の点 における接線は
……①
同様に点 における接線は
……②
①と②が直交する条件は(傾きの積が )
ここで 、 だから、積が となるのは
の場合に限る。 について対称だから、 として一般性を失わない。このとき であり、 を整数として
と表せる。①②に代入すると
①: ②:
辺々を足すと が消えて
は任意の整数値をとりうるので、これを とおけば、求める交点の 座標は
( は整数)
▲ (傾き )と (傾き )の場合。接点はどちらも 軸上にあり、交点の 座標は 。 を ずつずらすと交点の 座標は ずつ変わり、 がすべて実現する。
検算。 を から まですべて動かして の 2 接線の交点を計算し、 が成り立つこと、および交点の 座標が ()と一致することを25 通りすべてで確認 ✓ 具体値は で、、 と一致します。
【定石】「有界な量の積が端の値になる」=「各因子が端の値」。 の 2 つの積が なら、両方 しかありません。2 直線の交点で片方の座標だけ欲しいときは、辺々を足す/引くと一方の文字が消せます。
【よくあるミス】 を「 の関係式」として持ち回り、連立方程式を解こうとして手が止まること。まず範囲で絞るのが先です。また答えを だけにして「すべて求めよ」に応えないこと( ごとに無限にあります)。
漸化式 の発散と収束
分野:数列の極限・数学的帰納法 難易度:やや難 目標時間:25分
を実数とし、数列 を次の漸化式によって定める。
(1) のとき、数列 が発散することを示せ。
(2) のとき、すべての正の整数 に対して が成り立つことを示せ。
(3) のとき、数列 の極限を調べよ。
(1)(2) 下記の証明 (3)
(1) のときの発散
のとき、 ならば数列 が発散することを示せ。
【型】「増加分が一定値以上」を示して、 と下から評価する
【なぜこうするか】
「発散する」を示すには、いくらでも大きくなることを言わなければなりません。単に「増加する」だけでは足りない(上に有界な増加数列は収束してしまう)ので、増加の勢いに下限を与える必要があります。
そこで 2 段階。
- まず帰納法で (そうでないと の評価ができない)
- より単調増加。すると なので 。つまり1 ステップで最低でも は増える
これで という1 次式による下からの評価が得られ、右辺 だから 。「はさみうち(片側)で下から押し上げる」という発散証明の基本形です。
証明。まず を数学的帰納法で示す。。 と仮定すると 。よってすべての で 。
次に
だから は単調増加。よって であり、両辺 2 乗して 。したがって のとき
これを から まで足し合わせると、 のとき
より だから
すなわち は発散する。(証明終)
検算。 の 3 通りで漸化式を 60 回反復すると、いずれも倍精度の表現範囲を超えて発散しました ✓( でも 60 回で発散するのは、 が を超えると となり2 乗のスピードで爆発するため)。
【定石】発散を示すには「下から発散する式で押さえる」。増加分に正の下限 があれば 。「単調増加」だけでは発散の証明にならないことを強く意識してください。
【よくあるミス】「単調増加だから発散する」と書いてしまうこと(反例:)。また の帰納法を省略して を使うこと( は と単調増加から言えます)。
(2) のとき
のとき、すべての正の整数 に対して が成り立つことを示せ。
【型】数学的帰納法。 と因数分解して符号を見る
【なぜこうするか】
漸化式を因数分解するのが第一手:
仮定 のもとで
- (負)
- (正で 1 未満)
だから積は負——これで が出ます。
下からの評価は、差を見るのが最短: より 。
つまり「負の数に 0 と 1 の間の数を掛けると、0 に近づく(大きくなる)」という当たり前の事実が、この数列が を割り込まない理由です。
(放物線 の での値域が であることを図から読む方法もあり、こちらだと で というさらに強い評価が得られます。)
証明。「」を数学的帰納法で示す。
(i) : で、条件より 。成立。
(ii) で成立、すなわち と仮定する。漸化式は
と因数分解できる。仮定より であり、また から 。したがって(負)(正)で
一方
だから 。以上より となり、 でも成立する。
(i)(ii) より、すべての正の整数 について 。(証明終)
▲ は で 軸と交わり、その間(水色の帯)ではつねに負で、最も低くても 。だから が にいる限り も (実際は )に留まる。破線 より上にあることが「単調増加」に対応する。
検算。 の 3 通りで 400 回反復したところ、すべてのステップで が成立し、かつ狭義単調増加であることを確認 ✓(400 回後の値はそれぞれ )。
【定石】漸化式の符号を論じるときは、まず因数分解。 のように積の形にすれば、各因子の符号だけで結論が出ます。差 を計算すると単調性が同時に手に入るのも定番。
【よくあるミス】 を「」から直接示そうとして詰まること。 と、単調性を経由するのが圧倒的に簡単です。
(3) のときの極限
のとき、数列 の極限を調べよ。
【型】「上に有界な単調増加数列は収束する」→ 極限 は を満たす
【なぜこうするか】
(2) で 2 つのことが同時に手に入っています。
- 単調増加:
- 上に有界:
数学III の「上に有界な単調増加数列は収束する」という定理により、収束することがまず確定します。
収束さえ言えれば、極限値は簡単。 とおくと でもあるので、漸化式の両辺で として
注意点:この「両辺で極限を取る」操作は収束が保証されて初めて許されるものです。収束を先に示さずにいきなり と書くのは循環論法。順序が命です。
(収束定理を使わずに済ませたい場合は、帰納法で を示し、はさみうちの原理で結論する道もあります。)
解答。(2) より 、特に だから は上に有界。また より
だから は単調増加。上に有界な単調増加数列は収束するから、 とおける()。
このとき でもあるから、漸化式 の両辺で として
したがって
検算。 のいずれでも、400 回反復後の値は 程度で着実に に近づいています ✓ 収束が遅いのは、 が に近いところで が非常に小さくなるためで、実際 程度のゆっくりした収束です( 回で とよく合っています)。
【定石】「単調+有界 ⟹ 収束」を示してから、漸化式の両辺で極限を取る——この順序が絶対。極限方程式 の解が複数ある場合は、 の範囲から絞り込む(本問では なので一意)。
【よくあるミス】収束の根拠を書かずに から を出すこと。「収束するならば極限は 0」しか言えておらず、収束すること自体が未証明です。ここが最大の減点ポイント。
で割った余り——多項式で作る「虚数の世界」
分野:整式の除法・三角関数・数学的帰納法 難易度:難 目標時間:30分
実数を係数にもつ整式 を で割った余りとして得られる整式を と表す。
(1) 、、 をそれぞれ求めよ。
(2) 整式 、 に対して、次の等式が成り立つことを示せ。
(3) 実数 に対して、次の等式が成り立つことを示せ。
(4) 次の等式を満たす実数 の組 をすべて求めよ。
(1) 、、 (2)(3) 下記の証明
(4) の 4 組
(1) 具体的な剰余の計算
を を で割った余りとする。、、 を求めよ。
【型】 を見たら と書き換える——実質「 を に置き換える」
【なぜこうするか】
で割った余りは 1 次以下。実際に割り算の筆算をしてもよいのですが、「 が出てくるたびに に取り替える」と考えるのが圧倒的に速い。 で、 の部分は割り切れて消えるからです。
この操作は、 を虚数単位 だと思うのと同じこと()。だから は と同じ理屈で になります:
3 つ目は、内側の を先に計算してから積を取り、また余りを取る——という入れ子。これが (2) の等式の伏線になっています。
。 だから
。 だから
( を と見れば と暗算できる。)
入れ子の計算。上の 2 つを使って
検算(数式処理で剰余を直接計算)。 ✓、 ✓、 ✓ いずれも計算機の結果と一致しました。
【定石】 で割った余りを求めるときは「」の置き換え。一般に で割った余りは「 を仮定して次数を下げる」ことに相当します。余りの次数は割る式の次数より必ず低い(ここでは 1 次以下)ことも確認を。
【よくあるミス】 で の符号を間違え、 としてしまうこと。 です。指数が奇数か偶数かを丁寧に。
(2) の証明
整式 に対して が成り立つことを示せ。
【型】割り算の原理 を両方に書いて、積を展開する
【なぜこうするか】
剰余の性質を示す問題はすべて「割り算の等式に戻す」のが定石です。商を とおいて
これを掛けると、 以外の項はすべて を因数にもつことが見えます。つまり
は で割り切れる
「差が割り切れる」=「余りが同じ」なので 。
この等式の意味は「先に余りを取ってから掛けても、掛けてから余りを取っても同じ」。整数の合同式で が成り立つのと完全に同じ構造です。(4) で高次の展開を避けるための最重要の道具になります。
証明。 を で割ったときの商をそれぞれ とすると
このとき
すなわち は で割り切れる。したがって と を で割った余りは等しく
(証明終)
検算。(1) で計算したとおり を直接求めても、 を経由しても同じ になります ✓ この (1) の 3 つ目こそが (2) の具体例になっているわけです。
【定石】剰余に関する等式は「(割られる式)=(割る式)×(商)+(余り)」に戻して展開。「差が割り切れる ⟺ 余りが等しい」という言い換えは合同式の考え方そのもので、整数でも整式でも同じように使えます。
【よくあるミス】 が 2 次式になりうる(1 次 1 次)ことを忘れ、「余りだから 」としてしまうこと。外側の は必要です。
(3)
実数 に対して が成り立つことを示せ。
【型】展開して を と分解 → 2 倍角の公式が現れる
【なぜこうするか】
やることは単純で、展開して の項を処理するだけ。
ここで と分けると、第 1 項は割り切れて消える。残るのは
そしてこれがちょうど 2 倍角の公式 、 の形。
この等式の意味を一言でいうと、「 は偏角 の単位複素数、それを 2 乗すると偏角が になる」(ド・モアブルの定理)。 を だと思えば そのものです。この見立てができると (4) の方針が即座に立ちます。
証明。
を用いると
2 倍角の公式より 、 だから
右辺の第 1 項は で割り切れ、残り は 1 次以下だから、これが余りである。よって
(証明終)
検算。数式処理で を を文字のまま計算させると、出力は 。恒等式として一致 ✓
【定石】 の係数が なら と分解して、割り切れる部分と余りに切り分ける。 の世界は複素数の世界と同じ()という見立てを持っておくと、この先の見通しが劇的によくなります。
【よくあるミス】 を と逆にして としてしまうこと。(コサインが先)です。
(4) を満たす
次の等式を満たす実数 の組 をすべて求めよ。
【型】 と極形式に直し、(2)(3) を 2 回使って
【なぜこうするか】
を展開して で割る——それでもできますが、4 次の展開は重い。誘導 (2)(3) を使えというのが出題者の意図です。
として とおくと、 だから
とおける(極形式)。すると 。ここから (2) と (3) を交互に使って「2 乗するたびに が倍になる」を 2 回:
偏角 →(2乗)→ 偏角 →(2乗)→ 偏角
結果は 。これが ( の係数が 、定数項が )に等しいので係数比較。
最後の詰めがうまい:2 式を 2 乗して足すと となり、 が一発で確定します。
解答。 のとき より で不適。以下 とし、 とおく。 だから
とおけて 。このとき (2)(3) を繰り返し用いて
(3 行目の最後で、(3) を の代わりに として適用した。)これが に等しいから、 の係数と定数項を比較して
……①
……②
①②の 2 乗の和をとると すなわち 。 より
このとき①②は かつ となり
( は整数)
より 、すなわち 。 より
したがって求める組は
(複号は任意、合計 4 組)
別解(誘導を使わず直接展開)。二項定理で展開して の置き換えを行うと
これが に等しいので かつ 。前者から または 。 だと後者は または が となり不適。よって で、いずれの場合も より 、すなわち 。同じ 4 組が得られる ✓
検算(数式処理+格子探索)。4 組それぞれについて を厳密計算すると、4 組すべてで ✓ さらに網羅性を確認するため、 の範囲を (約 784 万点)の格子で走査し、 かつ となる点を探したところ、該当するのは の 4 か所のみでした ✓()。
【定石】誘導つきの証明問題では、(1)(2)(3) が (4) の道具。「使えそうにない」と感じたら、使える形に変形する(極形式に直す)のが正解です。 の 2 式が出たら 2 乗和を取ると が消えて振幅が決まる、は超頻出テクニック。
【よくあるミス】 の除外を書き忘れること( の前提が崩れます)。また の範囲 を設定せずに「 は整数」のまま答え、4 組に絞れていない答案。 が 増えても は同じなので、必ず 1 周期に制限しましょう。
の対称性と積分方程式
分野:定積分(偶奇と置換)・積分方程式 難易度:難 目標時間:28分
(1) 次の等式が成り立つことを示せ。
(2) 次の等式を満たす関数 を求めよ。
(1) 下記の証明 (2)
(1)
を示せ。
【型】 と置換して足す—— がすべて
【なぜこうするか】
は原始関数こそ求まりますが、 が掛かると手も足も出ません。ここで使うのが「対称区間 の置換」という有名手法。
鍵になるのは次の恒等式:
つまり「 のときの重みと のときの重みを足すとちょうど 1」。だから偶関数 に対して
に の置換をしたものを元の に足すと、重みが 1 になって 。 がきれいに消滅します。 は偶関数なので、これがぴったり効く。
最後の は半角の公式で処理すれば 。
証明。 とおく。 と置換すると で、 のとき 。 だから
(最後は分母分子に を掛けた。)この式と元の式を辺々足すと
は偶関数だから 。よって
さらに半角の公式 より
したがって示された。(証明終)
検算(数値積分)。 を数値計算すると 、 ✓ 丸め誤差の範囲で完全一致しています。
【定石】対称区間 の積分で (や )が現れたら、 の置換をして元の式と足す。分母が消えて に化けます。これは入試頻出の「知っていれば 3 行、知らないと 0 点」型の手法です。
【よくあるミス】置換後に積分区間の上下が入れ替わることを忘れ、符号を落とすこと。また の変形(分母分子に を掛ける)をしないと、足したときに 1 にまとまりません。
(2) 積分方程式を満たす
を満たす関数 を求めよ。
【型】定積分は「ただの定数」——、 とおいて連立
【なぜこうするか】
積分方程式の鉄則は「定積分は数(定数)である」と割り切ること。積分の中の は積分してしまえば消えるので、 には依存しません。
まず被積分関数を と に分離します:
そこで 、 とおくと
この形を の定義式に代入し直すと、 の連立 1 次方程式になります。ここで必要になる積分が
の 2 つ(前者は (1) と同じ対称性、後者は対数の計算で )。そして が (1) そのもの——(1) は (2) のための道具だったわけです。
設定。被積分関数を分けると
そこで
とおくと、与式は となり
……①
の式。①を の定義に代入する。 を用いると
(1) より第 1 項は 。第 2 項の積分は
よって 、整理して
……②
の式。①を の定義に代入する。 を用いると
(1) より 、、また 、 だから
……③
連立を解く。②を③に代入して
②より
したがって①より
検算(数値積分による直接検証)。、 として を作り、あらためて数値積分すると
| 理論値 | から数値積分した値 | |
|---|---|---|
| 1.4269309175 | 1.4269309175 | |
| 1.9269309175 | 1.9269309175 |
さらに元の方程式そのものを で両辺比較すると、差はいずれも 以下(倍精度の丸め誤差)でした ✓
| 左辺 | 右辺 | |
|---|---|---|
| 0.8631014204 | 0.8631014204 | |
| 0.9269309175 | 0.9269309175 | |
| 2.5332392818 | 2.5332392818 | |
| 3.3788003836 | 3.3788003836 |
【定石】積分方程式は「積分部分を文字でおく」。 を含む因子は積分の外へ出し、残った定積分に と名前をつけて連立方程式に持ち込む。前問 (1) の結果が必ず道具として使われるのが誘導問題のお約束です。
【よくあるミス】 の を積分の外に出し忘れること( は について定数なので出せます)。また の計算で の変形を誤ること。答えが汚くても、 なので分母は 0 になりません——不安になって計算を疑わないこと。
赤玉が減っていく袋——確率漸化式
分野:確率漸化式・数列 難易度:やや難 目標時間:25分
10 個の玉が入っている袋から 1 個の玉を無作為に取り出し、新たに白玉 1 個を袋に入れるという試行を繰り返す。初めに、袋には赤玉 5 個と白玉 5 個が入っているとする。この試行を 回繰り返したとき、取り出した赤玉が全部で 個である確率を とする。2 以上の整数 に対して、以下の問いに答えよ。
(1) を と を用いて表せ。
(2) を求めよ。
(3) を求めよ。
(1)
(2) (3)
(1) の漸化式
を と を用いて表せ。
【型】まず「赤を 回引いた後の袋の中身」を確定させる——赤 個・白 個
【なぜこうするか】
この問題で最初にやるべきは状態の把握です。ルールは「1 個取り出して、白玉 1 個を入れる」。したがって
- 赤を引いたとき:赤が 1 個減り、白が 1 個増える
- 白を引いたとき:白が 1 個出て 1 個入るので変化なし
つまり袋の中身は「これまでに赤を何回引いたか」だけで決まる。赤を 回引いた後は
赤 個、 白 個 (合計はつねに 10 個)
次に、 回目終了時に赤の総数が 2 になる経路は 2 通りしかありません。
- 回目までにすでに 2 個(確率 )→ 回目は白を引く。このとき袋は赤 3・白 7 なので確率
- 回目までに1 個(確率 )→ 回目に赤を引く。このとき袋は赤 4・白 6 なので確率
「直前の状態で確率が変わる」のがこの問題の面白いところ。2 個引いた後と 1 個引いた後で分母は同じ 10 でも分子が違います。
解答。この試行では、赤玉を 回()取り出した後の袋の中身は赤玉 個、白玉 個(合計 10 個)である。
回の試行で取り出した赤玉が全部で 2 個になるのは、次の排反な 2 つの場合に限る。
| 回終了時 | その確率 | そのときの袋 | 回目に引く色 | その確率 |
|---|---|---|---|---|
| 赤 2 個 | 赤 3・白 7 | 白 | ||
| 赤 1 個 | 赤 4・白 6 | 赤 |
したがって
検算。確率分布を厳密分数で直接計算し、 について漸化式の両辺を比べると
| (直接計算) | ||
|---|---|---|
| 2 | ||
| 3 | ||
| 4 | ||
| 5 |
すべて厳密に一致 ✓
【定石】確率漸化式は「1 手前の状態で場合分けし、各状態から目的の状態へ移る確率を掛けて足す」。その前提として「状態を決めるのは何か」を最初に言語化すること。本問では「これまでに引いた赤の個数」が状態です。
【よくあるミス】袋の中身が変わることを見落として、つねに赤 5・白 5 だと思って を使うこと。また白玉を引いたときに「白が 1 個減って 1 個増える」=変化なしである点を、「白が増える」と誤解すること。
(2) を求める
( 回の試行で赤玉をちょうど 1 個引く確率)を求めよ。
【型】「赤を引いたのが何回目か」で場合分けして、等比数列の和にする
【なぜこうするか】
赤をちょうど 1 個引くということは、 回のうちただ 1 回だけ赤、残りは全部白。そこで「赤を引いたのが 回目」で場合分けします。
- 回目から 回目:赤 0 個の状態(赤 5・白 5)で白を引く → 各回 、 回分
- 回目:赤 0 個の状態で赤を引く →
- 回目から 回目:赤 1 個の状態(赤 4・白 6)で白を引く → 各回 、 回分
よって 。これを から まで足すのですが、 をくくり出すと公比 の等比数列の和になります()。
最後に となるのが気持ちよく、答えが2 つの等比数列の差という美しい形に落ち着きます。
解答。 回のうち 回目にだけ赤玉を取り出す確率を とする。赤 0 個の状態では赤 5・白 5、赤 1 個の状態では赤 4・白 6 だから
(左から順に「 回の白」「 回目の赤」「 回の白」)
これらは排反だから
だから
(最後は を用いた。)
検算。厳密分数で確率分布を直接計算した値と比較すると
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
| 直接計算 | |||||
| 公式の値 |
から まですべて厳密に一致 ✓ ( を手で確かめると、赤→白が 、白→赤が で、和は ✓)
【定石】「ちょうど 1 回だけ起こる」型は、それが何回目かで場合分けして和を取る。各項が の形になれば等比数列の和。状態によって確率が変わる場合でも、「その回の前後で状態が切り替わる」ことを意識すれば同じように書けます。
【よくあるミス】赤を引いた後の白の確率を のままにすること(正しくは )。また等比数列の和で初項を としてしまうこと( からなので初項は )。
(3) を求める
を求めよ。((1) の漸化式と (2) の結果を用いる)
【型】(等比数列) 型——「余分な等比項」を移項して等比数列を作る
【なぜこうするか】
(1)(2) より、 とおくと
これは「等比 等比の非同次項」型。定石は が公比 の等比数列になるように を選ぶことです。
が を満たすとして展開・比較すると、 と の係数からそれぞれ が決まります。
なお も も公比 と異なるので、この方法が破綻せずに使えます(一致していたら 型の項が必要になります)。
初項は (2 回とも赤)から取ります。
解答。 とおくと、(1)(2) より
ここで を定数として となるように選ぶ。展開して元の漸化式と比較すると
| 比較する項 | 条件 | 解 |
|---|---|---|
すなわち
よって数列 は公比 の等比数列。ここで だから、初項( の値)は
したがって のとき
すなわち
検算。厳密分数での直接計算と比較すると
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
| 直接計算 | ||||||
| 公式の値 |
すべて厳密に一致 ✓ 興味深いことに、この式は でも を与えて正しくなっています(1 回では赤を 2 個引けないので当然 )。値は あたりで最大(約 )になり、その後は徐々に減っていきます。
【定石】(公比 の等比数列) は、 が公比 の等比になるよう を選ぶ( のとき)。非同次項が複数の等比の和なら、それぞれに対応する項を足すだけ。係数比較で機械的に決まります。
【よくあるミス】初項を として計算してしまうこと。問題は を扱っており、 は使えますが、素直には から出発するのが安全です。また を に直すときの係数()を落とさないように。
- 有界な量の積が端の値なら、各因子が端の値()
- 2 直線の交点で片方の座標だけ欲しいときは辺々を足す/引く
- 発散を示すには「下から発散する式で押さえる」——単調増加だけでは不十分
- 漸化式の符号は因数分解して各因子の符号で判定/差 で単調性も同時に
- 「単調+有界 ⟹ 収束」を示してから両辺で極限を取る(順序が命)
- で割った余りは「」の置き換え= を虚数単位 と見る
- 剰余の等式は「割り算の等式に戻して展開」/差が割り切れる ⟺ 余りが等しい
- の 2 式が出たら 2 乗和で を消す
- 対称区間の は の置換をして足す(重みの和が 1)
- 積分方程式は「定積分を文字でおいて連立」/ を含む因子は積分の外へ
- 確率漸化式は「状態を決めるものは何か」を最初に言語化(本問は引いた赤の個数)
- 「ちょうど 1 回だけ起こる」は何回目かで場合分けして等比数列の和
- (等比) は が等比になるよう を係数比較で決める
この解説を書いている講師に、直接習うことができます。
問題PDFをテキストでも確認
東北大学 2019年度 数学入試問題の文字起こし・出題分析
公開中の問題PDFを検索・復習しやすいよう文字データ化し、読み取れた語句から出題分野を整理しました。
- 整数
- 図形・三角関数
- 方程式・不等式
- 確率・場合の数
- 空間図形
- 数列
- 微分・積分
この年度の出題範囲と傾向
2019年度の問題PDFでは、整数、図形・三角関数、方程式・不等式、確率・場合の数、空間図形に関する語句や設問を確認できました。東北大学の公開PDFを年度横断で調べると、図形・三角関数は24年度、確率・場合の数は23年度、微分・積分は23年度で検出されており、複数年を比較して対策したい分野です。
分野判定はPDFから読み取れた語句に基づく集計です。数式・記号・図表は文字変換で崩れる場合があるため、正確な条件は必ず原本PDFで確認してください。
問題文の文字起こし
問1画像OCR
検出分野: 整数、確率・場合の数、方程式・不等式、空間図形
(2) この不等式を満たす整数が存在するためのヵについての必要十分条件を求
めよ。
ema Pe M2 (127-21)
(" : 文学部・教育学部・法学部・ alia
医学部保健学科看護学専攻
BUI {an} を次の尊化式によって定める。
a=1, ag=3, Gn42 On = 208 (n =1,2,3,-++)
(1) すべての正の整数ヵ について, a, は正であることを示せ。
(2) WH ay を求めよ。
を2以上の整数とする。金貨と銀貨を含むヵ枚の硬貨を同時に投げ, B
が出た金貨は取り去り, 取り去った金貨と同じ枚数の銀貨を加えるという試行の
繰り返しを考える。初めはゎヵ枚すべてが人金貨であり, ヵ枚すべてが銀賀になった
後も試行を繰り返す。 回目の試行の直後に, n 枚の硬貨のなかに金貨が7枚だけ
残る確率を P(j) (0S j Sn) で表す。
(1) AiG) を求めよ。
(2) Pp(9) ( 2 2) を求めよ。
(3) ヵ =ニ 3 とする。2 回目の試行の直後では金貨が少なくとや 1 枚残るが, 3 回
目の試行の直後には 3 枚すべてが銀賀になる確率を求めよ。
ee 揚 eem M2 (127—22)
問2画像OCR
検出分野: 図形・三角関数、整数、方程式・不等式、数列、微分・積分
(2) CORBA EA TE e が存在するためのヵについての必要十分条件を求
めよ。
ー4 一 るM3(127一26)
(a : gen 2a ase Ee NER Ree EER |
。 を実数とし BO (tn) BROWSE & THOS.
U1 =A, mh =Iat22 (n=1,2,3,---)
(1) a>ODLS, 数列 {caが発散することを示せ。
(2) -1<ゥ<0のとき, FTATOEOMRE n IOWLT -1 <z。ぐ0が成り立つ
ことを示せ。
(3) -1<g<0のとき, Bl {z。}の極限を調べよ。
FB RBI OR 4(g) 0? +1 で割った余りとして得られる整式を
[A@)] と表す。
(1) (2a? +043], [2-1], [[227+2+3] [25-1] をそれぞれ求めよ。
(2) HX A(x), B(x) に対して, 次の等式が成り立つことを示せ。
[A(x) B(z)] = [[A(2)] [B@]
(3) 実数に対して, 次の等式が成り立つことを示せ。
[Zsin9二cosの2] = zsin 29十cos 2の
(4) 次の等式を満たす実数 , の組 (a,b) をすべて求めよ。
[ez+ b)4] = -1
at: ia OM3 (127-27)
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