藤原進之介です。このページでは筑波大学2019年度の数学過去問を解答・解説つきで無料公開しています。
問題
解答
筑波大学 2019年度(平成31年度)個別学力試験 数学の全問解説です。全6題17小問(試験時間120分。学群・学類によって解答する問題が指定される選択制です)。
掲載しているすべての数値は、当塾で解いたうえで Pythonによる検算(3次方程式を因数分解して接線の傾きを厳密に照合・対数の大小と不等式を \(n\) を変えて数値確認・ベクトルの内積を係数計算で展開・回転体の体積を厳密積分と40万分割で照合・数列の定数性を \(n=12\) まで確認・円と半直線の交点数を1本ずつ判定) を行い、さらに 本ページで公開している解答PDFと全問照合 しました。17小問すべてが一致しています。
| 問 | 分野 | 答え |
|---|---|---|
| 【1】 | 放物線の接線と角 | \(k=\dfrac13\)/\(\tan\theta=\dfrac12\)/\(\tan\alpha=-3\) |
| 【2】 | 不等式と対数の大小 | (証明)/\(\log_{2}5>\log_{3}5\)/(証明) |
| 【3】 | 四面体と空間ベクトル | \(\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\dfrac{s}{1+s}\left(\vec a+\vec b+\vec c\right)\)/\(\cos\theta=\dfrac{2s-1}{s^{2}-2s+3}\)/\(s=\dfrac12\) |
| 【4】 | 三角関数と回転体の体積 | \(x=\dfrac{\pi}{4}\)/\(V=\left(\dfrac32\pi+2\sqrt2+\dfrac52\right)\pi\) |
| 【5】 | 指数と対数の数列・無限級数 | (証明)/(証明)/\(\log(e-1)\) |
| 【6】 | 複素数平面の円と偏角 | 円 \((x-2)^{2}+y^{2}=1\)/\(-\dfrac{\pi}{6}\le\theta\le\dfrac{\pi}{6}\)/\(20\) 個 |
この年度の傾向(3行)
- 6題すべてが小問3つ前後の誘導つきで、分野は微積・対数・空間ベクトル・複素数と広く散っています。学群ごとに解く問題が指定されるので、自分の受ける学類がどの問題を解くかを募集要項で確認してから過去問演習に入るのが効率的です。
- 【2】(3) は (1) の不等式を「そのまま使う」設計です。\(\dfrac{x}{a},\dfrac{y}{b},\dfrac{z}{c}\) に当たるものを自分で見つけるのが山場で、ここでは \(1,\ \log_{2}3,\ (\log_{2}3)^{n}\)。最大値が \((\log_{2}3)^{n}<2^{n}\) となって結論が出ます。
- 【5】は \(e^{2t}-1=(e^{t}-1)(e^{t}+1)\) という因数分解が全てです。これにより \(y_{n-1}=y_n+x_n\) が成り立ち、\(z_n\) が定数だと分かる。(3) は (1) のはさみうちで \(\dfrac{e^{a_n}-1}{a_n}\to1\) を使います。
【1】放物線の接線と角
\(k>0\)、\(0<\theta<\dfrac{\pi}{4}\) とする。放物線 \(C:y=x^{2}-kx\) と直線 \(\ell:y=(\tan\theta)x\) の交点のうち、原点 O と異なるものを P とする。放物線 \(C\) の点 O における接線を \(\ell_1\) とし、点 P における接線を \(\ell_2\) とする。直線 \(\ell_1\) の傾きが \(-\dfrac13\) で、直線 \(\ell_2\) の傾きが \(\tan2\theta\) であるとき、以下の問いに答えよ。
(1) \(k\) を求めよ。
(2) \(\tan\theta\) を求めよ。
(3) 直線 \(\ell_1\) と \(\ell_2\) の交点を Q とする。\(\angle\mathrm{PQO}=\alpha\)(ただし \(0\le\alpha\le\pi\))とするとき、\(\tan\alpha\) を求めよ。
(1) \(k\) の値
【型】接線の傾きは微分係数。原点での傾きは \(y'(0)\)。
【なぜこうするか】 \(y=x^{2}-kx\) より \(y’=2x-k\)。点 O は \(x=0\) なので、そこでの接線の傾きは \(y'(0)=-k\)。これが \(-\dfrac13\) だから即座に決まります。
\(y=x^{2}-kx\) より \(y’=2x-k\)。点 \(\mathrm{O}(0,0)\) における接線 \(\ell_1\) の傾きは \[y'(0)=-k\] これが \(-\dfrac13\) に等しいから \[k=\frac13\]
(2) \(\tan\theta\) の値
【型】交点の \(x\) 座標を出し、そこでの接線の傾きを条件と等しいとおく。2倍角で \(\tan\theta\) の方程式にする。
【なぜこうするか】 \(C\) と \(\ell\) の交点は
\[x^{2}-kx=(\tan\theta)x \quad\Longleftrightarrow\quad x\left\{x-\left(k+\tan\theta\right)\right\}=0\]
より \(x=0\)(点 O)と \(x=k+\tan\theta\)(点 P)。
P での接線の傾きは
\[y’\left(k+\tan\theta\right)=2\left(k+\tan\theta\right)-k=k+2\tan\theta\]
これが \(\tan2\theta=\dfrac{2\tan\theta}{1-\tan^{2}\theta}\) に等しい。\(T=\tan\theta\) とおけば \(T\) の方程式になります。分母を払うと3次方程式ですが、\(T=\dfrac12\) が解だと当たりをつけて因数分解できます。
\(C\) と \(\ell\) を連立すると \[x^{2}-kx=(\tan\theta)x \quad\Longleftrightarrow\quad x\left\{x-\left(k+\tan\theta\right)\right\}=0\] だから、点 P の \(x\) 座標は \(k+\tan\theta\)。よって \(\ell_2\) の傾きは \[y’\left(k+\tan\theta\right)=2\left(k+\tan\theta\right)-k=k+2\tan\theta\] 条件より、これが \(\tan2\theta\) に等しいから、\(T=\tan\theta\) とおくと \(k=\dfrac13\) より \[\frac13+2T=\frac{2T}{1-T^{2}}\] 両辺に \(3\left(1-T^{2}\right)\) を掛けて整理すると \[\left(1-T^{2}\right)+6T\left(1-T^{2}\right)=6T \quad\Longleftrightarrow\quad 6T^{3}+T^{2}-1=0\] 因数分解すると \[(2T-1)\left(3T^{2}+2T+1\right)=0\] \(3T^{2}+2T+1=0\) の判別式は \(4-12=-8<0\) で実数解をもたないから \[T=\frac12,\] すなわち \[\tan\theta=\frac12\] (\(0<\theta<\dfrac{\pi}{4}\) より \(0<\tan\theta<1\) をみたす。)
(3) \(\tan\alpha\) の値
【型】2直線のなす角は \(\tan(\theta_2-\theta_1)\) の加法定理。鋭角か鈍角かは内積で確かめる。
【なぜこうするか】 \(\angle\mathrm{PQO}\) は、Q から見た2方向 QO と QP のなす角。QO は \(\ell_1\) 上、QP は \(\ell_2\) 上なので、要するに2直線のなす角です。
各直線が \(x\) 軸正方向となす角を \(\theta_1,\theta_2\) とすると \(\tan\theta_1=-\dfrac13\)、\(\tan\theta_2=\tan2\theta=\dfrac43\)。加法定理より
\[\tan\left(\theta_2-\theta_1\right)=\frac{\tan\theta_2-\tan\theta_1}{1+\tan\theta_2\tan\theta_1}=\frac{\dfrac43+\dfrac13}{1-\dfrac49}=\frac{\dfrac53}{\dfrac59}=3\]
ここで注意が要ります。2直線のなす角は2通り(\(\beta\) と \(\pi-\beta\))あり、どちらが \(\angle\mathrm{PQO}\) かは実際に点の位置を見て決める必要があります。内積を計算すると負なので鈍角、したがって \(\tan\alpha=-3\)。
(1)(2) より \(k=\dfrac13\)、\(\tan\theta=\dfrac12\) だから、点 P の \(x\) 座標は \(\dfrac13+\dfrac12=\dfrac56\) で \[\mathrm{P}\left(\frac56,\ \frac12\cdot\frac56\right)=\mathrm{P}\left(\frac56,\ \frac{5}{12}\right)\] また \(\tan2\theta=\dfrac{2\cdot\dfrac12}{1-\dfrac14}=\dfrac43\)。
\(\ell_1:y=-\dfrac13x\)、\(\ell_2:y-\dfrac{5}{12}=\dfrac43\left(x-\dfrac56\right)\) すなわち \(y=\dfrac43x-\dfrac{25}{36}\)。連立して \[-\frac13x=\frac43x-\frac{25}{36} \quad\Longleftrightarrow\quad \frac53x=\frac{25}{36} \quad\Longleftrightarrow\quad x=\frac{5}{12}\] よって \(\mathrm{Q}\left(\dfrac{5}{12},\ -\dfrac{5}{36}\right)\)。
\(\ell_1,\ \ell_2\) が \(x\) 軸正方向となす角をそれぞれ \(\theta_1,\ \theta_2\) とすると \(\tan\theta_1=-\dfrac13\)、\(\tan\theta_2=\dfrac43\) だから、加法定理より \[\tan\left(\theta_2-\theta_1\right)=\frac{\dfrac43-\left(-\dfrac13\right)}{1+\dfrac43\cdot\left(-\dfrac13\right)}=\frac{\dfrac53}{\dfrac59}=3\] ここで \[\overrightarrow{\mathrm{QO}}=\left(-\frac{5}{12},\ \frac{5}{36}\right),\qquad \overrightarrow{\mathrm{QP}}=\left(\frac{5}{12},\ \frac59\right)\] \[\overrightarrow{\mathrm{QO}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{QP}}=-\frac{25}{144}+\frac{25}{324}=-\frac{125}{1296}<0\] だから \(\angle\mathrm{PQO}\) は鈍角である。よって \(\alpha=\pi-\left(\theta_2-\theta_1\right)\) にあたり \[\tan\alpha=-3\]
検証:sympy で \(6T^{3}+T^{2}-1=(2T-1)\left(3T^{2}+2T+1\right)\)、実数解が \(T=\dfrac12\) のみであることを確認しました。\(\mathrm{P}\left(\dfrac56,\dfrac{5}{12}\right)\)、\(\mathrm{Q}\left(\dfrac{5}{12},-\dfrac{5}{36}\right)\)、\(\overrightarrow{\mathrm{QO}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{QP}}=-\dfrac{125}{1296}<0\)、\(\cos\alpha=-\dfrac{\sqrt{10}}{10}\) から \(\tan\alpha=-3\) も厳密に確認しています。
【2】不等式と対数の大小
以下の問いに答えよ。
(1) \(a,\ b,\ c,\ x,\ y,\ z,\ M\) は正の実数とする。\(\dfrac{x}{a},\ \dfrac{y}{b},\ \dfrac{z}{c}\) がすべて \(M\) 以下のとき \[\frac{x+y+z}{a+b+c}\le M\] であることを示せ。
(2) \(\log_{2}5\) と \(\log_{3}5\) の大小を比較せよ。
(3) \(n\) が正の整数のとき \[1<\frac{1+\log_{2}5+\left(\log_{2}5\right)^{n}}{1+\log_{3}5+\left(\log_{3}5\right)^{n}}<2^{n}\] であることを示せ。
(1) 分数の評価
【型】分数の不等式は分母を払う。分母が正であることを確認してから。
【なぜこうするか】 \(\dfrac{x}{a}\le M\) の分母 \(a\) は正なので、払って \(x\le aM\)。同様に \(y\le bM\)、\(z\le cM\)。この3つを辺々足すだけ: \[x+y+z\le(a+b+c)M\] \(a+b+c>0\) だから割って結論。「分母が正だから不等号の向きが変わらない」ことを毎回確認するのが答案の作法です。
\(a,b,c\) は正だから、\(\dfrac{x}{a}\le M\)、\(\dfrac{y}{b}\le M\)、\(\dfrac{z}{c}\le M\) の分母を払って \[x\le aM,\qquad y\le bM,\qquad z\le cM\] 辺々加えると \[x+y+z\le(a+b+c)M\] \(a+b+c>0\) だから両辺を \(a+b+c\) で割って \[\frac{x+y+z}{a+b+c}\le M\] (証明終)
(2) \(\log_{2}5\) と \(\log_{3}5\) の大小
【型】底が違う対数は、同じ底に変換してから比べる。
【なぜこうするか】 底を5にそろえると \[\log_{2}5=\frac{1}{\log_{5}2},\qquad \log_{3}5=\frac{1}{\log_{5}3}\] \(0<\log_{5}2<\log_{5}3\)(\(2<3\) で底 \(5>1\) だから)なので、逆数をとると大小が逆転して \[\log_{2}5>\log_{3}5\] (別の見方:\(\log_{2}5=\dfrac{\log5}{\log2}\)、\(\log_{3}5=\dfrac{\log5}{\log3}\) で、分子が同じ正の数、分母は \(\log2<\log3\)。)
底の変換公式より \[\log_{2}5-\log_{3}5=\frac{1}{\log_{5}2}-\frac{1}{\log_{5}3}=\frac{\log_{5}3-\log_{5}2}{\log_{5}2\cdot\log_{5}3}\] 底 \(5>1\) で \(1<2<3\) だから \(0<\log_{5}2<\log_{5}3\)。よって上の式の分子・分母はともに正で \[\log_{2}5-\log_{3}5>0,\] すなわち \[\log_{2}5>\log_{3}5\]
(3) 不等式の証明
【型】(1) の \(\dfrac{x}{a},\dfrac{y}{b},\dfrac{z}{c}\) に何を当てるかを見つける。
【なぜこうするか】 分子・分母がどちらも「3つの項の和」なので、(1) をそのまま使える形です。
\[a=1,\quad b=\log_{3}5,\quad c=\left(\log_{3}5\right)^{n};\qquad x=1,\quad y=\log_{2}5,\quad z=\left(\log_{2}5\right)^{n}\]
とおくと
\[\frac{x}{a}=1,\qquad \frac{y}{b}=\frac{\log_{2}5}{\log_{3}5},\qquad \frac{z}{c}=\left(\frac{\log_{2}5}{\log_{3}5}\right)^{n}\]
ここで \(\dfrac{\log_{2}5}{\log_{3}5}=\log_{2}3\)(底の変換で \(\dfrac{\log5/\log2}{\log5/\log3}=\dfrac{\log3}{\log2}\))。そして \(1<\log_{2}3<2\)(\(2<3<4\) より)。
したがって3つの比の最大は \(\left(\log_{2}3\right)^{n}\) で、(1) より
(与式の中辺)\(\le\left(\log_{2}3\right)^{n}<2^{n}\)
下からの評価は、分子の各項が対応する分母の項より大きいことから直接出ます。下からの評価 (2) より \(\log_{2}5>\log_{3}5\) であり、\(\log_{3}5>1\)(\(5>3\) より)だから \[\left(\log_{2}5\right)^{n}>\left(\log_{3}5\right)^{n}\] よって分子は分母より大きく、分母は正だから \[\frac{1+\log_{2}5+\left(\log_{2}5\right)^{n}}{1+\log_{3}5+\left(\log_{3}5\right)^{n}}>1\] 上からの評価 (1) において \[a=1,\quad b=\log_{3}5,\quad c=\left(\log_{3}5\right)^{n},\qquad x=1,\quad y=\log_{2}5,\quad z=\left(\log_{2}5\right)^{n}\] とおく(いずれも正)。底の変換公式より \[\frac{\log_{2}5}{\log_{3}5}=\frac{\dfrac{\log5}{\log2}}{\dfrac{\log5}{\log3}}=\frac{\log3}{\log2}=\log_{2}3\] だから \[\frac{x}{a}=1,\qquad \frac{y}{b}=\log_{2}3,\qquad \frac{z}{c}=\left(\log_{2}3\right)^{n}\] \(2<3<4\) より \(1<\log_{2}3<2\) だから、これら3つはすべて \(\left(\log_{2}3\right)^{n}\) 以下である。よって (1) より \[\frac{1+\log_{2}5+\left(\log_{2}5\right)^{n}}{1+\log_{3}5+\left(\log_{3}5\right)^{n}}\le\left(\log_{2}3\right)^{n}<2^{n}\] 以上より \[1<\frac{1+\log_{2}5+\left(\log_{2}5\right)^{n}}{1+\log_{3}5+\left(\log_{3}5\right)^{n}}<2^{n}\] (証明終)
検証:\(\log_{2}5=2.321928\)、\(\log_{3}5=1.464974\) で \(\log_{2}5>\log_{3}5\)。比 \(\dfrac{\log_{2}5}{\log_{3}5}=\log_{2}3=1.584963<2\) も確認しました。\(n=1,2,3,5,10\) について中辺を計算すると \(1.436,\ 1.890,\ 2.824,\ 7.687,\ 94.975\) となり、いずれも \(1\) より大きく \(\left(\log_{2}3\right)^{n}<2^{n}\) より小さくなっています。
【3】四面体と空間ベクトル
四面体 OABC について、\(\mathrm{OA}=\mathrm{OB}=\mathrm{OC}\) および \(\angle\mathrm{AOB}=\angle\mathrm{BOC}=\angle\mathrm{COA}\) が成り立つとする。\(0<s<1\)、\(0<t<1\) を満たす実数 \(s,\ t\) に対し、辺 OA を \(s:1-s\) に内分する点を D とし、辺 OB を \(t:1-t\) に内分する点を E とする。\(\overrightarrow{\mathrm{AF}}=\overrightarrow{\mathrm{BG}}=\overrightarrow{\mathrm{OC}}\) となる点 F、G をとり、線分 EF と線分 DG が1点で交わるとし、その交点を P とする。\(\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\vec a\)、\(\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\vec b\)、\(\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\vec c\)、\(\angle\mathrm{AOB}=\theta\) とするとき、以下の問いに答えよ。
(1) \(t=s\) であることを示し、\(\overrightarrow{\mathrm{OP}}\) を \(s,\ \vec a,\ \vec b,\ \vec c\) を用いて表せ。
(2) \(\overrightarrow{\mathrm{EF}}\perp\overrightarrow{\mathrm{DG}}\) であるとき、\(\cos\theta\) を \(s\) を用いて表せ。
(3) \(\overrightarrow{\mathrm{EF}}\perp\overrightarrow{\mathrm{DG}}\) かつ \(\sqrt3\,\mathrm{OP}=\mathrm{OA}\) であるとき、\(s\) の値を求めよ。
(1) \(t=s\) の証明と \(\overrightarrow{\mathrm{OP}}\)
【型】交点は「2通りに表して係数比較」。\(\vec a,\vec b,\vec c\) は1次独立。
【なぜこうするか】 まず各点の位置ベクトルを書きます。
\[\overrightarrow{\mathrm{OD}}=s\vec a,\quad \overrightarrow{\mathrm{OE}}=t\vec b,\quad \overrightarrow{\mathrm{OF}}=\vec a+\vec c,\quad \overrightarrow{\mathrm{OG}}=\vec b+\vec c\]
(\(\overrightarrow{\mathrm{AF}}=\vec c\) より \(\overrightarrow{\mathrm{OF}}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\vec c\)。)
P は線分 EF 上でもあり線分 DG 上でもあるので、2通りに表して係数を比べます。
\[\overrightarrow{\mathrm{OP}}=(1-u)\overrightarrow{\mathrm{OE}}+u\overrightarrow{\mathrm{OF}}=u\vec a+t(1-u)\vec b+u\vec c\]
\[\overrightarrow{\mathrm{OP}}=(1-v)\overrightarrow{\mathrm{OD}}+v\overrightarrow{\mathrm{OG}}=s(1-v)\vec a+v\vec b+v\vec c\]
\(\vec a,\vec b,\vec c\) は1次独立(四面体をなす)だから係数が一致し、\(\vec c\) の係数から \(u=v\) が即座に出ます。あとは連立を解くだけ。
\(\overrightarrow{\mathrm{AF}}=\overrightarrow{\mathrm{BG}}=\vec c\) より \[\overrightarrow{\mathrm{OD}}=s\vec a,\quad \overrightarrow{\mathrm{OE}}=t\vec b,\quad \overrightarrow{\mathrm{OF}}=\vec a+\vec c,\quad \overrightarrow{\mathrm{OG}}=\vec b+\vec c\] P は線分 EF 上にあるから、実数 \(u\ (0<u<1)\) を用いて \[\overrightarrow{\mathrm{OP}}=(1-u)\,t\vec b+u\left(\vec a+\vec c\right)=u\vec a+t(1-u)\vec b+u\vec c \qquad\cdots ①\] また P は線分 DG 上にあるから、実数 \(v\ (0<v<1)\) を用いて \[\overrightarrow{\mathrm{OP}}=(1-v)\,s\vec a+v\left(\vec b+\vec c\right)=s(1-v)\vec a+v\vec b+v\vec c \qquad\cdots ②\] \(\vec a,\ \vec b,\ \vec c\) は1次独立だから、①、② の係数を比較して \[u=s(1-v),\qquad t(1-u)=v,\qquad u=v\] 第3式より \(u=v\)。第1式に代入して \[u=s(1-u) \quad\Longleftrightarrow\quad u(1+s)=s \quad\Longleftrightarrow\quad u=\frac{s}{1+s}\] 第2式より \[t=\frac{v}{1-u}=\frac{u}{1-u}=\frac{\dfrac{s}{1+s}}{1-\dfrac{s}{1+s}}=\frac{\dfrac{s}{1+s}}{\dfrac{1}{1+s}}=s\] よって \(t=s\)。(証明終)
このとき \(t(1-u)=v=u\) だから、① より \[\overrightarrow{\mathrm{OP}}=u\left(\vec a+\vec b+\vec c\right)=\frac{s}{1+s}\left(\vec a+\vec b+\vec c\right)\]
(2) \(\cos\theta\) を \(s\) で表す
【型】垂直条件は内積 \(=0\)。\(\left|\vec a\right|=\left|\vec b\right|=\left|\vec c\right|\)、内積がすべて等しいことを使う。
【なぜこうするか】 条件から
\[\left|\vec a\right|=\left|\vec b\right|=\left|\vec c\right|=m,\qquad \vec a\cdot\vec b=\vec b\cdot\vec c=\vec c\cdot\vec a=m^{2}\cos\theta\]
と、大きさも内積もすべて共通。これが計算を軽くします。
\(t=s\) を使うと
\[\overrightarrow{\mathrm{EF}}=\overrightarrow{\mathrm{OF}}-\overrightarrow{\mathrm{OE}}=\vec a+\vec c-s\vec b,\qquad \overrightarrow{\mathrm{DG}}=\overrightarrow{\mathrm{OG}}-\overrightarrow{\mathrm{OD}}=\vec b+\vec c-s\vec a\]
内積を展開すると、\(\cos\theta\) の係数と定数項に整理できます。
\(\left|\vec a\right|=\left|\vec b\right|=\left|\vec c\right|=m\)、\(\vec a\cdot\vec b=\vec b\cdot\vec c=\vec c\cdot\vec a=m^{2}\cos\theta\) とおく。(1) より \(t=s\) だから \[\overrightarrow{\mathrm{EF}}=\vec a-s\vec b+\vec c,\qquad \overrightarrow{\mathrm{DG}}=-s\vec a+\vec b+\vec c\] 内積を計算すると \[\overrightarrow{\mathrm{EF}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{DG}}=\left(s^{2}-2s+3\right)m^{2}\cos\theta+(1-2s)m^{2}\] \(\overrightarrow{\mathrm{EF}}\perp\overrightarrow{\mathrm{DG}}\) より、この値が0だから(\(m>0\)) \[\left(s^{2}-2s+3\right)\cos\theta+1-2s=0\] \(s^{2}-2s+3=(s-1)^{2}+2>0\) だから \[\cos\theta=\frac{2s-1}{s^{2}-2s+3}\]
(3) \(s\) の値
【型】\(\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|^{2}\) を展開し、(2) の \(\cos\theta\) を代入する。
【なぜこうするか】 (1) より
\[\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|^{2}=\left(\frac{s}{1+s}\right)^{2}\left|\vec a+\vec b+\vec c\right|^{2}=\left(\frac{s}{1+s}\right)^{2}\cdot3m^{2}\left(1+2\cos\theta\right)\]
(\(\left|\vec a+\vec b+\vec c\right|^{2}=3m^{2}+2\cdot3m^{2}\cos\theta\)。)
ここに (2) を代入すると
\[1+2\cos\theta=1+\frac{2(2s-1)}{s^{2}-2s+3}=\frac{s^{2}+2s+1}{s^{2}-2s+3}=\frac{(s+1)^{2}}{s^{2}-2s+3}\]
分子がちょうど \((s+1)^{2}\) になり、\(\dfrac{s}{1+s}\) の分母と約分されるのが設計の妙。条件 \(3\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|^{2}=m^{2}\) を整理すると、\(s\) の2次方程式になります。
(1) より \[\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|^{2}=\left(\frac{s}{1+s}\right)^{2}\left|\vec a+\vec b+\vec c\right|^{2}=\left(\frac{s}{1+s}\right)^{2}\cdot3m^{2}\left(1+2\cos\theta\right)\] (2) を代入すると \[1+2\cos\theta=\frac{s^{2}-2s+3+2(2s-1)}{s^{2}-2s+3}=\frac{(s+1)^{2}}{s^{2}-2s+3}\] だから \[\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|^{2}=\frac{s^{2}}{(1+s)^{2}}\cdot\frac{3m^{2}(s+1)^{2}}{s^{2}-2s+3}=\frac{3m^{2}s^{2}}{s^{2}-2s+3}\] \(\sqrt3\,\mathrm{OP}=\mathrm{OA}=m\) より \(3\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|^{2}=m^{2}\) だから \[\frac{9m^{2}s^{2}}{s^{2}-2s+3}=m^{2} \quad\Longleftrightarrow\quad 9s^{2}=s^{2}-2s+3\] \[\Longleftrightarrow\quad 8s^{2}+2s-3=0 \quad\Longleftrightarrow\quad (4s+3)(2s-1)=0\] \(0<s<1\) より \[s=\frac12\]
検証:\(\overrightarrow{\mathrm{EF}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{DG}}\) を係数計算で展開すると \(m^{2}\left\{\left(s^{2}-2s+3\right)\cos\theta+1-2s\right\}\) となり、\(\cos\theta=\dfrac{2s-1}{s^{2}-2s+3}\) が得られました。\(\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|^{2}=\dfrac{3m^{2}s^{2}(1+2\cos\theta)}{(1+s)^{2}}\) に代入して \(3\left|\overrightarrow{\mathrm{OP}}\right|^{2}=m^{2}\) を解くと \(s=\dfrac12\)(もう一方の解 \(-\dfrac34\) は範囲外)となり、sympy でも同じ結果を得ています。
【4】三角関数と回転体の体積
\(0\le x\le\pi\) の範囲において、関数 \(f(x),\ g(x)\) を \[f(x)=1+\sin x,\qquad g(x)=-1-\cos x\] と定める。
(1) \(0\le x\le\pi\) の範囲において、\(\left|f(x)\right|=\left|g(x)\right|\) を満たす \(x\) を求めよ。
(2) 曲線 \(y=f(x)\)、曲線 \(y=g(x)\)、直線 \(x=0\) および直線 \(x=\pi\) で囲まれる部分を、\(x\) 軸のまわりに1回転してできる立体の体積を求めよ。
(1) \(\left|f(x)\right|=\left|g(x)\right|\) となる \(x\)
【型】絶対値は、範囲内での符号を先に確定させてから外す。
【なぜこうするか】 \(0\le x\le\pi\) では \(\sin x\ge0\) だから \[f(x)=1+\sin x\ge1>0\quad\Longrightarrow\quad \left|f(x)\right|=1+\sin x\] また \(-1\le\cos x\le1\) だから \(g(x)=-1-\cos x\le0\) で \[\left|g(x)\right|=1+\cos x\] 両方とも絶対値が外れて、\(\sin x=\cos x\) という単純な式になります。
\(0\le x\le\pi\) では \(\sin x\ge0\) だから \(f(x)=1+\sin x\ge1>0\) で \[\left|f(x)\right|=1+\sin x\] また \(\cos x\ge-1\) だから \(g(x)=-1-\cos x\le0\) で \[\left|g(x)\right|=1+\cos x\] よって \(\left|f(x)\right|=\left|g(x)\right|\) は \[1+\sin x=1+\cos x \quad\Longleftrightarrow\quad \sin x=\cos x\] \(0\le x\le\pi\) でこれをみたすのは \[x=\frac{\pi}{4}\]
(2) 回転体の体積
【型】囲む領域が \(x\) 軸をまたぐときは、回転してできるのは半径 \(\max\left(\left|f\right|,\left|g\right|\right)\) の円盤。
【なぜこうするか】 \(g(x)\le0\le f(x)\) なので、囲まれる部分は各 \(x\) で区間 \(\left[g(x),\ f(x)\right]\)、これは0を含みます。
この線分を \(x\) 軸のまわりに回すと、穴のあいていない円盤になり、その半径は原点から遠いほうの端まで、つまり \(\max\left(\left|f(x)\right|,\left|g(x)\right|\right)\)。
(1) より \(x=\dfrac{\pi}{4}\) で大小が入れ替わるので
- \(0\le x\le\dfrac{\pi}{4}\):\(\cos x\ge\sin x\) だから \(\left|g\right|\ge\left|f\right|\)、半径は \(1+\cos x\)
- \(\dfrac{\pi}{4}\le x\le\pi\):\(\sin x\ge\cos x\) だから半径は \(1+\sin x\)
\(0\le x\le\pi\) で \(g(x)\le0\le f(x)\) だから、囲まれる部分の各 \(x\) における切り口は区間 \(\left[g(x),\ f(x)\right]\) であり、これは0を含む。したがって \(x\) 軸のまわりに1回転してできる立体の断面は、半径 \[\max\left(\left|f(x)\right|,\ \left|g(x)\right|\right)=\max\left(1+\sin x,\ 1+\cos x\right)\] の円である。(1) より、\(0\le x\le\dfrac{\pi}{4}\) では \(1+\cos x\)、\(\dfrac{\pi}{4}\le x\le\pi\) では \(1+\sin x\) が大きい。よって体積 \(V\) は \[V=\pi\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\left(1+\cos x\right)^{2}dx+\pi\int_{\frac{\pi}{4}}^{\pi}\left(1+\sin x\right)^{2}dx\] それぞれ半角の公式を用いて展開すると \[\left(1+\cos x\right)^{2}=\frac32+2\cos x+\frac12\cos2x,\qquad \left(1+\sin x\right)^{2}=\frac32+2\sin x-\frac12\cos2x\] だから \[\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\left(1+\cos x\right)^{2}dx=\left[\frac32x+2\sin x+\frac14\sin2x\right]_{0}^{\frac{\pi}{4}}=\frac{3\pi}{8}+\sqrt2+\frac14\] \[\int_{\frac{\pi}{4}}^{\pi}\left(1+\sin x\right)^{2}dx=\left[\frac32x-2\cos x-\frac14\sin2x\right]_{\frac{\pi}{4}}^{\pi}=\frac{9\pi}{8}+\sqrt2+\frac94\] したがって \[V=\pi\left(\frac{3\pi}{8}+\sqrt2+\frac14+\frac{9\pi}{8}+\sqrt2+\frac94\right)=\left(\frac32\pi+2\sqrt2+\frac52\right)\pi\] (数値では \(V=31.544\cdots\)。)
検証:sympy で厳密積分すると \(V=\dfrac{\pi\left(5+4\sqrt2+3\pi\right)}{2}=31.544154\)。区間 \([0,\pi]\) を40万分割して \(\pi\max\left(1+\sin x,1+\cos x\right)^{2}\) を数値積分しても \(31.544154\) となり一致しました。
【5】指数と対数の数列・無限級数
数列 \(\{a_n\}\) を \(a_n=\dfrac{1}{2^{n}}\)(\(n=1,2,3,\ldots\))で定める。以下の問いに答えよ。
(1) \(t>0\) のとき、\(1\le\dfrac{e^{t}-1}{t}\le e^{t}\) であることを示せ。
(2) 数列 \(\{x_n\},\ \{y_n\},\ \{z_n\}\) を \[x_n=\log\left(e^{a_n}+1\right),\quad y_n=\log\left(e^{a_n}-1\right),\quad z_n=y_n+\sum_{k=1}^{n}x_k\] で定める。\(z_n\) は \(n\) によらない定数であることを示せ。
(3) \(\displaystyle\sum_{k=1}^{\infty}\log\left(\frac{e^{a_k}+1}{2}\right)\) を求めよ。
(1) 不等式の証明
【型】差をとって微分。\(t>0\) での単調性と \(t=0\) での値を使う。
【なぜこうするか】 \(t>0\) なので分母を払って \[t\le e^{t}-1\le te^{t}\] を示せば十分です。左右それぞれを「差の関数」にして微分します。
- 左:\(f(t)=e^{t}-1-t\)、\(f'(t)=e^{t}-1>0\)(\(t>0\))、\(f(0)=0\) → \(f(t)>0\)
- 右:\(g(t)=te^{t}-e^{t}+1\)、\(g'(t)=e^{t}+te^{t}-e^{t}=te^{t}>0\)、\(g(0)=0\) → \(g(t)>0\)
\(f(t)=e^{t}-1-t\)、\(g(t)=te^{t}-e^{t}+1\) とおくと \[f'(t)=e^{t}-1,\qquad g'(t)=e^{t}+te^{t}-e^{t}=te^{t}\] \(t>0\) では \(e^{t}>1\) だから \(f'(t)>0\)、また \(te^{t}>0\) だから \(g'(t)>0\)。よって \(f,\ g\) はともに \(t>0\) で単調に増加する。
\(f(0)=1-1-0=0\)、\(g(0)=0-1+1=0\) だから、\(t>0\) では \[f(t)>0,\qquad g(t)>0\] すなわち \[t<e^{t}-1,\qquad e^{t}-1<te^{t}\] \(t>0\) で割って \[1<\frac{e^{t}-1}{t}<e^{t}\] とくに \(1\le\dfrac{e^{t}-1}{t}\le e^{t}\) が成り立つ。(証明終)
(2) \(z_n\) が定数であることの証明
【型】\(z_{n+1}-z_n=0\) を示す。指数の因数分解 \(e^{2t}-1=\left(e^{t}-1\right)\left(e^{t}+1\right)\) が鍵。
【なぜこうするか】 \(a_n=\dfrac{1}{2^{n}}\) なので \(a_n=2a_{n+1}\)。ここから \[e^{a_n}-1=e^{2a_{n+1}}-1=\left(e^{a_{n+1}}-1\right)\left(e^{a_{n+1}}+1\right)\] 対数をとると \[y_n=y_{n+1}+x_{n+1}\] つまり \(y_{n+1}=y_n-x_{n+1}\)。これを \(z_{n+1}\) に入れると \[z_{n+1}=y_{n+1}+\sum_{k=1}^{n+1}x_k=\left(y_n-x_{n+1}\right)+\sum_{k=1}^{n}x_k+x_{n+1}=y_n+\sum_{k=1}^{n}x_k=z_n\] \(x_{n+1}\) が打ち消し合うので、\(z_n\) は \(n\) によりません。値は \(n=1\) を代入して \[z_1=y_1+x_1=\log\left\{\left(e^{\frac12}-1\right)\left(e^{\frac12}+1\right)\right\}=\log(e-1)\]
\(a_n=\dfrac{1}{2^{n}}\) より \(a_n=2a_{n+1}\) だから \[e^{a_n}-1=e^{2a_{n+1}}-1=\left(e^{a_{n+1}}\right)^{2}-1=\left(e^{a_{n+1}}-1\right)\left(e^{a_{n+1}}+1\right)\] \(a_{n+1}>0\) より \(e^{a_{n+1}}-1>0\)、\(e^{a_{n+1}}+1>0\) だから、両辺の対数をとって \[y_n=y_{n+1}+x_{n+1}\] すなわち \[y_{n+1}=y_n-x_{n+1}\] よって \[z_{n+1}=y_{n+1}+\sum_{k=1}^{n+1}x_k=\left(y_n-x_{n+1}\right)+\left(\sum_{k=1}^{n}x_k+x_{n+1}\right)=y_n+\sum_{k=1}^{n}x_k=z_n\] したがって \(z_n\) は \(n\) によらない定数である。(証明終)
その値は \(n=1\)(\(a_1=\dfrac12\))として \[z_1=y_1+x_1=\log\left(e^{\frac12}-1\right)+\log\left(e^{\frac12}+1\right)=\log\left\{\left(e^{\frac12}\right)^{2}-1\right\}=\log(e-1)\]
(3) 無限級数の値
【型】(2) で部分和を書き換え、(1) のはさみうちで極限をとる。
【なぜこうするか】 部分和は \[S_n=\sum_{k=1}^{n}\left(x_k-\log2\right)=\left(z_n-y_n\right)-n\log2=\log(e-1)-y_n-n\log2\] ここで \[y_n+n\log2=\log\left(e^{a_n}-1\right)+\log2^{n}=\log\left\{2^{n}\left(e^{a_n}-1\right)\right\}=\log\frac{e^{a_n}-1}{a_n}\] (\(a_n=\dfrac{1}{2^{n}}\) より \(2^{n}=\dfrac{1}{a_n}\)。)ここで (1) が効きます。\(t=a_n\) として \[1\le\frac{e^{a_n}-1}{a_n}\le e^{a_n}\] \(n\to\infty\) で \(a_n\to0\)、\(e^{a_n}\to1\) だから、はさみうちで \(\dfrac{e^{a_n}-1}{a_n}\to1\)、その対数は0に収束します。
部分和を \(S_n\) とすると \[S_n=\sum_{k=1}^{n}\log\left(\frac{e^{a_k}+1}{2}\right)=\sum_{k=1}^{n}\left(x_k-\log2\right)=\sum_{k=1}^{n}x_k-n\log2\] (2) より \(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}x_k=z_n-y_n=\log(e-1)-y_n\) だから \[S_n=\log(e-1)-y_n-n\log2=\log(e-1)-\left\{\log\left(e^{a_n}-1\right)+\log2^{n}\right\}\] \(2^{n}=\dfrac{1}{a_n}\) だから \[\log\left(e^{a_n}-1\right)+\log2^{n}=\log\frac{e^{a_n}-1}{a_n}\] よって \[S_n=\log(e-1)-\log\frac{e^{a_n}-1}{a_n}\] (1) で \(t=a_n\ (>0)\) とすると \[1\le\frac{e^{a_n}-1}{a_n}\le e^{a_n}\] \(n\to\infty\) のとき \(a_n=\dfrac{1}{2^{n}}\to0\) だから \(e^{a_n}\to1\)。はさみうちの原理より \[\lim_{n\to\infty}\frac{e^{a_n}-1}{a_n}=1\] したがって \[\sum_{k=1}^{\infty}\log\left(\frac{e^{a_k}+1}{2}\right)=\lim_{n\to\infty}S_n=\log(e-1)-\log1=\log(e-1)\]
検証:\(n=1,2,3,6,12\) について \(z_n\) を直接計算すると、いずれも \(0.5413248546=\log(e-1)\) となり定数であることを確認しました。(3) の部分和も \(N=10\) で \(0.5408365\)、\(N=40\) で \(0.5413249\) と \(\log(e-1)=0.5413249\) に収束しています。
【6】複素数平面の円と偏角
\(\left|z\right|^{2}+3=2\left(z+\overline{z}\right)\) を満たす複素数 \(z\) 全体の集合を \(A\) とする。ただし \(\overline{z}\) は \(z\) の共役複素数である。
(1) 集合 \(A\) を複素数平面上に図示せよ。
(2) \(A\) の要素 \(z\) の偏角を \(\theta\) とする。ただし \(-\pi<\theta\le\pi\) とする。\(z\) が \(A\) を動くとき、\(\theta\) のとりうる値の範囲を求めよ。
(3) \(z^{60}\) が正の実数となる \(A\) の要素 \(z\) の個数を求めよ。
(1) 集合 \(A\) の図示
【型】\(z=x+yi\) とおいて実数の方程式に直す。\(\left|z\right|^{2}=x^{2}+y^{2}\)、\(z+\overline{z}=2x\)。
【なぜこうするか】 \(z=x+yi\)(\(x,y\) は実数)とおくと
\[\left|z\right|^{2}=x^{2}+y^{2},\qquad z+\overline{z}=2x\]
だから条件は
\[x^{2}+y^{2}+3=4x \quad\Longleftrightarrow\quad x^{2}-4x+y^{2}+3=0 \quad\Longleftrightarrow\quad (x-2)^{2}+y^{2}=1\]
中心 \(2\)(実軸上)、半径1の円。
(\(z\overline{z}-2z-2\overline{z}+3=0\) を \(\left(z-2\right)\left(\overline{z}-2\right)=1\)、すなわち \(\left|z-2\right|=1\) と変形しても同じです。)
\(z=x+yi\)(\(x,y\) は実数)とおくと \(\left|z\right|^{2}=x^{2}+y^{2}\)、\(z+\overline{z}=2x\) だから、条件は \[x^{2}+y^{2}+3=4x \quad\Longleftrightarrow\quad (x-2)^{2}+y^{2}=1\] (複素数のまま変形すると \(\left(z-2\right)\overline{\left(z-2\right)}=1\)、すなわち \(\left|z-2\right|=1\)。)
よって \(A\) は点 \(2\) を中心とする半径1の円である。
(2) 偏角 \(\theta\) の範囲
【型】原点から円に引いた2本の接線が偏角の境界。\(\sin\)(半角)=(半径)÷(中心までの距離)。
【なぜこうするか】 偏角は「原点から見た方向」。円 \(A\) を見込む角の範囲を求めればよく、境界は原点から円に引いた接線です。
原点から中心 \(2\) までの距離は2、半径は1。接点を T とすると \(\triangle\)(原点・中心・T)は \(\angle\mathrm{T}=90^\circ\) の直角三角形で
\(\sin\)(接線と実軸のなす角)\(=\dfrac{1}{2}\)
よってその角は \(\dfrac{\pi}{6}\)。円は実軸について対称なので、偏角の範囲は \[-\frac{\pi}{6}\le\theta\le\frac{\pi}{6}\] (等号は接点のときで、そこも \(A\) の要素なので含みます。)円 \(A\) は原点を通らない(原点から中心 \(2\) までの距離2が半径1より大きい)から、原点から円 \(A\) に2本の接線が引ける。接点の1つを T とすると、原点と中心 \(2\) と T のなす三角形は \(\angle\mathrm{OT}\cdot=90^\circ\) の直角三角形で、斜辺の長さが2、\(\mathrm{T}\) の対辺(半径)が1だから、原点における角を \(\beta\) として \[\sin\beta=\frac12 \quad\Longrightarrow\quad \beta=\frac{\pi}{6}\] 円 \(A\) は実軸に関して対称だから、\(z\) が \(A\) を動くときの偏角の範囲は \[-\frac{\pi}{6}\le\theta\le\frac{\pi}{6}\]
(3) \(z^{60}\) が正の実数となる \(z\) の個数
【型】\(z^{60}\) が正の実数 ⟺ \(60\theta\) が \(2\pi\) の整数倍。偏角ごとに交点の個数を数える。
【なぜこうするか】 \(z=r\left(\cos\theta+i\sin\theta\right)\)(\(r>0\))とすると \(z^{60}=r^{60}\left(\cos60\theta+i\sin60\theta\right)\)。これが正の実数となるのは \(60\theta=2\pi n\)(\(n\) は整数)のとき、すなわち
\[\theta=\frac{\pi n}{30}\]
(2) より \(\left|\theta\right|\le\dfrac{\pi}{6}=\dfrac{5\pi}{30}\) だから \(\left|n\right|\le5\)、つまり \(n=-5,-4,\ldots,5\) の11通り。
ここからが本題です。「偏角が \(\theta\) の \(A\) の要素」は、原点から出る半直線と円 \(A\) の交点。その個数は
- \(\left|\theta\right|<\dfrac{\pi}{6}\)(半直線が円を貫く)→ 2個
- \(\left|\theta\right|=\dfrac{\pi}{6}\)(接線)→ 1個
\(A\) の要素 \(z\) は \(z\ne0\) だから、\(z=r\left(\cos\theta+i\sin\theta\right)\)(\(r>0\))と表せる。ド・モアブルの定理より \[z^{60}=r^{60}\left(\cos60\theta+i\sin60\theta\right)\] これが正の実数となる条件は、\(r^{60}>0\) より \[60\theta=2\pi n \quad\Longleftrightarrow\quad \theta=\frac{\pi n}{30}\](\(n\) は整数) (2) より \(-\dfrac{\pi}{6}\le\theta\le\dfrac{\pi}{6}\)、すなわち \(-\dfrac{5\pi}{30}\le\dfrac{\pi n}{30}\le\dfrac{5\pi}{30}\) だから \[-5\le n\le5\] の11通り。
各 \(\theta\) に対する \(A\) の要素の個数は、原点を端点とする偏角 \(\theta\) の半直線と円 \(A\) の共有点の個数に等しい。中心 \(2\) からこの半直線までの距離は \(2\left|\sin\theta\right|\) だから
- \(2\left|\sin\theta\right|<1\)、すなわち \(\left|\theta\right|<\dfrac{\pi}{6}\) のとき共有点は2個
- \(\left|\theta\right|=\dfrac{\pi}{6}\)(接する)とき共有点は1個
さらに、接線にあたる \(\theta=\pm\dfrac{\pi}{6}\) だけは1個。ここを2個で数えると22個という誤答になります。
検証:\(\theta=\dfrac{\pi n}{30}\) が \(\left|\theta\right|\le\dfrac{\pi}{6}\) に入るのは \(n=-5,\ldots,5\) の11通り。各 \(n\) について中心 \(2\) から半直線までの距離 \(2\left|\sin\theta\right|\) を計算すると、\(n=\pm5\) でちょうど \(1.000000\)(接する→1個)、それ以外は \(0.813473,\ 0.618034,\ 0.415823,\ 0.209057,\ 0\) と1未満(→2個)。合計20個となり、解答例と一致しました。
この年度で使った「型」の一覧
| 型 | 使った問題 |
|---|---|
| 接線の傾きは微分係数。原点での傾きは \(y'(0)\) | 【1】(1) |
| 放物線と直線の交点は、連立して \(x\) でくくる | 【1】(2) |
| 2直線のなす角は加法定理。鋭角か鈍角かは内積で判定する | 【1】(3) |
| 分数の不等式は、分母の符号を確かめてから払う | 【2】(1) |
| 底が違う対数は同じ底にそろえてから比べる | 【2】(2) |
| 誘導の不等式は「何を \(\dfrac{x}{a}\) に当てるか」を探す(差ではなく比) | 【2】(3) |
| 交点は2通りに表して係数比較(1次独立が前提) | 【3】(1) |
| すべての辺の長さと内積が等しい四面体では、内積計算が一気に軽くなる | 【3】(2) |
| \(\left|\vec a+\vec b+\vec c\right|^{2}=3m^{2}\left(1+2\cos\theta\right)\)(対称な3ベクトル) | 【3】(3) |
| 絶対値は範囲内での符号を確定させてから外す | 【4】(1) |
| 回転体で領域が軸をまたぐときは、半径は \(\max\left(\left|f\right|,\left|g\right|\right)\) | 【4】(2) |
| \(e^{2t}-1=\left(e^{t}-1\right)\left(e^{t}+1\right)\) の因数分解 | 【5】(2) |
| \(z_{n+1}-z_n=0\) を示せば「定数」が言える | 【5】(2) |
| 発散する項どうしを1つの \(\log\) にまとめると有限に落ち着く | 【5】(3) |
| \(\left|z\right|^{2}=x^{2}+y^{2}\)、\(z+\overline{z}=2x\) で実数の方程式に直す | 【6】(1) |
| 偏角の範囲は、原点から引いた接線が境界 | 【6】(2) |
| 「偏角の個数」と「点の個数」は違う。半直線と図形の交点数を数える | 【6】(3) |
検証について
本ページの数値は、次の三段階で確認しています。
- 当塾で解く 問題文から自力で解答を作成しました。
- Pythonによる独立検算 【1】は3次方程式を因数分解して接線と角を厳密計算、【2】は対数の大小と不等式を \(n\) を変えて数値確認、【3】はベクトルの内積を係数計算で展開、【4】は体積を厳密積分と40万分割の数値積分で照合、【5】は \(z_n\) を \(n=12\) まで計算して定数性を確認、【6】は各偏角について円と半直線の交点数を1本ずつ判定しました。
- 解答例との照合 本ページで公開している解答PDFと、全17小問の答えを1問ずつ突き合わせました。17小問すべてが一致しています。なお【6】(3) については、当塾が最初に問題文の指数を \(z^{100}\) と読み違えて34個と計算しており、この照合で誤りに気づいて修正しました(正しくは \(z^{60}\) で20個)。
問題文・解答例の著作権は筑波大学に帰属します。本ページは学習目的の解説であり、問題の全文転載ではありません。数値に誤りを見つけられた場合は、お手数ですがお問い合わせフォームよりご連絡ください。
問題PDFをテキストでも確認
筑波大学 2019年度 数学入試問題の文字起こし・出題分析
公開中の問題PDFを検索・復習しやすいよう文字データ化し、読み取れた語句から出題分野を整理しました。
- 図形・三角関数
- 指数・対数
- 整数
- 空間図形
- 微分・積分
- 複素数
- 数列
この年度の出題範囲と傾向
2019年度の問題PDFでは、図形・三角関数、指数・対数、整数、空間図形、微分・積分に関する語句や設問を確認できました。筑波大学の公開PDFを年度横断で調べると、微分・積分は23年度、図形・三角関数は21年度、関数・グラフは21年度で検出されており、複数年を比較して対策したい分野です。
分野判定はPDFから読み取れた語句に基づく集計です。数式・記号・図表は文字変換で崩れる場合があるため、正確な条件は必ず原本PDFで確認してください。
問題文の文字起こし
問1画像OCR
検出分野: 図形・三角関数、指数・対数、整数、空間図形、微分・積分
(2) tanのを求めよ。
3) 直線4 とムの交点をQとする。ンPQO =a (ただし0 ミヶミァ) とすると
&, taneを求めよ。
を 1 デー OM6(688—82)
[ 2 〕 以下の問いに答えよ。
Dab cy 7は正の実数とする。 —, 3, STAT MF
De®,
feck yhi2l os
hhe
であることを示せ。
2) log:5 とloe5 の大小を比較せよ。
3) ヵが正の整数のとき,
L+ logs 5 + (loge 5)" 。。。
1そうユイesst(legs57 ~~
であることを示せ。
一 OMG (6SR一833
[ 3 〕 四面体0ABCについて. 0A=OB=0CおよびンAOB = ZBOC = ンCOA
が成り立つとする。 0 くsく1. 0く7く1を満たす実数 s、 に対し. 辺0QA を
si ユーsに内分する点をDとし. 辺OBを7: 1一7に内分する点をEEとす
る。AF = BG = OC となる点F、Gをとり、線分 EF と線分 DG が 1 点で交わる
EL, その交点をPとする。OA = OB=b. 0C=c。 2A0B=のとすると
き. 以下の間いに答えよ。
(1) 7 *であることを示し. OPEs, a 2. <を用いて表せ。
(2) EFLDG であるとき. cosのをゞを用いて表せ。
(3) EFLDG かつい3 OP = OA であるとき. s の値を求めよ。
に MI6(6S8一8)
(4) 0 ミャミァの蓄囲において. BRAG). (QE
fH Le sine .の(rt)ーー1 一cosr
と定める。
D 0 ミ*ミァの範囲において, [fl =|g(x) |を満たす を求めよ。
2) 曲線ゞ=ニア(y), Ry = gO), 直線r=0および直線+ニァで囲まれる
部分を 軸のまわりに1回転してできる立体の体馬を求めよ。
= = M6 (68885)
[5 〕 Balla) Ba, =e (7 ー1、2.3....)で定める。以下の問いに答えよ。
ダダェ1 ン =
D t>00e8, 1ミーーーミ ce であることを示せ。
2) 数列r計bb計、 (enh e
*。ーlog(e圭1)
Jn = log(e** — 1) (a= 1,2, 38.5)
Zn = Yat at
で定める。z,はヵによらない定数であることを示せ。
、 のキ1ょっ
(3) Pa tor( +) esto,
=f 一 M6 (688—86)
(6) E+3=2 (<る)を満たす複素数s 全体の集合を4とする。ただしszはs
の共役複素数である。
1) 集合 4 を複夫数平面上に図中せよ。
12) 4 の要素 z の偏角をの9とする。ただし一*くの9ミァとする。zが4を動くと
き. 9のとりうる値の範囲を求めよ。
8) < が正の実数となる A の要素 2 の個数を求めよ。
デー5 一 やMI6(6SS一87)

