大学受験

横浜国立大学 2019年度 過去問・解答

数強塾のプロ講師陣

藤原進之介です。このページでは横浜国立大学2019年度の数学過去問を解答・解説つきで無料公開しています。

今日の一問
【問題】
赤色、白色、黄色の3つのさいころを同時に投げ、それぞれのさいころの出た目を とする。 の最小値を 、最大値を とする。
(1)  となる確率を求めよ。
(2)  という条件の下で、 となる条件付き確率を求めよ。
——さて、どこから手をつける?
答えと考え方は、この記事の中で順を追って解説します。

問題

解答

📑 この年度の大問インデックス(全7問)

解説が長いので、解きたい大問へ直接移動できるようにしています。解けなかった問題は、解説を読んだあとに同じ型の問題で当て直すと定着が速くなります。

型から探したいときは解法パターン事典、他の年度は過去問解説の総索引から。

🧭 横浜国立大学 2019年度|大問ごとに「使う型」を対応させた表

解けなかった大問がどの型に属するのかを一覧にしました。解説を読んだあと、型のページで同じ判断を使う問題を数問当てると定着が速くなります。この年度は難易度と目標時間を掲載していないため、それらは載せていません。

大問出題テーマ使う型(解法パターン事典)
【1】A1 第1問 確率|3つのさいころと条件付き確率条件付き確率・独立・反復試行
【2】A1 第2問 ベクトル|正四面体と平面の交点ベクトルの図形への応用
【3】A1 第3問 微分積分|法線がもう一度接する条件と面積積分法(数II)
【4】A2 第1問 極限|三角形と区分求積極限
【5】A2 第3問 確率|さいころを 回投げたときの順序統計量確率
【6】A2 第4問 通過領域|面積一定の三角形と線分の掃く範囲通過領域と逆手流
【7】A2 第5問 積分| 軸をまたぐ領域の回転体の体積積分法(体積・弧長)

型の全体像は解法パターン事典、他の年度・他大学は過去問解説の総索引から。横浜国立大学の年度一覧は各ページ末尾のナビでも確認できます。

横浜国立大学 2019年度(平成31年度)前期日程 数学の全問解説です。A1冊子(3題)とA2冊子(5題)の全8題を扱います。うち第2問は両冊子に共通で出題されているため、実質7題です。
掲載しているすべての数値は、当塾で独立に解き直したうえで Pythonによる全列挙・数値積分での再検算 を行い、本ページで配布している解答PDFも数強塾が独自に作成したもので、この解説と同じ答え・同じ道筋です。

この年度の傾向(3行)

  • 「言い換え」で勝負が決まる問題が多い。A2第3問の「」を「6の目が2回以上」と読み替えられるか、A2第4問の「通過領域」を「 の方程式が区間に解をもつ条件」に翻訳できるかが分岐点です。
  • 計算量そのものは重くない。A1第1問は数え上げ、A1第3問も最後は解と係数の関係で終わります。方針が立てば完答できる設計です。
  • 数Ⅲは A2冊子に集中(第1問の区分求積・第5問の回転体)。A1冊子は数ⅡBまでで解け、学部により要求範囲が違うことがそのまま冊子の差になっています。

〔A1冊子〕第1問・第2問・第3問

A1 第1問 確率|3つのさいころと条件付き確率

【問題】
赤色、白色、黄色の3つのさいころを同時に投げ、それぞれのさいころの出た目を とする。 の最小値を 、最大値を とする。
(1)  となる確率を求めよ。
(2)  という条件の下で、 となる条件付き確率を求めよ。
【解答】 (1)   (2)

(1)  となる確率

【問題(再掲)】  となる確率を求めよ。

【型】最大・最小がからむ確率は「最大最小を決める変数を先に固定し、残りを数える」型。

【なぜこうするか】 を決めているのは の2つだけで、 は無関係に振られます。ですから を先に固定してしまえば、条件を満たす は「 以上 以下の整数」= 個と即座に数えられます。3つの変数を同時に見ようとすると場合分けが膨れ上がりますが、この順序なら一直線です。

を1組固定したとき、条件を満たす の個数は

 (個)

したがって全体の場合の数は、 の36通りすべてについてこれを足し上げた

ここで となる のとき6組、 のとき 組なので

よって場合の数は 、求める確率は

検証: 通りをPythonで全列挙したところ、条件を満たすのはちょうど106通りでした。

よくあるミス 「」を「あいだ」と読んで、 の場合を除いてしまう。等号がついているので端も含みます。また のときも の1通りが該当し、除外してはいけません。

【定石】複数の変数がからむ確率は「どの変数が条件を支配しているか」を見極め、その変数を先に固定する。残りは数えるだけになる。

(2)  となる条件付き確率

【問題(再掲)】  という条件の下で、 となる条件付き確率を求めよ。

【型】条件付き確率は「分母も分子も、確率に直さず場合の数のまま」で処理する型。

【なぜこうするか】 の分母と分子は、どちらも同じ で割った値です。ならば は約分で消えるので、最初から場合の数の比を作れば計算が1行で済みます。

分母は(1)より106通り。分子は「 かつ 」の場合の数です。 となる

 の6通り

そのそれぞれで 通り。よって分子は 通りとなり

検証:全列挙でも分子24通り・分母106通りで一致しました。

【定石】条件付き確率は「同じ分母で数えた場合の数の比」。確率に直してから割ると、かえって約分でつまずく。

A1 第2問(=A2 第2問) ベクトル|正四面体と平面の交点

この問題はA1冊子・A2冊子の両方に、まったく同じ形で出題されています。

【問題】
1辺の長さが1である正四面体OABCがある。辺OA上に点D、辺OB上に点E、辺OC上に点Fがあり、 をみたしている。さらに辺OBと辺ACの中点をそれぞれM、Nとする。平面DEFと直線MNの交点をPとする。ベクトル とおく。
(1)  を求めよ。
(2)  を用いて表せ。
(3)  を求めよ。
【解答】 (1)   (2)   (3)

(1) 

【問題(再掲)】  を求めよ。

【型】正四面体は座標を置かず「長さ1・内積すべて 」に翻訳して処理する型。

【なぜこうするか】正四面体に座標を入れると のような値が出てきて、以後の計算がすべて重くなります。一方、正四面体の情報は

この2行に完全に集約されます。これだけで長さも角度も出るので、座標を持ち込む理由がありません(内積が なのは、どの2辺のなす角も だからです)。

Mは辺OBの中点、Nは辺ACの中点なので

したがって

検証:1辺1の正四面体の座標を実際に取って数値計算したところ で一致しました。

【定石】正三角形・正四面体・正六角形は「長さと内積の表」を最初に書き出す。以後は展開するだけの作業になる。

(2)  で表す

【問題(再掲)】  を用いて表せ。

【型】「直線上」と「平面上」の2条件を、係数の和が1で連立する型。

【なぜこうするか】点Pには条件が2つあります。直線MN上という条件は文字1つ で書けます。もう一方の「平面DEF上」という条件は、D、E、Fを基準にしたときの係数の和が1と言い換えられます。ですから で書いた式を、いったん の式に書き換えてから和を1と置く、という順序になります。基準をそろえてから条件を使うというのが、この問題の核心です。

Pは直線MN上にあるので、実数 を用いて

ここで与えられた比から なので

Pが平面DEF上にあるので、係数の和が1。すなわち

よくあるミス  のままで「係数の和=1」としてしまう。それは平面ABC上という意味であって、平面DEF上ではありません。実際 を解くと となり、Nそのものになってしまいます。

検証:正四面体の座標を取って「直線MN」と「平面DEF」の交点を連立方程式で数値的に求めたところ、、係数は となり に一致しました。

【定石】「平面XYZ上にある」は、X、Y、Zを基準に書き直したときの係数の和が1。基準をそろえるまでは条件を使わない。

(3) 

【問題(再掲)】  を求めよ。

【型】同じ向きのベクトルの長さは、あらためて計算せず比で移す型。

【なぜこうするか】(2)の置き方から がそのまま成り立っています。 は(1)で出ているので、掛けるだけで終わります。

検証:数値計算で と一致。

【定石】(1)(2)(3)がつながっている問題は、後半ほど「前の答えを使うだけ」になっていることが多い。ゼロから計算し直す前に、前問の結論が使える形になっていないか見る。

A1 第3問 微分積分|法線がもう一度接する条件と面積

【問題】
実数 に対し、 平面上の曲線 とする。 上の異なる2点 と、2つの直線 があり、 に対して以下の条件をみたしている。
 (i)  座標は正である。
 (ii)  を通り、さらに における の接線と直交する。
 (iii)  以外の点で に接する。
(1)  のとり得る値の範囲を求めよ。
(2)  に対して、 によって囲まれる部分の面積を とする。 の式で表せ。
【解答】 (1)   (2)

(1)  のとり得る値の範囲

【問題(再掲)】 条件(i)(ii)(iii)をみたす が存在するような の範囲を求めよ。

【型】「接する」を重解に翻訳する型。

【なぜこうするか】「接する」という言葉のままでは式になりません。 と点 で接するというのは、「 の式から の式を引いた3次方程式」が 重解にもつということです。今回は も通るので、この3次方程式は と完全に因数分解された形になります。「接する+通る」で3次方程式の根がすべて指定される——ここが翻訳の勘所です。

とおきます。 より、Pにおける接線の傾きは 。よって法線

に接するとすると

右辺を展開すると です。左辺には の項がないので、係数を比べて

この は、3次曲線に特有の関係です。「接点 の接線が曲線と再び交わる点は 」という有名事実を、逆向きに使った形になっています。3次曲線の接線がらみでは、必ず の比が現れると覚えておくと見通しがよくなります。

次に の係数を比べます。 を代入すると なので

両辺に を掛けて整理すると

とおくと

 …③

が異なる2点で、しかも 座標が正であることは、③が異なる2つの正の解をもつことと同値です( は1対1に対応するため)。したがって

  • 判別式:
  • 2解の和:
  • 2解の積:(つねに成立)

この3つを同時に満たすのは

検証: では③の正の解は0個、 では2個になることを数値的に確認しました。さらに について、得られた から法線を実際に作り、 における接線の傾きと一致し、かつその点を通ることも数値で確かめています。なお③の解では にならないこと(法線が定義できること)も、 を③に代入すると という矛盾になることから確認できます。

よくあるミス 判別式だけを見て または と答えてしまう。条件(i)の「 座標は正」が効いて、2解の和が正という条件が必要です。ここが落とし穴になっています。

【定石】「異なる2つの正の解をもつ」は判別式・和・積の3点セット。どれか1つでも忘れると答えが広がる。

(2) 

【問題(再掲)】  によって囲まれる部分の面積を とするとき、 の式で表せ。

【型】3次曲線と接線で囲む面積は の公式で一撃にする型。

【なぜこうするか】(1)で「 の式から の式を引くと になる」という形をすでに手に入れています。面積はこの差を積分するだけなので、展開せずに公式に載せられます。しかも最後は 対称式になるので、解と係数の関係で の式に落ちます。2つの解を具体的に求める必要はないというのが、この設問の設計です。

まず積分公式を確認します。 と置換すると

いま なので 。よって面積は

③の2解を とすると、解と係数の関係より なので

検証: について、③の解から実際に を数値計算して足したところ、それぞれ となり、公式 の値と小数以下まで完全に一致しました。

【定石】。放物線の 公式の3次版として、接線がらみの面積では必ず出番がある。

〔A2冊子〕第1問・第3問・第4問・第5問

A2冊子の第2問は、上のA1冊子 第2問とまったく同じ問題です(正四面体と平面の交点)。解説はそちらをご覧ください。

A2 第1問 極限|三角形と区分求積

【問題】
三角形OABがあり、各辺の長さは である。自然数 に対し、 となるような点 を辺AB上にとる。
(1) 線分 の長さを求めよ。
(2) 極限値 を求めよ。
【解答】 (1)   (2)

(1)  の長さ

【問題(再掲)】 線分 の長さを求めよ。

【型】三辺の長さが与えられたら、余弦定理を書く前に「直角ではないか」を疑う型。

【なぜこうするか】 ですから、三平方の定理の逆によりこの三角形は の直角三角形です。三辺の比が ということは の三角形で、 が即座に決まります。この角が分かるからこそ、余弦定理が というきれいな値で使えるのです。角を求めずに余弦定理を立てると、 を別途計算する手間が増えます。

OABPk1√3260°
。この を使って に余弦定理を当てる。

なので に余弦定理を用いると

よくあるミス  と読んでしまう。 なので です。この読み違いをすると(2)の積分も変わり、最後まで気づけません。

【定石】三辺の比が なら なら直角二等辺、 なら直角。三辺を見たらまず比を確認する。

(2) 極限値

【問題(再掲)】  を求めよ。

【型】 の区分求積 → 分母が2次式の積分は 置換、という2段の型。

【なぜこうするか】(1)の結果が だけの式になっているのがヒントです。 の形とあわせて、そのまま に化けます。できた積分は分母が2次式で、判別式 より因数分解できません。分母が因数分解できない2次式のときは部分分数分解が使えないので、平方完成して 置換——これが唯一の道筋です。

平方完成すると

そこで と置くと で、 のとき

検証: で実際に和を計算すると で、 を増やすほど近づいていくことを確認しました。

【定石】分母が2次式の積分 は判別式で分岐する。正なら部分分数分解、負なら平方完成して 置換、 なら の積分。

A2 第3問 確率|さいころを 回投げたときの順序統計量

【問題】
を3以上の整数とする。1個のさいころを 回投げたときに、出た目を大きい順に並べたものを とする。1個のさいころを 回投げたとき、次の事象が起こる確率をそれぞれ求めよ。
(1)   (2)   (3)  かつ
【解答】 (1)   (2)   (3)

(1)  となる確率

【問題(再掲)】  となる確率を求めよ。

【型】「最小値がちょうど 」は 以上」から「 以上」を引く型。

【なぜこうするか】降順に並べた末尾 は最小値です。「最小値がちょうど2」を直接数えようとすると「2が1個以上あって、しかも1が1個もない」という2条件になり面倒です。一方「最小値が2以上」=「全部2以上」は と一発で出ます。“ちょうど”は“以上”の差でとるのが最短です。

【定石】最大値・最小値の「ちょうど」は、必ず「以上(以下)」の差に直す。直接数えない。

(2)  となる確率

【問題(再掲)】  となる確率を求めよ。

【型】順序統計量の条件を「その目が何回出たか」に翻訳する型。

【なぜこうするか】降順に並べて2番目が6ということは、6以上の目が2個以上あるということです。さいころの最大の目は6ですから、これは「6の目が2回以上出る」と同じ意味になります。この言い換えができれば、あとは反復試行の確率です。並べ替えという操作を、回数の話に戻すのがポイントです。

余事象は「6が0回」または「6が1回」なので

よくあるミス  を「6がちょうど2回」と読んでしまう。6が3回でも4回でも です。「2番目が6」=「6が2回以上」であり、回数の上限はありません。

【定石】「大きい順に 番目が (最大の目)」は「 回以上出る」。順序の言葉を回数の言葉に翻訳する。

(3)  かつ となる確率

【問題(再掲)】  かつ となる確率を求めよ。

【型】「AかつB」が数えにくいときは、Aの世界の中でBの余事象を引く型(余事象の二段構え)。

【なぜこうするか】条件は「6が2回以上」かつ「最小値がちょうど2」です。最小値が2ということは、まずすべての目が2以上(=目は の5種類)で、そのうえで2が1回以上出るということ。そこで「目を2〜6に限った世界で6が2回以上」を数え、そこから「2が1回も出ない場合(目は3〜6)」を引きます。2つの条件を同時に相手にせず、舞台を絞ってから引くのが要領です。

まず目が の5種類で、6が2回以上出る場合の数は

(全体 から「6が0回」 と「6がちょうど1回」 を引いたもの)

このうち「2が1回も出ない」もの、すなわち目が の4種類で6が2回以上出る場合の数は

差をとって

検証: について 通りをすべて列挙し、実際に降順に並べて を調べました。(1)(2)(3)のすべてで、既約分数まで上の式と一致しています(例: のとき (1) 、(2) 、(3) )。

【定石】複数条件の同時確率は、まず1つの条件で「世界」を狭め、その中で残りを余事象処理する。最初から両方を同時に数えようとしない。

A2 第4問 通過領域|面積一定の三角形と線分の掃く範囲

【問題】
Oを原点とする 平面上に2点 がある。2点P、Qは条件 をみたしながら動く。
 Pは線分OA上にある。Qは線分OB上にある。 の面積は1である。
点Pの座標を とする。
(1)  のとり得る値の範囲を求めよ。
(2)  が(1)で求めた範囲を動くとき、線分PQが通過する領域を 平面上に図示せよ。
(3) (2)で求めた領域の面積 を求めよ。
【解答】 (1)   (2) 下図の斜線部(境界を含む)  (3)

(1)  のとり得る値の範囲

【問題(再掲)】  のとり得る値の範囲を求めよ。

【型】面積一定の条件を式にしたら、もう一方の点も線分からはみ出さないことを必ず確認する型。

【なぜこうするか】 とすると は直角三角形なので面積は 、つまり 。ここで条件は「Pが線分OA上」だけでなく「Qが線分OB上」もあります。 を小さくすると が大きくなってQがBを飛び出すので、両方の制約が の範囲を上下から挟むのです。

 かつ 

後者から 。したがって

よくあるミス  だけを見て終わりにする。Q側の条件を書かないと が出ず、(2)(3)がすべて狂います。動く点が2つある問題は、両方の制約を書き出すのが鉄則です。

(2) 線分PQの通過領域

【問題(再掲)】  を動くとき、線分PQが通過する領域を図示せよ。

【型】通過領域は「その点を通る が指定区間に存在するか」という存在条件に読み替える型。

【なぜこうするか】「線分が通る範囲」を図形的な想像だけで描こうとすると、必ず端の処理を間違えます。そこで発想を裏返します。点 がこの領域に入るというのは、「その点を通るような の中に少なくとも1つ存在する」ということ。すると問題は「 の2次方程式が指定区間に解をもつ条件」という、解の配置の問題に変わります。動くものを主役から降ろし、止まっている点 を主役にする——通過領域はこの一手で機械的になります。

を通る直線は 、すなわち

 …①( の範囲で考えてよい)

が通過領域に属する条件は、①をみたす に存在することです。

(i) のとき ①は すなわち 。よって

(ii) のとき  は下に凸の2次関数です。

  • 区間内に2解(重解を含む)をもつ条件:。すなわち
  • 区間内に1解をもつ条件:

以上を図示すると、通過領域は下図の斜線部(境界を含む)になります。

2112Oxyxy=1/2(2/3, 2/3)
斜線部が通過領域(境界を含む)。外側は )→ 双曲線 )→ )と続き、内側は2直線が で交わる折れ線。破線は のときの線分PQ。

双曲線 の正体:①を で微分すると 、つまり 。これを①に戻すと が出ます。このとき点は 、すなわち線分PQの中点です。つまりこの双曲線は、PQの中点が描く軌跡(包絡線)になっています。

【定石】通過領域は「パラメータの方程式が指定区間に解をもつ条件」に翻訳する。解の配置(軸・判別式・端点の符号)に持ち込めば、あとは機械的に処理できる。

(3) 領域の面積

【問題(再掲)】 (2)で求めた領域の面積 を求めよ。

【型】複雑な図形の面積は「大きい方から小さい方を引く」で分解する型。

【なぜこうするか】領域そのものを縦に切って積分しようとすると、上端も下端も途中で式が変わって場合分けだらけになります。しかしこの領域は「外側の境界までの領域」から「内側の四角形」を引いた形をしています。穴あきの図形は、外枠から穴を引くと一気に見通しがよくなります。

まず外枠(座標軸と外側の境界で囲まれる部分)の面積を、 で切って3つに分けます。

  • から まで。
  • から まで。
  • から まで。

合計して外枠の面積は

次に内側の穴は、4点 を頂点とする四角形で、面積は です。よって

検証:平面を の格子に切り、各格子点について「①をみたす に存在するか」を判定して面積を数値的に求めたところ と、格子の粗さの範囲で一致しました。

【定石】面積は「引き算で作れないか」をまず考える。外枠と穴に分けられれば、積分の場合分けが激減する。

A2 第5問 積分| 軸をまたぐ領域の回転体の体積

【問題】
2つの関数 について、次の問いに答えよ。
(1)  が最小値をとるときの の値を求めよ。
(2)  をみたす の値を求めよ。
(3) 2曲線 軸で囲まれる部分を、 軸のまわりに1回転してできる立体の体積 を求めよ。
【解答】 (1)   (2)   (3)

(1)  が最小となる

【問題(再掲)】  が最小値をとるときの の値を求めよ。

【型】 と三角関数の積の微分は、 でくくって符号を括弧の中だけで判断する型。

【なぜこうするか】 はつねに成り立つので、導関数の符号は括弧の中身だけで決まります。指数を含む関数の増減で、指数部分の符号を気にする必要はありません。

となるのは 。増減は となり、極小値は のとき 。端点は なので、これが最小値です。

(2)  をみたす

【問題(再掲)】  をみたす の値を求めよ。

【型】両辺に共通する正の因数は迷わず割る型。

この結果は(3)の準備でもあります。 より がつねに成り立ち、等号は だけ。つまり の内側にあり、touchするのは の1点だけ——これが囲まれる部分の右端になります。

(3) 回転体の体積

【問題(再掲)】 2曲線 軸で囲まれる部分を、 軸のまわりに1回転してできる立体の体積 を求めよ。

【型】 軸をまたぐ領域の回転体は、またぐ区間とまたがない区間で断面の形が変わることを見抜く型。

【なぜこうするか】回転体の断面は「 軸からの距離」で決まります。ここで領域が 軸をまたいでいるかどうかで、断面が穴のない円板ドーナツ(円環)かが変わります。 では なので領域が 軸を含み、回転すると中心まで埋まった円板になります。一方 では がともに負なので、内側に穴が空きます。「上の関数の2乗マイナス下の関数の2乗」を機械的に当てるとここで間違えます。

π3π/2-1OxC₁C₂
赤が 、青が 。斜線部が回転させる領域。 では 軸を含むので断面は円板 では両方とも負なので断面は円環になる。

なので、断面の外径はつねに 。内径は では では です。まとめて書くと

第1項は

第2項は を使って2つに割ります。ここで

を用いると(

これらをまとめると

検証:断面積を について200万分割して数値積分したところ 。上の式の値も で、9桁まで一致しました。

よくあるミス  軸をまたぐことに気づかず、全区間で としてしまう。 では なので領域が 軸を含み、内側に穴は空きません。ここで を引くと体積を過小評価します。

【定石】回転体は「領域が回転軸をまたぐか」を最初に確認する。またぐ区間は円板(内径0)、またがない区間は円環。断面の外径は「軸から遠いほうの曲線」で決まる。

この年度で問われた「型」の一覧

  • 支配変数を先に固定する(A1第1問)— 最大・最小を決めている変数を固定し、残りを数える
  • 条件付き確率は場合の数の比(A1第1問(2))
  • 正四面体は長さ1・内積 に翻訳(A1第2問)
  • 平面上=その平面の3点を基準にした係数の和が1(A1第2問(2))
  • 「接する」を重解に翻訳(A1第3問(1))— 3次曲線では の比が現れる
  • 異なる2つの正の解=判別式・和・積の3点セット(A1第3問(1))
  • (A1第3問(2))
  • 三辺を見たら比を疑う(A2第1問(1))
  • 区分求積 → 判別式が負なら 置換(A2第1問(2))
  • 「ちょうど」は「以上」の差(A2第3問(1))
  • 順序の言葉を回数の言葉へ(A2第3問(2))
  • 舞台を絞ってから余事象を引く(A2第3問(3))
  • 通過領域=パラメータの方程式の解の存在条件(A2第4問(2))
  • 面積は外枠から穴を引く(A2第4問(3))
  • 回転軸をまたぐ区間は円板、またがない区間は円環(A2第5問(3))

この解説の検証について

本ページの数値は、次の3段階で確認しています。

  1. 自力で解く(一般的な解答例を見る前に、当塾で独立に解答を作成)
  2. プログラムによる独立検算 A1第1問とA2第3問は 通りの全列挙、A1第3問とA2第4問・第5問は数値積分、A1第2問は座標を取った数値計算で、それぞれ別の方法から同じ値になることを確かめました
  3. 別解による検算 全7題・全17小問について、答えが一致することを確認しました

3段階すべてで不一致はありませんでした。もし本文に誤りを見つけられた場合は、お問い合わせよりご指摘いただけますと幸いです。確認のうえ速やかに修正します。

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問題PDFをテキストでも確認

横浜国立大学 2019年度 数学入試問題の文字起こし・出題分析

公開中の問題PDFを検索・復習しやすいよう文字データ化し、読み取れた語句から出題分野を整理しました。

  • 確率・場合の数
  • 微分・積分
  • 空間図形
  • 図形・三角関数
  • ベクトル
  • 関数・グラフ
  • 整数

この年度の出題範囲と傾向

2019年度の問題PDFでは、確率・場合の数、微分・積分、空間図形、図形・三角関数、ベクトルに関する語句や設問を確認できました。横浜国立大学の公開PDFを年度横断で調べると、図形・三角関数は24年度、微分・積分は24年度、空間図形は22年度で検出されており、複数年を比較して対策したい分野です。

分野判定はPDFから読み取れた語句に基づく集計です。数式・記号・図表は文字変換で崩れる場合があるため、正確な条件は必ず原本PDFで確認してください。

問題文の文字起こし

問1画像OCR

検出分野: 確率・場合の数、関数・グラフ、微分・積分、ベクトル、空間図形

(1) mSzSMERSHBERDOK.

(2) mSzSEMEWSREOFC, M—m=3 となる条件付き確率を求めよ。
ーュ1ュー のMI (678-2)

2 1辺の長さが1である正四面体OABCがある。辺0A 上に点D, 辺0B上に
AE, WOCECAF AHO,
OD:DA=1:1, OE: EB=2:1, OF: FC=2: 3
をみたしている。さらに辺 OBと辺ACの中点をそれぞれM. N とする。 平面
DEF と直線 MN の交点をPとする。ベクトルOA. OB, OC#a, b, <とおく。
次の問いに答えよ。
(1) IMNIを求めよ。
Q Wea 4. <を用いて表せ。
(3) IMP| を求めよ。
om goo M1 (678-3)

3 実数<に対し, 平面上の曲線ッニ**ーgxをCとする。C上の異なる2点
Pi, Pet, 2 つの直線 があり, R=1, 2に対して以下の条件をみたして
いる。

(i) P。の座標は正である。

11 はPを通り, さらに P』におけるCの接線と直交する。
fi) はP』以外の点でCと接する。

次の問いに答えよ。

(1) 2のとり得る値の範囲を求めよ。 -
(2) #三1.2に対して, Cと4によって囲まれる部分の面積を5xょとする。

Si +S: をるの式で表せ。
re 8 SS M1 678-4)

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問2画像OCR

検出分野: 確率・場合の数、図形・三角関数、空間図形、整数、微分・積分

(1) 線分 OPz(& = 1, 2,..., ヵ)の長さを求めよ。
1 さ 1
2) OR lim 一 2 apse を求めよ。 |
am lam ぐM2(578一6)

2 1辺の長さが1である正四面体OABCがある。辺 0A 上に点D, 辺OB上に
RE, 辺OC上に点F があり,
OD:DA=1: 1, OE:EB=ニ2 : 1 OF: FC=2: 3
をみたしている。さらに辺 OBと辺ACの中点をそれぞれM, Nとする。 平面
DEF と直線 MN の交点をPとする。ベクトル 0A, OB, OC#a, b <とおく。
次の問いに答えよ。
() [MN] を求めよ。
Q Pea b <を用いて表せ。
(3) IMP| を求めよ。
ー2一 OM2(578—7)

3 ヵを3以上の整数とする。 1 個のさいころをぁヵ 回投げたときに, 出た目を大きい
順に並べたものを
Xi, Xa, Xn (M1 2X. 2X,)
とする。たとえば, 1個のさいころを5 回投げて, 出た目が順に4, 5,3,4,2で
あったとすると,
Xi=5, 2三4, メー4, 4ー8, Xs=2
となる。 1 個のさいころをぁ回投げたとき, 次の事象が起こる確率をそれぞれ求 :
めよ。
11 X,=2
(2) =6
(3) X.=6 PO X,=2
ーー 9 やM2(578一8)

4 0を原点とするぁy 平面上に2点A(2.0), B(0, 2)がある。 2 点P, Qは条件
(*)をみたしながら動く。
P は線分 0OA 上にある。
(*) | Q は線分 OB 上にある。
AOPQ の面積は 1 である。
点Pの座標を( 0)とする。次の問いに答えよ。
(1) :のとり得る値の範囲を求めよ。
(2) ,が(1) で求めた範囲を動くとき, 線分 PQが通過する領域を 平面上に図示
せよ。
(3) 212 で求めた領域の面積 $ を求めよ。
デー人一 ぐM2(578一9)

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