神戸大学 2009年度 過去問・解答

藤原進之介です。このページでは神戸大学2009年度の数学過去問の問題資料と学習情報を無料公開しています。掲載している問題・解答・解説の範囲は、ページ内の各見出しでご確認ください。

今日の一問
以下の問に答えよ。
(1)  平面において、 とする。このとき、
——さて、どこから手をつける?
続きの小問と、答え・考え方は本文で解説します。

問題

解答

📑 この年度の大問インデックス(全8問)

解説が長いので、解きたい大問へ直接移動できるようにしています。解けなかった問題は、解説を読んだあとに同じ型の問題で当て直すと定着が速くなります。

型から探したいときは解法パターン事典、他の年度は過去問解説の総索引から。

🧭 神戸大学 2009年度|大問ごとに「使う型」を対応させた表

解けなかった大問がどの型に属するのかを一覧にしました。解説を読んだあと、型のページで同じ判断を使う問題を数問当てると定着が速くなります。この年度は難易度と目標時間を掲載していないため、それらは載せていません。

大問出題テーマ使う型(解法パターン事典)
【1】ベクトルの条件が表す図形ベクトルの図形への応用
【2】放物線の最大値と共有点積分法(数II)
【4】対数関数の凸性と相加相乗指数・対数
【5】3次方程式の解の巡回複素数と方程式
【6】面積と回転体積分法(体積・弧長)
【8】漸化式と漸化式の全型

型の全体像は解法パターン事典、他の年度・他大学は過去問解説の総索引から。神戸大学の年度一覧は各ページ末尾のナビでも確認できます。

神戸大学 2009年度(平成21年度)前期日程 数学の全問解説です。文系が3題、理系が5題で重複はなく、全8題22小問になります。
掲載しているすべての数値は、当塾で独立に解いたうえで Pythonによる検算(ベクトルの恒等式を平面・空間それぞれ20万点で確認・放物線の全区間走査・じゃんけんの勝敗表を16通り全探索・数式処理による2階微分・3次方程式の数値解と剰余計算・数値積分・36通りの期待値を分数のまま計算・漸化式の実計算) を行い、本ページで配布している解答PDFも数強塾が独自に作成したもので、この解説と同じ答え・同じ道筋です。

本ページ出題分野答え
【1】文系 第1問ベクトルの条件が表す図形面積 /体積
【2】文系 第2問放物線の最大値と共有点 または
【3】文系 第3問5種類のじゃんけん土は「紙」「水」に勝ち「石」「はさみ」に負ける
【4】理系 第1問対数関数の凸性と相加相乗 の証明
【5】理系 第2問3次方程式の解の巡回
【6】理系 第3問面積と回転体
【7】理系 第4問サイコロと期待値
【8】理系 第5問漸化式と 証明

この年度の傾向(3行)

  • 【1】は見かけ倒しの代表例です。長々とした条件式は、実は と書き直せるだけ。ベクトルの「直交分解と三平方の定理」に気づけば、答えは円板と球の面積・体積です。式を見て怯まず、まず整理してみることがすべて。
  • 【4】と【8】は「前問が道具」の典型です。【4】は (1) の凸性 → (2) の の一意性 → (3) の不等式と一直線。【8】も (1) の結果を符号を入れ替えて (2) に流用します。直前の小問の結論を、そのままの形で使えないかを毎回疑ってください。
  • 【5】には美しい背景があります。 の3解は と書けて、 は「角を2倍にする」働きをします。 だから巡回する——一般的な解答例の補足にもこの話が出てきます。

【1】ベクトルの条件が表す図形(文系 第1問)

【問題】
以下の問に答えよ。
(1)  平面において、 とする。このとき、

をみたす点 全体のなす図形の面積を求めよ。
(2)  空間において、 とする。このとき、同じ不等式をみたす点 全体のなす図形の体積を求めよ。
【解答】 (1) 面積 (原点中心・半径1の円とその内部)  (2) 体積 (原点中心・半径1の球とその内部)

(1) 平面の場合の面積

【問題(再掲)】 与えられた不等式をみたす点 全体の面積を求めよ。

【型】まず を確認する。左辺は直交分解+三平方の定理そのもの。

【なぜこうするか】 とおくと、 方向の成分それに垂直な成分です。この2つは直交しているので、長さの2乗を足すと になります。

まず なので 。実際に左辺を展開すると

したがって( を使って)

ゆえに与えられた条件は

OAP(OP·OA)OAOP−(OP·OA)OA|OA| = 12つの成分は直交するので、三平方の定理から(緑)² +(橙)² = |OP|² → 条件は |OP| ≦ 1
緑が 方向の成分、橙がそれに垂直な成分。この2つは直角をはさむので、三平方の定理でちょうど になる。

つまり求める図形は原点を中心とする半径1の円とその内部

 面積

(2) 空間の場合の体積

【問題(再掲)】 空間で同じ不等式をみたす点 全体の体積を求めよ。

【型】(1) の議論は次元にまったく依存していない。そのまま使える。

なので、(1) とまったく同じ計算で条件は 。求める図形は原点を中心とする半径1の球とその内部です。

 体積

よくあるミス 条件式の見た目に圧倒されて、成分計算( とおいて代入)に走ってしまう。それでも解けますが、(2) の空間では計算量が跳ね上がります。 だ」と気づいた瞬間に、この式は の言い換えでしかないと見抜けるかどうかが、この問題の唯一の分かれ目です。

検証: を平面・空間それぞれで各20万点ランダムに取り、左辺と の差を計算しました。差が を超えた点は0件で、恒等式であることを数値的にも確認しています。

【2】放物線の最大値と共有点(文系 第2問)

【問題】
を正の実数とし、 とする。このとき、以下の問に答えよ。
(1)  における の最大値を求めよ。
(2) 2点 を端点とする線分を とする。曲線 と線分 (端点を含む)が共有点を持つような の値の範囲を求め、数直線上に図示せよ。
【解答】 (1) では では   (2) または

(1)  での最大値

【問題(再掲)】  における の最大値を求めよ。

【型】平方完成して軸の位置で場合分け。上に凸なので最大は軸か端。

軸は 、頂点の値は によらず です。

場合軸の位置最大値
すなわち 区間の右外
すなわち 区間の中

なので軸 は必ず正。区間の左外に出ることはないので、場合分けは2つで済みます。

(2) 線分 と共有点をもつ の範囲

【問題(再掲)】 曲線 と線分 )が共有点をもつ の範囲を求めよ。

【型】 を解いて交点の 座標を で表す。それが に入る条件。

【なぜこうするか】頂点の値が で固定なので、曲線 と直線 がどんな値でも必ず2点で交わります。あとはその2点のうち少なくとも一方が にあればよい、というだけです。

OA(2, 3)B(3, 3)43123a = 0.4a = 1.2a = 2.2頂点はいつも高さ 4。y = 3 との交点は x = 1/a と 3/a
頂点の高さはいつも なので、 とは必ず2点で交わる。その 座標が 。どちらかが赤い線分の上に来る条件を考える。

求める条件は「 または に入る」ことなので

 または 

より各辺の逆数を取って(不等号の向きが逆になることに注意)

 または 

数直線上では、 の2区間(いずれも端点を含む)になります。

よくあるミス  から としてしまう。逆数を取ると大小が入れ替わるので です。答えの区間が空にならないか、必ず確認してください。

検証:(1) は から まで400通り取り、そのつど の20万点で を評価して最大値を求め、上の式と一致することを確認(不一致0件)。(2) は から まで5901点に区切り、 上で となる が存在するかを直接判定して、上の2区間と一致することを確かめました(境界近傍を除き不一致0件)。

【3】5種類のじゃんけん(文系 第3問)

【問題】
以下の問に答えよ。
(1)  の2人がそれぞれ「石」「はさみ」「紙」の3種類の「手」から無作為に1つを選んで勝敗を決める。「石」は「はさみ」に勝ち「紙」に負け、「はさみ」は「紙」に勝ち「石」に負け、「紙」は「石」に勝ち「はさみ」に負け、同じ「手」どうしは引き分けとする。 に勝つ確率と引き分ける確率を求めよ。
(2) 上の3種類の勝敗規則を保ちつつ、4種類目の「手」として「水」を加える。「水」は「石」と「はさみ」には勝つが「紙」には負け、同じ「手」どうしは引き分けとする。 がともに4種類から無作為に1つを選ぶとき、 が勝つ確率と引き分けの確率を求めよ。
(3) 上の4種類の勝敗規則を保ちつつ、さらに第5の「手」として「土」を加える。 が5種類から無作為に1つを選ぶとき、 の勝つ確率が の選ぶ「手」によらないようにするためには、「土」と「石」「はさみ」「紙」「水」との勝敗規則をそれぞれどのように定めればよいか。ただし、同じ「手」どうしの場合、しかもその場合にのみ引き分けとする。
【解答】 (1) 勝つ確率 、引き分け   (2) 勝つ確率 、引き分け   (3) 「土」は「紙」「水」に勝ち、「石」「はさみ」に負けると定めればよい

(1) 3種類の場合

【問題(再掲)】 3種類のとき、 が勝つ確率と引き分ける確率を求めよ。

【型】勝敗表を書く。9マスのうち勝ち・負け・引き分けがそれぞれ何マスか。

はさみ
×
はさみ×
×

9通りは同様に確からしく、○が3マス、△が3マス。

 勝つ確率 、引き分ける確率

(2) 「水」を加えた4種類

【問題(再掲)】 4種類のとき、 が勝つ確率と引き分けの確率を求めよ。

【型】同じく16マスの勝敗表を作って数える。

【なぜこうするか】手が増えてもやることは同じです。ここで表を丁寧に書いておくと、(3) で「各行の○の数」を数え直す必要がなくなります。(3) の下ごしらえとして (2) の表があると読むのが正しい姿勢です。

はさみ○の数
××1
はさみ××1
×2
×2

○は マス、△は4マス。

 勝つ確率 、引き分けの確率

この時点で「紙」と「水」が有利、「石」と「はさみ」が不利(○の数が 2 対 1)という偏りが生まれています。(3) はこの偏りをならす問題です。

(3) 「土」の勝敗規則の定め方

【問題(再掲)】  の勝つ確率が の選ぶ手によらないようにするには、「土」の勝敗をどう定めればよいか。

【型】「勝つ確率が手によらない」=勝敗表の各行の○の数が全部等しい

【なぜこうするか】 は5種類から等確率で選ぶので、 が手 を出したときの勝つ確率は「 が勝つ相手の数」これが によらない ⟺ 各手の勝ち数がすべて同じということです。

第1段:勝ち数の合計から1手あたりの数を出す 引き分けは同じ手どうしのときだけなので、異なる2つの手のペアには必ず勝敗がつきます。ペアは 組あり、各組がちょうど1勝を生むので勝ち数の合計は10。5つの手で等しく分けると1手あたり2勝です。

第2段:土との勝敗を決める (2) の表から、土を除いた4種類の中での勝ち数は

土を除く勝ち数2勝にするには
1あと1勝必要 → 土に勝つ
はさみ1あと1勝必要 → 土に勝つ
2もう十分 → 土に負ける
2もう十分 → 土に負ける

このとき「土」自身は紙と水に勝ち、石とはさみに負けるのでちょうど2勝。5つの手すべてが2勝でそろい、条件を満たします(存在するので十分性も確認できました)。

「土」は「紙」「水」に勝ち、「石」「はさみ」に負けると定めればよい

このとき、どの手を選んでも の勝つ確率は です。

はさみ矢印は「勝つ」向き。どの手からも矢印がちょうど 2 本出る緑が「土」の勝敗(紙と水に勝ち、石とはさみに負ける)どの手を選んでも勝つ確率は 2/5
矢印は「勝つ」向き。5つの手すべてから矢印がちょうど2本ずつ出ていて、完全に対等になっている。
よくあるミス 「土」の勝敗を場当たりに決めて、たまたま合ったものを答えにしてしまう。先に「合計10勝を5手で分けるから1手2勝」と決めてしまえば、あとは各手にあと何勝必要かを見るだけで一意に決まります。全体の総数から攻めるのがこの型の急所です。

検証:「土」が他の4手に勝つか負けるかの 通りをすべて列挙し、5つの手の勝ち数がそろうものを探したところ、「土が紙と水に勝つ」1通りだけでした。そのとき各手の勝ち数はすべて2です。

【4】対数関数の凸性と相加相乗(理系 第1問)

【問題】
は実数で とする。区間 で定義される関数 を次のように定める。

ただし、 は自然対数を表す。このとき、以下のことを示せ。
(1)  に対して が成り立つ。
(2)  をみたす実数 が、 の範囲にただ1つ存在する。
(3)  をみたす実数 に対して、 が成り立つ。
【解答】 (1)(2)(3) いずれも証明(下記)

(1) 

【問題(再掲)】  を示せ。

【型】2回微分するだけ。 の中身は の1次式なので計算は軽い。

【なぜこうするか】 の1次式なので、2回微分すると完全に消えます。残るのは の部分だけ。だから の符号は「 が上に凸である」ことだけで決まります。

とおくと では なので

より 、分母は正なので

(証明終)

(2)  となる がただ1つ

【問題(再掲)】  をみたす にただ1つ存在することを示せ。

【型】両端の値が等しいことに気づけば、ロルの定理で存在は一発。一意性は (1) から。

【なぜこうするか】まず端の値を計算してみると

両端でともに です。 で連続、 で微分可能なので、ロルの定理(平均値の定理で の場合)により をみたす に存在します。

一意性は (1) から。 なので 狭義単調減少。単調な関数が を取る点は高々1つなので、そのような はただ1つです。

(証明終)

別の道:端の値を使わずに、 を評価する手もあります。 とおくと となるので、中間値の定理と単調減少から同じ結論が出ます。ただし「両端がともに 」に気づけるなら、ロルの定理のほうが圧倒的に短いです。

(3) 

【問題(再掲)】  を示せ。

【型】示すべき不等式はそのまま 。増減表を書けば終わり。

【なぜこうするか】 の対数は 。つまり

なので、 と示したい不等式は( が単調増加だから)同値です。

(1)(2) より は減少で、 の前後で正から負に変わります。 とあわせて

極大

したがって の全体で 。すなわち

が単調増加なので、両辺の を外して

(証明終)

この不等式の正体: とすると となり、相加・相乗平均そのものです。一般の は「重み付きの相加相乗平均」で、 が上に凸であること(=(1) の )から出る、という構造になっています。

検証: を数式処理で計算して になることを確認。(2)(3) は の5組について、 の20万点で を評価し、最小値が 以上(誤差 以内)であること、および が成り立つことを確かめました。

【5】3次方程式の解の巡回(理系 第2問)

【問題】
とし、方程式 について考える。このとき、以下のことを示せ。
(1)  は絶対値が2より小さい3つの相異なる実数解をもつ。
(2)  の解ならば、 の解となる。
(3)  の解を小さい順に とすれば、 となる。
【解答】 (1)(2)(3) いずれも証明(下記)。3解は

(1) 絶対値2未満の相異なる3実数解

【問題(再掲)】  が絶対値2未満の相異なる3実数解をもつことを示せ。

【型】増減を調べて符号が変わる区間を見つける。3次なので3回変われば全部。

【なぜこうするか】3次関数の実数解の個数は極大値と極小値の符号で決まります。極大が正・極小が負なら3個。あとは具体的な を代入して符号の変わり目を見つければ、解の位置まで押さえられます。

極大値 、極小値 なので、相異なる3実数解をもちます。さらに端の値を調べると

より、3解はそれぞれ

の範囲にあります。 なのですべて絶対値が2より小さい。(証明終)

この で挟む」評価が (3) で効いてきます。単に「絶対値2未満」で止めずに、もう一段細かく挟んでおくのがポイントです。

(2)  も解

【問題(再掲)】  の解ならば も解であることを示せ。

【型】 を計算して で割り切れることを示す。

ここで に気づくと

したがって ならば 、すなわち の解。(証明終)

に持ち込むのが鍵です。 という定数項が「2乗マイナス1」を作るために置かれている、と読めます。

(3) 解の巡回

【問題(再掲)】  を示せ。

【型】(1) の挟み込みから の値の範囲を出し、3解のどれかを特定する。

(1) の範囲を2乗して を引くと

の範囲 の範囲 の範囲該当する解
1 のみ
2 のみ
3 のみ

(2) より はいずれも の解、つまり のどれかです。3解の位置()と上の範囲を見比べると、それぞれ1つに絞られます。

(証明終)

Oα1-1.8794α20.3473α31.5321gggy = x³−3x+1g(x)=x²−2 は3つの解を α₁ → α₃ → α₂ → α₁ と巡回させるαₖ = 2cos(2ᵏ⁻¹·2π/9) と書けて、g は角を2倍にする働き
は3つの解を と1周させる。

背景(一般的な解答例の補足にもあります): とおくと

つまり は「角を2倍にする」写像です。実際 の3解は

と書けます。角の分子が と動き、 なので3周期で戻る——これが巡回の正体です。この見方をすると【8】の とも自然につながります。

検証: の3解を数値的に求めると を作用させると順に となり、確かに巡回します。(2) は で割った余りが厳密に であることを多項式の剰余計算で確認しました。

【6】面積と回転体(理系 第3問)

【問題】
の範囲にある実数とする。2つの直線 および2つの曲線 によって囲まれる図形を とする。このとき、以下の問に答えよ。
(1) 図形 の面積を とする。 を用いた式で表せ。
(2)  の範囲を動くとき、 を最大にするような の値と、そのときの の値を求めよ。
(3) 図形 軸の周りに1回転させてできる立体の体積を とする。 を用いた式で表せ。
【解答】 (1)   (2) のとき   (3)

(1) 面積

【問題(再掲)】 図形 の面積 で表せ。

【型】まずどちらが上かを確定させてから積分する。

【なぜこうするか】 では なので 。一方 の範囲は で、 より 、つまり 。上下が入れ替わることはありません。

Oπ/2a1−1y = cos(x−a)y = −cos xGG は上下2つの曲線と2本の直線で囲まれる。S = 1 + sin a + cos ax 軸をまたぐので、回転体の断面は「穴のない円板」(半径は上下の絶対値の大きい方)
上の曲線が 、下の曲線が 。左右は で切られている。

(2)  の最大値

【問題(再掲)】  を最大にする と、そのときの を求めよ。

【型】三角関数の合成

より 。この範囲で が最大になるのは のとき、すなわち

のとき最大値

(3) 回転体の体積

【問題(再掲)】  軸の周りに1回転させた立体の体積 で表せ。

【型】 軸をまたぐ図形の回転体は「穴のない円板」。半径は上下の絶対値の大きい方

【なぜこうするか】 の断面は の線分。下端が 以下、上端が 以上なのでこの線分は 軸をまたぎます。だから回転させると中央に穴のない円板になり、半径は原点から遠いほうの端までの距離、すなわち です。

第1段:どちらが大きいかを決める

なので、符号は で決まります。

  • のとき より
  • のとき

第2段:積分する 半円板の半径が で切り替わるので

を使って

なので

よくあるミス  のように「上の曲線の2乗 − 下の曲線の2乗」としてしまう。この形が使えるのは図形が 軸の片側にあるとき(ドーナツ型になるとき)だけです。今回のように 軸をまたぐ場合は、穴が空かないので「大きいほうの2乗」だけを積分します。回転体の問題で最初に確認すべきは「図形が軸をまたぐかどうか」です。

検証:(1) は数式処理で厳密に積分して を確認。(3) は から 手前まで60通り取り、そのつど を(切り替え点 で分けて)数値積分し、上の式との誤差が最大でも であることを確かめました。 のときは で、 を回した素直な場合と一致します。

【7】サイコロと期待値(理系 第4問)

【問題】
大小2つのサイコロを同時に1回投げて、大きいサイコロの出た目の数 、および小さいサイコロの出た目の数 に応じて得点を競うゲームを考える。ただし、このゲームには6種類の得点 があって、それぞれ、次の規則で定められているとする:
のとき)、 かつ のとき)、 かつ のとき)
ここで、 は実数の定数である。また、得点 の期待値を とする。このとき、以下の問に答えよ。
(1)  のとり得る値に対する得点 および の値を、表に記入せよ。
(2)  を求めよ。
(3)  となるような はあるか。あれば求めよ。なければ、そのことを示せ。
【解答】 (2)   (3) ある。(このとき

(1)  の表

【問題(再掲)】  の値を表に記入せよ。

【型】定義をそのまま当てはめる。 の行ごとに見るのが速い。

の行は全部 の行だけ特別)

123456
123456
213456
3333333
4444444
5555555
6666666

の行が変わる)

123456
123456
213456
312456
4444444
5555555
6666666

(2) 

【問題(再掲)】  を求めよ。

【型】期待値の差は変化した部分だけを見ればよい。

【なぜこうするか】36通りはすべて確率 の行しか違いません。他の30マスは打ち消し合うので、6マス分の差だけを計算すれば済みます。

の行の和(

の行の和(

(3)  となる

【問題(再掲)】  となる はあるか。あれば求めよ。

【型】(2) を一般化して の式で表す。それが

同じ理屈で、 の行だけが違います。

の行の和(

の行の和(

のマスだけ の代わりに になるので、 から を引いて を足します。)したがって

)⟺ で成り立つ。

ここが要点です。これは の1次式で、2個以上の異なる になるなら、 の恒等式でなければなりません。よって

 かつ 

が存在する

このとき となります。これはサイコロ1個の目の期待値そのもの。「特別ルールをどう調整しても、平均点はサイコロ1個分に戻る」という、きれいな着地です。

よくあるミス  を6つとも真面目に計算して連立させようとする。差だけを見れば1行6マスの計算で済みます。期待値どうしを比べる問題では、まず「何が変わって何が変わらないか」を見極めてください。

検証: を文字のまま36通りの得点を合計して を求め、 を数式処理で確認。さらに )の連立を解いて が唯一の解であることを確かめ、実際にその値で から 分数のまま計算したところ、すべて になりました。

【8】漸化式と (理系 第5問)

【問題】
を実数として、数列 で定める。このとき、以下の問に答えよ。
(1)  ならば、 となることを示せ。
(2)  ならば、 となることを示せ。
(3)  ならば、 となる を用いて となることを示せ。
【解答】 (1)(2)(3) いずれも証明(下記)

(1)  のとき単調増加

【問題(再掲)】  ならば を示せ。

【型】3項間漸化式は「隣り合う2項の性質」を仮定する帰納法

【なぜこうするか】 の両方で決まるので、仮定も2項分必要です。示したい をそのまま仮定に据えるのが自然な形になります。

(I) のとき  で、 より 。成立。

(II) で成立、すなわち と仮定すると

仮定より 。また かつ なので 。したがって 、すなわち でも成立します。

(I)(II) より、すべての 。(証明終)

(2)  のとき絶対値が増加

【問題(再掲)】  ならば を示せ。

【型】符号を交互に取り替えて (1) に帰着させる。

【なぜこうするか】 だと で、以降も符号が交互になりそうです。そこで とおけば となり、漸化式も (1) とまったく同じ形になるはずです。

とおき、 で数列 を定めます。すると

漸化式

両辺を で割ると

これは に対する (1) と同じ設定です。よって (1) の結果から 。ここで なので

(証明終)

(3)  のとき

【問題(再掲)】  として を示せ。

【型】形が与えられているので帰納法で確かめる。要は積和の公式

【なぜこうするか】 なので となる に取れ、。あとは漸化式に代入して を使うだけです。

(I) のとき

(II) で成立と仮定すると

よって でも成立します。(証明終)

3つの場合の見通し:この漸化式の特性方程式は で、2解の積は なら実数解 をもち

なら解は となって 指数関数版と三角関数版が同じ式の表と裏というわけです( の境目では )。この 第2種チェビシェフ多項式と呼ばれ、【5】に出てきた の話とも同じ世界の住人です。

検証:(1) は の4通り、(2) は の4通りについて、漸化式を実際に15項まで回して単調性を確認(不一致0件)。(3) は の5通りについて、 として20項まで と突き合わせ、誤差 未満で一致することを確かめました。

解法の「型」の一覧

場面使った問題
が出てきたら直交分解。単位ベクトルなら三平方で 【1】
区間での2次関数の最大平方完成して軸の位置で場合分け【2】(1)
曲線と線分の共有点交点の 座標を出して区間に入る条件【2】(2)
「◯◯によらない」条件総数を先に押さえて1つあたりの数を決める【3】(3)
両端の値が等しい関数ロルの定理で の点が存在【4】(2)
両辺の の差を関数とみて増減【4】(3)
で割れるか展開して の形を探す【5】(2)
解がどれに移るかの特定解を細かく挟んで値の範囲から絞る【5】(3)
軸をまたぐ図形の回転穴なしの円板。半径は絶対値の大きい方【6】(3)
期待値どうしの比較変化した部分だけを計算する【7】(2)(3)
1次式が2個以上の値で 恒等的に (係数がすべて 【7】(3)
3項間漸化式の帰納法隣り合う2項の性質を仮定する【8】(1)
符号が交互になりそうな数列 とおいて既知の場合に帰着【8】(2)

検証について

本ページの数値は、次の3段階を通したものだけを掲載しています。

  1. 当塾で独立に解く。解答を見る前に、まず自分で最後まで解きます。
  2. Python で別方法から検算する。今回は、【1】をベクトルの恒等式の平面・空間それぞれ20万点での確認、【2】を400通り×20万点の走査と5901点の判定、【3】を勝敗規則16通りの全探索、【4】を数式処理と5組×20万点の評価、【5】を数値解と多項式の剰余計算、【6】を数式処理と60通りの数値積分、【7】を36通りの期待値の分数計算、【8】を漸化式の実計算で確かめました。
  3. 解答PDFと本文をそろえる。本ページで配布している解答PDFは数強塾が独自に作成したもので、この解説と答え・道筋が一致しています。

【5】の「3解が などと書ける」という背景と、【8】の「 のときは になる」という補足は、いずれも一般的な解答例の補足欄に記されているものです。本ページでも、その内容を確認したうえで紹介しています。

もし誤りを見つけられた場合は、お手数ですがご連絡ください。確認のうえ訂正し、訂正の記録もこのページに残します。

解けなかった問題を、そのままにしない。

過去問で手が止まる場所は人によって違います。方針が立たないのか、方針は立つのに計算で崩れるのか——原因が違えば、次にやるべきことも変わります。

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神戸大学の数学の過去問は25年度ぶんを公開しています。そのうち11年度は全問の解答解説つきです(「解説」の印がついた年度)。志望校の傾向は1年だけでは見えないので、最低でも3年ぶんを続けて解くことをおすすめします。

「解説」=全問の解答解説を掲載している年度です。赤は今見ている年度。

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問題PDFをテキストでも確認

神戸大学 2009年度 数学入試問題の文字起こし・出題分析

公開中の問題PDFを検索・復習しやすいよう文字データ化し、読み取れた語句から出題分野を整理しました。

  • 図形・三角関数
  • 確率・場合の数
  • 指数・対数
  • 微分・積分
  • 関数・グラフ
  • 空間図形
  • 方程式・不等式
  • 数列

この年度の出題範囲と傾向

2009年度の問題PDFでは、図形・三角関数、確率・場合の数、指数・対数、微分・積分、関数・グラフに関する語句や設問を確認できました。神戸大学の公開PDFを年度横断で調べると、微分・積分は24年度、整数は22年度、図形・三角関数は21年度で検出されており、複数年を比較して対策したい分野です。

分野判定はPDFから読み取れた語句に基づく集計です。数式・記号・図表は文字変換で崩れる場合があるため、正確な条件は必ず原本PDFで確認してください。

問題文の文字起こし

問1画像OCR

検出分野: 確率・場合の数、図形・三角関数、微分・積分、関数・グラフ、空間図形

(1) zy 平面におし C, 00,0), (Fe a) とする. このとき,
(OB..OR)? + | 0P-(OP.O4OA | <1
をみたす点P 全体のなす図形の面積を求めよ.
(2) cyz BANC WC, O(0,0,0), a( 2. =) とする。 こ
DER,
(OB. 08)? + | OB - GP-OR)OK | <1
をみたす点P 全体のなす図形の体積を求めよ
=や ま ーー やM2(499一15)

2. 。を正の実数とし, f(x) = aa? 上 4gz とする. このとき, 以下の

問に答えよ. (配点 25 点)

(1) OS a S 3における f(x) の最大値を求めよ.

(2) 2点 A(2,3), B(3.3) を端点とする線分を/とする. 曲線9 =
f(x) と線分 (端点を含む) が共有点を持つようなoの値の範
囲を求め, 数直線上に図示せよ.

ge M2 (499一16)

3. 以下の問に答えよ. (配点25点)

(1) ABの2人がそれぞれ, 「石」、「はさみ」,「紙」の3種類
の「手」から無作為に 1 つを選んで、 双方の「手」によって
勝敗を決める. 「石」は「はさみ」に勝ち「紙」に負け, 「は
さみ」は「紙」に勝ち「石」に負け, 「紙」は「石」に勝ち
「はさみ」に負け, 同じ「手」どうしは引き分けとする. Ads
Bに勝つ確率と引き分ける確率を求めよ.

(2) 上の 3 種類の「手」の勝敗規則を保ちつつ, これらに加えて,
4種類目の「手」として「水」を加える. 「水」は「石」と
「はさみ」には勝つが「紙」には負け, 同じ「手」どうしは引
き分けとする. A、Bがともに4種類の「手」から無作為に
1つを選ぶとするとき, Aが勝つ確率と引き分けの確率を求
めよ.

(3) 上の4種類の「手」の勝敗規則を保ちつつ, これらに加え, さ
らに第5の「手」として「土」を加える. Bが5種類の「手」
から無作為に 1 つを選ぶとき,Aの勝つ確率がAの選ぶ「手」
によらないようにするためには,「土」と「石」「はさみ」「紙」
「水」との勝敗規則をそれぞれどのように定めればよいか.
ただし, 同じ「手」どうしの場合.しかもその場合にのみ引き
分けとする.

== 9一 M2 (499-17)

原本の問題PDFを確認する

問2画像OCR

検出分野: 図形・三角関数、指数・対数、確率・場合の数、微分・積分、方程式・不等式

(1) f(x) = 0は絶対値が2より小さい 3 つの相異なる実数解を

やの:
(2) wd! f(x) = 0の解ならば, g(a) も f(x) = 0の解となる.
(3) f(x) = 0 の解を小さい順に o, os, os とすれば、

g(a) = os, g(a2)=a1, 9(os) = 95
となる.
a ょっ M3 (499—20)

き3. 。を0 Sa < 全の範囲にある実数とする. 2つの直線 = 0,
2s う および2つの曲線 = cos(x — a), y= —cosritkoTt
囲まれる図形をごとする. このとき, 以下の問に答えよ. (配点
308)

(1) BUG OHME SETS. ぐをocを用いた式で表せ.
(2) gが0 Sg< 5 の範囲動く とき, 9を最大にするようなq
DIL, そのときの々の値を求めよ.
(3) 図形ごをz軸の周りに 1 回転させてできる立体の体積をと
する. をoを用いた式で表せ.
a M3 (49921)

A, 大小 2つのサイコロを同時に 1 回投げて, 大きいサイコロの出た
HORA, および小さいサイコロの出た目の数に応じて得点を
競うゲームを考える. ただし, このゲームには6種類の得点 X。
(1 S nS 6) があって, それぞれ, 次の規則で定められていると
する :

4 (4とのとき)
Xi=4 B (A<nDOAF BOLE)
aA+b (A<n®OA=BOLE)
ここで, a bISEBDEKCHS. また, 得点。 の期待値を E, と
する. COLE, 以下の問に答えよ. (配点30点)
(1) A, のとり得る値に対する得点Y。およびX。の値を, 答案用
紙の表にそれぞれ記入せよ.
(2) By — Bye RDS.
(3) Ey = By a=-- = Ep となるようなg5はあるか. あれば求め
よ. なければ, そのことを示せ.
ee 三 ぐM3(499一22)

5. を実数として, 数列,g。... を
aq=1, a= 2t,
Anyi = 2tdy — An) (n 2 2)
で定める. このとき, 以下の問に答えよ. (配点30 点)
(1) #且1ならば, 0 <a, <a. gs <...・となることを示せ.
(2) tS -1ならば, 0 < ay| < oz| < fag] <となることを示せ.
(3) 1 <:#< 1ならば,rーcosのとなる9を用いて、
sin 9
= >
on = Sind (=
となることを示せ.
re 5 OMB (49923)

原本の問題PDFを確認する

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