大学受験

京都大学 2009年度 過去問・解答

数強塾のプロ講師陣

藤原進之介です。このページでは京都大学2009年度の数学過去問を解答・解説つきで無料公開しています。

今日の一問
次の各問にそれぞれ答えよ。
問 1  空間上の 2 点 を通る直線 に点 から下ろした垂線の足 H の座標を求めよ。
——さて、どこから手をつける?
続きの小問と、答え・考え方は本文で解説します。

問題

解答

📊 2009年度 京都大学 数学 講評マップ(難易度・目標時間・使う型)

この年度の全11問を解説した数強塾のプロ講師陣が、各問題を難易度・目標時間・使う型の3つで整理しました。難易度と目標時間は数強塾の独自の見立てで、目標時間は過去問演習をするときの1問あたりの目安です(実際の試験の時間配分を示すものではありません)。「使う型」の列は解法パターン事典の該当単元につながっています。解けなかった問題は、下の解説で解き方を確認したあと、型のページで同じ型の問題を練習すると定着が速くなります。

2009年度の全11問

大問テーマ難易度目標時間使う型(解法パターン事典)
解説へ空間の垂線の足と袋の中身が変わる反復試行やや難約22分分野融合
解説へ積分方程式から整式を決定する標準約20分定積分で表された関数
解説へ対数不等式の表す領域を図示する約24分指数・対数
解説へ折り返しを3回——3倍角の公式に帰着やや難約22分三角関数
解説へ(p^n)! が素数pで何回割り切れるかやや難約20分整数
解説へ直方体・平面の法線と線分の交わりやや難約22分空間ベクトル
解説へ3つの外心が同一円周上にある条件約28分図形の証明(高校)
解説へ一番下のカードが一番上に来る確率約26分確率
解説へad-bc=1 の行列で定まる点列の長さやや難約24分漸化式の全型
解説へ極方程式で表された曲線の回転体の体積やや難約24分積分法(体積・弧長)
解説へa+b√2 の累乗の係数が互いに素であること約28分整数の証明

💡 どこで差がつくか:この年度は、答えを出したあとの一言を書けるかどうかで答案の見え方が変わります。対数不等式は移項して1つの分数にまとめ、分母の符号で場合分けし、境界を含むかどうかまで書き切る。折り返しの問題は3θがπを超える場合に∠BOEが2π−3θになることまで調べ、確かめた上で不適と切る。外心の問題は必要十分の両方向を独立に立てる。行列で定まる点列は長さだけでなく内積も仮定に入れて帰納法を回す。回転体はxが単調であることの確認が計算の前提になります。手を動かす前に、何を書けば筋の通る答案になるかを決めておきたい年度です。 この冊子11問の目標時間の合計は約260分(数強塾の見立て)。

「型が出てこなかった問題」が2問以上あった人へ。それは演習量の不足ではなく、単元の型の抜けが原因であることがほとんどです。数強塾は数学専門・プロ講師のみ・完全1対1のオンライン個別指導。実際にあなたが解いた過去問の答案を見ながら、どの型が抜けているかを特定し、京都大学の出題に合わせて埋めていきます。京都大学の過去問まとめ(全年度+傾向)で他の年度も確認できます。

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※ 問題文は京都大学が公表した2009年度(平成21年度)入学試験問題を、解説のために引用したものです。解答・解説はオンライン数学専門塾「数強塾」が独自に作成したもので、大学が公表した一般的な解答例そのものではありません。作成にあたっては大学公表の解答と全6問を突き合わせて一致を確認し、さらに 問2 は厳密分数での第30項までの逐次計算数式処理による恒等式の検証57,600 点の格子で不等式と条件式の判定が完全一致することを確認実際に座標を作って折り返しを再現し面積比を実測階乗を直接計算して 進付値を測定して独立に検算しています。

2009年度 京都大学 数学(文系)の傾向
  • 大問5題・各30点・全問記述式(試験時間120分)。京大らしく問題文が短く、方針が丸ごと受験生に委ねられるタイプが並びます。
  • 分野は空間ベクトル(垂線の足)/確率(袋の中身が変わる反復試行)/積分方程式/対数不等式の領域図示/平面幾何(折り返しと面積比)/整数(階乗に含まれる素因数の個数)
  • 本セット最大の特徴は の「 で何回割り切れるか」。教科書に公式は載っていませんが、 の倍数を数え、 の倍数を数え、…と重ねて数える」という発想だけで解けます。ルジャンドルの定理として知られる有名事実です。
  • と置くと に化けるという一点勝負。分母 の符号で場合分けするのを忘れると全滅します。
  • 4 回の折り返しで と見抜けば、あとは 3 倍角の公式。ただし になる場合の吟味まで書けるかで差がつきます。
  • 問2 は失敗のたびに赤球が 1 個増えるので、 回目の袋は白 2・赤 。積が階乗できれいに約分されて になります。
  • 目標時間は各大問 20〜24 分。 を確実に取り、 で部分点を積むのが現実的です。

空間の垂線の足/袋の中身が変わる反復試行

分野:空間ベクトル・確率 難易度:標準〜やや難 目標時間:22分

【問題】

次の各問にそれぞれ答えよ。

問 1  空間上の 2 点 を通る直線 に点 から下ろした垂線の足 H の座標を求めよ。

問 2 白球と赤球の入った袋から 2 個の球を同時に取り出すゲームを考える。取り出した 2 球がともに白球ならば「成功」でゲームを終了し、そうでないときは「失敗」とし、取り出した 2 球に赤球を 1 個加えた 3 個の球を袋にもどしてゲームを続けるものとする。最初に白球が 2 個、赤球が 1 個袋に入っていたとき、 回まで失敗し 回目に成功する確率を求めよ。ただし とする。

【解答】

問 1   問 2 

問 1 垂線の足 H の座標

【問題(再掲)】

を通る直線 に、点 から下ろした垂線の足 H の座標を求めよ。

【型】H は 上だから助変数 で表し、 を決める

【なぜこうするか】
空間の「垂線の足」を求める問題は、次の 2 条件を式にするだけです。

  1. H は直線  → (未知数は の 1 個だけ)
  2. CH  →  の 1 次方程式)

未知数 1 個・方程式 1 本なので、必ず一意に決まります。空間でも平面でもまったく同じ手順で、これ以上の工夫は要りません。
計算のコツは方向ベクトルを先に求めておくこと。 と成分が小さいので、以降の内積計算が軽くなります。

。H は直線 上にあるから、実数 を用いて

と表せる。このとき

CH より だから

したがって

検算。。内積を確かめると

確かに垂直 ✓ また H が 上にあることも から確認できます ✓ 計算機でも 、内積 と一致しました。

【定石】「直線上の点」は助変数 1 個、「垂直」は内積 。この 2 つで が決まる、というのが垂線の足の求め方の全て。点と直線の距離を聞かれたら、そのまま を計算すればよい(本問なら )。

【よくあるミス】 と取り違えること。方向ベクトルは直線 上の 2 点から作る(C は直線上にありません)。また と向きを逆にしても内積 は変わらないので、そこは問題ありません。

問 2  回失敗して 回目に成功する確率

【問題(再掲)】

白 2・赤 1 の袋から 2 球を同時に取り出す。2 球とも白なら成功で終了、そうでなければ失敗として取り出した 2 球に赤球を 1 個加えて袋にもどす 回まで失敗し 回目に成功する確率を求めよ)。

【型】まず「 回目の袋の中身」を確定 → 各回の成功・失敗確率を の式で書く → 積を階乗で約分

【なぜこうするか】
この問題の第一歩は「袋の中身がどう変化するか」を正確につかむことです。失敗したときは取り出した 2 球を戻し、さらに赤球を 1 個加える。つまり

  • 白球はずっと 2 個のまま(減りません)
  • 失敗のたびに赤球が 1 個ずつ増える

最初は白 2・赤 1(計 3)。 回失敗した後、すなわち 回目の直前

個、 赤 個、 計

成功は「2 個とも白」だから、確率は
そして失敗確率は引き算して 。この形が重要で、分子も分母も 1 次式の積なので、 の積を取ると階乗の比になって次々に約分されるのです。
この「連続する項が打ち消し合って端だけ残る」構造(望遠鏡積)を見抜けるかどうかが本問の勝負どころです。

袋の中身。失敗のたびに赤球が 1 個増え、白球は 2 個のまま。よって 回失敗した後( 回目の直前)は白 2 個・赤 個・計 である。

各回の確率。 回目に成功する(2 球とも白)確率は

したがって 回目に失敗する確率は

求める確率。 回目から 回目まで失敗し、 回目に成功するのだから

積の部分を書き下すと

分子・分母を階乗でまとめると

部分階乗表示
分子の
分子の
分母の
分母の

したがって積は

よって

検算(厳密分数での逐次計算)。失敗確率と成功確率を分数のまま順に掛けて求めた値と、公式の値を比較すると

1234567
逐次計算

から まですべて厳密に一致 ✓  を手で確かめると、1 回目失敗が 、2 回目成功が で、積は

もうひとつの検算。 となり、1 にはなりません。これは「いつまでも成功しない」ことが確率 で起こるという意味で、赤球が際限なく増えていく設定と整合しています(数値計算でも までの和が )✓

【定石】「試行のたびに条件が変わる」確率は、まず 回目の状態を の式で表す。各回の確率が のように1 次式の積の比になれば、積は階乗でまとまって大量に約分できます。

【よくあるミス】「取り出した 2 球に赤球を 1 個加えてもどす」を「赤球 1 個だけを入れる(2 球は戻さない)」と誤読すること。白球は減らず、総数が 1 ずつ増えるのが正しい読み方です。また 回目の直前の赤球を 個としてしまうこと( 回失敗しているので 個)。

積分方程式——微分して整式の形を突き止める

分野:定積分と関数決定 難易度:標準 目標時間:20分

【問題】

整式 と実数

をみたすとき、この を求めよ。

【解答】

  の決定

【問題(再掲)】

をみたす整式 と実数 を求めよ。

【型】 は定数。展開して の多項式に整理 → で微分して の形を得る

【なぜこうするか】
2 種類の積分が混ざっているのがポイントです。

  • 上端が なので の関数。微分すると になる(微分積分学の基本定理)
  • 積分区間は定数 と展開して を外に出せば、係数はすべて定数

そこで

とおくと、与式は の形。両辺を で微分すると積分記号が消えて

つまり は必ず 1 次以下の式だと判明します(「整式 」としか言われていないのに次数が確定するのが気持ちいい)。あとはこれを の定義に代入して連立するだけ。
元の式に を代入すれば一発で出ます(微分すると の情報が消えるので、別途この一手が必要)。

準備。 と展開すると

そこで とおくと、与式は

 ……①

の決定。①で とすると だから

 ……②

の形。①の両辺を で微分すると

 ……③

の決定。③を の定義に代入する。

第 2 式から 、すなわち 。これを第 1 式に代入して

よって 。③に戻して

の値。②より

したがって

検算(元の式に戻して恒等式か確認)。 として左辺を計算すると

足すと となり、右辺 と完全に一致 ✓ 数式処理でも「左辺 右辺 」(恒等式)が確認できました ✓

【定石】積分方程式の 2 大パターン——「上端が 」なら微分、「区間が定数」ならその積分を文字でおく。両方混ざったら両方使います。微分で消えた定数は、元の式に都合のよい値(多くは )を代入して回収するのを忘れずに。

【よくあるミス】 を「 の関数だから微分できない」と思って手が止まること。展開すれば の 2 次式で、係数が定数になります。また を求め忘れること( だけでは半分の答えです)。

対数不等式の表す領域を図示する

分野:対数・不等式の表す領域 難易度:難 目標時間:24分

【問題】

をみたす正の数で、不等式

をみたすとする。このとき の組 の範囲を座標平面上に図示せよ。

【解答】

とおくと条件は 。すなわち

  • がともに より大きい、またはともに より小さいとき: または
  • 一方が より大きく他方が より小さいとき:

(下図の斜線部。境界線および は含まない。)

 不等式の表す領域

【問題(再掲)】

のとき、 をみたす の範囲を座標平面上に図示せよ。

【型】底を に統一して と置換 → 分母を払うときに の符号で場合分け

【なぜこうするか】
底がバラバラ( 底、 底)なので、底の変換公式で 1 つの底に統一するのが出発点。底を にすると

と、すべてが だけで書けます( より )。不等式は

ここが最大の関門。分母を払いたくなりますが、 の符号がわからないので不等号の向きが決まりません。そこで「移項して 1 つの分数にまとめ、分子と分母の符号で議論する」のが安全な処理:

きれいに因数分解できました。あとは分母 の符号で 2 通りに分けるだけ。

  • の同じ側)なら分子 、すなわち
  • の反対側)なら分子 、すなわち

最後に なので、直線 が境界になるわけです。

底の統一。 より 。底の変換公式で与式は

右辺を移項して通分すると

 ……(

(i) のとき の一方が より大、他方が より小)。()の分子が負、すなわち

だから 、すなわち

(ii) のとき がともに より大、またはともに より小)。()の分子が正、すなわち

したがって または 、すなわち

領域の図示。以上をまとめると、求める領域は次の 4 つの部分の合併である。

の位置追加条件実際の範囲
または 単位正方形の中の 2 つの三角形
または の上側/ の下側

(③では より は自動的に成立し、条件は のみ。④では より が自動で、条件は のみ。)境界線 および直線 は含まない。

y = 2x y = x/2 1 1 O x y

▲ 求める領域(青=①②: の同じ側で または /橙=③④: の反対側で )。境界線 、および破線 は含まない。②は の上側・ の下側にそれぞれ無限に伸びる。

検算(57,600 点の格子で総当たり)。 をそれぞれ から 240 点ずつ取り( 組)、元の不等式を実数値で直接判定した結果と、上で導いた条件( の符号と の大小)による判定を突き合わせたところ、57,600 組すべてで一致(不一致 0)

元の不等式導いた条件位置
成立成立ともに より大・(②)
成立成立 をまたぐ・(③)
不成立不成立 をまたぐが

【定石】底の異なる対数が混ざったら、まず底を統一して 1 文字ずつに置換。分数不等式は「移項して 1 つの分数にまとめ、(分子)÷(分母) 分子と分母が同符号」で処理するのが安全(分母を払うのは符号が確定しているときだけ)。

【よくあるミス】 の符号を考えずに両辺に を掛けてしまい、 の側しか答えないこと。領域の半分を落とします。また図示で境界を含むかどうかの明記を忘れること(本問は なのですべて含みません)。 が除外されることも図に明示しましょう。

折り返しを 3 回——3 倍角の公式に帰着

分野:平面幾何・三角関数(3倍角) 難易度:やや難 目標時間:22分

【問題】

平面上で、鋭角三角形 を辺 OB に関して折り返して得られる三角形を を辺 OC に関して折り返して得られる三角形を を辺 OD に関して折り返して得られる三角形を とする。 の面積比が のとき、 の値を求めよ。

【解答】

  の値

【問題(再掲)】

鋭角三角形 を OB、OC、OD で順に折り返して を作る。 の面積比が のとき を求めよ。

【型】折り返しで O のまわりに角 ずつ進む=。面積比から 3 倍角の方程式へ

【なぜこうするか】
折り返し(線対称移動)で変わらないものを押さえるのが第一歩です。 を OB で折り返すと

  • (対応する辺の長さは不変)
  • (対応する角も不変)

これを繰り返すので、。つまりO を中心に、A から出発して ずつ 4 回まわった先が E。半径は 交互に同じになります。
すると求める 2 つの面積は

と、 が共通になるので比を取れば長さが消え、 という三角方程式だけが残ります。ここまで来れば 3 倍角の公式 で終わり。
最後に を超える場合の吟味が必要です( 以下の角なので、 なら になります)。ここを書けるかが差のつくところ。

設定。折り返しの性質より であり、 とおくと

は鋭角三角形だから 。なお のときは となって B、O、E が一直線上に並び ができないので、これは除外する。

O A B C D E θ △OBE

▲ 折り返しを 3 回行うと、A、B、C、D、E は O のまわりに角 ずつ並ぶ。。緑が で、。図は実際の解 )で作図。

(i) のとき。 だから

面積比が だから 、すなわち

3 倍角の公式 を代入して

より だから 、よって

これは に対応)を満たすか確認する。 より適する

(ii) のとき。このとき だから であり

面積比 より 、すなわち 。同様に代入して

これより となり不適 も範囲外)。

(i)(ii) より

検算(座標を作って折り返しを再現)。 として、A、B、C、D、E を極座標 に配置し、外積で面積を実測すると

その比は

これは 小数第 9 位まで一致 ✓ また なので (i) の場合に該当することも確認できます。数式処理で を解いても、解は の 3 つだけでした ✓

【定石】折り返し(線対称)で不変なのは「長さ」と「角」。折り返しを繰り返す問題は「中心のまわりに等角で並ぶ」と読み替えると一気に見通せます。2 つの三角形の面積比で共通の辺の積が消えるように組み合わせを選ぶのがコツ。

【よくあるミス】 としてしまうこと()。また の場合の吟味を省くこと——結果的に不適でも、「調べた上で不適」と書くのが京大の記述では重要です。 で三角形がつぶれることにも触れられると完璧。

で何回割り切れるか

分野:整数(素因数の個数) 難易度:やや難 目標時間:20分

【問題】

を素数、 を正の整数とするとき、 で何回割り切れるか。

【解答】

  に含まれる の個数

【問題(再掲)】

を素数、 を正の整数とするとき、 で何回割り切れるか。

【型】 の倍数の個数」「 の倍数の個数」…を全部足す(重ねて数える)

【なぜこうするか】
の中に素因数 が何個含まれるかを数えます。ここで大事なのは の倍数は を 2 個持っている」という点。単純に の倍数の個数を数えるだけでは足りません。
そこで「段に分けて数える」のが定石です。

  • 1 段目 の倍数を 1 個ずつ数える →
  • 2 段目 の倍数をもう 1 個ずつ追加で数える →
  • …以下同様に の倍数( 自身の 1 個)まで

たとえば の倍数は 1 段目・2 段目・3 段目でそれぞれ 1 回ずつ数えられ、合計ちょうど 3 回——うまく帳尻が合う仕組みです。
本問が易しいのは がちょうど の累乗なので、割り算がすべて割り切れてガウス記号が不要になること。答えは等比数列の和として一発でまとまります。
(一般の については となり、ルジャンドルの定理と呼ばれます。)

解答。 から までの 個の整数のうち、)で割り切れるものの個数は

 (個)

の倍数なので、割り切れて端数は出ない。)具体的には

条件個数
で割り切れる数
で割り切れる数
で割り切れる数
で割り切れる数

ここで、ちょうど で割り切れる( では割り切れない)数は、上の表の 1 段目から 段目まででちょうど 数えられる。したがってこの表の個数をすべて足したものが、 に含まれる素因数 の総数に等しい。よって求める回数は

(初項 、公比 、項数 の等比数列の和。)

具体例で確かめる。 のとき、 から までの 5 の倍数を並べて「何回 5 で割れるか」を縦に積むと

対象個数
1 段目(5 の倍数)
2 段目(25 の倍数)
3 段目(125 の倍数)

合計

検算(階乗を直接計算して 進付値を測定)。実際に を計算し、 で何回割り切れるかを数えた結果

進付値(実測)
2377
241515
3244
331313
5266
7288

すべて一致

【定石】階乗に含まれる素因数 の個数は (ルジャンドルの定理)。「末尾に 0 が何個並ぶか」型の問題もこれで解けます なので 5 の個数を数える)。本問は なのでガウス記号が外れ、等比数列の和になります。

【よくあるミス】 の倍数の個数 だけを答えてしまうこと。 の倍数は を複数個持つので、段を重ねて数える必要があります。また和を までまとめずに で止めるのは減点されませんが、閉じた形にするほうが答案として丁寧です。

この冊子で身につけたい「型」一覧
  • 垂線の足は「直線上(助変数 1 個)+内積 」の 2 条件で一意に決まる
  • 試行のたびに条件が変わる確率は、 回目の状態を の式で書く
  • 各回の確率が 1 次式の積の比なら、総積は階乗でまとまって大量に約分できる
  • 積分方程式:「上端が 」なら微分、「区間が定数」ならその積分を文字でおく
  • 微分で消えた定数は 代入などで回収する
  • 底の異なる対数は底を統一して 1 文字ずつに置換
  • 分数不等式は「1 つの分数にまとめて分子と分母の符号で場合分け」(分母を払わない)
  • 領域図示は境界を含むか含まないかを必ず明記
  • 折り返しで不変なのは長さと角——繰り返せば「中心のまわりに等角で並ぶ」
  • 面積比は共通の辺の積が消えるように 2 つの三角形を選ぶ
  • 角が を超える場合の吟味を必ず書く(不適でも「調べた」ことが得点になる)
  • 階乗の素因数の個数は (ルジャンドルの定理)

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※ 問題文は京都大学が公表した2009年度(平成21年度)入学試験問題を、解説のために引用したものです。解答・解説はオンライン数学専門塾「数強塾」が独自に作成したもので、大学が公表した一般的な解答例そのものではありません。作成にあたっては大学公表の解答と全7問を突き合わせて一致を確認し、さらに 14,400 組の 走査厳密分数の動的計画法( から )と 通り全列挙条件を満たす 3 種類の行列での数値追跡数値積分7 組の について第 12 項までの整数計算で独立に検算しています。
は行列を扱う問題で、現行の学習指導要領(数学 C)の範囲外ですが、ケーリー・ハミルトンの定理を「 次の漸化式」として与えれば数学 B の知識だけで完走できるので、内容を書き下したうえで解説しています。

2009年度 京都大学 数学(理系・乙)の傾向
  • 大問6題・全問記述式(試験時間150分、配点 点)。文系と同様に問題文が短く、方針を自分で立てるタイプが揃っています。
  • 分野は空間ベクトル(平面の法線と線分の交わり)/平面幾何の証明(外心と内心)/確率(カードの山の Markov 的な移動)/行列と漸化式/極方程式と回転体/整数( の互いに素)
  • 最難は。「必要十分条件であることを示せ」という両方向の証明を要求する純幾何の問題で、外心の定義( など)と円周角・中心角だけで書き切ります。京大らしい骨太な出題。
  • 「番号 のカードの位置だけを追えばよい」と割り切れるかが勝負。位置 からは確率 で留まり、 で 1 つ上がる、という単純な構造です。
  • という 2 項間の関係が効きます。「互いに素」の証明は素数 を取って矛盾を導くのが定石。
  • は極方程式ですが、 について単調減少であることを示せば、あとは で置換するだけ。答えが ときれいに出ます。
  • 目標時間は各大問 25 分。 を確実に取り、 で部分点を積み上げるのが現実的です。

直方体・平面の法線と線分の交わり

分野:空間ベクトル 難易度:標準〜やや難 目標時間:22分

【問題】

空間で を頂点とする直方体 OABC-DEFG を考える。辺 AE を に内分する点を P、辺 CG を に内分する点を Q とおく。ただし とする。D を通り、O、P、Q を含む平面に垂直な直線が線分 AC(両端を含む)と交わるような のみたす条件を求めよ。

【解答】

かつ (同値に

  のみたす条件

【問題(再掲)】

D を通り平面 OPQ に垂直な直線が線分 AC(両端を含む)と交わるための の条件を求めよ。

【型】平面の法線ベクトルを内積 の連立で求め、直線の式を作り、 を代入して線分 AC 上かを判定

【なぜこうするか】
まず P、Q の座標を確定します。辺 AE は を結ぶので、 に内分する点は

同様に
次に「平面 OPQ に垂直な方向」=法線ベクトル 。原点を通る平面なので、 かつ を連立すれば求まります(外積を知っていれば一発ですが、連立でも 3 行です)。
最後に線分 AC は の平面上にあるので、D から出た直線が になる点を求めれば十分。その交点が線分 AC 上にあるための条件を書き下せば終わりです。
線分 AC は を結ぶので、直線の式は 、範囲は

P、Q の座標と法線ベクトル。。平面 OPQ の法線ベクトルを とすると

より と選べば

直線と の交点。D を通り 方向の直線上の点 R は、実数 を用いて

座標が となるのは 、すなわち 。このとき

線分 AC 上にある条件。線分 AC は を結ぶから

R の座標を代入すると

また より 。これと を合わせる。 のもとで と同値だから、結局

 かつ 

(このとき は自動的に を満たす。)

1/4 9/16 O 1 1 s t 16s + 36t = 9

平面での条件。太い線分 (両端の白丸 の条件で含まない)。

検算(14,400 組の走査)。 をそれぞれ から 120 点ずつ取り( 組)、各組について実際に法線ベクトルを計算し、直線と の交点が線分 AC 上にあるかを判定したところ、 を満たさない組で「交わる」と判定されたものは 0 件 ✓ また具体例では

交点線分 AC 上
9
9
8.4×

✓ と直線 AC 上にあることも確認できます。

【定石】平面の法線は「平面上の 2 ベクトルとの内積 」を連立。1 文字を自由に選べる( は定数倍の自由度がある)ので、分数が消えるように選ぶと後が楽(本問なら )。「線分上にある」条件は、直線の式+端点の範囲の 2 つを必ず書く。

【よくあるミス】 の内分点を と取り違えること。 側の比が なら、点は です。また「線分 AC(両端を含む)」の範囲条件 を書かず、直線 AC 全体で考えてしまうこと。

3 つの外心が円周上に来る条件=P が内心

分野:平面幾何(円周角・中心角・外心と内心) 難易度:難 目標時間:28分

【問題】

平面上の鋭角三角形 の内部(辺や頂点は含まない)に点 P をとり、 を B、C、P を通る円の中心、 を C、A、P を通る円の中心、 を A、B、P を通る円の中心とする。このとき A、B、C、 が同一円周上にあるための必要十分条件は P が の内心に一致することであることを示せ。

【解答】

下記の証明( は円周角と中心角、 等から合同を作って角の二等分線を示す)

 必要十分条件の証明

【問題(再掲)】

鋭角三角形 の内部の点 P に対し、 をそれぞれ の外心とする。A、B、C、 が同一円周上にある P が内心、を示せ。

【型】外心の定義は「3 頂点から等距離」。使う道具は円周角と中心角の関係四角形が円に内接する条件(対角の和が だけ

【なぜこうするか】
まずA、B、C を通る円は の外接円 ただ一つなので、示すべきことは 上にある P が内心」と言い換わります。
使う道具は 2 つだけです。

  • 円周角と中心角 の外心(=円 の中心)なので、(同じ弧 PB に対する中心角と円周角)
  • 四角形が円に内接 対角の和が

これで (P が内心なら 6 点が同一円周上)は一直線に片づきます。
はもう一手必要。(円 の半径)と (円 の半径)に着目すると、3 辺相等で合同 は共通)。ここから角を追いかけて「A、P、 が一直線」を出し、さらに から「AP が を二等分」に到達します。
「外心=等距離」を合同の材料に使う——これが本問のいちばんの発想です。

記号。 の外接円を の外接円をそれぞれ とする(中心は )。A、B、C を通る円は に限るから、示すべきことは

上にある P は内心

)P が内心のとき。P が内心なら 。円 において、弧 PB に対する中心角と円周角の関係から

同様に 。よって

三角形の内角の和より だから

P は内部にあり は BC に関して A と反対側にあるから、四角形 対角の和が となり、4 点 A、B、、C は同一円周上、すなわち 上にある。同様に 上にある。よって 6 点 A、B、C、 は同一円周上にある。

)6 点が同一円周上のとき。その円は A、B、C を通るから外接円 であり、 上にある。

ここで、外心の定義(中心から円周上の点までの距離は等しい)より

(円 の半径)  (円 の半径)

は共通だから、3 辺相等で

よって 、すなわち を二等分するから

一方、円 において弧 PC に対する中心角と円周角の関係から 。よって

 ……①

また A、、C はいずれも円 上にあるから、弧 に対する円周角として

 ……②

①②より 。半直線 AP と は AC の同じ側にあるから、これはA、P、 が一直線上にあることを意味する。

さらに (ともに の半径)だから、円 において と弦 の長さが等しい。等しい弦に対する円周角は等しいので

A、P、 が一直線だから、これはAP が を二等分することを示す。まったく同様に BP が を、CP が を二等分することも示せる。
2 つの内角の二等分線の交点は内心ただ一つだから、P は の内心に一致する。

以上()()より、題意は示された。(証明終)

A B C P A’ B’ C’ 外接円 K

▲ P が内心のとき、 の外心)は弧 BC の中点に来て外接円 上に乗る。 も同様。破線が示すとおり A、P、 は一直線(= の二等分線)に並ぶ。

【定石】外心が出てきたら「中心から等距離」を辺の相等として使う——合同を作る材料になります。中心角 円周角四角形が円に内接 対角の和が の 2 つで、この手の証明はほぼ書き切れます。「必要十分」は両方向を独立に書くのを忘れずに。

【よくあるミス】 だけ書いて終わること(配点の半分以上を失います)。また が BC のどちら側にあるかを確認せずに「対角の和が 」を使うこと。P が内部にあるので となり、 は BC に関して A と反対側——ここを一言添えると論証が締まります。

カードの山——一番下のカードが一番上に来る確率

分野:確率(状態の推移) 難易度:難 目標時間:26分

【問題】

枚のカードを積んだ山があり、各カードには上から順番に 1 から まで番号がつけられている。ただし とする。このカードの山に対して次の試行を繰り返す。1 回の試行では、一番上のカードを取り、山の一番上にもどすか、あるいはいずれかのカードの下に入れるという操作を行う。これら 通りの操作はすべて同じ確率であるとする。 回の試行を終えたとき、最初一番下にあったカード(番号 )が山の一番上にきている確率を求めよ。

【解答】

 番号 のカードが一番上に来る確率

【問題(再掲)】

枚の山に対し、毎回「一番上のカードを取り、 通りの位置のいずれかに等確率で入れる」試行を 回行う。最初一番下にあったカード(番号 )が一番上に来ている確率を求めよ。

【型】追うのは「番号 のカードの位置 だけ」。位置 からは確率 で留まり、 で 1 つ上がる

【なぜこうするか】
山全体の並びを追うと 通りで手に負えません。ここは注目するカードの位置だけを状態にするのが定石。
番号 のカードが上から 番目(、つまり一番上ではない)にあるとします。1 回の試行では

  1. 一番上のカードが取り除かれる → 注目カードはいったん 番目になる
  2. 取ったカードを 通りのどこかに入れる。注目カードより上に入れば 番目に戻り、下に入れば 番目のまま

「注目カードより上」に入る入れ方は 通り、「下」に入る入れ方は 通り。よって

(そのまま 番目)  ( 番目へ上がる)

つまり「1 回で 1 つしか上がれない」。最初は なので、 に到達するには最低 の「上がる」が必要。 回の試行では、 回上がって 1 回だけ足踏み」か「 回で上がりきって最後の 1 回で一番上に戻る」かの 2 通りしかありません。ここまで整理できれば、あとは確率を掛けて足すだけです。
なお注目カードが一番上()にいるときは、そのカード自身が取られて 通りの位置に等確率で入るので、一番上に留まる確率は です。

1 回の試行での位置の変化。番号 のカードが上から 番目()にあるとき、上の考察より

結果入れ方の通り数確率
そのまま 番目(事象 B) 通り
1 つ上がって 番目(事象 A) 通り

また (一番上)のとき、次の試行でそのまま一番上に留まる確率(事象 C)は

場合分け。最初 で、1 回に 1 つしか上がれないから、 に到達するには A が 回必要。 回の試行を終えて であるのは次の 2 つの場合に限る。

  • (i) 回目の試行後にはじめて となり(A が 回連続)、 回目に C が起こる
  • (ii) 回目の試行後にはじめて となる( 回のうち B がちょうど 1 回、A が 回)

(i) の確率。 から順に A が起こる確率を掛けると

これに 回目の C の確率 を掛けて

(ii) の確率。B が 回目()に起こるとする。このとき 回目の直前の位置は だから、B の確率は 。他の 回は A なので、その確率の積は上と同じ 。よってこの場合の確率は

について足すと

。)

合計。求める確率

検算(厳密分数の動的計画法)。位置 の確率分布を分数のまま 回更新して求めた値と、公式の値を比較すると

234567
DP による値
公式の値

から まですべて厳密に一致 ✓ さらに では、3 回の操作の全パターン 通りを実際に山を並べ替えてシミュレートし、最後に番号 3 が一番上に来るものを数えるとちょうど 8 通り、すなわち ✓ 公式の と一致します。

【定石】並べ替えの問題でも「注目する 1 つの位置」だけを状態にすれば、単純な推移になることが多い「1 回に 1 つしか進めない」構造なら、必要回数から場合分けが自動的に絞られる(本問は「ちょうど 1 回足踏み」か「1 回だけ待機」の 2 通り)。

【よくあるミス】 に到達した後も「上がる/留まる」の同じ確率が続くと思うこと。一番上に来たカードは次の試行で必ず取られるので、そこだけルールが変わります。また B が起こる位置ごとに確率が違う()ことを見落として、一律 などとしてしまうこと。

の行列と点列の長さ

分野:行列(旧課程)・数列・ベクトル 難易度:やや難 目標時間:24分

【問題】

をみたす行列とする( は実数)。自然数 に対して平面上の点

により定める。 の長さが 1 のとき、すべての に対して の長さが 1 であることを示せ。ここで O は原点である。

【解答】

ケーリー・ハミルトンの定理から 。条件から が出るので、 に分けて帰納法(下記)。

  の証明

【問題(再掲)】

とする。 のとき、すべての であることを示せ。

【型】 から 3 項間漸化式 を作り、内積つきの強い仮定で帰納法

【なぜこうするか】
行列の 乗を直接計算するのは無理筋。使うのはケーリー・ハミルトンの定理

を使った。この式は左辺を成分計算すれば直ちに確かめられます。)両辺に を掛けると、 として

つまり「行列の問題」が「ベクトルの 3 項間漸化式」に化けます。ここまで来れば行列の知識は不要。
次に、条件 に何を課すかを見ます。(長さ 1)、 なので 。漸化式で だから

ここが本問の分岐点)なら漸化式は となり、長さは 2 つおきに同じ——これで終わり。
)のときは、「長さ 1」だけでは帰納法が回りません に内積が現れるからです。そこで仮定を強めて「長さも内積も」まとめて帰納する——これが定石です。実際 が保たれることが示せます。

漸化式。ケーリー・ハミルトンの定理と より 。両辺に を右から掛けると、 として

 ……①

の条件。 で、。①()より だから

これが に等しいので 、すなわち

(i) )のとき。①は 。これを繰り返し用いると

だから、いずれにせよ

(ii) )のとき。①は 。ここで結論より少し強い命題

  かつ

について数学的帰納法で示す。

(I) は上で確認済み。

(II) で()が成り立つと仮定する。 より

よって でも()が成り立つ。(I)(II) より、すべての

(i)(ii) より、すべての自然数 に対して 。(証明終)

検算(条件を満たす 3 種類の行列で数値追跡)。 かつ )を満たす行列を 3 種類作り、 で長さを測ると

行列
すべて
(回転)すべて
(せん断)すべて

いずれも を満たしており、すべての で長さが 1 ✓ (3 例目は で回転ではありませんが、それでも結論が成り立つのが面白いところです。)

【定石】行列の 乗が絡んだらケーリー・ハミルトンで次数を下げ、漸化式に持ち込む帰納法で「長さ」だけでは回らないときは、「内積」も一緒に仮定に入れて強める——これは漸化式で定まるベクトル列の常套手段です。

【よくあるミス】 から の場合だけ扱って を落とすこと。また帰納法の仮定を「」だけにして、 が処理できずに詰まること。「示したいことより強い命題を証明する」のは減点ではなく、むしろ正攻法です。

極方程式 の回転体

分野:極座標・回転体の体積・置換積分 難易度:やや難 目標時間:24分

【問題】

平面上で原点を極、 軸の正の部分を始線とする極座標に関して、極方程式 により表される曲線を とする。 軸とで囲まれた図形を 軸のまわりに 1 回転して得られる立体の体積を求めよ。

【解答】

 回転体の体積

【問題(再掲)】

極方程式 の曲線 軸で囲まれた図形を、 軸のまわりに 1 回転した立体の体積を求めよ。

【型】 と直交座標に直し、 が単調)を示してから で置換

【なぜこうするか】
極方程式のままでは体積は計算できません。直交座標の媒介変数表示に直します。

では なので曲線は上半平面にある
ここで必ず確かめるべきなのが「 について単調か」。単調でないと同じ に複数の が対応してしまい、 が使えません。計算すると

では なので 。つまり から へ単調に減少——これで の 1 価関数だと保証されます。この一言があるかないかで答案の質が決まります。
あとは に置換。最後は と置けば多項式の積分になり、偶関数・奇関数の性質で一気に片づきます。

媒介変数表示と単調性。 上の点は

で微分すると

において だから は単調に減少し、 のとき のとき

3 (θ=0) −1 (θ=π) O x y C : r = 2 + cos θ

▲ 曲線 軸で囲まれた図形(水色)。 から 単調に減少するので、 の 1 価関数として扱える。この図形を 軸のまわりに 1 回転させる。

体積の計算。求める体積は

積分区間を入れ替えて符号を整理すると

ここで と置換すると のとき だから

だから、被積分関数は 。展開すると

奇数次の項()は奇関数だから 上の積分は 。偶数次だけ残して

検算(数値積分と厳密積分)。 を数値計算すると 。一方 小数第 9 位まで一致 ✓ また を数式処理で厳密に計算すると となり、

【定石】極方程式の回転体は「媒介変数表示に直す → の単調性を確認 → で置換」 の奇数乗が残るように整理すれば の置換で多項式になるのがポイント。最後は偶関数・奇関数で計算を半分に

【よくあるミス】極座標のまま (これは面積の公式)を使ってしまうこと。体積は です。また置換で の符号()を落として、答えが負になること。積分区間の向きも一緒に反転させれば整合します。

の係数が互いに素であること

分野:整数(互いに素・数学的帰納法) 難易度:難 目標時間:28分

【問題】

を互いに素、すなわち 1 以外の公約数を持たない正の整数とし、さらに は奇数とする。正の整数 に対して整数 をみたすように定めるとき、次の (1)、(2) を示せ。ただし が無理数であることは証明なしに用いてよい。

(1) は奇数であり、 は互いに素である。

(2) すべての に対して、 は奇数であり、 は互いに素である。

【解答】

。とくに 。(証明は下記)

(1)  が奇数で が互いに素

【問題(再掲)】

は互いに素な正の整数で は奇数。 とする。 は奇数であり、 は互いに素であることを示せ。

【型】 が無理数だから係数比較ができる。「互いに素」の証明は共通の素因数 を取って矛盾

【なぜこうするか】
まず の漸化式を作ります。

ここで が無理数であることを使うと、有理数(整数)どうしの係数を比較できて

(もし が有理数なら、この係数比較は許されません。「証明なしに用いてよい」という但し書きは、まさにここで使うためのものです。)
として が奇数 → が奇数 → 偶数 を足しても奇数
「互いに素」は背理法が定石。共通の素因数 があるとして矛盾を出します。ここで が奇数だから も奇数——この一言が効きます。 が割るとき、 は奇数なので は割れず、 のどちらかを割る。あとはどちらの場合も に矛盾します。

漸化式。 を展開すると

は整数、 は無理数だから、係数を比較して

 ……①

だから、①で として

が奇数。 が奇数だから は奇数。 は偶数だから、その和 奇数

が互いに素。互いに素でないと仮定し、共通の素因数 をとる。 が奇数だから 奇数 を割り、 だから または を割る。

  • のとき より は奇数だから 、よって 。したがって の公約数となり、 が互いに素であることに反する。
  • のとき より 、よって 。同様に矛盾。

いずれの場合も矛盾するから、 は互いに素である。(証明終)

検算。 では (奇数)、 ✓  では ✓  では

【定石】 型は「 が無理数」を根拠に係数比較「互いに素」の証明は共通の素因数 を取って矛盾を導く が奇数」→「 は奇数」→「 の因子を無視できる」という連鎖が、この問題の骨格です。

【よくあるミス】共通因数として「 より大きい整数 」を取ってしまい、議論が煮え切らないこと。素因数 を取ると「 または 」が使えて一気に進みます。

(2) すべての が奇数かつ が互いに素

【問題(再掲)】

すべての に対して、 は奇数であり、 は互いに素であることを示せ。

【型】数学的帰納法。①から )を作る

【なぜこうするか】
帰納法の骨格は明快です。 がともに奇数なら は奇数、 は偶数なので は奇数
問題は「互いに素」の方。共通の素因数 (奇数)を取ったとき、 から かつ を導きたい——そうすれば帰納法の仮定に矛盾します。
そこで①を「 について解き直す」ように 2 式を組み合わせます:

とおけば、 かつ なら目的達成です。
残るのは の場合。ここで効くのが

という関係(右辺を展開すれば で確かに一致)。これは という 3 項間漸化式を意味するので、 のもとでは 、すなわち 。ここから が出て、さらに と合わせて ——矛盾です。

証明。 は奇数、かつ は互いに素」を について数学的帰納法で示す。 とおく( が奇数だから も奇数)。

(I) は奇数、 は互いに素。成立。

(II) で成立、すなわち が奇数かつ と仮定する。

が奇数。①より がともに奇数だから は奇数、 は偶数。よって は奇数 ✓

が互いに素。互いに素でないとして、共通の素因数 をとる。 が奇数だから は奇数。①から

をともに割るから、 かつ

(ア) のとき。 は素数だから かつ 。これは に反する。

(イ) のとき。恒等式

の両辺に を掛けて係数比較すると

だから、これを を法として見ると とあわせて、帰納的に

✓)。したがって より は奇数の素数だから 、よって
すると から は奇数だから 。ゆえに の公約数となり、 が互いに素であることに反する。

(ア)(イ) いずれの場合も矛盾するから、 は互いに素である。

(I)(II) より、すべての正の整数 について は奇数であり、 は互いに素である。(証明終)

検算(7 組の で第 12 項まで)。互いに素で が奇数となる組について、漸化式①で を整数のまま計算し、「 が奇数」「」を で確認した結果

で成立
1712
5740
7312
11372
249140
353240
20960

7 組すべて、全 12 項で成立 ✓  の例()は場合 (イ) が実際に起こりうる( を割る)ケースですが、それでも結論が保たれることを確認できます。

【定石】「すべての で互いに素」は帰納法+背理法の組み合わせ漸化式を組み合わせて「1 つ前の項の定数倍」を作るのが鍵(本問の )。その定数が で割れてしまう例外ケースを、別の恒等式で潰す——ここまで書けて完答です。

【よくあるミス】 から即座に と結論すること。 の可能性を潰さないと論理が飛びます(実際 では で割れます)。また が無理数であることを使った係数比較の根拠を書き忘れること。

この冊子で身につけたい「型」一覧
  • 平面の法線は「平面上の 2 ベクトルとの内積 」を連立/分数が消えるように定数倍を選ぶ
  • 「線分上」は直線の式+端点の範囲の 2 条件
  • 外心が出たら「中心から等距離」を辺の相等として合同に使う
  • 中心角 円周角/四角形が円に内接 対角の和が
  • 「必要十分」は両方向を独立に書く
  • 並べ替えの確率は「注目する 1 つの位置」だけを状態にする
  • 「1 回に 1 つしか進めない」構造なら、必要回数から場合分けが絞られる
  • 行列の 乗はケーリー・ハミルトンで漸化式に落とす
  • ベクトル列の帰納法は「長さ」だけでなく「内積」も仮定に入れて強める
  • 極方程式の回転体は媒介変数表示 → の単調性の確認 → で置換
  • の奇数乗が残るよう整理して と置換/偶関数・奇関数で半分に
  • 型は「 が無理数」を根拠に係数比較
  • 「互いに素」の証明は共通の素因数 を取って矛盾を導く ではなく素数で)
  • 漸化式を組み合わせて「1 つ前の項の定数倍」を作り、その定数が で割れる例外も潰す

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問題PDFをテキストでも確認

京都大学 2009年度 数学入試問題の文字起こし・出題分析

公開中の問題PDFを検索・復習しやすいよう文字データ化し、読み取れた語句から出題分野を整理しました。

  • 図形・三角関数
  • 空間図形
  • 確率・場合の数
  • 整数
  • 指数・対数
  • 微分・積分
  • 方程式・不等式

この年度の出題範囲と傾向

2009年度の問題PDFでは、図形・三角関数、空間図形、確率・場合の数、整数、指数・対数に関する語句や設問を確認できました。京都大学の公開PDFを年度横断で調べると、図形・三角関数は25年度、整数は24年度、空間図形は22年度で検出されており、複数年を比較して対策したい分野です。

分野判定はPDFから読み取れた語句に基づく集計です。数式・記号・図表は文字変換で崩れる場合があるため、正確な条件は必ず原本PDFで確認してください。

問題文の文字起こし

問1画像OCR

検出分野: 図形・三角関数、指数・対数、空間図形、整数、微分・積分

(30 &
次の各問にそれぞれ答えよ.
間 1 xyz空間上の2点A(一8, 一1, 1), B(一1, 0, 0)を通る直線?に
点C(2, 3, 3 )から下ろした垂線の足 H の座標を求めよ.
問 2 白球と赤球の入った袋から 2 個の球を同時に取り出すゲームを考える. 取
り出した 2 球がともに白球ならば「成功」でゲームを終了し, そうでないとき
は「失敗」とし, 取り出した 2 球に赤球を 1 個加えた 3 個の球を袋にもどして
ゲームを続けるものとする. 最初に白球が 2 個, 赤球が 1 個袋に入っていた
とき, ヵ一 1 回まで失敗しヵ 回目に成功する確率を求めよ. ただしぁ且2と
する.

整式/(ヶ) と実数Cが
プルのぁ+ ce +ッのザ7)みニタ 十C
をみたすとき, このげア(*) とCを求めよ.
G0
x, yldx#1, ヶチ1 をみたす正の数で, 不等式
log, y + logyx > 2 + (log, 2) (logy 2)
をみたすとする. COLEx, ヶの組(x, y) の範囲を座標平面上に図示せよ.
ーー 1一 OM3(818—21)

[4] (30 #8)
平面上で, 鋭角三角形へOAB を辺 OBに関して折り返して得られる三角形を
AOBC, へOBC を辺 OC に関して折り返して得られる三角形をAOCD, へOCD
を辺 OD に関して折り返して得られる三角形をへODE EFS. AOAB とへOBE
の面積比が 2 : 3 のとき, sin AOB の値を求めよ.

[5] (30 #8)

ヵ を素数, ヵ を正の整数とするとき, (ヵ?)! はヵで何回割り切れるか.

問題は このページで終わりである.

— 2 一 M3(818—22)

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問2画像OCR

検出分野: 確率・場合の数、図形・三角関数、空間図形、整数、微分・積分

[i] ; 0
xyz 空間で0(0. 0, 0), A(3, 0, 0), B(3, 2, 0), C(O, 2, 0),
DCO, 0, 4), E(3, 0, 4), F(3. 2, 4), GOO, 2, 4)を頂点とする .
直方体 0ABC-DEFG を考える. 辺AEをs: 1一sに内分する点をP, 辺CGを
だ1エー:に内分する点をQとおく. ただし0くsぐ1, 0く7く1とする. D
を通り, 0, P, Qを含む平面に垂直な直線が線分 AC(両敵を含む)と交わるよう
Ths, : のみたす条件を求めよ.
[2] (35 点)
平面上の鋭角三角形人ABC の内部 (辺や頂点は含まない)に点Pをとり, AE
B,C, Pを通る円の中心, BE をC, A, Pを通る円の中心,CをA, B PEM
る円の中心とする. このときA. BC A’, BY, C が同一円周ににあるための
必要十分条件はPがAABC の内心に一致することであることを示せ.
[3] G5
ヵ枚のカードを積んだ山があり, 各カードには上から順番に1からヵまで番号
がつけられている. KELAZZETS, このカードの山に対して次の試行を
繰り返す. 1 回の試行では, 一番上のカードを取り, 山の一番上にもどすか, あ
るいはいずれかのカードの下に入れるという操作を行う、これらヵ適りの操作
はすべて同じ確率であるとする. ヵ回の試行を終えたとき, 最初一番下にあった
カード (番号 ヵ)が山の一番上にきている確率を求めよ.
mw ぐやM5(818一27)

。 (35 #8)
A= (’ ‘| をーー1をみたす行列とする(g, 6, 0, のは実数).自
c
然数ヵに対して平面上の点 P。(r。 Yn)
(* 1
較6
In 0
により定める. OP, と OP の長さが 1 のとき, すべてのヵに対して OP, OLE
が 1 であることを示せ. ここで 0 は原点である.
GO
ay 平面上で原点を極, > 軸の正の部分を始線とする極座標に関して, 極方程式
ァー 2 十 cos9(0 ミミ9ミィ)により表される曲線をCとする. Cとヶ軸とで囲まれ
た図形を 軸のまわりに 1 回転して得られる立体の体積を求めよ.
[é] (35.40
gと5を互いに素. すなわち 1 以外の公約数を持たない正の整数とし, さらに
4は奇数とする. 正の整数ぇに対して整数g。 by E (a+ 2)" = ay + bg V2
をみたすように定めるとき, KOU), (2を示せ. KEL SZ が無理数であるこ
とは証明なしに用いてよい.
(1) 6。 は奇数であり, gz と 9。 は互いに素である.
(2) すべてのヵに対して, g, は奇数であり, a, & db, は互いに素である.
問題は このページで終わりである.
= 2 OM5 (818-28)

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問3画像OCR

検出分野: 指数・対数、整数、空間図形、図形・三角関数、微分・積分

GO #0
次の各間にそれぞれ答えよ.
Bl 正の数z々に対してxy空間で0(0. 0.0),A(3. 0, 0),
B(3, 2, 0), C(0, 2, 0), D(0,。 0, a), E(3, 0, a),
F(3, 2, a), G(0, 2, 2)を頂点とする直方体0ABC-DEFG を考え
る. D を通り, 3 つの頂点 0, E, Gを含む平面に垂直な直線が辺 BC(両端
を含む)と点Pで交わるとき, の値とPの座標を求めよ.
問 2 白球と赤球の入った袋から 2 個の球を同時に取り出すゲームを考える. 取
り出した 2 環がともに白球ならば「成功」でゲームを終了し, そうでないときぎ
は「失敗」とし, 取り出した 2 球に赤球を 1 個加えた 3 個の球を袋にもどして
ゲームを続けるものとする. BMC ARO 2 個, AR LBC AD Tare
Le, ヵー 1 回まで失敗しァ回目に成功する確率を求めよ. ただしぁ生2と
する.

平面上に三角形AOQA」A,と点As Ay Aiを, n=1, 2, 8に対して
AO0A。A4+ュとAO0A4+エA+2が辺 0A4+ュに関して対称になるようにとる.
AOA2As の面積がへOA」A。 の面積の正の整数倍となるとき, 乙A」OA。 の値を
求めよ.
(0.0
*, ylkx#l, yp#LEARTEOKT, 不等式
logy + logyx > 2 + (log, 2) (logy 2)
をみたすとする. COLE, yO, ゅ) の範囲を座標平面上に図示せよ.
デューー OM4 (818一24)

(85
a
a=| | ead be eRe THIN, b,c, 9は実数)とし.
c
正の整数ヶに対して
開 開 に | ("}
= , =A
vy 0 Yat Yn
WED x, In CEOS, *メオッメーィ2二yyー1ならばすべてのぁに対して
nei キタ 王1であることを示せ.
(3580
み を素数, ヵ を正の整数とするとぎ, (OY はヵで何回割り功れるか.
[6 | (35 0
極方程式ヶ三 1 + cos 9( 0 SOS 7) で表される曲線の長さを求めよ.
問題は このページで終わりである.
gs 2 mm やNM4(818一25)

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