東北大学 2009年度 過去問・解答

藤原進之介です。このページでは東北大学2009年度の数学過去問の問題資料と学習情報を無料公開しています。掲載している問題・解答・解説の範囲は、ページ内の各見出しでご確認ください。

今日の一問
すべての実数 に対して不等式 が成り立つような実数 の範囲を求めよ。
——さて、どこから手をつける?
答えと考え方は、この記事の中で順を追って解説します。

問題

解答

📑 この年度の大問インデックス(全9問)

解説が長いので、解きたい大問へ直接移動できるようにしています。解けなかった問題は、解説を読んだあとに同じ型の問題で当て直すと定着が速くなります。

型から探したいときは解法パターン事典、他の年度は過去問解説の総索引から。

🧭 東北大学 2009年度|大問ごとに「使う型」を対応させた表

解けなかった大問がどの型に属するのかを一覧にしました。解説を読んだあと、型のページで同じ判断を使う問題を数問当てると定着が速くなります。この年度は難易度と目標時間を掲載していないため、それらは載せていません。

大問出題テーマ使う型(解法パターン事典)
文系【1】文系【1】すべての実数で成り立つ指数の不等式指数・対数
文系【3】文系【3】=理系【3】 玉を戻さずに取り出す確率確率
文系【4】文系【4】折れ線が境界の領域に、放物線がすっぽり入る条件積分法(数II)
理系【1】理系【1】3次式の因数分解と不等式数と式
理系【2】理系【2】紙を貼り合わせてつくる長方形の面積図形の性質
理系【4】理系【4】2つの正弦曲線の上側を積分する積分法(数II)
理系【6】理系【6】絶対値つき方程式が相異なる4つの解をもつ条件数と式

型の全体像は解法パターン事典、他の年度・他大学は過去問解説の総索引から。東北大学の年度一覧は各ページ末尾のナビでも確認できます。

東北大学 2009年度(平成21年度)前期日程 数学の全問解説です。文系(文・教育・法・経済・医保健看護)4題と理系(理・医・歯・薬・工・農)6題が出題され、うち1題が共通なので、まとめると全9題18小問になります。
掲載しているすべての数値は、当塾で独立に解いたうえで Pythonによる検算( を細かく動かして不等式が成り立つ範囲を全数判定・玉の並びを全列挙して確率と期待値・sympyによる因数分解と積分と行列計算・絶対値つき方程式の解の個数を について広く走査) を行い、本ページで配布している解答PDFも数強塾が独自に作成したもので、この解説と同じ答え・同じ道筋です。

分野答え
文【1】指数と2次不等式
文【2】直角三角形と内積
文【3】=理【3】玉を戻さずに取り出す確率/期待値
文【4】折れ線の領域と放物線
理【1】3次式の因数分解と不等式
理【2】紙の貼り合わせと面積
理【4】2つの正弦曲線の上側の積分/最大
理【5】行列(旧課程)
理【6】絶対値つき方程式の解の個数

この年度の傾向(3行)

  • 文系・理系とも「文字定数を分離して、動く直線と固定の曲線の交点で考える」問題が軸です。文【1】も理【6】も、式を 「(定数を含まない曲線)=(定数で傾きが変わる直線)」の形に直すのが最短ルート。この一手が使えるかどうかで、かかる時間が何倍も変わります
  • 理【2】は「のりしろで重なる面積を引く」という、式より状況把握が大事な問題です。 枚の総面積から重なりの分を引くだけですが、重なりが か所であることを図から読み取れるかが勝負。文章題としての読解力が問われます。
  • 理【6】は場合分けが3つ×それぞれ複数と、この年度で最も重い問題です。答えも と3つの区間に分かれます。大きい の側にもう1つ区間があることを見落としやすいので、最後に を大きくした場合まで必ず確認します。

文系【1】すべての実数で成り立つ指数の不等式

【問題】
すべての実数 に対して不等式 が成り立つような実数 の範囲を求めよ。

(1) の範囲

【問題(再掲)】 すべての実数 が成り立つ の範囲を求めよ。

【型】 と置きかえる。文字定数 は分離して「固定の放物線」と「動く直線」の上下関係にする。

【なぜこうするか】  なので、 とおくと の範囲は は全実数を動くので は正の数全体)です。
ここで について整理すると 左辺は を含まない放物線、右辺は点 を通る傾き の直線。つまり「 で放物線が直線より上にある」という図形の問題になります。
直線は必ず を通るので、傾きを動かして「放物線からはみ出さない」範囲を読み取れば終わりです。境目は「 での高さ」と「接するとき」の2つ。

【解答】
とおくと であり、 が全実数を動くとき は正の数全体を動く。与式は 放物線 と、点 を通る傾き の直線 について、 より上にあることが条件である。
[1]  の左端 を通るとき、 より (傾きは )。傾きがこれより小さい(、すなわち )と 付近で の上に出るので不適。よって が必要。
[2]  が接する(または交わる)場合を調べる。 の判別式を とすると すなわち のとき、 は共有点をもたない。
図より、傾き から増えていくと、接する瞬間(、すなわち )に に乗ってしまい不適で、それ以降も不適。
以上より
よくあるミス 置きかえた後の範囲を や「すべての実数 」としてしまう誤りです。 は正の値しかとらず、 は含みません。そのため での値は「等号つきで0以上」でよく、 が答えに含まれます。ここを とすると となり、境界を1つ落とします。

検証: から まで 刻みで動かし、各 について から まで動かして を全数チェックしました。成り立つ範囲は と完全に一致しています。

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文系【2】直角三角形の辺上を動く点と内積

【問題】
辺 AB の長さが1、 が直角となる三角形 がある。辺 BC 上を点 C から点 B まで動く点 D を考え、内積 とおく。以下の問いに答えよ。
(1)  の動く範囲を求めよ。
(2)  が成り立つとき、 の値を求めよ。

(1) の動く範囲

【問題(再掲)】  の動く範囲を求めよ。

【型】直角があるなら座標を入れる。 を原点、直角をはさむ2辺を軸に取る。

【なぜこうするか】  なので、 を原点、 軸正方向、 軸正方向にとれば計算が最短になります。 より
すると D の 座標そのものになります。D は線分 BC 上を動くので 座標は0(点C)から1(点B)まで。 の長さ によらないのがポイントです。

【解答】
A を原点、 軸の正方向、 軸の正方向となるように座標を定めると とおける。直線 BC の式は だから、線分 BC 上の点 D は と表せる。このとき よって

(2) のときの

【問題(再掲)】  が成り立つときの を求めよ。

【型】(1) の結果 を使って、D の座標を で書き直してから内積を計算する。

【なぜこうするか】 (1) で D の 座標が だと分かったので、 と書けます。あとは4つのベクトルを成分で書いて内積を計算するだけ
両辺に が現れますが、 なので割ることができ、最後は だけの1次方程式になります。

【解答】
(1) より とおける。 だから 等式より だから両辺を で割って

検証:sympy で を文字のまま置いて連立させたところ、解は のみで、 の値によらないことを確認しました。

文系【3】=理系【3】 玉を戻さずに取り出す確率

【問題】
袋の中に青玉が7個、赤玉が3個入っている。袋から1回につき1個ずつ玉を取り出す。一度取り出した玉は袋に戻さないとして、以下の問いに答えよ。
(1) 4回目に初めて赤玉が取り出される確率を求めよ。
(2) 8回目が終わった時点で赤玉がすべて取り出されている確率を求めよ。
(3) 赤玉がちょうど8回目ですべて取り出される確率を求めよ。
(4) 4回目が終わった時点で取り出されている赤玉の個数の期待値を求めよ。
※ (1)〜(3) が文系【3】、(1)〜(4) が理系【3】です。

(1) 4回目に初めて赤玉

【問題(再掲)】 4回目に初めて赤玉が取り出される確率を求めよ。

【型】戻さない試行は「取り出す順列」で考える。分母は

【なぜこうするか】 「初めて」なので、1〜3回目が青、4回目が赤という順序まで決まった1通りの並びです。10個の玉を区別して4回分の順列を考えると、分母は 、分子は「青3個を並べる 通り × 赤1個の選び方3通り」。

【解答】
玉を区別して考える。4回取り出す順列の総数は 通り。
青・青・青・赤の順に出るのは 通り。よって

(2) 8回目終了時点で赤玉がすべて出ている

【問題(再掲)】 8回目が終わった時点で赤玉がすべて取り出されている確率を求めよ。

【型】順序が関係ないなら組合せで数える。「残り2個が両方青」と読み替えると速い。

【なぜこうするか】 8回目までにどの順で出たかは関係なく、「最初の8個の中に赤3個が全部入っている」かどうかだけの問題です。これは裏返すと「袋に残った2個が両方青」ということ。
10個から8個を選ぶ組合せで考えれば 、残り2個で考えれば 。どちらも同じ値です。

【解答】
最初の8個の選び方の総数は 通り。そのうち赤3個をすべて含むのは、青7個から5個を選ぶ 通り。よって

(3) 赤玉がちょうど8回目ですべて出る

【問題(再掲)】 赤玉がちょうど8回目ですべて取り出される確率を求めよ。

【型】「ちょうど 回目で終わる」は「 回目までに残り1個」+「 回目にそれが出る」。

【なぜこうするか】 8回目で「すべて出そろう」ということは、7回目までに赤が2個出ていて、8回目に最後の1個が出るということです。
前半は組合せ、後半は条件つき確率(残り3個のうち赤1個なので )。
((2) から「7回目までにすべて出ている確率」を引いても同じ答えになります。)

【解答】
7回目までの選び方の総数は 通り。そのうち赤が2個含まれるのは 通り。
このとき袋には3個残り、そのうち赤は1個だから、8回目にその赤が出る確率は 。よって

(4) 4回目終了時点の赤玉の個数の期待値(理系のみ)

【問題(再掲)】 4回目が終わった時点で取り出されている赤玉の個数の期待値を求めよ。

【型】「個数の期待値」は、1個ずつの指示変数に分けて足す(期待値の線形性)。

【なぜこうするか】 個数の分布を求めてから としてもできますが、手間がかかります。 回目が赤なら1、青なら0)とおくと で、期待値は和のまま計算できます(独立でなくても線形性は成り立ちます)。
そして 回目に赤が出る確率は、何回目であっても (対称性)。だから答えは です。

【解答】
4回目が終わった時点で取り出されている赤玉の個数を とし を「 回目が赤なら 、青なら 」と定める とおくと 。期待値の線形性より 10個中に赤は3個だから、 によらず 。よって

検証:赤玉3個の位置の選び方 通りをすべて列挙して数えたところ、(1) 、(2) 、(3) 、(4) となり、上の結果と一致しました。

文系【4】折れ線が境界の領域に、放物線がすっぽり入る条件

【問題】
不等式 が表す座標平面上の領域を とする。実数 に対して、放物線 で定める。このとき、 上の点がすべて の点となるような の範囲を求めよ。
xyO領域 Dy=2x−1y=−x+2a=1実線(緑)は D にすっぽり入る場合(a=1)。破線(赤)はa が範囲外(a=0.05, 2.3)で、境界の折れ線とぶつかる。
文系【4】領域 と放物線 。実線は条件を満たす場合

(1) の範囲

【問題(再掲)】  上の点がすべて の点となる の範囲を求めよ。

【型】絶対値は場合分けで外して境界を折れ線にする。「放物線が直線の上側」は〈2式を連立した2次方程式が実数解をもたない〉。

【なぜこうするか】 まず領域 の形をつかみます。 を外すと境界は2本の直線をつないだ折れ線。 では では で、頂点は
ここで大事なのは、「折れ線の上側」は「2本の直線の両方の上側」と言いかえられることです(下に凸な折れ線なので)。つまり かつ
すると条件は「放物線が2本の直線それぞれの上側にある」となり、それぞれについて「連立した2次方程式が実数解をもたない(判別式 )」で処理できます。場合分けが要らなくなるのがこの読み替えの効果です。

【解答】
まず の境界を求める。 すなわち この折れ線は下に凸だから、 かつ と同値である。したがって「 上の点がすべて の点」 が2直線 の両方の上側にある」。
について が実数解をもたなければよい。 について が実数解をもたなければよい。 ① ② より
よくあるミス  で場合分けしたまま、それぞれの範囲で放物線と直線を比べようとして計算が膨らむパターンです。「下に凸の折れ線の上側=2直線の両方の上側」と読み替えれば、範囲の制限なしに判別式2本で終わります。折れ線が上に凸( の係数が負)の場合はこの読み替えができないので、そこは区別が必要です。

検証: から まで 刻みで動かし、各 について から まで 刻みで動かして 上の点が に入るかを全数チェックしました。成り立つのは と完全に一致しています。

理系【1】3次式の因数分解と不等式

【問題】
を実数とする。以下の問いに答えよ。
(1)  であるとき、 が成り立つことを示せ。
(2)  であるとき、 が成り立つことを示せ。

(1) のとき

【問題(再掲)】  のとき を示せ。

【型】条件式を代入して展開する。あるいは (2) を見越して因数分解しておく。

【なぜこうするか】  をそのまま代入して展開すれば1行で終わります。
ただし (2) のことを考えると、ここで を因数分解しておく方が得です。有名な公式 に置きかえると、ちょうどこの式が出ます。

【解答】
因数分解の公式 において とすると のとき ① の第1因子が0だから、右辺は0。よって  (証明終)

(2) のとき

【問題(再掲)】  のとき を示せ。

【型】① の第2因子が必ず0以上であることを、平方の和に変形して示す。

【なぜこうするか】 ① の第1因子 は仮定から0以上。あとは第2因子が0以上だと言えれば、積も0以上です。
は、2倍して整理すると3つの平方の和になります: 実数の平方は0以上なので、これで確定です。「符号が混ざった2次式は、平方の和に直せないか試す」のが定石です。

【解答】
① の第2因子について だから 一方、仮定より 。よって ① の右辺は0以上の数どうしの積で  (証明終)

検証:sympy で を因数分解すると となり、第2因子が と一致することも確認しました。

理系【2】紙を貼り合わせてつくる長方形の面積

【問題】
を2以上の自然数、 を満たす実数とする。縦1cm、横 cm の長方形の紙を用いて、次のように長方形 A、B を作る。
 長方形 A の作り方 枚の紙を横に並べて、順に1辺1cmの正方形をのりしろとして(隣り合う紙が横1cm重なるように)はり合わせ、縦1cmの横長の長方形を作る。
 長方形 B の作り方 枚の紙を縦に並べて、隣り合う紙が縦 cm 重なるようにはり合わせて、横 cm の長方形を作る。
長方形 A、B の面積をそれぞれ および とおくとき、以下の問いに答えよ。
(1)  を求めよ。
(2)  のとき、 となる の範囲を求めよ。
(3)  となる2以上の自然数 があるような の範囲を求めよ。

(1)

【問題(再掲)】  を求めよ。

【型】貼り合わせの面積は「紙の総面積 − 重なりの総面積」。重なりの箇所は か所。

【なぜこうするか】 紙1枚の面積は 、それが 枚で総面積
枚を1列につなぐとき、のりしろは か所(枚数より1つ少ない)。ここを押さえるのがこの問題の核心です。
A では1か所の重なりが 、B では 。それぞれ 倍して引きます。

【解答】
紙1枚の面積は 枚使うので総面積は 。のりしろは か所である。
長方形 A:重なる部分1か所の面積は だから 長方形 B:重なる部分1か所の面積は だから

(2) のときの の範囲

【問題(再掲)】  のとき となる の範囲を求めよ。

【型】差 を作って符号を調べる。

【なぜこうするか】 両辺に が入っているので、差をとって整理すると という簡単な形になります。(3) でもこの式をそのまま使えるので、一般の のまま差を作っておくのが得です。

【解答】
(1) より のとき ① は だから 条件 と合わせて

(3) そのような が存在する の範囲

【問題(再掲)】  となる2以上の自然数 があるような の範囲を求めよ。

【型】「そのような が存在する」は、 を動かしたときの最大値で判定する。

【なぜこうするか】 ① を で割ると( となり、 の2次関数 が正になる2以上の自然数 があるかという問題になります。
は上に凸で より軸 上に凸なので、 で正でなければ でも正になりません(軸より右では単調減少、軸が より右にある場合も が最大とは限りませんが、 なら の正の区間は 側にしかなく、2以上の自然数は取れません)。
よって条件は 、つまり (2) と同じ不等式に帰着します。

【解答】
だから、① より とおくと、 は上に凸の放物線で より だから軸 は正である。
上に凸で だから、 となる の範囲は を含む1つの区間であり、その中に2以上の自然数が入るための条件は である。 条件 と合わせて
よくあるミス 「 が大きいほど有利」と考えて を調べてしまう誤りです。① を見ると の係数が なので、 を大きくすると必ず不利になります。だから最も有利なのは許される最小の で、そこで成り立つかどうかがすべてです。

検証: と変形したときの右辺は と単調に減少するので、最大は のときの です。(2) と (3) の答えが一致するのはこのためです。

理系【4】2つの正弦曲線の上側を積分する

【問題】
を満たす実数とする。以下の問いに答えよ。
(1) 実数 に対して のうち小さくないほうを とおく。すなわち すなわち、 のとき のとき と定める。 となる関数 を考える。このとき定積分 を求めよ。
(2)  の範囲で動かすとき、(1) の の最大値を求めよ。

(1) 定積分

【問題(再掲)】  のとき を求めよ。

【型】2つのグラフの上下が入れかわる点を先に見つける。平行移動した2曲線の交点は「対称軸」で決まる。

【なぜこうするか】  軸方向に だけ平行移動したもの。山の頂点はそれぞれ にあり、2曲線はその中点 に関して対称です。
したがって上下が入れかわるのはちょうど 。ここより左では が上、右では が上になります。
(差を和積で と変形して符号を見ても同じ結論です。)
より は必ず区間 の中にあるので、積分をそこで2つに切ります。

【解答】
は、 軸方向に 平行移動したものだから、山の頂点はそれぞれ 。よって2曲線は直線 に関して対称であり では では より に注意。)したがって だから

(2) の最大値

【問題(再掲)】  のとき の最大値を求めよ。

【型】 にそろえ、 の2次関数にする。

【なぜこうするか】  には が混ざっているので、2倍角で に統一します。すると の2次関数。
では で、この範囲に頂点 が入っています。

【解答】
だから より で、この範囲に が含まれる。よって すなわち のとき最大で、最大値は

検証:sympy で を計算すると となり、 を使えば上の式と一致します。 を代入すると です。

理系【5】行列の等式(旧課程・行列)

【問題】
を満たす実数とする。2つの行列 を満たすとする。このとき、以下の問いに答えよ。
(1)  が成り立つことを示せ。
(2)  で表せ。
※ 行列と1次変換は現在の教育課程では扱いませんが、条件式を左右から掛けて情報を引き出す手つきは、そのまま他分野でも使えます。

(1) の証明

【問題(再掲)】  が成り立つことを示せ。

【型】条件式の両辺に、左から・右から同じものを掛けて、同じ式の2通りの表し方を作る。

【なぜこうするか】  の両辺に右から を掛けると、左辺は 、右辺は
同じ式の両辺に左から を掛けると、左辺は 、右辺は
ここで左辺はどちらも という同じ式。したがって です。逆行列も成分計算も要りません。

【解答】
の両辺に右から を掛けると また の両辺に左から を掛けると 左辺が一致するから  (証明終)

(2) で表す

【問題(再掲)】  で表せ。

【型】(1) を成分で書くと、非対角成分に が掛かる。 かどうかで場合を分ける。

【なぜこうするか】  との積を成分で書くと、 となります。 なら が確定して は対角行列。あとは の成分比較で から
の場合は となって条件が に化けます。ここはケーリー・ハミルトンの定理を使うと、 がスカラー行列だと分かります。
最後に から符号が同順に決まります。

【解答】
だから、(1) の を成分で書くと
[i]  のとき。 は単位行列)だから より 。)ケーリー・ハミルトンの定理 より とすると となり で仮定に反する。よって は単位行列の定数倍。 とおくと より 。よって
[ii]  のとき。 だから 、すなわち 。このとき を用いた。)よって 。さらに より は同符号だから複号同順である。
[i][ii] を合わせて

理系【6】絶対値つき方程式が相異なる4つの解をもつ条件

【問題】
実数 に対して、 の方程式 が、相異なる4つの実数解をもつような の範囲を求めよ。
xyO(4, 0)y=x²−2x−1a=−1/8x<0 の解の個数は、放物線と「点 (4,0) を通る傾き −2a の直線」のx<0 での交点の個数。a=−1/8 のとき直線は放物線の端 (0,−1) を通る。
理系【6】 の場合の見方。放物線と「定点を通る直線」の交点の個数

【方針】 絶対値が3つあるので、まず の3つに分けて外します。そのうえで、それぞれの区間で を分離して「固定の放物線」と「定点を通る直線」の交点の個数として読むと、 を動かしたときの様子が図で追えます。最後に3つの区間の解の個数を足して4になる範囲を拾います。

【準備:3つの区間で絶対値を外す】
[i]  のとき だから と書けば、放物線 と定点 を通る傾き の直線の交点。)
[ii]  のとき だから [iii]  のとき だから

(1) 相異なる4つの実数解をもつ の範囲

【問題(再掲)】 方程式が相異なる4つの実数解をもつ の範囲を求めよ。

【型】区間ごとに「端点での値の符号」「判別式」「軸の位置」で解の個数を数え、表にして足す。

【なぜこうするか】 3つの2次方程式それぞれについて、指定された区間の中に解がいくつあるかを数えます。使う道具は、下に凸の2次関数について「区間の端での値の符号」と「判別式」「軸」。
① は 、② は 、③ は が鍵になります。境目の値 は、これらが0になる と判別式が0になる から出ます。
特に を大きくしていった先()にもう1つ範囲がある点に注意します。③ の判別式 で0になり、それを超えると に解が2個現れます。

【解答】
① について: は下に凸で軸は
のとき だから にただ1つの解をもつ。
のとき かつ軸 だから に解はない。

② について: は下に凸で軸は 、判別式は

③ について: は下に凸で軸は 、判別式は の解は )。

以上を の値で整理すると次の表になる。
の範囲合計
0112
0213
1214
1113
1012
1113
1214
1113
1102
1113
1124
【解答(続き)】
表より、相異なる4つの実数解をもつのは
よくあるミス  前後だけ調べて「」で答えを止めてしまう誤りです。 が大きいところ()にもう1つ範囲があります。③ の判別式が で0になり、それを超えると 側に解が2個生まれるためです。当塾も最初の検算では の範囲しか走査しておらず、この区間を見落としかけました。パラメータの問題では「十分大きい値・十分小さい値」まで必ず確認するのが安全です。

検証: から まで 刻みで動かし、各 について ①②③ を sympy で厳密に解いて指定区間内の相異なる解の個数を数えました。4個になるのは の3区間で、境界の ではいずれも3個以下でした。

型の一覧(この年度で使った考え方)

文【1】 と置きかえ、文字定数を分離して「固定の放物線」と「動く直線」にする
文【2】直角があるなら座標を入れる。内積は「射影の長さ」として読める
文/理【3】(2)(3)戻さない試行は組合せで数える。「残りが何か」で読み替えると速い
理【3】(4)個数の期待値は指示変数の和に分けて、期待値の線形性で足す
文【4】下に凸の折れ線の上側=2直線の両方の上側。判別式2本で終わる
理【1】 の公式で とする。符号が混ざる2次式は平方の和へ
理【2】貼り合わせは「総面積 − 重なり」。のりしろは枚数より1つ少ない
理【2】(3)「そのような が存在する」は、最も有利な で判定する
理【4】(1)平行移動した2曲線の上下が入れかわるのは、頂点どうしの中点
理【5】(1)条件式に左右から掛けて、同じ式の2通りの表し方を作る
理【6】絶対値は区間ごとに外す。区間内の解の個数は端点の値の符号・判別式・軸で数える

検証について

この解説に載せた数値は、次の3段階で確かめています。

  1. 当塾で独立に解く(解答を見る前に、問題文だけから解く)
  2. Pythonで検算する(不等式が成り立つ の全数判定、玉の並びの全列挙、sympyによる因数分解・積分・行列計算、方程式の解の個数を について広く走査)
  3. 別解でもう一度解いて突き合わせる(別の道筋でも同じ答えに達するかを確かめる)

その結果、18小問すべてで同じ答えになりました。もし誤りを見つけられた場合は、お手数ですがご一報いただけると助かります。

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東北大学の数学の過去問は24年度ぶんを公開しています。そのうち5年度は全問の解答解説つきです(「解説」の印がついた年度)。志望校の傾向は1年だけでは見えないので、最低でも3年ぶんを続けて解くことをおすすめします。

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東北大学 2009年度 数学入試問題の文字起こし・出題分析

公開中の問題PDFを検索・復習しやすいよう文字データ化し、読み取れた語句から出題分野を整理しました。

  • 図形・三角関数
  • 確率・場合の数
  • 関数・グラフ
  • 整数
  • 微分・積分
  • 方程式・不等式
  • ベクトル
  • 空間図形

この年度の出題範囲と傾向

2009年度の問題PDFでは、図形・三角関数、確率・場合の数、関数・グラフ、整数、微分・積分に関する語句や設問を確認できました。東北大学の公開PDFを年度横断で調べると、図形・三角関数は24年度、確率・場合の数は23年度、微分・積分は23年度で検出されており、複数年を比較して対策したい分野です。

分野判定はPDFから読み取れた語句に基づく集計です。数式・記号・図表は文字変換で崩れる場合があるため、正確な条件は必ず原本PDFで確認してください。

問題文の文字起こし

問1画像OCR

検出分野: 確率・場合の数、図形・三角関数、ベクトル、空間図形、微分・積分

(1) 7 の動く範囲を求めよ。

(2 AD・AC= CD・CA が成り立つとき, + の値を求めよ。
oo @ = M2 (685一19)

pee : 文学部・教育学部・法学部・ sai!
医学部保健学科看護学専攻
袋の中に青玉が 7 個 赤玉が 3 個人っている。袋から 1 回につき 1 個ずつ玉を
取り出す。一度取り出した玉は袋に戻さないとして, 以下の問いに答えよ。
(1) 4回目に初めて赤玉が取り出される確率を求めよ。
2) 8回目が終わった時点で赤玉がすべて取り出されている確率を求めよ。
(3) 赤玉がちょうど回目ですべて取り出される確率を求めよ。
不等式 9ッラァキ1+3|テー1| が表す座様平面上の領域を の とする。実数g
に対して, Ki CE y <2? 2ar ta’ tat+2 THDS. COLE, CL
の点がすべて のの点となるような。の範囲を求めよ。
ee ポーー ぐやM2(685一20)

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問2画像OCR

検出分野: 図形・三角関数、確率・場合の数、関数・グラフ、整数、微分・積分

(1) atb=cChSER, の9十が8gpcニのが成り立つことを示せ。
(12 atbBcChSER, の十が8gc@が成り立つことを示せ。
了を2以上の自然数を0ぐるぐ1を満たす実数とする。縦1cm.
横(, 二 1 )cm の長方形の紙を用いて, 次のように長方形4, BEES.
長方形4 の作り方。 枚の紙を横に並べて, 順に1 辺 1 cm の正方形をのりし
ろとして(陸り合う紙が横 1 cm 重なるように)はり合わせ, 縦1cm の横長の長
方形を作る。
a
Z
JL | GF
ーー NZ
—__ f+ 1 —__—_* のりづけ
RAW BOD A, LROREH
PSNR ar
るようにはり合わせて。 MIL+1) WLLL へ
cm の長方形を作る。 ン foe
Siem? BEB Sem? EBS ER, 以
下の間いに答えよ。
() 5, とS。 を求めよ。
(2 アー 2のとき, S:-1<S となる4の範囲を求めよ。
8) S:-1<S, となる 2 以上の自然数とがあるような々の範囲を求めよ。
a M3 (685—24)

(Poh: aR mean CR seam RETR ET)
ER SS. T SS eT
KOMEN 7 fH, 赤玉が 3 個人っている。袋から 1 回につき 1 個ずつ玉を
取り出す。一度取り出した玉は袋に戻さないとして, 以下の問いに答えよ。
(1) 4回目に初めて赤玉が取り出される確率を求めよ。
(12 8 回目が終わった時点で赤玉がすべて取り出されている確率を求めよ。
38) 赤玉がちょうど8 回目ですべて取り出される確率を求めよ。
(4 4回目が終わった時点で取り出されている赤玉の個数の期待値を求めよ。
々を0 Sa を満たす実数とする。 以下の問いに答えよ。
(1) 実数9に対してsin9とsin(9 2 g)のうち小さくないほうをア(9) とおく。
すなわち,
sin @ 2 sin(@— 2a) のときげ(の)三sinの
sin9ぐsin(@ — 2a) のとき/(の= sin(9 — 2a)
となる関数(9) を考える。このとき定積分
7 =|" んのw
を求めよ。
(2) @€0SaS- OWE CHAT ES, ()の7 の最大値を求めよ。
= 5 M3 (685—25)

(前期 理学部・医学部医学科・歯学部・薬学部・工学部
次の | 5 | , | 6 | は理学部 eM mee EM CEO
のみ解符すること。
[5] «8 2.が ghad—be>0, p>0, 7を満たす実数とする。 2
a b ヵ 0
oon =( ‘| ep? | が4P4 =P? を満たすとする。このと
e q
き, 以下の問いに答えよ。
(1) 旭4ー4P*が成り立つことを示せ。
(2 4をヵと4で表せ。
[6] skates, の方
Ix(x—2)|+2@|x|—4a|x—2|/-1=0
が, 相異なる4つの実数解をもつような。の範囲を求めよ。
一 6 一 OMB (685—26)

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