藤原進之介です。このページでは関西大学2024年度の数学過去問を解答・解説つきで無料公開しています。
問題
解答
関西大学 2024年度 数学(全学日程)全問解説【数強塾オリジナル】
〔Ⅰ〕三角関数の値域と領域図示
(1) sin θ のとり得る値の範囲
−π/6 ≦ θ ≦ 2π/3 における sin θ の範囲を求めます。単位円で動径を動かし、y 座標の動きを追うのが確実です。
θ = −π/6 のとき sin θ = −1/2、θ = π/2 で最大値 1 をとり、θ = 2π/3 では sin θ = √3/2。区間内に最大点 π/2 が含まれるので、最小は端点の −1/2、最大は 1 です。
端点だけを比べて √3/2 を最大としないこと。区間内に頂点が入るかどうかを必ず確認します。
(2) 領域 D の図示
(1) より a = −1/2、b = 1。連立不等式は
y ≦ −(1/2)(x+1) かつ y ≦ x+1
2直線はいずれも 点 (−1, 0) を通ります。ここが図示の要で、2本が1点で交わるため、領域は (−1, 0) を頂点とする「下向きのくさび形」になります。境界線を含みます。
(3) 直線 ℓ が領域 D と共有点を持たない条件
ℓ : y = m(x−3) + 2 は、m の値によらず定点 (3, 2) を通ります。つまり (3, 2) を軸に回転する直線と考えます。
領域 D を避けるには、傾きが2直線の傾き(−1/2 と 1)の間にある必要があります。境界の扱いを丁寧に見ると
上限が 1 ではなく 1/2 になる点に注意。(3, 2) と頂点 (−1, 0) を結ぶ直線の傾きが (2−0)/(3−(−1)) = 1/2 で、これを超えると領域に食い込みます。定点を通る直線の問題は、「回転の中心」と「領域の頂点」を結んだ傾きが境目になります。
〔Ⅱ〕4次関数の増減と解の個数
(1) 導関数の因数分解と最大値
f(t) = −(25/4)t⁴ + 15t³ − (23/2)t² + 3t を微分すると
f′(t) = −25t³ + 45t² − 23t + 3 = −25(t−1)(t − 1/5)(t − 3/5)
0 ≦ t ≦ 1 での増減表をつくると次のようになります。
| t | 0 | … | 1/5 | … | 3/5 | … | 1 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| f′ | + | 0 | − | 0 | + | ||
| f | 0 | ↗ | 1/4 | ↘ | 9/100 | ↗ | 1/4 |
f(1/5) と f(1) がともに 1/4 で最大値が2箇所、f(3/5) = 9/100 が極小値です。
(2) 解の個数(置換の対応関係が核心)
g(x) は f(t) の t に sin x を代入した形なので、g(x) = f(sin x)。ここで t = sin x(0 ≦ x ≦ π)の対応個数を先に押さえます。
- 0 ≦ t < 1 のとき、対応する x は 2個
- t = 1 のとき、対応する x は 1個(x = π/2 のみ)
この「1個か2個か」を掛け算するのが本問の仕掛けです。
| m の範囲 | t の解の個数 | x の解の個数 n |
|---|---|---|
| m < 0 | 0 | 0 |
| 0 ≦ m < 9/100 | 1(t<1) | 2 |
| m = 9/100 | 2(t<1) | 2·2 = 4 |
| 9/100 < m < 1/4 | 3(t<1) | 2·3 = 6 |
| m = 1/4 | t<1 に1個、t=1 に1個 | 2 + 1 = 3 |
| 1/4 < m | 0 | 0 |
m = 1/4 のときだけ n が 3 という奇数になります。t = 1 に対応する x が1個しかないためで、ここを2個と数えると 4 になり誤答します。置換したら対応個数を必ず確認する——本問の教訓はこの一点です。
〔Ⅲ〕絶対値つき定積分と場合分け
f(a) = ∫aa+1 |t² − a²| dt を考えます。絶対値の中身が積分区間で符号を変えるかどうかで場合分けします。
(1) a > 0 のとき
a ≦ t ≦ a+1 では t ≧ a > 0 なので t² − a² ≧ 0。絶対値をそのまま外せて
∫aa+1(t² − a²)dt = [t³/3 − a²t]aa+1 = a + 1/3
(2) a < 0 のとき(2通りに分かれる)
t² − a² ≦ 0 となるのは (t+a)(t−a) ≦ 0、すなわち a ≦ t ≦ −a(a < 0 のため)。
積分区間全体がこの中に収まる条件は a+1 ≦ −a、つまり a ≦ −1/2。このとき符号は全区間で負なので、マイナスをつけて外し
f(a) = −a − 1/3
一方 −1/2 < a ≦ 0 では、区間の途中 t = −a で符号が変わります。積分を2つに割る必要があり
f(a) = −∫a−a(t²−a²)dt + ∫−aa+1(t²−a²)dt = −(8/3)a³ + a + 1/3
(3) 最小値
(1)(2) より f(x) は3つの区間で式が変わる関数です。中央の −1/2 < x ≦ 0 の部分だけが3次式なので、ここを微分します。
f′(x) = −8x² + 1 = −8(x + √2/4)(x − √2/4)
区間 −1/2 < x ≦ 0 に入るのは x = −√2/4 ≒ −0.354 のみ。ここで f′ が負から正へ変わるので極小かつ最小です。
f(−√2/4) = √2/12 − √2/4 + 1/3 = −√2/6 + 1/3
両側の区間は y = x + 1/3 と y = −x − 1/3 という単調な一次式なので、最小値は中央部分にしか現れません。場合分けした関数は、全区間をつないだ増減表で判断することが必要です。
この年度の総評と対策
3題を通して問われたのは「置き換えたあと、元に戻すときの対応関係」です。
- 〔Ⅰ〕は m を動かす直線を「定点を軸にした回転」と読み替える
- 〔Ⅱ〕は t = sin x で t の解の個数を x の個数へ2倍・1倍で翻訳する
- 〔Ⅲ〕は絶対値を外すために符号が変わる点で区間を割る
いずれも計算自体は標準的で、方針を立てる段階で差がつく構成です。関西大学の数学は例年この傾向が強く、増減表と場合分けを機械的に書き切る訓練が直結します。
※本記事の解答・解説は数強塾が独自に作成したものです。問題文の引用は解法の説明に必要な最小限にとどめています。掲載内容について権利者の方からご連絡がある場合は、お問い合わせより速やかに対応いたします。
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