大学受験

立命館大学 2020年度 過去問・解答

数強塾のプロ講師陣

藤原進之介です。このページでは立命館大学2020年度の数学過去問を解答・解説つきで無料公開しています。

今日の一問
数列 をみたす。
一般項 を求めよ。
——さて、どこから手をつける?
数強塾オリジナルの類題です。この年度の実際の入試問題ではありません。実際の問題と解答は、このページのPDFでご確認ください。

問題

解答

📊 2020年度 立命館大学 数学 講評マップ(難易度・目標時間・使う型)

この年度の全31問を解説した数強塾のプロ講師陣が、各問題を難易度・目標時間・使う型の3つで整理しました。難易度と目標時間は数強塾の独自の見立てで、目標時間は過去問演習をするときの1問あたりの目安です(実際の試験の時間配分を示すものではありません)。「使う型」の列は解法パターン事典の該当単元につながっています。解けなかった問題は、下の解説で解き方を確認したあと、型のページで同じ型の問題を練習すると定着が速くなります。

2020年度の全31問

大問テーマ難易度目標時間使う型(解法パターン事典)
解説へ〔Ⅰ〕【空所補充】 軸に接する円と正三角形/6領域の塗り分け/2放物線の共通標準約35分場合の数
解説へ〔Ⅱ〕【空所補充】複利と「現在価値」——等比数列で発電施設の収益を評価する標準約25分数列・漸化式
解説へ〔Ⅲ〕【記述式】 と置くと分数式が三角関数に化ける標準約25分三角関数
解説へ〔Ⅰ〕【空所補充】絶対値を含む領域/さいころの最小値と最大値/放物線の2接線やや難約35分確率
解説へ〔Ⅱ〕【空所補充】ガウス記号と労働市場——時給を上げても下げても雇用が減るやや難約30分整数
解説へ〔Ⅲ〕【記述式】積で定義された数列——分数漸化式が3項間漸化式に化ける標準約25分漸化式の全型
解説へ〔Ⅰ〕【空所補充】動く線分の内分点が描く楕円と、直交2接線の交点(準円)やや難約30分軌跡
解説へ〔Ⅱ〕【空所補充】1次不定方程式の一般解と、放物線の下にある格子点やや難約30分不定方程式
解説へ〔Ⅲ〕【空所補充】 置換で作る と、広義積分の極限が になる仕組みやや難約35分極限
解説へ〔Ⅳ〕【空所補充】 は1点のまわりの回転相似——不動点を見つければ全部見えるやや難約30分複素数平面
解説へ〔Ⅰ〕【空所補充】1の6乗根/円と 本の弦/円周上を動く点と三角形の面積やや難約35分場合の数
解説へ〔Ⅱ〕【空所補充】廃棄物削減の3つの制度——命令・課税・補助金は同じ結果を生やや難約30分微分法(数II)
解説へ〔Ⅲ〕【記述式】コインを2段階で投げる——「2回とも表」に気づけば二項分布やや難約25分条件付き確率・独立・反復試行
解説へ〔Ⅰ〕【空所補充】 の解と、複素数係数の整式の割り算やや難約35分複素数平面
解説へ〔Ⅱ〕【空所補充】 の積・和と、区分求積法で現れる定積分やや難約30分極限
解説へ〔Ⅲ〕【空所補充】対称式を 一本に集約して値域を出すやや難約30分存在と一意性の証明
解説へ〔Ⅳ〕【空所補充】箱に玉を投げ入れる試行——1回の試行と 回の反復を分けるやや難約30分条件付き確率・独立・反復試行
解説へ〔Ⅰ〕【空所補充】絶対値つき2次関数・空間の直線・数列やや難約40分数列・漸化式
解説へ〔Ⅱ〕【空所補充】3次関数の最大——利潤最大化のモデルやや難約30分微分法(数II)
解説へ〔Ⅲ〕【記述】円の決定・対称点・方べきの定理標準約25分図形の性質
解説へ〔Ⅰ〕【空所補充】べき和の公式・平面ベクトル・確率標準約40分確率
解説へ〔Ⅱ〕【空所補充】相関係数——データの分析と整数問題の融合やや難約30分整数
解説へ〔Ⅲ〕【記述】文字定数入りの3次関数——極値・最大最小・面積やや難約30分微分法(数II)
解説へ〔Ⅰ〕【空所補充】解と係数の関係・次数下げ・3次関数の面積やや難約30分積分法(数II)
解説へ〔Ⅱ〕【空所補充】楕円と直線——弓形の面積を「円に潰して」求めるやや難約35分2次曲線
解説へ〔Ⅲ〕【空所補充】正 角形から円へ、そして球へやや難約35分積分法(体積・弧長)
解説へ〔Ⅳ〕【空所補充】ゲームの得点の平均と分散標準約25分確率分布と統計的な推測
解説へ〔Ⅰ〕【空所補充】指数方程式・漸化式・データの分析標準約30分漸化式の全型
解説へ〔Ⅱ〕【空所補充】3次曲線の容器に水を注ぐ——水面の上昇速度やや難約35分積分法(体積・弧長)
解説へ〔Ⅲ〕【空所補充】空間の球面——平面で切ってできる円やや難約35分空間ベクトル
解説へ〔Ⅳ〕【空所補充】カードを引く確率と、確率が最大になるやや難約25分確率

💡 どこで差がつくか:この年度は全31問で、数強塾の見立てでは標準が8問・やや難が23問です。扱う型は19種類にわたり、同じ型が複数の大問で顔を出すため、そこを固めると得点が動きやすくなります。やや難以上が23問あるので、まず標準の問題を確実に取り切る練習から入るほうが結果につながります。目標時間の合計は約960分(過去問演習での目安)。 この冊子31問の目標時間の合計は約960分(数強塾の見立て)。

「型が出てこなかった問題」が2問以上あった人へ。それは演習量の不足ではなく、単元の型の抜けが原因であることがほとんどです。数強塾は数学専門・プロ講師のみ・完全1対1のオンライン個別指導。実際にあなたが解いた過去問の答案を見ながら、どの型が抜けているかを特定し、立命館大学の出題に合わせて埋めていきます。立命館大学の過去問まとめ(全年度+傾向)で他の年度も確認できます。

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※ 問題文は立命館大学が公表した2020年度入学試験問題(選択科目 数学・冊子①)を、解説のために引用したものです。解説はオンライン数学専門塾「数強塾」が独自に作成したものです。当解説の答え(全33問)はすべて一般的な解答例と突き合わせて一致を確認しています。加えて、〔Ⅰ〕〔2〕の塗り分けは 通りの全数列挙、〔Ⅰ〕〔3〕は数式処理システムによる判別式の連立と定積分、〔Ⅲ〕は800万分割の数値最大化でも独立に検算しました。

2020年度 立命館大学 数学(選択科目・冊子①)の傾向
  • 大問3題。〔Ⅰ〕〔Ⅱ〕が空所補充(〔Ⅰ〕は ア〜ツ の19か所、〔Ⅱ〕は ア〜コ の10か所)、〔Ⅲ〕が記述式で4問。全体で33の設問があります。
  • 出題範囲は数学I・A・II・B。分野は円と直線・正三角形/塗り分け(場合の数)/2放物線の共通接線と面積/等比数列と現在価値/三角関数の 置換
  • この冊子の最大の落とし穴は〔Ⅰ〕〔2〕の塗り分け。「6色で塗り分ける方法」は6色すべてを使うという意味で、答えは 通り。「使わない色があってもよい」と読むと 通りになり、全問落とします(一般的な解答例は )。
  • 〔Ⅱ〕は「現在価値」という金融の題材を等比数列で扱う異色の問題。式そのものは教科書レベルですが、別表の数値を使えという指示があるので、厳密値ではなく表の近似値で答える必要があります。
  • 〔Ⅲ〕は誘導が完璧 と置くと の分数式になる——この「ワイエルシュトラス置換」の逆向きを使って、分数関数の最大値を三角関数の合成に帰着させます。ここは完答したい。
  • 難易度は標準。〔Ⅰ〕〔1〕〔3〕と〔Ⅲ〕を確実に取り、〔Ⅱ〕で表を正しく引ければ高得点です。

〔Ⅰ〕【空所補充】 軸に接する円と正三角形/6領域の塗り分け/2放物線の共通接線

分野:図形と方程式・場合の数・微積分 難易度:標準(〔2〕のみ注意) 目標時間:35分

【問題】

〔1〕 軸に接し、点 を中心とする円を 、直線 とする。ただし、 とする。

(a) 円 の半径は[ア]で、中心から直線 までの距離は[イ]である。

(b) 円 と直線 が共有点をもつための条件は、[ウ][エ]である。

(c) 円 と直線 が異なる2つの共有点 をもち、円 上に が正三角形となるように点 をとる。このとき、[オ]である。

(d) (c)の正三角形の面積が となるとき、[カ]、[キ]である。

〔2〕 図の①から⑥の6つの部分を色鉛筆を使って塗り分ける方法について考える。ただし、1つの部分は1つの色で塗り、隣り合う部分は異なる色で塗るものとする。答えは記号を用いず、数字で求めよ。

(a) 6色で塗り分ける方法は[ク]通りである。(b) 5色で塗り分ける方法は[ケ]通りである。(c) 4色で塗り分ける方法は[コ]通りである。(d) 3色で塗り分ける方法は[サ]通りである。

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図(①〜⑥の6つの部分。丸数字はそれぞれの領域を表す)

〔3〕 2つの放物線 がある。 の両方に接する直線 [シ][ス]である。このとき、放物線 と直線 は点([セ],[ソ])で接しており、放物線 と直線 は点([タ],[チ])で接している。また、2つの放物線 と直線 で囲まれた部分の面積は[ツ]である。

【解答】

 イ  ウ  エ  オ  カ  キ
 ケ  コ  サ
 ス  セ  ソ  タ  チ  ツ
(19問すべて立命館大学の一般的な解答例と一致を確認済み)

〔Ⅰ〕〔1〕(a) [ア]半径と[イ]中心から直線 までの距離

【問題(再掲)】

軸に接し、点 を中心とする円 )と直線 について、円 の半径と、中心から までの距離を求めよ。

【型】 軸に接する円」の半径は中心の 座標の絶対値。距離は点と直線の距離の公式

【なぜこうするか】
円が 軸に接するということは、中心から 軸までの距離がちょうど半径だということ。中心 から 軸()までの距離は )なので

次に直線 、すなわち までの距離は、点と直線の距離の公式から

なので絶対値はそのまま外せます。有理化すれば ですが、一般的な解答例は の形です。

【定石】座標軸に接する円は、中心の座標がそのまま半径になる—— 軸に接するなら 軸に接するなら 。円の問題は「中心」と「半径」の2つを最初に確定させるのが鉄則で、あとの (b)(c)(d) はすべてこの2つと「中心から直線までの距離」の3つで処理できます。

〔Ⅰ〕〔1〕(b) [ウ][エ]共有点をもつための条件

【問題(再掲)】

と直線 が共有点をもつための条件を、[ウ][エ]の形で求めよ。

【型】円と直線が共有点をもつ (中心と直線の距離)(半径)

【なぜこうするか】
判別式でも解けますが、距離と半径の比較が圧倒的に速い。(a) の2つを並べるだけです。

で割って の形を作ります。両辺に を掛けて 、すなわち 。両辺を で割ると

もう一方の不等号は問題文の条件から より です。したがって

よって、エ

【検算】。数式処理システムで について解くと となり、 も確認 ✓。

【よくあるミス】エに など計算で出てきた値を入れようとすること。エは問題文の から自動的に決まる です。「共有点をもつ条件」だけを考えていると気づけません。与えられた変域の条件も答えの一部だと意識しましょう。

【定石】円と直線の位置関係は距離 と半径 の3通り——(2点で交わる)、(接する)、(共有点なし)。分母の有理化 は頻出なので即答できるように。

〔Ⅰ〕〔1〕(c) [オ]正三角形になるときの

【問題(再掲)】

と直線 が異なる2つの共有点 をもち、円 上に が正三角形となるように をとる。このとき を求めよ。

【型】円に内接する正三角形では「中心から辺までの距離=半径の半分」

【なぜこうするか】
は円 上にあり、 は直線 上の弦です。 が円に内接する正三角形になるということは、 がその正三角形の1辺だということ。
円に内接する正三角形では、中心(=外心=重心)から各辺までの距離は外接円の半径の になります(中心角 の弦なので、中心から弦までの距離は )。
したがって条件は「中心から までの距離が 」:

両辺を 倍して 、すなわち 。よって

(b) の範囲に入るかの確認も忘れずに。 で、 ✓ 確かに共有点を2つもつ範囲にあります。

【検算】数式処理システムで について解くと となり、 ✓。

【よくあるミス】「中心から辺までの距離=」や「」としてしまうこと。正三角形の外接円半径 と内接円半径 の関係は (重心が に内分することから)。「中心から頂点までが 、中心からまでが 」と対にして覚えます。

【定石】円に内接する正三角形の基本量——外接円半径 のとき、1辺 、中心から辺までの距離 、面積 。この3つは (c)(d) の両方で使うので、セットで暗記しておくと速いです。

〔Ⅰ〕〔1〕(d) [カ][キ]面積が のときの

【問題(再掲)】

(c)の正三角形の面積が となるとき、 の値を求めよ。

【型】正三角形の面積 から半径を出し、(c) の比で を復元する

【なぜこうするか】
外接円の半径は ((a))なので、面積の式から が一発で出ます

次に (c) の から を求めます。

よって、キ を満たします ✓)。

【検算】 として実際に確かめると、中心から直線 までの距離は 。半径の半分 と一致 ✓。
弦の長さは 、正三角形の1辺 と一致 ✓。面積は ✓。

【定石】面積から長さを逆算する問題は「面積の公式を の式で書けているか」がすべて を覚えていなければ、1辺 から導けます()。導けるなら暗記は不要です。

〔Ⅰ〕〔2〕(a) [ク]6色で塗り分ける方法

【問題(再掲)】

図の①から⑥の6つの部分を、隣り合う部分は異なる色になるように塗り分ける。6色で塗り分ける方法は何通りか。

【型】まず「どの領域とどの領域が隣り合うか」を図から抜き出して、点と線の図(グラフ)に描き直す

【なぜこうするか】
塗り分けの問題は、図の見た目ではなく隣接関係だけで決まります。そこで最初に、6つの領域を点、隣り合う関係を線にした図を描きます。

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隣接関係の図(線で結ばれた2領域は異なる色。辺は8本)

読み取れる隣接関係は次のとおりです。

(④は③としか接していない点、①は②③としか接していない点がポイントです。)

ここが最大の注意点——この問題の「6色で塗り分ける」は6色すべてを使うという意味です(一般的な解答例が 通りであることから確定します)。「使わない色があってもよい」と読むと 通りになり、まったく違う答えになります。

6つの領域を6色すべてで塗る、つまり6領域が全部違う色になるということ。全部違えば隣り合う条件は自動的に満たされるので、単純に6色を6領域に並べる順列です。

【検算】 通りの塗り方をすべて列挙し、隣接条件を満たすものを数えると「高々6色」は 通り、「6色すべてを使う」は 通り。一般的な解答例の と一致 ✓。

【よくあるミス】「6色で塗り分ける」を「6色から選んで塗る(使わない色があってよい)」と読むこと。日本の入試ではこの言い回しは「その色数をちょうど使い切る」意味で使われることが多く、本問もそうでした。後続の (b)(c)(d) で色数が減っていく構成になっていることが、「使い切る」読みの証拠です(使わなくてよいなら色数を減らす意味が薄い)。

【定石】塗り分けは「隣接関係のグラフ」に描き直してから数える。図の形(面積や位置)は一切関係ありません。領域数と色数が同じなら、答えは無条件に ——隣接条件が自動的に満たされるからです。

〔Ⅰ〕〔2〕(b) [ケ]5色で塗り分ける方法

【問題(再掲)】

①〜⑥の6つの部分を、隣り合う部分は異なる色になるように5色で塗り分ける方法は何通りか。

【型】領域6・色5なら「ちょうど1組だけが同じ色」——同色にできるのは隣り合わない2領域だけ

【なぜこうするか】
6領域を5色すべてで塗るので、ある1色だけが2つの領域に使われ、残り4色は1領域ずつ。つまり「同じ色になる2領域の組」を1つ選び、それを1つのかたまりと見て5つのかたまりに5色を並べます。
同じ色にできるのは隣り合っていない2領域だけ。全部の組は 組、そのうち隣り合う組(辺)が8組なので

具体的には の7組です。
選んだあとは5つのかたまりに5色を1対1に割り当てるので 通り。

【検算】全数列挙で「5色すべてを使う」塗り方は 通り。一般的な解答例と一致 ✓。
包除原理でも確認できます。隣接条件を満たす「高々 色」の総数は (後述)なので、 では

✓ 一致します。

【よくあるミス】隣り合わない組を数え間違えること。 のように図の上では離れている組を見落としがちです。「全部の組 辺の本数」で機械的に数えると漏れません()。

【定石】領域数 、色数 のときは「同色にする1組を選ぶ 。同色にできる組は非隣接ペアで、その個数は から辺の本数を引いたものです。この形は頻出です。

〔Ⅰ〕〔2〕(c) [コ]4色で塗り分ける方法

【問題(再掲)】

①〜⑥の6つの部分を、隣り合う部分は異なる色になるように4色で塗り分ける方法は何通りか。

【型】組み分けが複雑になったら、彩色多項式(高々 色の総数)を作って包除原理で引く

【なぜこうするか】
6領域を4色で塗ると「2領域が同色の組が2つ」または「3領域が同色の組が1つ」などパターンが増えて数え上げが煩雑になります。そこで発想を変えて、「高々 色」の総数を先に求めてから包除原理で引くのが確実です。

高々 色の総数は、隣接グラフの構造から順に決めていけます。まず三角形 を塗ると 通り。次に

・①は②③(すでに異色の2つ)に隣接 残り 通り
・⑥は②⑤(すでに異色の2つ)に隣接 残り 通り
・④は③のみに隣接 残り 通り

この式に代入すると
求めたいのはちょうど4色を使う数なので、包除原理で「3色以下しか使わない」分を引きます。

では隣接条件を満たす塗り方が 通りなので、そこから先は消えます。)

よって 通り

【検算】全数列挙で「4色すべてを使う」塗り方は 通り。一般的な解答例と一致 ✓。

【よくあるミス】 通り(高々4色)と答えること。ここが (a) と同じ落とし穴で、3色で済んでしまう塗り方 通り)を引かなければなりません。

【定石】「ちょうど 色」(包除原理。 は「高々 色」の総数)。逆に「高々 色」はグラフを「すでに塗った点に隣接する順」に並べて掛け算すれば作れます。両方を行き来できると、この手の問題は完全に機械化できます。

〔Ⅰ〕〔2〕(d) [サ]3色で塗り分ける方法

【問題(再掲)】

①〜⑥の6つの部分を、隣り合う部分は異なる色になるように3色で塗り分ける方法は何通りか。

【型】色数が最小に近いときは、公式に代入するだけで終わる(引き算が不要になる)

【なぜこうするか】
(c) で作った式に を代入します。

ここでは包除の引き算が要りません。なぜなら、この図には三角形(①②③が互いに隣接)があるので、2色以下では絶対に塗り分けられないからです。つまり「高々3色」で数えたものは自動的に「3色すべてを使う」ものになっています。

【検算】全数列挙でも「高々3色」も「3色すべて」もともに 通り。一般的な解答例と一致 ✓。
直接数えても確かめられます。①②③の三角形に3色を割り当てるのが 通り。すると⑤は②③と異なる色=残り1色に確定、⑥は②⑤と異なる色=確定、④は③と異なる2色から選べるので 通り。合計 ✓。

【定石】グラフに三角形(互いに隣接する3領域)があれば、最低3色が必要。この「彩色数」を最初に見抜いておくと、(d) のように引き算が不要になる場合が判断できます。一般に「高々 色」と「ちょうど 色」が一致するのは が彩色数に等しいときです。

〔Ⅰ〕〔3〕 [シ][ス]2放物線の共通接線

【問題(再掲)】

の両方に接する直線 [シ][ス]の形で求めよ。

【型】共通接線は とおいて、2つの「判別式 」を連立する

【なぜこうするか】
接線を とおきます。放物線と接する条件は、連立した2次方程式が重解をもつこと、すなわち判別式

と接する条件 より

と接する条件 より

①から②を引くと が消えます(ここが計算の急所)。

①に戻して 、すなわち より

問題文が [シ][ス]の形なので、、ス

【検算】数式処理システムで2つの判別式を連立して解くと の1組のみ ✓。
なぜ共通接線が1本しかないのか——2つの放物線は の係数が等しく平行移動でぴったり重なる(合同)ので、共通接線は1本だけです。係数が違えば普通は2本あります。

【よくあるミス】接点を文字でおいて「接線の方程式」を2本立てる方法を採ると、未知数が2つ増えて計算量が跳ね上がります。 と判別式2本が最短。また問題文が と「マイナス」で書かれているので、ス には ではなく を入れます(符号の読み違いに注意)。

【定石】2次の係数が等しい2放物線の共通接線は1本で、 と判別式2本の連立が最速。2式を辺々引くと定数項 が消えて が一発で出る——この「引き算で1文字消す」動きを最初から狙いましょう。

〔Ⅰ〕〔3〕 [セ][ソ][タ][チ]2つの接点の座標

【問題(再掲)】

直線 と放物線 の接点の座標をそれぞれ求めよ。

【型】接点の 座標は「重解」——完全平方の形にすれば一瞬

【なぜこうするか】
接するとき、連立してできる2次方程式は完全平方になります。前問で立てた式に を代入するだけです。

との接点

との接点

よって、ソ 、タ 、チ

【検算】放物線の式に直接代入しても一致します。 ✓、 ✓。
微分でも確認できます。 になるのは ✓、 になるのは ✓。

【定石】接点の 座標は「接線の傾き 微分係数」からも出せる を解くほうが速い場合も多く、2通りで出して一致を見るのが安全です。次の面積計算では完全平方の形 をそのまま使うので、こちらの形で持っておくと得です。

〔Ⅰ〕〔3〕 [ツ]2放物線と接線で囲まれた部分の面積

【問題(再掲)】

2つの放物線 と直線 で囲まれた部分の面積を求めよ。

【型】「放物線 接線」は完全平方。展開せずに で積分する

【なぜこうするか】
まず2つの放物線の交点を求めて、積分区間の切れ目を確定させます。

(このとき 。)

囲まれた図形は、左側()は の間、右側()は の間です。ここで前問の完全平方がそのまま効きます。

展開してはいけません。この形なら積分が暗算でできます。

なので

よって)。

【検算その1】数式処理システムで定積分を実行すると ✓。
【検算その2(対称性)】2つの積分値がともに と等しくなったのは偶然ではありません。 は合同な放物線で、交点 2つの接点 のちょうど中点)。図形全体がこの点について点対称なので、左右の面積が等しくなるのです ✓。

【よくあるミス】 を展開して のまま積分すること。答えは同じですが計算量が3倍になり、符号ミスの温床です。「放物線 接線」は必ず(2次の係数) は接点の 座標)の形になるので、完全平方のまま扱いましょう。

【定石】 を使えば、放物線と接線の面積は一瞬。関連して(6分の1公式)、接線がらみは 公式・ 公式もセットで押さえておきます。

〔Ⅱ〕【空所補充】複利と「現在価値」——等比数列で発電施設の収益を評価する

分野:等比数列・等比級数(金融の応用) 難易度:標準 目標時間:25分

【問題】

以下の問いに答えよ。なお、末尾に示す別表の数値を使うよう指示があるところは、その数値を使って解答すること。

〔1〕 いま、銀行に 円を預金するとき、年間で 、すなわち 円の利子が1年後につくものとする。この年利率の下で100万円の預金をしたとき、1年後には、その元利合計(元の預金額と利子を合計した金額)は[ア]万円となる。

〔2〕 預金する期間にわたって年利率が で変わらなければ、複利法の計算により、最初に100万円を預金したときから10年後の元利合計は 万円となる( が[イ])。このことから、〔1〕と同様に考えれば、10年後に得られる100万円という金額は、現在の価値に換算すれば、別表の数値を使って、[ウ]万円ということになる。このような方法で将来得られる 円を現在の価値に換算したものは、将来の 円の「現在価値」と呼ばれる。

〔3〕 以上の考え方に従って、耐用年数が20年の発電施設 が生み出す収益の現在価値を考える。この施設は、1年後、2年後、、20年後まで、毎年100億円の収益を生み出すものとする。年利率は で変わらないとして、 年後の100億円の現在価値を で表し、 の数列を考えるとき、その数列は、初項が[エ]億円、公比が[オ]の等比数列となる。したがって、この発電施設 が20年間にわたって生み出す収益の現在価値の合計は、別表の数値を使って、[カ]億円となる。

〔4〕 次に、耐用年数が10年の発電施設 が生み出す収益の現在価値を考える。この施設は 年後に 億円の収益を生み出すものとする。年利率は で変わらないとして、この施設が生み出す 年後の収益の現在価値を で表し、 の数列を考えるとき、その数列は、別表の数値を使って、初項が[キ]億円、公比が[ク]の等比数列となる。したがって、この発電施設 が10年間にわたって生み出す収益の現在価値の合計は、別表の数値を使って、[ケ]億円となる。

〔5〕 〔4〕の発電施設 を10年ごとに3回建設する状況を考える。年利率は で変わらないとき、発電施設 の3回の建設により、合計30年にわたって生み出される収益の現在価値の合計は、別表の数値を使って、[ケ][コ]億円となる。

別表 の値):

【解答】

 イ  ウ  エ  オ  カ
 ク  ケ  コ
(10問すべて立命館大学の一般的な解答例と一致を確認済み)

〔Ⅱ〕〔1〕 [ア]1年後の元利合計

【問題(再掲)】

年利率 のとき、100万円を預金した1年後の元利合計を求めよ。

【型】「元利合計」は「元金 (1+利率)」。足し算ではなく掛け算で捉える

【なぜこうするか】
元金 に対して利子が つくので、元利合計は

この 倍になる」という掛け算の見方が、以降すべての土台です。(万円)を代入して

よって 万円。

問題文の続きが重要です。「現在の100万円」と「1年後の104万円」が同じ価値をもつ——だから逆に「1年後の100万円」は現在の価値に直すと 万円になる。この「割り戻す」操作が現在価値の正体です。

【定石】利率 の複利は「毎年 倍」=公比 の等比数列。逆に将来の金額を現在に直すときは で割る=公比 。この2方向をはっきり区別できれば、この大問は全問取れます。

〔Ⅱ〕〔2〕 [イ][ウ]10年後の元利合計と、10年後の100万円の現在価値

【問題(再掲)】

複利で10年後の元利合計は が[イ]) 万円。また、10年後に得られる100万円を現在の価値に換算すると別表の数値を使って[ウ]万円。空欄を埋めよ。

【型】複利は毎年 倍なので、 年後は 倍。現在価値はその逆数倍

【なぜこうするか】
1年ごとに 倍が繰り返されるので、10年後は を10回掛けたもの。

現在価値はこの逆で、 で割ります。別表で のとき なので

よって 万円。

【検算】厳密に計算すると 万円。別表の は小数第2位までの丸めなので、表を使う指示に従えば が正解です ✓。

【よくあるミス】厳密値 などと答えること。問題文に「別表の数値を使って」と明記されているので、表の値をそのまま使うのがルールです。逆に表を使わずに電卓的な計算をすると、以降の[カ][ケ]でも答えがずれます。

【定石】現在価値は「将来の金額を で割ったもの」。この 割引率と呼びます。別表はこの割引率の一覧表で、実務でも「現価係数表」として使われているものです。

〔Ⅱ〕〔3〕 [エ][オ]数列 の初項と公比

【問題(再掲)】

年後の100億円の現在価値を とするとき、数列 の初項と公比を求めよ。

【型】定義に戻って を式で書けば、初項と公比は目で見える

【なぜこうするか】
年後の100億円を現在価値に直すには で割るので

この形にすれば、初項と公比がそのまま読み取れます。

よって、オ

ここは別表を使いません。 の値が表に載っていないこともありますが、そもそも問題文が「別表の数値を使って」と指示しているのは[ウ][カ][キ][ク][ケ][コ]だけです。指示のないところは分数のまま答えるのが正解で、一般的な解答例も と分数のままです。

【検算】 億円。 で、比は ✓ 確かに公比 の等比数列です。

【よくあるミス】初項を としてしまうこと。 は「1年後の100億円の現在価値」なので、すでに1回割ってあります。「初項= を代入した値」と機械的に確認しましょう。

【定石】等比数列は が初項、 が公比)の形に整形してから読む のままだと初項を読み違えます。指数を にそろえる——これが唯一の作業です。

〔Ⅱ〕〔3〕 [カ]20年間の現在価値の合計

【問題(再掲)】

発電施設 が20年間にわたって生み出す収益の現在価値の合計を、別表の数値を使って求めよ。

【型】等比数列の和の公式。 は公比)の部分に別表の値を当てはめる

【なぜこうするか】
初項 、公比 、項数20の等比数列の和です。

分母を整理するのがコツです。 なので、 がきれいに約分されます。

(別表の より 。)よって 億円。

【検算その1】厳密に を計算すると 億円。別表の丸めによる差は 程度で妥当 ✓。
【検算その2(オーダー)】毎年100億円が20年で単純合計 億円。現在価値に割り引くと当然それより小さく、 億円は単純合計の ——20年の平均的な割引率としてもっともらしい値です ✓。

【よくあるミス】 の約分を見落として計算が汚くなること。「初項 公比」が になることを先にまとめると、あとは表の値を引くだけになります。

【定石】「毎年一定額 年間受け取る現在価値」(年金現価の公式)。 なら (永久年金)。今回は がその にあたります。

〔Ⅱ〕〔4〕 [キ][ク]数列 の初項と公比

【問題(再掲)】

発電施設 年後に 億円の収益を生む。その現在価値 の数列の初項と公比を、別表の数値を使って求めよ。

【型】「収益そのものが年々減っていく」場合は、割引と合わせて指数をまとめる

【なぜこうするか】
今回は2段階の割り算が起きます。
① 収益額そのものが 億円(年々減っていく)
② それを現在価値にするためにさらに で割る
指数法則でまとめると

——ここが計算の核心です。あとは初項と公比を読み取ります。

(別表の より 。)よって 億円、ク

【検算】厳密には 億円。表の を使った との差は ✓。また で、 と公比が であることも確認できます ✓。

【よくあるミス】公比を としてしまうこと。収益の減り方()だけを見て、現在価値への割引()を足し忘れるのが典型です。「収益の式」と「割引」は別物——必ず両方を掛けてから指数をまとめましょう。

【定石】指数の足し算 を使って「1つの指数」にまとめてから初項・公比を読む。文章題では条件が分かれて書かれているので、式に翻訳してから合体させるのが手順です。

〔Ⅱ〕〔4〕 [ケ]10年間の現在価値の合計

【問題(再掲)】

発電施設 が10年間にわたって生み出す収益の現在価値の合計を、別表の数値を使って求めよ。

【型】公比の 乗も別表で引く——

【なぜこうするか】
初項 、公比 、項数10の等比数列の和です。

ここで と指数をまとめるのが急所です。 を手計算する必要はなく、別表の を引けば

よって 億円。

【検算その1】厳密に を計算すると 億円。別表の丸めによる差は ✓。
【検算その2】 はちょうど割り切れます()。きれいに割り切れることが、別表の値を正しく引いた証拠になります ✓。

【よくあるミス】 を電卓なしで計算しようとして手が止まること。公比が という形をしていることを思い出せば、 乗は を表で引くだけ。別表に が載っているのは、まさにこの計算のためです。

【定石】与えられた表に「使いどころのない値」は載っていない のような一見不自然な行があったら、「どこかで 乗や 乗をするのだ」というヒントだと読みます。表の構成そのものが誘導です。

〔Ⅱ〕〔5〕 [コ]10年ごとに3回建設したときの倍率

【問題(再掲)】

発電施設 を10年ごとに3回建設するとき、合計30年で生み出される収益の現在価値の合計は[ケ][コ]億円となる。[コ]を求めよ。

【型】「同じものが 年後にもう一度」なら、その分だけさらに割り引く

【なぜこうするか】
1機目の現在価値は[ケ] 億円。
2機目は10年後に建設されるので、その収益は1機目とまったく同じパターンが10年ずれて発生します。したがって現在価値は をさらに で割った値:

3機目は20年後なので

合計すると

よって

【検算】 ✓。金額としては 億円。3機分の単純合計 億円より小さく、「後から建つ施設ほど価値が目減りする」という直感と一致します ✓。

【よくあるミス】単純に3倍すること。2機目・3機目は将来の話なので、現在価値に直せば必ず小さくなります。もう一つは、割引率を ではなく 累積を忘れて同じ値を2回使うミスです。

【定石】「同じキャッシュフローが 年ごとに繰り返す」場合の現在価値は、初回分 )。これも等比数列の和で、無限に繰り返すなら 。設備の更新投資を評価する実務そのままの計算です。

〔Ⅲ〕【記述式】 と置くと分数式が三角関数に化ける

分野:三角関数(2倍角・合成)・分数関数の最大値 難易度:標準 目標時間:25分

【問題】

次の問いに答えよ。ただし、 とする。

〔1〕 を用いて表せ。

〔2〕 とするとき、 で表せ。

〔3〕 がすべての実数値をとるとき、分数式 の最大値を求める。

(a) 〔2〕の結果を利用して、分数式を を用いて表せ。

(b) (a)の結果を用いて、分数式の最大値を求めよ。

〔4〕 〔3〕の分数式が最大値をとるときの の値を求めよ。

【解答】

〔1〕
〔2〕
〔3〕(a)  (b) 最大値
〔4〕
(5問すべて立命館大学の一般的な解答例と一致を確認済み)

〔Ⅲ〕〔1〕  で表す

【問題(再掲)】

を用いて表せ。

【型】 は三角比の3大公式のひとつ

【なぜこうするか】
定義から導いても1行です。

よって

この式の使い道:逆に解けば となり、 のとき 。〔2〕でこれをそのまま使います。分母の がどこから来るのかが、ここで分かるわけです。

【検算】数式処理システムで を簡約すると恒等的に ✓。

【定石】三角比の相互関係3つ——。3つ目は1つ目を で割っただけなので、忘れたらその場で作れます

〔Ⅲ〕〔2〕  で表す

【問題(再掲)】

とするとき、 で表せ。

【型】2倍角の公式を で書き換える

【なぜこうするか】
〔1〕から 。これを2倍角に代入します。

を使って と作るのが一般的な解答例の道筋です。

と作るほうが速く、 の場合分けも不要です。)

【検算】数式処理システムで をそれぞれ簡約すると、いずれも恒等的に ✓。
具体値でも )のとき ✓、 ✓。

【定石】 と置くと ——大学で「ワイエルシュトラス置換」と呼ばれる有名な変換です。本問はその逆向きの使い方で、分数式を三角関数に持ち込んでいます。この対応を知っていると、 を見た瞬間に「三角関数に化けるな」と気づけます。

〔Ⅲ〕〔3〕(a) 分数式を で表す

【問題(再掲)】

〔2〕の結果を利用して、 を用いて表せ。

【型】分子を「」「」「」の3つの部品に分解する

【なぜこうするか】
使える部品は次の3つだけです。

そこで分子 の形に書けないかを考えます。係数を比べると
の係数:
の係数:
・定数項:
上の2式から 。したがって

両辺を で割って

【検算】右辺に を戻して数式処理システムで簡約すると、左辺との差が恒等的に ✓。
数値でも のとき左辺 、右辺 ✓。

【よくあるミス】分子を の式のまま無理に変形しようとして迷子になること。「使える部品を先に列挙し、係数比較で分解する」という手順を踏めば必ず作れます。定数項の と見る発想が要です。

【定石】分数式の変形は「分子を分母の定数倍+残り」に分解する」のが基本。本問のように使いたい形が指定されているときは、その形を並べて未定係数法(係数比較)で分解します。積分でも頻出の手筋です。

〔Ⅲ〕〔3〕(b) 分数式の最大値

【問題(再掲)】

(a) の結果 を用いて、分数式の最大値を求めよ。

【型】 は合成して振幅 。角の変域の確認を忘れない

【なぜこうするか】
を合成します。振幅は なので

したがって分数式は

角の変域を確認します(ここを飛ばすと減点されます)。

これは長さ の区間なので、 から までのすべての値をとります。とくに となる が存在します。よって

したがって最大値は

【検算その1】 から まで800万分割して分数式を計算すると、最大 )。理論値 、最大の と一致 ✓。
【検算その2(微分)】 を数式処理システムで解くと 。それぞれの値は で、合成で出した の両端に一致 ✓。

【よくあるミス】 の変域を確認せずに「 の最大は だから」と結論すること。今回はたまたま全範囲を動けますが、変域が狭ければ に届かないことがあります。合成したら必ず角の範囲を書き換える——これは例外なく必要な手順です。

【定石】。分数関数の最大最小を微分ではなく三角関数の合成で処理する——これが本問の設計です。「2次式 」の形を見たら と反射的に置けるようにしておきましょう。

〔Ⅲ〕〔4〕 最大値をとるときの

【問題(再掲)】

分数式 が最大値をとるときの の値を求めよ。

【型】「最大値 その値」という方程式を立てて解く——重解になるのが最大値の証拠

【なぜこうするか】
最大となるのは のとき、すなわち のとき。ここに〔2〕の結果を代入します。

分母を払って

重解になったことが「そこが最大値である」ことの裏づけです。もし より大きい値を代入していたら実数解が存在せず(判別式が負)、小さい値なら異なる2解が出ます。ちょうど最大値のときだけ重解になる——これは「分数式 が実数解をもつ の範囲」を判別式で調べる別解とも繋がっています。

【検算その1】 を直接代入すると ✓ 確かに最大値
【検算その2】微分で求めた停留点 のうち、 が最大(値 )、 が最小(値 )✓。

【よくあるミス】 から を求めて、 を逆算しようとすること。 という「きれいでない角」なので計算が煩雑になります。 の方程式に戻して解くのが圧倒的に速い。

【定石】(2次式)÷(2次式)の形の分数式の値域は「 とおいて分母を払い、判別式 」でも求まる。本問なら の判別式から が出て、合成で得た結論と完全に一致します。2ルートを持っておくと、片方が検算になります。

この冊子で身につけたい「型」一覧
  • 軸に接する円の半径は中心の 座標/円と直線の位置関係は距離 と半径 の比較
  • 円に内接する正三角形:1辺 、中心から辺まで 、面積
  • 「共有点をもつ条件」の答えには、問題文の変域から来る不等号も含まれる
  • 塗り分けは「隣接関係のグラフ」に描き直してから数える(図の形は無関係)
  • 色で塗り分ける」は 色すべてを使う意味——高々 色と読むと全滅する
  • 「高々 色」はグラフを順に塗って掛け算(本問なら
  • 「ちょうど 色」 包除原理で「 色以下」を引く/三角形があれば最低3色
  • 2次の係数が等しい2放物線の共通接線は1本 と判別式2本を辺々引く
  • 「放物線 接線」は完全平方——展開せずに で積分
  • 複利は公比 、現在価値は公比 (割引)
  • 等比数列は の形に整形してから初項・公比を読む
  • 年金現価 /定数 を先にまとめると計算が楽
  • 与えられた表に「使いどころのない値」は載っていない 乗のヒント)
  • なら
  • (ワイエルシュトラス置換)
  • 「2次式 」を見たら と置く/合成して振幅
  • 最大値をとる は「式 最大値」の方程式が重解をもつことから求まる

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※ 問題文は立命館大学が公表した2020年度入学試験問題(選択科目 数学・冊子②)を、解説のために引用したものです。解説はオンライン数学専門塾「数強塾」が独自に作成したものです。当解説の答え(全35問)はすべて一般的な解答例と突き合わせて一致を確認しています(ただし〔Ⅱ〕ア・イは大学が「出題ミス」と発表した設問です。後述)。加えて、〔Ⅰ〕〔1〕は3600万点の格子による面積・最大最小の実測、〔Ⅰ〕〔2〕は 通りの全数列挙、〔Ⅰ〕〔3〕は数式処理システムによる接線・面積の計算、〔Ⅱ〕は から まで全整数で を計算、〔Ⅲ〕は漸化式から第12項まで分数のまま生成して独立に検算しました。

2020年度 立命館大学 数学(選択科目・冊子②)の傾向
  • 大問3題。〔Ⅰ〕〔Ⅱ〕が空所補充(〔Ⅰ〕は ア〜チ の17か所、〔Ⅱ〕は ア〜ス の13か所)、〔Ⅲ〕が記述式で5問。全体で35の設問があります。
  • 分野は絶対値を含む領域と最大最小/さいころの最小値・最大値/放物線の2接線と長方形/ガウス記号と労働市場のモデル/積で定義された数列の漸化式
  • 〔Ⅰ〕〔1〕の領域が独特2つの円を左右から貼り合わせた「レンズ形」で、いきなり図が描けないと (b)(c)(d) がすべて崩れます。
  • 〔Ⅱ〕は大学が出題ミスを認めた大問。問題文に とあるのに、ア は 、イ は を代入させており、条件と矛盾します。立命館は「受験者全員に加点」と発表しました。ウ以降は正常に解けます。
  • 〔Ⅲ〕は「積で定義された数列」の王道 とおくと となり、分数漸化式が3項間漸化式 に化ける——ここに気づけば残りは一本道です。
  • 難易度は標準〜やや難。〔Ⅲ〕は誘導が丁寧なので完答を狙い、〔Ⅰ〕〔2〕〔3〕を確実に取れば合格ラインです。

〔Ⅰ〕【空所補充】絶対値を含む領域/さいころの最小値と最大値/放物線の2接線と長方形

分野:図形と方程式・確率・微積分 難易度:標準〜やや難 目標時間:35分

【問題】

〔1〕 不等式 の表す座標平面上の領域を とする。

(a) 方程式 を満たす図形と、 軸との共有点の座標は([ア],)と([ア],)で、 軸との共有点の座標は(,[イ])と([イ])である。ただし、[ア],[イ]は正の数とする。

(b) 領域 の表す図形の面積は[ウ]である。

(c) 点 が領域 を動くとき、 の最大値は[エ]で、最小値は[オ]である。

(d) 点 が領域 を動くとき、 の最大値は[カ]で、最小値は[キ]である。

〔2〕 サイコロを3回投げるとき、出た目の最小値を 、最大値を とする。ただし、 とする。

(a) となる確率は[ク]である。(b) となる確率は[ケ]である。(c) かつ となる確率は[コ]である。(d) となる確率は[サ]である。

〔3〕 から、放物線 に引いた接線のうち、傾きが大きい方の接線を とするとき、 の方程式は [シ][ス]である。また、 に垂直で、放物線①に接する直線を とするとき、 の方程式は [セ][ソ]である。

次に、放物線①と の接点を の交点を 、放物線①と の接点を とする。線分 と線分 を隣り合う2辺とする長方形の残りの頂点を とするとき、長方形 の面積は[タ]である。また、放物線①と で囲まれた図形の面積は[チ]である。

【解答】

 イ  ウ  エ  オ  カ  キ
 ケ  コ  サ
 ス  セ  ソ  タ  チ
(17問すべて立命館大学の一般的な解答例と一致を確認済み)

〔Ⅰ〕〔1〕(a) [ア][イ]座標軸との共有点

【問題(再掲)】

軸・ 軸との共有点の座標を求めよ([ア][イ]は正の数)。

【型】軸との共有点は「 を代入」「 を代入」するだけ。絶対値は代入後に外す

【なぜこうするか】
式の形に戸惑いますが、共有点を出すだけなら代入すれば済みます。

軸との共有点):

なので 、すなわち より 。よって

軸との共有点):

よって

ここで図を描いておくのが (b)(c)(d) を通すための必須作業です。 では なので 、つまり中心 、半径 の円の内部 では なので 、つまり中心 、半径 の円の内部

1-1√3-√3(3, 2)xyOD

領域 側は中心 側は中心 の円。左右の頂点 と上下の角 をもつレンズ形

【定石】 を含む図形は「 で場合分け」。結果として 軸に関して対称な図形になります( で式が変わらないため)。今回は についても偶数次なので 軸にも対称——つまり原点対称でもあります。この対称性が (c) で効きます。

〔Ⅰ〕〔1〕(b) [ウ]領域 の面積

【問題(再掲)】

領域 の面積を求めよ。

【型】「円を弦で切った残り」=弓形の面積は「扇形 三角形」

【なぜこうするか】
の右半分()は、中心 ・半径 の円を直線 で切った右側の部分、すなわち弓形です。左半分はその鏡像なので、右半分を求めて2倍すれば済みます。

中心 から直線 までの距離は 、半径は 。弦の両端は です。中心から弦の両端を見込む角

弓形の面積は「扇形 三角形」で

これを2倍して

【検算その1(格子)】 万点の格子で を判定して面積を実測すると 。理論値 ✓(誤差 )。
【検算その2(オーダー)】 は横 、縦 に収まるので、外接長方形の面積は 。実際の面積 はその で、レンズ形としてもっともらしい値です ✓。

【よくあるミス】「半径 の円の半分」と考えて としてしまうこと。切っているのは中心を通らない直線 (中心は )なので、半分にはなりません。中心と切断線の位置関係を図で確認しましょう。

【定石】弓形の面積 は中心角)。中心角は は中心から弦までの距離)で求まります。今回は なので ——頻出の値です。

〔Ⅰ〕〔1〕(c) [エ][オ] の最大値・最小値

【問題(再掲)】

が領域 を動くとき、 の最大値と最小値を求めよ。

【型】 とおいて「直線を平行移動させ、領域に接するまで動かす」

【なぜこうするか】
は傾き の直線群。 が大きいほど右上に移動するので、領域 に触れながら最も右上に行ける位置が最大値です。

右上を狙うので、効いてくるのは 側の円(中心 、半径 。この円と直線 が接する条件は

大きい方は その接点が本当に の側にあるかを確認します。接点は中心から 方向に 進んだ点で

✓ 確かに右側の領域内です。よって

最小値は対称性で一発です。 は原点対称( で不変)なので、 の最小値は最大値の符号を変えたもの。

よって

【検算その1(格子)】3600万点の格子で の最大・最小を実測すると 。理論値 ✓。
【検算その2(左側の円も確認)】 側(中心 )で を最大にすると、接点は となり領域外。この側では境界 上の が最大で より小さいので、右側の円が正しく最大を与えていることが確認できます ✓。

【よくあるミス】接点が場合分けの範囲に入っているかを確認しないこと。 は「2つの円のそれぞれ一部」なので、円の接点が採用できるとは限りません。今回は右側は採用可、左側は不可でした。

【定石】領域上の の最大最小は「直線を平行移動して接するまで」+「接点が領域内かの確認」。円との接点は中心から法線方向に半径だけ進んだ点として具体的に書けます。図形の対称性を使えば片方の計算で両方が出るのも大きな時短です。

〔Ⅰ〕〔1〕(d) [カ][キ] の最大値・最小値

【問題(再掲)】

が領域 を動くとき、 の最大値と最小値を求めよ。

【型】これは「定点 からの距離の2乗」。最遠・最近を図で探す

【なぜこうするか】
式の意味は と領域内の点との距離の2乗。円の内部を動く点で距離が最大/最小になるのは、中心と を結ぶ直線と円周の交点です。ここでも「その点が場合分けの範囲に入るか」が勝負になります。

最小値(最も近い点) は右上にあるので、近いのは右側の円 の方。

最短距離は 。その点は から 方向に 進んだ で、 ✓ 採用できます。

よって)。

最大値(最も遠い点):遠いのは と反対側、つまり左下。ここで効くのは左側の円 です。

最長距離は 。その点は から 逆方向 進んだ で、 ✓ 採用できます。

よって)。

【検算その1(格子)】3600万点の格子で実測すると最大 、最小 。理論値 ✓。
【検算その2(右側の最遠点との比較)】右側()で最も遠いのは角 で、距離の2乗は 。左側の より小さいので、最大は左側の円が与えていることが確認できます ✓。

【よくあるミス】最大も最小も同じ円で考えてしまうこと。この問題は最小が右側の円、最大が左側の円と分かれています。「 に近い側/遠い側でどちらの円が効くか」を図で確かめるのが安全です。もう一つは、距離ではなく距離の2乗を聞かれていることを忘れて と答えるミスです。

【定石】円の内部・周上の点と定点 の距離は は中心)。ただし領域が円の一部に限られる場合は、その点が範囲内かを必ず確認し、外れていれば境界(今回なら 上の角)を候補に加えます。

〔Ⅰ〕〔2〕(a) [ク] となる確率

【問題(再掲)】

サイコロを3回投げるとき、出た目の最小値を とする。 となる確率を求めよ。

【型】最小値は「」(=全部 以上)が数えやすい。 はその差で作る

【なぜこうするか】
「最小値がちょうど 」を直接数えるのは面倒ですが、「最小値が 以上」=「3回とも 以上」なら一瞬で数えられます。

(3回とも5以上)は 通り、(3回とも6)は 通り。全事象は 通りです。

【検算】 通りを全数列挙して を数えると7通り。一般的な解答例の と一致 ✓(内訳は が1通り、 が混ざるものが 通り)。

【定石】、同様に 「以上」「以下」は単純な累乗で数えられるのが強みです。最大最小の確率問題は、まずこの形に翻訳します。

〔Ⅰ〕〔2〕(b) [ケ] となる確率

【問題(再掲)】

となる確率を求めよ。

【型】「はさむ」条件は余事象。 をはさまない=「全部 以上」または「全部 以下」

【なぜこうするか】
は「最小値が 以下かつ最大値が 以上」、つまり出た目の範囲が をまたぐ(または を含む)ということ。これを直接数えるより、成り立たない場合を考えるほうがはるかに簡単です。

成り立たないのは
、すなわち3回とも 以上 通り
、すなわち3回とも 以下 通り
この2つは同時には起こらない(排反)ので、単純に足せます。

【検算】 通りの全数列挙で 通り。一般的な解答例と一致 ✓。

【よくあるミス】 が少なくとも1回出る確率」と読み違えること。 が出なくてもよい(たとえば なら で条件を満たす)。「はさむ」と「含む」は別物です。

【定石】」の余事象は「全部 より大」か「全部 より小」の2つだけ(排反)。この形の問題はほぼ必ず余事象が最短です。

〔Ⅰ〕〔2〕(c) [コ] かつ となる確率

【問題(再掲)】

かつ となる確率を求めよ。

【型】「範囲が に収まり、かつ両端 を含む」を包除原理で数える

【なぜこうするか】
条件は「すべての目が 以上 以下」かつ「 が少なくとも1回」かつ「 が少なくとも1回」。2つの「少なくとも1回」があるので包除原理です。

の5個から選ぶ全体が 。ここから を含まないもの( から) を含まないもの( から) を引き、両方含まないもの( から) を足し戻します。

【検算】全数列挙で 通り、確率 ✓。

【よくあるミス】引きすぎたぶんの を足し戻し忘れること( と負になるので気づけます)。包除原理は「足す・引く・足す」のリズムです。

【定石】 なら だけで決まるので、次の (d) にそのまま使えます。

〔Ⅰ〕〔2〕(d) [サ] となる確率

【問題(再掲)】

となる確率を求めよ。

【型】幅が になる の組を列挙し、(c) の公式を各組に適用して足す

【なぜこうするか】
となる組は 3組だけ。どの組も幅が なので、(c) の定石より場合の数は等しく

3組ぶんを足して

【検算その1】全数列挙で 通り、確率 ✓。
【検算その2(全体で になるか)】 となる場合の数を同じ方法で数えると (幅 通り、幅 )。合計 ✓ 過不足なし。

【よくあるミス】 の組を数え間違えること。幅 の組は 3通り だと で範囲外)。一般に幅 の組は 通りです。

【定石】「差が 」型は「幅 の窓を動かす」——窓の位置が 通り、各位置での場合の数は共通。(c) で作った公式を再利用するのが出題者の意図です。

〔Ⅰ〕〔3〕 [シ][ス]点 から引いた接線

【問題(再掲)】

から放物線 に引いた接線のうち、傾きが大きい方 の方程式を [シ][ス]の形で求めよ。

【型】「外部の点から引いた接線」は〈接点を とおいて接線を作り、通る点を代入〉

【なぜこうするか】
接点を とおきます。 より接線の傾きは

これが を通るので代入して

傾きは なので、大きい方は

問題文が [シ][ス]の形なので、、ス

【検算】数式処理システムで接点の を解くと 、傾きは ✓。また を代入すると ✓ 確かに を通ります。

【よくあるミス】「傾きが大きい方」を「絶対値が大きい方」と読むこと。 では の方が大きい(数直線で右)。負の数の大小は要注意です。

【定石】接線は「接点を文字でおく」が原則。「点 を通る」は最後に代入する条件です。逆に とおいて判別式 を使う手もありますが、接点も聞かれる問題では接点を文字にする方が有利です(本問はまさにそのタイプ)。

〔Ⅰ〕〔3〕 [セ][ソ] に垂直な接線

【問題(再掲)】

に垂直で、放物線 に接する直線 [セ][ソ]の形で求めよ。

【型】垂直条件で傾きを確定 その傾きをもつ接線を作る

【なぜこうするか】
の傾きが なので、垂直な直線の傾きは (積が )。放物線の接線で傾きが になるのは

前問で作った接線の一般形 を入れて

よって、ソ

【検算】傾きの積 ✓ 垂直です。数式処理システムでも と一致 ✓。
放物線との共有点を調べると より 重解——確かに接しています ✓。

【定石】放物線 の接線で傾きが のものは、 から接点が一意に決まる(放物線の接線の傾きは接点と1対1)。だから「傾きを指定された接線」はただ1本です。円だと2本になるので、混同しないこと。

〔Ⅰ〕〔3〕 [タ]長方形 の面積

【問題(再掲)】

放物線と の接点を の交点を 、放物線と の接点を とする。 を隣り合う2辺とする長方形 の面積を求めよ。

【型】3点を出して2辺の長さを測るだけ。垂直はすでに保証されている

【なぜこうするか】
なので 、つまり 長方形の隣り合う2辺として使える——面積は単純に です。

接点は なので

交点 を解いて

2辺の長さは

【検算】数式処理システムで 、積 ✓ 一般的な解答例と一致。
比が になっているのも確認できます()。

【定石】放物線の直交する2接線の交点は「準線上」にある(有名事実)。この放物線 で焦点 、準線 。実際 座標は ✓ ——知っていれば 座標は計算前に分かります

〔Ⅰ〕〔3〕 [チ]放物線と2接線で囲まれた図形の面積

【問題(再掲)】

放物線①と で囲まれた図形の面積を求めよ。

【型】「放物線 接線」は完全平方。2つに分けて積分し、 公式で検算する

【なぜこうするか】
囲まれた図形は、 から までは が下、 から までは が下。差はどちらも完全平方になります。

そのまま積分します。

なので、どちらの積分も

【検算その1( 公式)】放物線 と、 における2接線で囲まれた面積は 。ここで なので

✓ 一致します。
【検算その2】数式処理システムで定積分を実行しても ✓ 一般的な解答例と一致。
【検算その3(オーダー)】長方形 の面積が で、囲まれた部分はその内側の一部。 は長方形の にあたり、妥当な大きさです ✓。

【よくあるミス】交点 座標で区間を切らずに、 から まで一気に積分すること。下側の境界が で切り替わるので、必ず2つに分けます。

【定石】放物線と2接線で囲む面積は 公式)。関連して放物線と直線なら 公式)。2接線の場合はちょうど半分になる、と覚えると忘れません。

〔Ⅱ〕【空所補充】ガウス記号と労働市場——時給を上げても下げても雇用が減る

分野:ガウス記号・不等式・整数 難易度:やや難 目標時間:30分

⚠️ この大問には大学が認めた出題ミスがあります。
問題文には という条件があるのに、[ア]では 、[イ]では を代入させており、条件と矛盾しています。立命館大学は「問ア、問イは設問が不適切であったため、受験者全員に加点する」と発表しました。
以下では、大学公表の解答と同じく「ア・イに限っては の条件がないものとして」解説します(一般的な解答例でもこの2つは括弧付きで示されています)。ウ以降は問題なく解けます。
【問題】

次の問いに答えよ。ただし、[サ]と[ス]以外はすべて正の整数で解答すること。なお、解答にあたっては、以下の (1), (2) を用いる。

(1) を実数とするとき、 を超えない最大の整数を、記号を用いて と表す。このとき、 である。
(2) のとき、 である。

ある工場の経営者が雇いたい人の数 (人)と、この工場で働きたい人の数 (人)は、時給 (円)によって変化する。ただし、 は整数であり、 を満たす整数とする。

は次の式①で決まる。。例えば、時給が のとき、この経営者が雇いたい人の数は、式①より[ア]である。

一方、 は次の式②で決まる。。例えば、時給が のとき、この工場で働きたい人の数は、式②より[イ]である。

この経営者は、雇いたい人の数 と、工場で働きたい人の数 が等しくなる時給で人を雇いたいと考えている。まず、 を満たす を求め、小数第1位を四捨五入すると、その値は[ウ]となる。[ウ]の値を時給 として考えると、[エ]となる。

次に、[エ]となる を求める。ただし、 が複数求められる場合は、経営者は最も低い時給を選択するものとする。まず、[エ]であるとき、式①より は[エ]) が成立する。この不等式を満たす整数 のうち、最小のものは[オ]であり、最大のものは[カ]である。一方、[エ]であるとき、式②より は[エ]) が成立する。この不等式を満たす整数 のうち、最小のものは[キ]であり、最大のものは[ク]である。以上の結果から、経営者が最も低い時給を選ぶと、その値は[ケ]となる。

ここで、[ケ]を 、[エ]を で表し、時給が から変化したときの工場で働くことができる人の数の変化を考える。ただし、変化後の価格のもとで求められる が異なる場合は、工場で働くことができる人の数は の小さい方の数で決まるものとする。

経営者が時給を381円上げる場合を考える。このときの時給 になるので、この工場で働くことができる人の数 [コ]になる。 の大小関係について、不等号を用いて表すと[サ]になる。一方、経営者が時給を152円下げる場合を考える。このときの時給 になるので、この工場で働くことができる人の数 [シ]になる。 の大小関係について、不等号を用いて表すと[ス]になる。

【解答】

 イ  ※括弧はこの2問が出題ミスであることを示します
 エ  オ  カ  キ  ク  ケ
 サ  シ  ス
(13問すべて立命館大学の一般的な解答例と一致を確認済み)

〔Ⅱ〕 [ア][イ](出題ミスの2問)ガウス記号の計算

【問題(再掲)】

について のときの について のときの を求めよ。(※いずれも の範囲外で、大学が出題ミスと認めた設問)

【型】ガウス記号 は「 を超えない最大の整数」=小数を切り捨てた値

【なぜこうするか】
中身を計算して、平方根が整数になるかを見ます。

どちらもぴったり平方数になるので、出題者は「代入して計算するだけ」の易しい導入問題のつもりだったのでしょう。しかし を満たさない——ここが出題ミスです。

【検算】 ✓、 ✓。一般的な解答例も 括弧付きで示され、「問題文にある という条件の下ではア・イを解くことができない(出題ミス)ので、ア・イに限ってはその条件がないものとして解答を作成しました」と注記されています ✓。

【本番でこれに出会ったら】手を止めずに「条件を無視した値」を書いて先に進むのが正解です。試験中に出題ミスを見抜いても得はありません。矛盾に気づいたら深追いせず、素直に計算した値を書いて次へ——実際この2問は全員に加点されました。

【定石】。ガウス記号は等式より不等式に開くのが基本で、この言い換えが[オ]以降の主役になります。今回のように中身が平方数なら はその平方根そのものです。

〔Ⅱ〕 [ウ][エ]均衡する時給と、そのときの人数

【問題(再掲)】

を満たす を求め、小数第1位を四捨五入した値を[ウ]とする。その値を として [エ]を求めよ。

【型】ガウス記号の中身どうしを等しくおいて「だいたいの均衡点」を先に見つける

【なぜこうするか】
を厳密に解くのは面倒なので、まずガウス記号を外した中身で釣り合う点を求めます。これが誘導の意図です。

小数第1位を四捨五入して

この を計算します。

なので

よって

【検算】数式処理システムで ✓。 から まで全整数で を計算したところ、 ✓ 一般的な解答例と一致。

【よくあるミス】「小数第1位を四捨五入」を「小数第1位まで求める」と読むこと。小数第1位()を四捨五入して整数 にします。 ではありません

【定石】ガウス記号入りの方程式は「中身で近似解 前後の整数を調べる」。厳密解をいきなり狙わず、目星をつけてから不等式で詰める——これが本問の設計であり、実務的な数値解法の考え方でもあります。

〔Ⅱ〕 [オ][カ] となる の範囲

【問題(再掲)】

を満たす整数 の最小値と最大値を求めよ。

【型】ガウス記号を不等式に開いたら、あとは1次不等式を解くだけ。負の係数で不等号が反転

【なぜこうするか】
は、定石どおり

と開けます。ここで問題文の (2)( なら )を使って2乗しても同値だと言えるのがポイント。

で割ると

各辺から を引いて を掛けて不等号を反転させると

整数 なので、、カ 個)。

【検算】 から まで全整数で を計算すると、 になるのはちょうど から までの21個 ✓ 一般的な解答例と一致。
端点も確認できます。 ✓。 となり ✓。

【よくあるミス】 に直すときに不等号の向きを変え忘れること。ここは機械的に「マイナスを掛けたら反転」を徹底します。もう一つは、 と丸めて の境界を誤るミス( なので 、すなわち )。

【定石】。平方根とガウス記号が重なったら、いきなり2乗した不等式に書き換えるのが最短です(問題文の (2) がその根拠を保証しています)。

〔Ⅱ〕 [キ][ク][ケ] となる の範囲と、経営者が選ぶ時給

【問題(再掲)】

を満たす整数 の最小値・最大値を求めよ。また、 となる のうち最も低いものを求めよ。

【型】2つの範囲を出して共通部分をとる。「最も低い時給」は共通部分の最小値

【なぜこうするか】
今度は の係数が正なので、不等号は反転しません。

よって、ク 個)。

共通部分をとります。。両方を満たすのは

問題文の「複数ある場合は最も低い時給を選ぶ」に従って

【検算】全整数で計算すると となるのは 2つだけ、最小は ✓ 一般的な解答例と一致。
ちなみに[ウ]で求めた近似均衡点 がそのまま答えになりました——誘導が正しく機能していることの確認にもなります ✓。

【よくあるミス】共通部分を取らずに の範囲だけで答えること。求めたいのは が両方 になる です。数直線に2つの区間を描いて重なりを見れば確実です。

【定石】「両方の条件を満たす」は区間の共通部分。区間が2つ出てきたら必ず数直線を描く——頭の中だけで処理すると端点を落とします。

〔Ⅱ〕 [コ][サ]時給を381円上げたときの雇用

【問題(再掲)】

とする。時給を381円上げた のとき、働くことができる人の数 の小さい方)と、 との大小関係を求めよ。

【型】 を両方計算して小さい方をとる。平方数になるかを確かめながら

【なぜこうするか】
を式①②に代入します。

なので

働ける人数は小さい方なので

よって、そして よりサ:

意味を読む:時給を上げると働きたい人は増える)が、経営者が雇いたい人は減る)。実際に働けるのは少ない方なので雇用は減る——最低賃金を上げすぎたときの典型的な帰結です。

【検算】 ✓ ぴったり。 との差はわずか ——出題者が意図的に「危うい値」を置いているので、 まで確認しておくと安心です ✓。全整数計算でも ✓。

【よくあるミス】 の大きい方をとること。問題文は「 の小さい方の数で決まる」と明記しています。雇いたい人数と働きたい人数のうち少ない方しか成立しない——経済的にも自然です。

【定石】 は「 を挟む平方数」を探す なら と当たりをつけて に到達します。 違いで結果が変わる設定になっているので、必ず両側を確認しましょう。

〔Ⅱ〕 [シ][ス]時給を152円下げたときの雇用

【問題(再掲)】

時給を152円下げた のとき、働くことができる人の数 と、 との大小関係を求めよ。

【型】同じ手順を逆方向に。今度は が小さくなる

【なぜこうするか】
を代入します。

なので

よって、そして よりス:

意味を読む:今度は逆に、時給を下げると経営者は多く雇いたくなる)が、働きたい人が減る)。やはり少ない方で決まるので雇用は減ります

この大問全体の結論—— が一致する均衡時給であり、そこから上げても下げても実際の雇用は減る。均衡点で雇用が最大化されるという、需要と供給の基本メカニズムを数学の問題に翻訳したのがこの大問です。

【検算】 ✓( のときの と同じ値になるのは偶然ではなく、 という設計)。全整数計算でも ✓ 一般的な解答例と一致。

【定石】「上げても下げても減る」型の結論は、均衡点の意味を確認するチャンス。数式の裏にある意味(ここでは需要曲線と供給曲線の交点)を読み取れると、答えの妥当性を自分でチェックできます。検算とは「値が合うこと」だけでなく「意味が通ること」も含むのです。

〔Ⅲ〕【記述式】積で定義された数列——分数漸化式が3項間漸化式に化ける

分野:漸化式・数列 難易度:標準 目標時間:25分

【問題】

)によって定められる数列 に対して、数列 を、 で定義する。

〔1〕 を求めよ。

〔2〕 を用いて表せ。ただし、 は2以上の自然数とする。

〔3〕 と定めるとき、数列 の一般項を求めよ。

〔4〕 数列 の一般項を求めよ。

〔5〕 数列 の一般項を求めよ。

【解答】

〔1〕
〔2〕
〔3〕
〔4〕
〔5〕
(5問すべて立命館大学の一般的な解答例と一致を確認済み)

〔Ⅲ〕〔1〕  を求める

【問題(再掲)】

のとき、 について を求めよ。

【型】まず具体値を出す。分数漸化式は素直に代入

【なぜこうするか】
定義に従って順に計算するだけですが、ここで出る値が以降の検算の基準になります。

したがって

は分数なのに は整数になりました。これは偶然ではなく、 の分母が前の項の分子で約分されるためです( という構造の表れ)。

【検算】漸化式から分数のまま第12項まで生成すると ✓ 一般的な解答例と一致。

【定石】「積で定義された数列」を見たら と書けることをまず確認 なので ——この一行が大問全体の鍵です。

〔Ⅲ〕〔2〕  で表す

【問題(再掲)】

のとき、 を用いて表せ。

【型】 に漸化式を代入し、 を消す

【なぜこうするか】
の定義から 。ここに を入れます。

ここで を使うのが決め手です。 なので

分数漸化式が、きれいな3項間漸化式に化けました。これがこの大問の核心です。

【検算】生成した値で確認すると、 ✓、 ✓、 ✓。 から まですべて成立 ✓ 一般的な解答例と一致。

【よくあるミス】 としてしまうこと(割り算と掛け算の取り違え)。逆数は なので、 です。

【定石】分数漸化式 型は「積の数列 を導入すると線形3項間漸化式になる」——これは1次分数変換の一般論で、本問の はその典型です。誘導で が与えられていたら、この道を疑うのが定石です。

〔Ⅲ〕〔3〕  の一般項

【問題(再掲)】

と定めるとき、数列 の一般項を求めよ。

【型】3項間漸化式の「階差をとると等比になる」形。 の解 が背景

【なぜこうするか】
〔2〕の式から両辺の を引きます。

すなわち は公比 の等比数列です。初項は

なぜ が出てくるのか——3項間漸化式 の特性方程式は 、すなわち で解は 「差をとる」操作は解 を取り除くことに対応し、残った が公比になります。

【検算】生成した値から を計算すると 。確かに ✓( から まで確認)。一般的な解答例と一致。

【定石】3項間漸化式は特性方程式 の解 を使って と変形解の一方が のときは、単に階差をとるだけで等比数列になります(本問がまさにそれ)。問題が と指定してくれているのは、この事実を教えてくれているのです。

〔Ⅲ〕〔4〕  の一般項

【問題(再掲)】

数列 の一般項を求めよ。

【型】階差数列がわかったら

【なぜこうするか】
の階差数列そのもの。階差の公式を使います()。

等比数列の和(初項 、公比 、項数 )なので

でも成り立つかを必ず確認します(階差の公式は でしか使えないため)。 ✓ 成立します。

【検算】 のすべてで、生成した 分数のまま完全一致 ✓。具体的には ✓ 一般的な解答例と一致。
が必ず の倍数になることも確認できます( より )✓。

【よくあるミス】 の確認を忘れること。階差数列の公式は でのみ有効なので、記述では「 のときも成り立つ」と一言添えるのが必須です。もう一つは、 の項数を と数え間違えるミス(項数は )。

【定石】階差数列 がわかれば 、最後に を検証。この「公式+検証」のセットは記述問題で必ず要求されます。

〔Ⅲ〕〔5〕  の一般項

【問題(再掲)】

数列 の一般項を求めよ。

【型】最初に確認した に代入して終わり

【なぜこうするか】
より )。〔4〕の結果を入れると分母の が約分されます。

でも成り立つかを確認します。 ✓ 成立するので、場合分けは不要です。

【検算その1】 ✓。 ✓。 ✓。 から まですべて分数のまま一致 ✓ 一般的な解答例と一致。
【検算その2(極限の意味)】。実際 に近づきます。これは元の漸化式の不動点( すなわち の解 )のうち安定な方 ——特性方程式の解がここでも顔を出しています ✓。

【定石】分数漸化式の一般項は「 の1次結合どうしの比」の形になる。本問では特性方程式の解 から の結合)となり、その比が です。不動点が一般項の骨格を決める——この見通しをもてると、誘導がなくても自力で解けます。

この冊子で身につけたい「型」一覧
  • を含む図形は で場合分け/結果は 軸対称
  • 弓形の面積 、中心角は から
  • 領域上の の最大は「直線を平行移動して接するまで」+接点が領域内かの確認
  • は定点からの距離の2乗——最遠・最近は中心と定点を結ぶ直線上
  • (最大最小は「以上」「以下」に翻訳)
  • 」は余事象(全部 より大/全部 より小の2つだけ)
  • は包除原理/「差が 」は幅 の窓を 通り動かす
  • 外部の点から引く接線は「接点を とおく」/傾き指定の接線は放物線ならただ1本
  • 放物線の直交2接線の交点は準線上にある
  • 放物線と2接線で囲む面積 公式のちょうど半分)
  • 負の係数で割る・掛けるときは不等号を反転/2つの条件は区間の共通部分
  • 積で定義された数列は ——分数漸化式が3項間漸化式に化ける
  • 3項間漸化式の特性方程式の解の一方が なら、階差をとるだけで等比数列
  • 階差から一般項 、最後に を検証
  • 出題ミスに気づいても深追いしない——素直に計算した値を書いて次へ進む

この解説を書いている講師に、直接習うことができます。

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※ 問題文は立命館大学が公表した2020年度入学試験問題(数学・冊子③)を、解説のために引用したものです。解説はオンライン数学専門塾「数強塾」が独自に作成したものです。当解説の答え(全42問)はすべて一般的な解答例と突き合わせて一致を確認しています。加えて、〔Ⅰ〕は の楕円で100組の直交2接線を数値生成して軌跡を実測、〔Ⅱ〕は を動かして条件を満たす の個数を直接数え上げ、〔Ⅲ〕は数式処理システムによる定積分と の数値積分、〔Ⅳ〕は複素数として を生成し三角形の面積を外積で実測して独立に検算しました。

2020年度 立命館大学 数学(冊子③)の傾向
  • 大問4題・すべて空所補充(各10〜11か所)。全体で42の設問があります。冊子①②が数学I・A・II・Bだったのに対し、この冊子は数学III(積分・複素数平面)を含む理系向けです。
  • 分野は楕円と準円/1次不定方程式と放物線/ 置換による定積分と広義積分/複素数平面の1次変換と回転相似
  • 〔Ⅰ〕の到達点は「楕円の準円」。直交する2接線の交点の軌跡が 、つまり半径 の円になるという有名事実を、誘導に沿って自力で導かせます。
  • 〔Ⅲ〕は広義積分 の極限を、 置換で作った の和として求めると、答えはきれいに 。誘導が長いぶん、外さなければ確実に取れます。
  • 〔Ⅳ〕は「 は1点のまわりの回転相似」という視点が全体を貫きます。不動点 を見つけてしまえば、以降の面積計算は相似比 の等比数列に還元されます。
  • 難易度はやや難。ただし4題ともに誘導が非常に丁寧なので、誘導の意図を読み取る訓練ができている受験生には高得点が狙えます。

〔Ⅰ〕【空所補充】動く線分の内分点が描く楕円と、直交2接線の交点(準円)

分野:軌跡・2次曲線・接線 難易度:やや難 目標時間:30分

【問題】

座標平面上に点 、点 をとる。線分 の長さは、実数の定数 (ただし )を用いて と表される。点 軸上を動き、点 軸上を動くとき、線分 に内分する点 の軌跡を表す曲線 を考える。

〔1〕 の座標を 、点 の座標を 、点 の座標を とするとき、 を用いて表すと、[ア]、[イ]となる。そして、曲線 の方程式は[ウ] と表される。ただし、[ウ]には は入らないとする。

〔2〕 実数 を用いて方程式 で表される直線を とする。直線 が曲線 と共有点をもつとき、共有点の 座標は次の方程式の解である。

が[エ]、 が[オ])ただし、[エ]と[オ]は を用い、 は用いずに答えよ。直線 が曲線 の接線となるための必要十分条件は、 を用いて表すと[カ] である。

〔3〕 直線 と直線 が垂直で、点 で交わるとする。まず、直線 軸と 軸に平行ではない場合について考える。直線 の傾きを とおくと、直線 の方程式は [キ]と表される。直線 の方程式は [ク]と表される。

直線 が曲線 の接線となるための必要十分条件は が[ケ]、 が[コ])である。ただし、[ケ]と[コ]は を用いて表す。一方、直線 が曲線 の接線となるための必要十分条件は である。このとき、直線 と直線 の両方が曲線 の接線であるように点 が動くとき、点 の軌跡を表す方程式は、 を用いて [サ]と表される。

【解答】

 イ  ウ
 オ  カ
 ク  ケ  コ  サ
(11問すべて立命館大学の一般的な解答例と一致を確認済み)

〔Ⅰ〕〔1〕 [ア][イ] で表す

【問題(再掲)】

とし、 に内分するとき、 で表せ。

【型】軌跡は「動く文字()を で表して消去する」——まず逆に解く

【なぜこうするか】
内分点の公式より、 に内分する点は

(比 の内分では、係数がたすき掛けで入ることに注意。 側の比 の係数になります。)成分で書くと

これを について解けば

【検算】数式処理システムで内分点の式に代入し直すと、確かに に戻ります ✓。
比のチェックもしておきましょう。 に近いのか に近いのか—— なので 寄り。実際 倍で、 寄りです ✓。

【よくあるミス】内分点の係数をたすき掛けせずに としてしまうこと。 の内分点は ——「遠い方の比が係数になる」と覚えます。

【定石】軌跡の問題は「パラメータを で表す パラメータが満たす関係式に代入」の2手。ここでは がパラメータで、次の〔ウ〕で に代入します。

〔Ⅰ〕〔1〕 [ウ]曲線 の方程式

【問題(再掲)】

曲線 の方程式を[ウ] の形で求めよ( は使わない)。

【型】パラメータが満たす関係式(ここでは の長さ)に代入して消去

【なぜこうするか】
が満たす条件は「線分 の長さが 」。 軸上、 軸上なので三平方の定理から

ここに〔ア〕〔イ〕を代入します。

両辺を で割ると、 がきれいに消えて

よって なので、これは長軸が 軸方向、長半径 、短半径 の楕円です。

【検算】数式処理システムで で割ると ✓。

【定石】「長さ一定の棒の両端が2直線上を滑るとき、棒上の点は楕円を描く」——トランメル(楕円コンパス)と呼ばれる有名な現象です。内分比を変えると長半径・短半径が変わり、中点なら円になります(本問で のとき)。

〔Ⅰ〕〔2〕 [エ][オ]共有点の 座標が満たす方程式

【問題(再掲)】

直線 が楕円 と共有点をもつとき、共有点の 座標が満たす方程式 が[エ]、 が[オ])の空欄を埋めよ。

【型】連立して を消去。分母を払うタイミングを間違えない

【なぜこうするか】
を楕円の式に代入し、先に分母を払うのが計算を楽にするコツです。両辺に を掛けると

展開して について整理します。

よって、オ 。問題文の中央の項が とぴったり一致するので、変形が正しいことの確認にもなります。

【検算】数式処理システムで を展開し、 の係数 の係数 、定数項 を確認 ✓ 一般的な解答例と一致。

【定石】2次曲線と直線の連立は「分母を払ってから代入」。分数のまま展開すると項が増えてミスの温床になります。問題文が示す形(中央の項)と照合できるときは、必ず確かめましょう。

〔Ⅰ〕〔2〕 [カ]接線となるための必要十分条件

【問題(再掲)】

直線 が楕円 の接線となるための必要十分条件を[カ] の形で求めよ。

【型】接する 判別式 。因数分解できる形まで整理する

【なぜこうするか】
2次方程式が重解をもつ条件なので、判別式 です。

両辺を で割ると( より

展開すると どうしが打ち消し合って

よって

【検算】数式処理システムで判別式を因数分解すると より ✓ 一般的な解答例と一致。
意味の確認:一般に楕円 の接線条件は 。ここでは なので ✓ 一致します。

【よくあるミス】判別式の計算で の相殺を見落とすこと。展開したら同類項が消えることを期待して確認すると、計算間違いに気づけます(消えなければどこかでミスしています)。

【定石】楕円 の接線条件は (円なら 、すなわち点と直線の距離 )。接線の方程式は と書けます。

〔Ⅰ〕〔3〕 [キ][ク]点 を通る直交2直線

【問題(再掲)】

を通り、傾き の直線 と、それに垂直な直線 の方程式を求めよ。

【型】 を通る傾き の直線は

【なぜこうするか】
公式そのままです。 は傾き なので

に垂直なので傾きは 。同じ点 を通るので

よって、ク

なぜ「 軸と 軸に平行でない場合」と断るのか—— 軸に平行だと となり の傾き が定義できません。 軸に平行なら 自体が定義できません。この2つの例外は最後に別扱いする必要があり、問題文の末尾に「なお、 軸あるいは 軸に平行な場合にも、この方程式は成り立っている」と補足されています。

【定石】垂直な直線の傾きは (積が )。ただし と「傾きなし」は例外なので、記述では必ず断ります。今回のように問題文が「平行でない場合」と限定してくれているのは親切な設計です。

〔Ⅰ〕〔3〕 [ケ][コ] が接線となる条件

【問題(再掲)】

の接線となる条件を が[ケ]、 が[コ])の形で表せ。

【型】〔2〕で作った接線条件 に、 を代入するだけ

【なぜこうするか】
の形で 。これを接線条件に代入します。

問題文の形は なので、全体に を掛けます。

よって、コ

の側も確認しておきます。 を代入して

両辺に を掛けると 、整理して

ケとコがちょうど入れ替わり、中央の符号が反転した形——問題文が示すとおりです ✓。

【検算】数式処理システムで両方の条件式を展開し、上記の形と一致することを確認 ✓ 一般的な解答例と一致。

【定石】「同じ条件を別の直線に適用する」ときは、 が何になるかだけを書き換える。〔2〕で汎用の条件を作っておいたおかげで、〔3〕は代入作業だけで済みます——誘導の設計そのものです。

〔Ⅰ〕〔3〕 [サ]点 の軌跡(楕円の準円)

【問題(再掲)】

の両方が の接線であるように が動くとき、その軌跡 [サ]を求めよ。

【型】同じ が2つの式を同時に満たす——2式を足すと が消える

【なぜこうするか】
2つの条件

同じ について成り立ちます。①と②を足すと の項が消えるのが決め手です。

なので、括弧の前半が 。すなわち

よって

これが「楕円の準円(director circle)」です。楕円 に直交する2接線を引ける点の軌跡は、半径 の円。ここでは なので半径 ✓。

【検算】(楕円 )として、傾き とその垂直 の接線を を25通り・符号の組合せ4通りの計100組つくり、それぞれの交点 について を計算したところ、すべて ✓(誤差 以内)。一般的な解答例と一致。

【よくあるミス】①だけから の関係を出そうとすること。①は「傾き の接線が を通る」条件であって、 が残ったままです。②と足して を消すという一手が必要で、ここが問題の山場です。

【定石】楕円・双曲線の準円——楕円 なら (放物線なら準線)。「直交する2接線の交点の軌跡」と聞いたら即答できるようにしておくと、検算にも使えます。導出は本問のとおり「2条件を足して を消す」です。

〔Ⅱ〕【空所補充】1次不定方程式の一般解と、放物線の下にある格子点

分野:整数(不定方程式)・2次不等式 難易度:やや難 目標時間:30分

【問題】

自然数 に対して、 の最大公約数を とする。このとき、1次不定方程式 の整数解 を考える。

〔1〕 自然数 を用いて と表すと、 の最大公約数は[ア]であり、式 (1) は となる。特に のときの1次不定方程式 (2) の整数解の1つを とすると、 となる。

式 (2) から式 (3) の 倍を引くと となる。 の最大公約数が[ア]であり、 はともに整数であることから、 は[イ]の倍数、 は[ウ]の倍数となる。ここで、整数 を用いて が[イ]、 が[ウ])とおくと、方程式 (1) の整数解は [エ]、[オ]と表される。

〔2〕 とする。整数解 ([エ],[オ])のうち、実数 に対して不等式 を満たすものを考える。

で定まる放物線と、1次不定方程式 (1) すなわち で定まる直線は、 が[カ])のときに異なる2つの共有点をもち、その座標は が[キ]、複号同順)である。

特に 座標に注目すれば、整数解 を満たすためには、式 (5) の は不等式 が[ク]、 が[キ])を満たす必要がある。したがって、 のとき、不等式 (6) を満たす の値がちょうど2個存在するために がとりうる値の範囲は[ケ][コ]であることがわかる。

【解答】

 イ  ウ  エ  オ
 キ  ク  ケ  コ
(10問すべて立命館大学の一般的な解答例と一致を確認済み)

〔Ⅱ〕〔1〕 [ア] の最大公約数

【問題(再掲)】

の最大公約数を とし、 と表すとき、 の最大公約数を求めよ。

【型】最大公約数で割った商は、必ず互いに素になる

【なぜこうするか】
もし より大きい公約数 をもつなら、 という より大きい公約数をもつことになり、 が最大公約数であることに矛盾します。したがって

よって は互いに素)。

【定石】。当たり前に見えますが、不定方程式の議論はすべてこの「互いに素」に依存しています(次の〔イ〕〔ウ〕がまさにそれ)。記述では背理法で一言示すのが丁寧です。

〔Ⅱ〕〔1〕 [イ][ウ] が何の倍数か

【問題(再掲)】

から、 は何の倍数、 は何の倍数か。

【型】 から「」(ユークリッドの補題)

【なぜこうするか】
とおくと 。左辺は の倍数(右辺がそうだから)ですが、 は互いに素なので、 とは「共通因子で説明できない」——したがって を割り切るしかありません。

よって、ウ たすき掛けで入る点に注意)。

【よくあるミス】イとウを逆にすること。 で、 の側に掛かっているのは ですが、 を割り切るのは です。「掛かっている方ではなく、相手の方で割り切れる」と覚えます。

【定石】ユークリッドの補題: かつ ならば 。1次不定方程式の一般解を導く議論はすべてこの補題に立脚しています。「互いに素」という条件がどこで効くかを言えるかが理解の分かれ目です。

〔Ⅱ〕〔1〕 [エ][オ]整数解の一般形

【問題(再掲)】

とおくとき、方程式 (1) の整数解 を求めよ。

【型】置いた式をそのまま解くだけ。符号に注意

【なぜこうするか】
式 (5) の左側から

右側から

よって、オ

【検算】元の方程式に代入すると

✓ 確かに (2) を満たします( の項が打ち消し合うのが正しさの証拠)。一般的な解答例と一致。

【定石】 の一般解は「特殊解 同次解」。同次解 の解が で、特殊解が この「特殊解+同次解」の形は微分方程式でも線形代数でも同じ——数学全体を貫く構造です。

〔Ⅱ〕〔2〕 [カ][キ]放物線と直線が2点で交わる条件と交点

【問題(再掲)】

放物線 と直線 が異なる2つの共有点をもつ条件 (=[カ])と、交点の 座標に現れる[キ]を求めよ。

【型】連立して2次方程式に。判別式の中身がそのまま[キ]になる

【なぜこうするか】
直線を として放物線に代入します。分母を払うために両辺に を掛けると

異なる2つの共有点をもつ条件は判別式が正:

について解くと 、すなわち

よって。そして解の公式から

よって(判別式の平方根そのもの)。

【検算】数式処理システムで の判別式を計算すると ✓、解は ✓。
座標も確認できます。 に代入すると は[キ])となり、問題文の形(複号同順)と一致 ✓ 一般的な解答例と一致。

【定石】「2交点をもつ 判別式 」「交点の座標 解の公式」はセット。判別式の中身に名前をつけておく(ここでは[キ])と、以降の式が劇的に短くなります——出題者がそう設計しているのは、次の〔ク〕でこれを使い回すためです。

〔Ⅱ〕〔2〕 [ク] が満たす不等式の中心

【問題(再掲)】

整数解 を満たすとき、 が満たす不等式 は[キ])の (=[ク])を求めよ。

【型】「直線上の点が放物線の下」=「 が2交点の間」。 を代入して の範囲に直す

【なぜこうするか】
まずなぜ「2交点の間」なのかを確認します。 の係数が 上に凸な2次関数。したがって (=直線が放物線より下)となるのは2つの交点の間です。

ここに より なので を代入し、 について解きます。各辺から を引いて で割ると

中心にあたるのは で、通分すると

幅は ✓ 問題文の形と一致します。

【検算】問題文が「」という対称な形を与えているので、中心が 、半幅が となることが構造から確認できます ✓ 一般的な解答例と一致。

【定石】「格子点が領域内にある条件」は、パラメータ表示した座標を不等式に代入してパラメータの範囲に翻訳する。ここでは直線上の整数点が でパラメータ表示されているので、 の不等式 の不等式への変換がすべてです。

〔Ⅱ〕〔2〕 [ケ][コ] がちょうど2個となる の範囲

【問題(再掲)】

のとき、不等式 (6) を満たす の値がちょうど2個存在するための の範囲[ケ][コ]を求めよ。

【型】区間の中心を固定し、半幅を広げていく。整数が何個入るかは「中心からの距離が近い順」に決まる

【なぜこうするか】
まず具体化します。 ✓。 の解の1つは

区間の中心

半幅 なので

中心 から各整数までの距離を近い順に並べます。

区間は開区間なので、半幅を とすると「距離 」の整数が入ります。ちょうど2個になるのは、近い2つ(距離 )が入り、3番目(距離 )が入らないとき:

のとき はちょうど端点にあたり、開区間なので入りません——だから です。)

を代入して

各辺を2乗して(すべて正なので同値)

よって、コ

【検算その1(直接数え上げ)】 をいろいろ動かして条件を満たす の個数を実際に数えると
個、 個、 個、 個、 個、 個、 個。
ちょうど2個になるのは ✓ 一般的な解答例と一致。
【検算その2( の取り方に依らない)】 を選ぶと中心は になりますが、これは からちょうど (整数)だけずれた値。整数の個数は変わらないので、同じ で同じ個数になります ✓(実測でも一致)。

【よくあるミス】 を含めるか迷って にしてしまうこと。 のとき 区間の端点で、区間が開いているので含まれません。だから でもまだ2個—— が正解です。開区間か閉区間かで端点の扱いが変わるので、必ず確認しましょう。

【定石】「区間内の整数がちょうど 個」は、中心からの距離を小さい順に並べて 番目と 番目の間に半幅を挟む中心が整数だけずれても個数は変わらないので、特殊解 の選び方に答えが依存しない——この確認まで書けると完璧です。

〔Ⅲ〕【空所補充】 置換で作る と、広義積分の極限が になる仕組み

分野:数学III(置換積分・広義積分) 難易度:やや難 目標時間:35分

【問題】

実数 とする。次式によって与えられる定積分

の極限 を以下の手順にしたがって求める。まず、準備として、次の〔1〕〔2〕〔3〕について考える。

〔1〕 区間 で関数 を考える。[ア] より、 の値域は [イ]である。また [ウ]である。

〔2〕 を満たしているとき、[エ]である。ただし、[エ]は を用いずに答えよ。

〔3〕 定積分 をそれぞれ次のようにおく。

まず、 を計算する。〔1〕で定義した を用いて とおき、置換積分法を使うと、

が[オ]、 が[カ]、 が[キ])となる。ただし、[キ]は正の実数である。ここで とおいて置換積分法を使って〔2〕の を用いて を求めると [ク]となる。次に、 についても同様の方法で求めると、[ケ]となる。

〔4〕 〔1〕から〔3〕までの準備のもとで、極限を求める。 とおいて に置換積分法を用いると、極限 は、 を用いて[コ]と表すことができる。したがって、極限は[サ]となる。

【解答】

 イ  ウ  エ
 カ  キ  ク  ケ
 サ
(11問すべて立命館大学の一般的な解答例と一致を確認済み)

〔Ⅲ〕〔1〕 [ア][イ] の導関数と値域

【問題(再掲)】

区間 の導関数を求め、値域 [イ]を求めよ。

【型】商の微分。分子の が符号を決める

【なぜこうするか】
商の微分公式を使います。

よって。区間 では なので 、すなわち単調増加。したがって値域は両端の値で決まり

よって

この事実の意味 から への1対1の対応。だから という置換で が過不足なく対応します——〔3〕の置換積分が正当化される根拠です。

【検算】数式処理システムで微分すると 、分母は ✓ 一般的な解答例と一致。

【定石】置換積分では「置換が1対1か」「端点がどう対応するか」を必ず確認。本問は〔1〕がその確認そのものになっています——誘導が「置換の正当性チェック」から始まっているのは珍しく、丁寧な設計です。

〔Ⅲ〕〔1〕 [ウ]

【問題(再掲)】

の式で表せ()。

【型】 を通分すると、分子が完全平方になる

【なぜこうするか】
通分して分子を整理します。

分子は という2乗の差なので因数分解できて

したがって

では なので絶対値がそのまま外れます。)よって

これは何か—— のとき 。つまり の置換(ワイエルシュトラス置換)そのものです。この対応が見えると、〔3〕の見通しが一気に良くなります。

【検算】数式処理システムで簡約すると では ✓ 一般的な解答例と一致。
具体値でも のとき ✓、ウの値 ✓。

【定石】 置換:三角関数の有理式の積分を、 の有理関数の積分に変える万能置換です。冊子①の〔Ⅲ〕でも同じ変換が(逆向きに)使われており、立命館が好むテーマだとわかります。

〔Ⅲ〕〔2〕 [エ]

【問題(再掲)】

のとき、 を使わずに求めよ。

【型】。あとは有理化

【なぜこうするか】
余角の公式より

分母を有理化して

よって

この小問の役割:〔3〕で を計算するとき、積分の上端が となる になります。それが だと分かるので、 で表せるのです。この一手のために用意された小問です。

【検算】 なので 。実際 ✓。 ✓ 一般的な解答例と一致。

【定石】(半角公式から導けます)。この値が出てきたら 系の角だと察しがつきます。 という逆数関係も覚えておくと便利です。

〔Ⅲ〕〔3〕 [オ][カ][キ] の積分に書き換える

【問題(再掲)】

の置換で が[オ]、 が[カ]、 が[キ])の形にせよ。

【型】 置換 有理関数 平方完成

【なぜこうするか】
。積分区間は に対し (〔1〕で確認済み)。代入すると

分母を でくくると

分母を平方完成します。

したがって

よって、カ 、キ

【よくあるミス】 を忘れること。置換積分では被積分関数と の両方を書き換えます。もう一つは、分母の をくくり出さずに平方完成しようとして失敗するミス——2次の係数を にしてから平方完成が鉄則です。

【定石】 の形に持ち込むのが有理関数積分の目標(答えは 型)。分母が2次で判別式が負なら、必ずこの形に平方完成できます

〔Ⅲ〕〔3〕 [ク] の値

【問題(再掲)】

とおいて を求めよ( を用いてよい)。

【型】 置換で分母が になり、積分が定数になる

【なぜこうするか】
より 。分母は

したがって被積分関数は

きれいに定数 になりました。あとは積分区間を に直します。
より 、すなわち
より 、すなわち(〔2〕の設定そのもの)。

よって

【検算】数式処理システムで を数値計算すると として ✓ 一般的な解答例と一致。

【定石】。本問は 、分子が なので、係数がちょうど になりました。 置換で被積分関数が定数になったら、置換が正しい証拠です。

〔Ⅲ〕〔3〕 [ケ] の値

【問題(再掲)】

を同様の方法で求めよ。

【型】 の符号が変わるだけ。平方完成の中心の符号も反転する

【なぜこうするか】
同じ置換で

になっただけです。 とおくと、同じ計算で被積分関数は 。区間は
、すなわち
ここで〔2〕が効きます—— なので

よって

【検算その1】数値計算で として ✓ 一般的な解答例と一致。
【検算その2(美しい関係)】 が消えて になる——数値でも ✓。これが〔4〕の答えを先取りしています。

【よくあるミス】 のとき から としてしまうこと。 の置換では の枝を取るのが約束なので です。枝を間違えると答えが ずれます。

【定石】符号違いの積分は「置換の中心が符号反転するだけ」 の計算を丁寧にやっておけば は差分だけで済みます。 のように和が簡単になるかを確かめるのは、この手の問題の常套的な検算です。

〔Ⅲ〕〔4〕 [コ][サ]広義積分の極限

【問題(再掲)】

とおいて を置換し、 で表し、その値を求めよ。

【型】 を見たら 。部分分数分解で に分ける

【なぜこうするか】
とおくと 、そして

なので 。)また 。代入すると が約分されて

積分区間は に対し のとき なので 。したがって

(被積分関数が偶関数なので2倍にできます。)ここで を因数分解するのが最後の鍵です。

部分分数分解すると

したがって

よって。〔3〕の結果から

よって

【検算】 に近づけながら数値積分すると

確かに に近づいています ✓ 一般的な解答例と一致。

【よくあるミス】 の絶対値を外すときに符号を確認しないこと。積分区間で だから外せる、と一言添えるのが正式です。もう一つは、部分分数分解の係数 を落とすミス—— を確認すれば防げます。

【定石】 型は 型は 。そして の形の分母は部分分数分解」。本問はこの2つの定石を順に使うだけで、誘導に沿えば必ず にたどり着きます。広義積分(端点で被積分関数が発散する積分)は「有限区間で計算してから極限」という手順を守ります。

〔Ⅳ〕【空所補充】 は1点のまわりの回転相似——不動点を見つければ全部見える

分野:数学III(複素数平面)・等比数列 難易度:やや難 目標時間:30分

【問題】

虚数単位を とし、 を虚数とする。

〔1〕 複素数平面上の点 を原点を中心に だけ回転し、原点からの距離を 倍し、 だけ平行移動した点は[ア]と表される。

〔2〕 とし、自然数 に対して、点 を以下のように定める。 を原点を中心に だけ回転し、原点からの距離を 倍し、 だけ平行移動した点とする。 とおき、数列 を考える。一般項 および で表すと、[イ]となる。したがって、 のとき、[ウ]である。

〔3〕 を点 を中心に だけ回転し、点 からの距離を 倍した点は[エ]である。任意の複素数 について[ア][エ]が成り立つとき、 をそれぞれ を用いて表すと、[オ]、[カ]である。

〔4〕 実数 を満たすとする。また、 であり、[カ] が成り立つとする。複素数平面上で が表す点を とし、〔2〕で定めた が表す点を とする。三角形 の面積は[キ]であり、三角形 の面積は[ク]となる。三角形 の面積 は[ケ]となり、[コ]である。ただし、[キ][ク][ケ][コ]は を用いずに表せ。

【解答】

 イ  ウ
 オ  カ
 ク  ケ  コ
(10問すべて立命館大学の一般的な解答例と一致を確認済み)

〔Ⅳ〕〔1〕 [ア]回転・拡大・平行移動の合成

【問題(再掲)】

を原点中心に 回転し、原点からの距離を 倍し、 平行移動した点を で表せ。

【型】「原点中心の回転+拡大」=複素数の掛け算、「平行移動」=足し算

【なぜこうするか】
複素数の積の性質がそのまま答えです。 を掛けると、偏角が だけ増え、絶対値が になります。そのあと を足せば平行移動。

よって

【定石】複素数平面では「掛け算=回転+拡大」「足し算=平行移動」。これが複素数平面を使う最大の理由で、 は平面の相似変換(回転相似)を表します。

〔Ⅳ〕〔2〕 [イ] の一般項

【問題(再掲)】

とするとき、 で表せ。

【型】差をとると が消える——差の数列は公比 の等比数列

【なぜこうするか】
漸化式を1つずらして引くのが定石です。 のとき

がきれいに消えます。つまり 公比 の等比数列。初項は

したがって 。絶対値をとると なので

よって

【よくあるミス】 のままにすること。 です。もう一つは、初項を ではなく としてしまうミス( なので には の項が残ります)。

【定石】 型は「差をとって を消す」——実数の漸化式とまったく同じ手順です。複素数でも等比数列の扱いは変わりません

〔Ⅳ〕〔2〕 [ウ]無限級数

【問題(再掲)】

のとき を求めよ。

【型】無限等比級数の和は「初項 公比」。公比は (実数)

【なぜこうするか】
実数の等比数列で、初項 、公比 なので収束して

よって

意味を読む は点 から までの移動距離。その総和が有限ということは、点列 が有限の道のりでどこかに収束するということです。その収束先こそ〔3〕で求める不動点 です。

【定石】 のとき は不動点に収束する(縮小写像)。移動距離の総和が収束することが、その幾何的な裏づけになっています。

〔Ⅳ〕〔3〕 [エ][オ][カ]点 を中心とする回転相似との一致(不動点)

【問題(再掲)】

中心に 回転し からの距離を 倍した点を求めよ。また、任意の と一致するとき で表せ。

【型】 中心の変換」は〈 を原点に移す 変換 戻す〉

【なぜこうするか】
中心が原点でない回転は、平行移動でいったん原点に持ってくるのが定石です。

展開すると 。よって

2つの式が任意の で一致する条件を求めます。

すべての について

の係数と定数項を比較して

よって、カ )。

これが「不動点」です。 を解いた値そのもので、変換で動かない唯一の点。 は、実は を中心とする回転相似だった——これが〔4〕を一気に易しくします。

【検算】数式処理システムで を代入すると恒等的に ✓ 一般的な解答例と一致。

【定石】1次変換 )は、不動点 を中心とする回転相似「係数比較で恒等式」+「不動点を解く」の2通りで同じ答えに到達します。この事実を知っていると、複素数平面の問題の見通しが劇的に良くなります。

〔Ⅳ〕〔4〕 [キ]三角形 の面積

【問題(再掲)】

(点 )とする。三角形 の面積を求めよ。

【型】 は回転相似の中心。 は「長さが 倍、偏角が 増える」

【なぜこうするか】
が不動点なので、変換は を中心とする回転相似。したがって

ここで なので

また なので、 のなす角は 。三角形の面積公式より

よって

【検算】 として を複素数で実際に生成し、外積で面積を計算すると ✓ 一般的な解答例と一致。

【定石】2辺の長さとその間の角がわかれば面積は 。複素数平面では の偏角がなす角、絶対値が辺の比——この対応が使えると、図を描かずに角度が求まります。

〔Ⅳ〕〔4〕 [ク]三角形 の面積

【問題(再掲)】

三角形 の面積を求めよ。

【型】2辺 の比と角は、やはり が決める

【なぜこうするか】
差の数列(〔2〕)を使います。 とおくと

比が なので、2辺のなす角は 、長さの比は 。面積は

なので 。ここで

を掛けて を掛けると

と括り出しました。)よって

【検算その1】 で複素数から直接計算すると 。公式の値も ✓ 一般的な解答例と一致。
【検算その2(分解)】四角形 を2通りに分けると 。それぞれ なので 。展開すると上と一致 ✓。

【定石】 の特別な場合)。複素数の絶対値の2乗は共役を使って展開するのが基本です。

〔Ⅳ〕〔4〕 [ケ]三角形 の面積

【問題(再掲)】

三角形 の面積 を求めよ。

【型】すべての三角形は互いに相似。相似比 なら面積比は

【なぜこうするか】
なので、三角形 は三角形 倍した回転相似の像。相似比は で、面積比はその2乗

したがって

よって

【検算】 の面積を複素数から直接計算すると 比はすべて ✓ 公式の値とも一致 ✓ 一般的な解答例と一致。

【よくあるミス】面積比を相似比のまま とすること。面積は相似比の2乗なので です。

【定石】回転相似で移り合う図形は相似。面積比=(相似比)。複素数平面では 倍が相似変換なので、 が相似比、 が面積比です。

〔Ⅳ〕〔4〕 [コ]

【問題(再掲)】

を求めよ。

【型】奇数番だけ取り出すと、公比が2乗になる(

【なぜこうするか】
とおくと 。奇数番 を取り出すと

初項 、公比 の等比数列になりました。 なので収束して

よって

【検算】 として 。公式 ✓ 一般的な解答例と一致。
奇数番の面積を実際に400項まで足し上げても同じ値 ✓。

【よくあるミス】公比をそのまま として とすること。1つ飛ばしで取り出すと公比は2乗になります。

【定石】等比数列から 個おきに取り出すと、公比は 乗になる2つを足すと元の和 に戻ることを確認すれば検算になります(実際 ✓)。

この冊子で身につけたい「型」一覧
  • 内分点は に対し (比はたすき掛けで入る)
  • 軌跡は「パラメータを で表す 関係式に代入」/長さ一定の棒は楕円を描く
  • 2次曲線と直線の連立は分母を払ってから代入/接する 判別式
  • 楕円の接線条件 準円 (直交2接線の交点の軌跡)
  • 2つの条件式を足して余分な文字を消す——〔Ⅰ〕〔3〕の決め手
  • なら は互いに素/ユークリッドの補題
  • 1次不定方程式の一般解は「特殊解 同次解」
  • 「区間内の整数がちょうど 個」は中心からの距離を小さい順に並べる/開区間か閉区間かで端点の扱いが変わる
  • 置換:
  • の形に平方完成/2次の係数を にしてから
  • (互いに逆数)
  • 型の分母は部分分数分解
  • 広義積分は「有限区間で計算してから極限」
  • 複素数平面:掛け算=回転+拡大、足し算=平行移動
  • は不動点 を中心とする回転相似
  • は差をとると公比 の等比数列 なら不動点に収束
  • 面積比=(相似比)等比数列から1つ飛ばしで取り出すと公比は2乗

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※ 問題文は立命館大学が公表した2020年度入学試験問題(選択科目 数学・冊子④)を、解説のために引用したものです。解説はオンライン数学専門塾「数強塾」が独自に作成したものです。当解説の答え(全35問)はすべて一般的な解答例と突き合わせて一致を確認しています。加えて、〔Ⅰ〕〔1〕は数式処理システムによる複素数の直接計算、〔Ⅰ〕〔2〕はランダムな弦の配置をオイラーの公式で数え上げ、〔Ⅰ〕〔3〕は400万分割の数値探索と厳密解の連立、〔Ⅱ〕は200万分割で費用最小の削減量を実測、〔Ⅲ〕はすべての場合を有理数のまま列挙して を厳密計算して独立に検算しました。

2020年度 立命館大学 数学(選択科目・冊子④)の傾向
  • 大問3題。〔Ⅰ〕〔Ⅱ〕が空所補充(〔Ⅰ〕は ア〜チ の17か所、〔Ⅱ〕は ア〜ス の13か所)、〔Ⅲ〕が記述式で5問。全体で35の設問があります。
  • 分野は1の6乗根( の3乗根)/円と 本の弦がつくる領域/円周上の三角形の面積/2次・3次関数の最小化(環境経済のモデル)/コインの二段階試行の確率
  • 〔Ⅰ〕〔1〕の は「1の原始6乗根」 を押さえれば、 も指数を で割った余りで一発です。
  • 〔Ⅱ〕は環境政策のモデル。「政府が削減量を命じる」「税をかける」「補助金を出す」の3制度が同じ削減量を実現することを確かめさせる、経済学の教科書そのままの構成です。削減量の上限 による場合分けが最大の落とし穴(後述)。
  • 〔Ⅲ〕は「各コインが2回とも表になる確率 」に気づけば二項分布 と一瞬で書けます。一般的な解答例もこの見方を採っています。
  • 難易度は標準〜やや難。〔Ⅰ〕〔Ⅲ〕は取り切りたく、〔Ⅱ〕は文章量に負けずにモデルを式に翻訳できるかが勝負です。

〔Ⅰ〕【空所補充】1の6乗根/円と 本の弦/円周上を動く点と三角形の面積

分野:複素数・場合の数と漸化式・図形と計量 難易度:標準〜やや難 目標時間:35分

【問題】

〔1〕 の3乗根は 、[ア][イ]、[ア][イ] である。ただし、 は虚数単位、[イ]は正の値とする。[ア][イ] とするとき、以下の式の値を求めよ。

(a) [ウ] (b) [エ] (c) [オ]

〔2〕 平面上の円に 本の弦を次の条件で引く。① どの2本の弦も円の内部(円周上の点は含まない)で交わる。② どの3本の弦も1点で交わることはない。

このとき、円の内部は 本の弦によって 個の部分に分割され、[カ]、[キ]となる。次に、 を用いて表すと、関係式 [ク]が成立する。したがって、 の式で表すと、[ケ]となる。また、 個の部分の中で多角形であるものは[コ]個ある。

〔3〕 中心が原点 、半径が の円周上に3点 がある。点 を含む弧 上に点 をとり、 の面積を 、その最大値を とする。

(a) の値は[サ]であり、そのときの点 の座標は([シ],[ス])である。

(b) の面積が となるとき、 座標が最小となる点 の座標は([セ],[ソ])である。

(c) の面積が となるとき、 座標が最大となる点 の座標は([タ],[チ])である。

【解答】

 イ  ウ  エ  オ
 キ  ク  ケ  コ
 シ  ス  セ  ソ  タ  チ
(17問すべて立命館大学の一般的な解答例と一致を確認済み)

〔Ⅰ〕〔1〕 [ア][イ] の3乗根

【問題(再掲)】

の3乗根は 、[ア][イ]、[ア][イ] である([イ]は正)。[ア][イ]を求めよ。

【型】 と移項して因数分解

【なぜこうするか】
3乗根を求めるので3次方程式を解きます。 を使って

が1つ。残りは から解の公式で

よって、イ

ここで の正体を見抜くのが最重要です。

絶対値 、偏角 。ド・モアブルの定理より は偏角が 度。したがって

は「1の原始6乗根」——これが (a)(b)(c) すべての鍵です。

【検算】数式処理システムで を確認 ✓ 一般的な解答例と一致。

【定石】 の3乗根は「1の6乗根のうち3乗して になるもの」 だから指数は で割った余りだけを見ればよい。この視点をもつと (a)(b)(c) が暗算に近くなります。

〔Ⅰ〕〔1〕(a) [ウ]

【問題(再掲)】

のとき、 を求めよ。

【型】 なので、指数を で割った余りに置き換える

【なぜこうするか】
で割ります。

したがって 。あとは を計算するだけ。偏角が なので

よって

【検算】数式処理システムで を直接計算すると ✓ 一般的な解答例と一致。

【よくあるミス】 で割ってしまうこと。 なので、周期は ではなく です。 で割るなら符号の管理が必要になります( より ——結果は同じですが、 を見落とすと符号を誤ります)。

【定石】 なら、指数は で考える。1の 乗根の基本性質です。ド・モアブルの定理 から自然に出ます。

〔Ⅰ〕〔1〕(b) [エ]

【問題(再掲)】

の値を求めよ。

【型】分子・分母それぞれ指数を に落としてから、分母を の形にまとめる

【なぜこうするか】
まず指数を減らします。 なので

分母がうまくまとまるのがこの問題の仕掛けです。 なので

から と導いてもよい—— の解でした。)したがって

は偏角 なので

よって

【検算】数式処理システムで直接計算すると 、数値では ✓ 一般的な解答例と一致。

【定石】 が満たす2次式(ここでは )を使うと次数下げができる のように、分母を1つの のべきにまとめられると計算が一気に軽くなります。

〔Ⅰ〕〔1〕(c) [オ]

【問題(再掲)】

の値を求めよ。

【型】1の 乗根の総和は 。周期 ごとにまとめて消す

【なぜこうするか】
1の6乗根すべてで、その総和は です( の解と係数の関係、あるいは等比数列の和 )。

項数は 個。 なので、6個ずつの塊19組(和はすべて )と、残り4項に分かれます。

なので 、残るのは

よって

【検算その1】数式処理システムで118項を直接足すと ✓ 一般的な解答例と一致。
【検算その2(等比数列の和)】 で計算しても同じです。 より 。分子 、分母 。割ると ✓。

【定石】1の 乗根の総和は )。長い和は「周期 ごとにまとめて消し、余りだけ残す」のが定石です。等比数列の和の公式でも解けますが、周期でまとめる方が計算ミスが少ない

〔Ⅰ〕〔2〕 [カ][キ]

【問題(再掲)】

円に 本の弦を「どの2本も内部で交わり、どの3本も1点で交わらない」ように引くとき、円の内部は 個に分割される。 を求めよ。

【型】1本ずつ増やして数える。新しい弦が既存の弦と何回交わるかが増加数を決める

【なぜこうするか】
小さいところから手を動かします。
:円の内部は 個。
:弦1本で 個。
:2本が交わって 個。
:中央に三角形ができて 個。

増え方は 、差は 本目を引くと 個増えるという規則が見えます。したがって

よって、キ

【検算(オイラーの公式)】円周上に 個の端点をランダムにとり、 番目と 番目を結んで「どの2本も内部で交わる」配置を作り、頂点数 ・辺数 を数えてオイラーの公式 から領域数を求めると
内部領域 ✓  ✓ 
一般的な解答例と一致 ✓。

【定石】「領域の個数」型は1本ずつ増やして差を見る。差が数列になれば、あとは階差数列の処理です。いきなり一般項を狙わず、 を図で確認するのが最短ルート。

〔Ⅰ〕〔2〕 [ク]漸化式 [ク]

【問題(再掲)】

を用いて表す関係式 [ク]を求めよ。

【型】新しい弦が既存の 本と 点で交わる 新しい弦が 本の線分に分かれる 領域が 個増える

【なぜこうするか】
本目の弦を引く場面を考えます。条件①より、この弦は既存の 本すべてと交わる。条件②よりそれらの交点はすべて異なるので、交点は 個。

個の点は新しい弦を 本の線分に分けます。そして1本の線分は、それが通り抜ける1つの領域を2つに分ける——つまり領域が1個増えます。したがって

よって

【検算】 ✓、 ✓ 一般的な解答例と一致。

【よくあるミス】増加数を「交点の個数 」としてしまうこと。増えるのは線分の本数 です。「点が 個あると線分は 本」——植木算と同じ関係です。

【定石】領域分割の漸化式は「新しい線が何本の線分に切られるか」で決まる。平面全体に直線を引く場合も同じ考え方で (有名な「平面の直線分割」)。円の弦でも平面の直線でも、増加数の論理は共通です。

〔Ⅰ〕〔2〕 [ケ] の一般項

【問題(再掲)】

の式で表せ。

【型】階差が なので、

【なぜこうするか】
階差数列の公式を使います()。 なので

整理すると

でも ✓ 成立します。よって

別の見方 とも書けます。(もとの円板)+(弦の本数)+(交点の個数)——これはオイラーの公式から出る一般法則で、意味がはっきりします。

【検算】 ✓  ✓。数式処理システムで も確認 ✓ 一般的な解答例と一致。

【定石】階差数列から一般項 、最後に を検証(線の本数)(交点の個数)」 という形で覚えておくと、直線・弦・曲線どの場合にも応用できます。

〔Ⅰ〕〔2〕 [コ]多角形である部分の個数

【問題(再掲)】

個の部分のうち、多角形であるもの(円弧を含まないもの)は何個か。

【型】「全体 円弧に接する部分」。円弧の個数は端点の個数と同じ

【なぜこうするか】
多角形でない部分とは、境界に円弧を含む部分のこと。円周上には 本の弦の端点が 個あり、それらが円周を 本の弧に分けます。

ここで「1つの弧はちょうど1つの部分に接し、異なる弧は異なる部分に接する」ことが効きます(どの2本の弦も内部で交わるので、円周に接する部分は必ず「弧1本+弦の線分」で囲まれた形になります)。したがって円弧に接する部分はちょうど

よって

【検算】 個(弦1本では多角形はできない)✓  個 ✓  個(中央の三角形)✓  個  個。数式処理システムで も確認 ✓ 一般的な解答例と一致。
意味の確認 という形も示唆的で、 から1個ずつ増えていくのが自然です ✓。

【よくあるミス】円弧に接する部分の個数を数え間違えること。「端点が 弧が 接する部分が 個」と3段階で確認すれば確実です。

【定石】「特定の性質をもつ部分の個数」は〈全体 補集合〉。ここでは補集合(円弧に接する部分)のほうが数えやすい——数えやすい側を選ぶのが場合の数の基本戦略です。

〔Ⅰ〕〔3〕(a) [サ][シ][ス]面積の最大値と、そのときの

【問題(再掲)】

半径 の円周上の と、点 を含む弧 )上の点 について、 の面積の最大値 とそのときの を求めよ。

【型】2辺が半径で固定 面積は は間の角)。角度だけの問題になる

【なぜこうするか】
(どちらも半径)なので、 の面積は2辺の間の角だけで決まります
なので の偏角は とおくと( は直径の両端なので、 を含む弧は上半円、すなわち

角の範囲は 。この中に が含まれるので は最大値 をとれます。

これは 、すなわち のときです。このとき

よって、シ 、ス

【検算】 で400万分割して を数値計算すると、最大 )、 ✓ 一般的な解答例と一致。
幾何的な確認 のとき面積最大——直角二等辺三角形で ✓。

【定石】2辺の長さが固定された三角形の面積は で、 のとき最大。円周上の2点と中心の三角形は常に二等辺三角形なので、角度だけの1変数問題に落ちます。

〔Ⅰ〕〔3〕(b) [セ][ソ] 座標が最小の

【問題(再掲)】

となるとき、 座標が最小となる点 の座標を求めよ。

【型】 を範囲内で全部拾い、そのうち が最小のものを選ぶ

【なぜこうするか】
より で解をすべて拾います。

または (どちらも範囲内、後者は右端)
(範囲の左端)

対応する はそれぞれ 最小は で、そのとき 、すなわち

よって、ソ これは点 そのものです——弧 の端点も の候補に含まれることに注意しましょう( は一直線上にないので、確かに三角形ができます)。

【検算】数値探索で となる 座標を拾うと の3つ。最小は ✓ 一般的な解答例と一致。
実際に で面積を確かめると、 のなす角は 、面積 ✓。

【よくあるミス】端点 (点 )を候補から外してしまうこと。「弧 上」には端点も含まれるのが通常の読み方で、一般的な解答例も を採っています。「最小」「最大」を聞かれたら端点は必ず確認しましょう。

【定石】 は「 の両方」を、与えられた範囲で漏れなく拾う。単位円を描いて範囲を弧として塗ると、解の個数が目で見えます。

〔Ⅰ〕〔3〕(c) [タ][チ] 座標が最大の

【問題(再掲)】

となるとき、 座標が最大となる点 の座標を求めよ。

【型】角度がきれいでないときは、座標で連立する(点と直線の距離を使う)

【なぜこうするか】
となる 特別な角ではありません。こういうときは角度を経由せず、 の座標で連立するのが確実です。

直線 、すなわち なので

これが なので 座標を最大にしたいので、 側(直線 の下側)、すなわち を選びます。円の式と連立して

両辺を 倍して 。解の公式より

は上半円上なので 、よって 。このとき

よって、チ

【検算その1(数値)】数値探索で となる 座標は の2つ。最大は 。公式の値 ✓ 一般的な解答例と一致。
【検算その2(円上か)】 ✓ 確かに半径 の円上。

【よくあるミス】 の側()だけを見て を答えること。 を最大にするのは の側 より 寄り)です。図を描いて直線 の両側に候補があることを確認しましょう。

【定石】角度がきれいでない三角関数の問題は、座標に戻して連立する三角形の面積は「底辺 点と直線の距離」 を使うと、面積の条件が1次式になって扱いやすくなります。

〔Ⅱ〕【空所補充】廃棄物削減の3つの制度——命令・課税・補助金は同じ結果を生む

分野:微分(最小値)・文章題のモデル化 難易度:やや難 目標時間:30分

【問題】

企業 と企業 は、ともに廃棄物を8トンずつ排出する予定であり、その削減が求められている。企業 と企業 が廃棄物を削減する量(単位はトン)をそれぞれ で表すとき、その削減にかかる費用(単位は万円)は次の で表される。

いま、政府は、企業 と企業 の廃棄物の排出量を合計で6トン削減することが望ましいと考えている。その合計6トンの削減を実現するために、政府は以下の2種類の制度を考える。

〔1〕 まず、政府が各企業の廃棄物の削減量を決めて、その削減を命じる制度を考える。

(a) 企業 と企業 に廃棄物をそれぞれ3トンずつ削減するように命じるとき、その削減にかかる費用は、企業 と企業 の合計で[ア]万円となる。

(b) 企業 と企業 を合わせて廃棄物を6トン削減し、かつ廃棄物の削減にかかる費用の合計を最も小さくするためには、政府は企業 に[イ]トン、企業 に[ウ]トン削減するように命じればよい。このとき、廃棄物の削減にかかる費用は、企業 と企業 の合計で[エ]万円となる。

〔2〕 次に、政府が各企業に金銭的な動機を与え、企業自身が廃棄物の削減量を決める制度を考える。なお以下では、企業 と企業 はそれぞれ、負担する金額が最小になるように削減量を決めると仮定する。

(a) 政府が、廃棄物の排出1トン当たり 万円の税金の支払いを企業に課す制度を考える。この制度の下で、企業 が廃棄物の排出を トン削減するとき、企業 が負担する金額は、 トンの廃棄物の排出に対して支払う税金と、その削減にかかる費用 との合計となる。このとき、企業 が削減する廃棄物の量は、 を用いて表すと[オ]トンとなる。従って、企業 が廃棄物を[イ]トン削減するように誘導するためには、政府は [カ]万円の税金を課せばよい。また、[カ]万円のとき、企業 も廃棄物を[ウ]トン削減することになり、企業 と企業 が支払う税金の合計は[キ]万円となる。

(b) 政府が、廃棄物の削減1トン当たり 万円の補助金を企業に与える制度を考える。この制度の下で、企業 が廃棄物を トン削減するとき、企業 が負担する金額は、削減にかかる費用 から補助金の額を差し引いた金額となる。このとき、企業 が削減する廃棄物の量は、 を用いて表すと[ク]トンとなる。従って、企業 が廃棄物を[イ]トン削減するように誘導するためには、政府は [ケ]万円の補助金を与えればよい。また、[ケ]万円のとき、企業 も廃棄物を[ウ]トン削減することになり、企業 と企業 が受け取る補助金の合計は[コ]万円となる。

(c) 政府が、廃棄物の排出1トン当たり 万円の税金の支払いを企業に課し、同時に廃棄物の削減1トン当たり 万円の補助金を企業に与える制度を考える。(a)(b) と同様に考えれば、企業 が廃棄物を[イ]トンだけ削減するように誘導するためには、 は[サ]の関係式を満たす必要がある。さらに、この制度のもとで、企業 と企業 が支払う税金の合計と、受け取る補助金の合計が等しくなるように を決めるとき、 は[シ]万円、 は[ス]万円となる。

【解答】

 イ  ウ  エ
 カ  キ
 ケ  コ
 シ  ス
(13問すべて立命館大学の一般的な解答例と一致を確認済み)

〔Ⅱ〕〔1〕(a) [ア]3トンずつ削減したときの費用

【問題(再掲)】

のとき、 での費用の合計を求めよ。

【型】代入するだけ。ただしこの値が「比較の基準」になることを意識する

【なぜこうするか】
そのまま代入します。

よって 万円。

この数値の意味:「平等に3トンずつ」は一見公平ですが、費用は 万円。次の (b) で最小費用が 万円と分かるので、一律の割り当ては 倍も無駄だということになります。これがこの大問全体のメッセージです。

【定石】文章題では「基準となる素朴な案」を最初に計算させることが多い。後の最適解と比べるための伏線なので、数値を覚えておくと出題意図が読めます。

〔Ⅱ〕〔1〕(b) [イ][ウ][エ]費用を最小にする割り当て

【問題(再掲)】

のもとで を最小にする と、そのときの費用を求めよ。

【型】条件式で1文字消去 1変数関数の最小 微分

【なぜこうするか】
を代入して1変数にします。定義域は が必要)。

より 、展開して

または 。定義域 にあるのは のみ。増減を確認すると なので で最小 ✓。

よって、ウ 、エ 万円。

意味を読む:企業 の費用は2次、企業 は3次で、 のほうが削減コストの増え方が急。だから安く削減できる に多く(5トン)、高くつく に少なく(1トン)割り当てるのが合理的です。
実際、最小の条件は 「限界費用(1トン追加で削減するときの費用)が両社で等しい」——これが以降の (a)(b)(c) の主役になります。

【検算】数式処理システムで を解くと 、定義域内は のみ ✓。 ✓ 一般的な解答例と一致。
基準の 万円と比べて 万円—— の削減です ✓。

【定石】「和が一定のもとで和を最小化」は限界費用が等しくなる点(ラグランジュの未定乗数法の高校版)。 を連立しても同じ答えが出ます—— かつ から ✓。こちらのほうが計算は楽です。

〔Ⅱ〕〔2〕(a) [オ][カ]税制度のもとでの削減量(場合分けに注意)

【問題(再掲)】

排出1トン当たり 万円の税金を課すとき、企業 が削減する量を で表せ()。また、 トン削減させるための を求めよ。

【型】負担額を式にして微分。ただし の上限で頭打ちになる場合を必ず場合分けする

【なぜこうするか】
企業 の負担は「排出分の税金 削減費用」:

より 。下に凸の2次関数なので、 が定義域に入っていればそこが最小です。

ここが最大の落とし穴—— には という上限があります。、すなわち なら 。しかし だと となり定義域の外。このとき でも なので区間全体で減少——最小は右端 です。

よって。( では両方 で一致します。)

誘導したい削減量は トンなので 、すなわち 万円。 なので上の場合分けの第1式が使えます ✓。

【検算】 をいろいろ変えて で200万分割して最小化すると

では確かに で頭打ち ✓ 一般的な解答例の場合分けと一致。

【よくあるミス】 とだけ答えて場合分けを書かないこと(私も最初この形で答えを出しました)。問題文の冒頭に と明記されており、 が大きいと がこの範囲を超えます。「文字で表せ」と言われたら、その文字が動く全範囲で答えを書く——定義域の端で頭打ちになる可能性を必ず検討しましょう。

【定石】制約付き最小化は「停留点が定義域内か」を必ず確認。入らなければ端点が答えになります。経済の文脈でいえば「税率をいくら上げても、排出量が になったらそれ以上は削減できない」という当たり前の話で、モデルの意味を考えれば場合分けの必要性に気づけます

〔Ⅱ〕〔2〕(a) [キ]税金の合計

【問題(再掲)】

のとき、企業 の削減量を確かめ、両社が支払う税金の合計を求めよ。

【型】企業 も同じ手順。残った排出量に税率を掛けて合計する

【なぜこうするか】
企業 の負担は 。微分して

確かに[ウ] トンと一致します ✓。税率 万円を課すだけで、政府が命令したのと同じ「 トンと トン」が自動的に実現する——これがこの制度の要点です。

税金は削減しなかった分(排出した分)にかかるので

よって 万円。

【検算】数値最小化でも のとき ✓。排出量は が3トン、 が7トンで合計10トン、 ✓ 一般的な解答例と一致。
合計排出量が トンになっていることも確認できます(6トン削減の目標達成)✓。

【よくあるミス】税金を「削減量」に掛けること。税は排出1トン当たりなので、掛けるのは です。問題文の「 トンの廃棄物の排出に対して支払う税金」という記述を丁寧に読みましょう。

【定石】「限界費用 税率」が各企業の最適条件 となるので、自動的に両社の限界費用が等しくなり、〔1〕(b) の最適配分が実現します。これが「ピグー税」と呼ばれる仕組みの数学的な中身です。

〔Ⅱ〕〔2〕(b) [ク][ケ][コ]補助金制度

【問題(再掲)】

削減1トン当たり 万円の補助金を与えるとき、企業 の削減量を で表し、 トン削減させる と、補助金の合計を求めよ。

【型】負担額は「費用 補助金」。微分すると税制度とまったく同じ式になる

【なぜこうするか】
企業 の負担は

税制度の と符号を除いて同じ形です。したがって最小を与えるのは 。ここでも上限 で場合分けが必要で

よって トン削減させるには より 万円。

企業 を最小化して ✓。補助金は削減量に掛かるので

よって 万円。

【検算】数値最小化で ✓ 場合分けが正しいことを確認。補助金合計 ✓ 一般的な解答例と一致。

【よくあるミス】補助金を「排出量」に掛けること。補助金は削減1トン当たりなので に掛けます。税は排出に、補助金は削減に——ここを取り違えるとキとコの両方を落とします。

【定石】税と補助金は「企業の行動」には同じ効果、「お金の流れ」には逆の効果。どちらも限界費用を にそろえるので削減量は同じ()。しかし税なら企業が 万円を払い、補助金なら 万円を受け取る——ここが (c) の伏線です。

〔Ⅱ〕〔2〕(c) [サ]税と補助金を併用するときの関係式

【問題(再掲)】

排出1トン当たり 万円の税金と、削減1トン当たり 万円の補助金を同時に実施するとき、企業 トン削減するための の関係式を求めよ。

【型】税と補助金を1つの式にまとめると、効くのは だけ

【なぜこうするか】
企業 の負担は

に掛かるのは のまとまりだけだと分かります( は定数なので最小化に影響しません)。微分して

にしたいので

よってサ:

意味を読む:企業から見れば「1トン多く削減すると、税が 減り補助金が 増える」——合わせて だけ得をする。だから行動を決めるのは の値だけで、 の内訳は無関係です。だからこそ (a) の )も (b) の )も同じ結果になったわけです。

【検算】企業 についても より ✓ 同じ配分が実現します。一般的な解答例と一致。

【定石】「係数をまとめると1つの量になる」構造を見抜く。文字が2つあっても、実質的な自由度が1つならその組み合わせだけを追えばよい。次の (シ)(ス) で内訳を決める条件が追加されるので、ここで自由度が1つ残ることが重要です。

〔Ⅱ〕〔2〕(c) [シ][ス]税収と補助金が釣り合う

【問題(再掲)】

両社が支払う税金の合計と、受け取る補助金の合計が等しくなるように を定めよ。

【型】関係式 と「税収 補助金」の2式を連立

【なぜこうするか】
のとき削減量は (前問)。したがって
排出量 トン、 トンで合計 トン。
削減量は合計 トン。

税収は 、補助金は です。

これが等しいので 、すなわち と連立します。

よって 万円、ス 万円

意味を読む:この設定なら政府の収支がちょうどゼロ(税収 万円 補助金 万円)。予算を使わずに、望ましい削減量を実現できる制度設計です。削減量(6トン)より排出量(10トン)のほうが多いので、税率 は補助金 より低くて釣り合う——数字の大小にも意味があります。

【検算】 ✓。税収 、補助金 ✓ 一致。数式処理システムで連立を解いても ✓ 一般的な解答例と一致。

【よくあるミス】税収を「削減量 」、補助金を「排出量 」と取り違えること。税は排出( トン)に、補助金は削減( トン)に——ここを逆にすると となり答えが変わります。

【定石】条件が2つなら未知数2つを連立。この大問全体を通して、「政府が命令する」「税をかける」「補助金を出す」「両方使う」の4通りがすべて同じ削減量 を生む——制度の形は違っても、限界費用を にそろえるという数学的な中身は同じだというのが結論です。

〔Ⅲ〕【記述式】コインを2段階で投げる——「2回とも表」に気づけば二項分布

分野:確率(反復試行・二項分布) 難易度:標準〜やや難 目標時間:25分

【問題】

〔1〕 1枚のコインを2回続けて投げるとき、2回とも表が出る確率を求めよ。

〔2〕 8枚のコインを同時に投げるとき、6枚が表である確率を求めよ。

次に、最初に8枚のコインを同時に投げ、裏が出たコインは取り除き、表の出たコインすべてをもう一度同時に投げて試行を終了する。ただし、最初に8枚すべて裏が出たときは、そこで試行を終了する。試行を終了したとき、表が出ているコインの数が である確率を とする。

〔3〕 を求めよ。

〔4〕 を求めよ。ただし、必要ならば、組合せの総数を表す の記号を用いて答えてよい。

〔5〕 〔4〕で求めた の値が最大となるときの の値を求めよ。

【解答】

〔1〕  〔2〕  〔3〕
〔4〕  〔5〕
(5問すべて立命館大学の一般的な解答例と一致を確認済み)

〔Ⅲ〕〔1〕〔2〕 基本の2問

【問題(再掲)】

〔1〕1枚のコインを2回続けて投げて2回とも表が出る確率。〔2〕8枚のコインを同時に投げて6枚が表である確率。

【型】〔1〕は独立試行の積、〔2〕は反復試行の公式

【なぜこうするか】
〔1〕:1回ごとに表が出る確率 で独立なので

〔2〕:8枚のうち6枚が表になる場合の数と確率を掛けて

この2問は単なる小手調べではありません。〔1〕の 「1枚のコインが2回とも表になる確率」で、これが〔3〕〔4〕の主役になります。出題者は答えを先に見せてくれているのです。

【検算】 ✓ 一般的な解答例と一致。

【定石】誘導の最初の小問は、後半で使う「部品」であることが多い。答えが出たら「この値はどこで使うのか」を考える癖をつけましょう。

〔Ⅲ〕〔3〕 

【問題(再掲)】

8枚を投げ、裏が出たものを除き、表の出たものだけをもう一度投げて終了する。終了時に表が6枚である確率 を求めよ。

【型】コイン1枚ごとに独立と見る——最後に表なのは「2回とも表」のときだけ

【なぜこうするか】
素直にやるなら「1回目に 枚表 その 枚から6枚表」を で足すことになります。しかし、1枚ずつのコインの運命を追うと一瞬で終わります。

1枚のコインに注目すると、最後に表として残るのは「1回目も表、2回目も表」のときだけ。1回目が裏なら取り除かれて表になりません。したがって

——これが〔1〕の答えです。8枚は互いに独立なので、最後に表である枚数は二項分布に従います。

よって)。

「8枚すべて裏なら終了」の但し書きはどう効くのか——このとき2回目を投げませんが、どのみち全部裏なので結果は変わりません。つまりこの但し書きは二項分布の描像と矛盾しないように置かれた、丁寧な但し書きです。

【検算】「1回目に 枚表 2回目に6枚表」を で愚直に足すと

✓ 一致します。すべての場合を有理数のまま列挙した計算でも ✓ 一般的な解答例と一致(一般的な解答例も「8枚のコインを続けて2回投げたとき、2回連続で表が出たコインが6枚である確率と等しい」と同じ見方をしています)。

【定石】「複雑な手順の試行」は、1個ずつの運命を追うと独立になることが多い。全体を場合分けする前に「1枚のコインに注目したら?」と考えてみる——これが計算量を10分の1にする発想です。

〔Ⅲ〕〔4〕  の一般形

【問題(再掲)】

を求めよ( を用いてよい)。

【型】二項分布 の確率関数をそのまま書く

【なぜこうするか】
〔3〕で確立した見方をそのまま一般化します。各コインが独立に確率 で「最後に表」になるので

でも成り立つことを確認しておきます。。これは「8枚すべて裏で即終了」と「1回目に何枚か表が出たが2回目で全部裏」の合計で、実際に計算しても同じ値になります ✓。

【検算その1(全数列挙)】1回目の枚数で場合分けして有理数のまま を計算すると

これらが から まですべて 厳密に一致 ✓ 一般的な解答例と一致。
【検算その2】総和 ✓(二項定理