藤原進之介です。このページでは関西大学2020年度の数学過去問を解答・解説つきで無料公開しています。
問題
解答
関西大学2020年度(全学部日程・理系)の数学について、大問3題すべての解答と解説を掲載します。数値はすべて当塾で独立に検算し、公開している全問を独立に検算しています。
出題構成
| 大問 | 分野 | 形式 | 要点 |
|---|---|---|---|
| 〔I〕 | 三角関数・2次関数 | 記述 | 合成で1文字に置換し、値域つき2次関数に帰着 |
| 〔II〕 | 数列・対数 | 空所補充 | 係数つき漸化式を置換で等比型へ、最後は桁数評価 |
| 〔III〕 | ベクトル・面積比 | 空所補充 | 同一ベクトルを2通りに表して係数比較 |
〔I〕三角関数の合成から2次関数へ
0 ≦ x ≦ 2π において t = sin x − cos x とおき、f(x) = √2(sin x − cos x) + 1 − 2 sin x cos x を考える問題です。
(1) t のとりうる値の範囲
合成して t = √2 sin(x − π/4)。0 ≦ x ≦ 2π より −π/4 ≦ x − π/4 ≦ 7π/4 です。
ここで幅の確認をします。この区間は長さがちょうど 2π で、最大値を与える x − π/4 = π/2 と最小値を与える 3π/2 の両方を含みます。よって sin は −1 から 1 まですべての値をとります。
(2) f(x) を t で表す
t = sin x − cos x の両辺を2乗すると t² = 1 − 2 sin x cos x、つまり 2 sin x cos x = 1 − t²。これを代入して
f(x) = √2 t + 1 − (1 − t²) = t² + √2 t
2乗して「積」を作り出すのがこの型の定石です。sin x − cos x と sin x cos x は、片方が決まれば他方も決まる関係にあります。
(3) 最大値・最小値と、そのときの x
f = t² + √2 t = (t + 1/√2)² − 1/2 (−√2 ≦ t ≦ √2)
頂点 t = −1/√2 は定義域の内部にあるので、そこが最小です。f(−1/√2) = −1/2。
t = −1/√2 ⇔ √2 sin(x − π/4) = −1/√2 ⇔ sin(x − π/4) = −1/2。−π/4 ≦ x − π/4 ≦ 7π/4 の範囲では x − π/4 = −π/6, 7π/6 なので x = π/12, 17π/12。
最大は区間の右端 t = √2 で、f(√2) = 2 + 2 = 4。このとき sin(x − π/4) = 1 より x − π/4 = π/2、すなわち x = 3π/4。
置換した瞬間に「t の範囲」を書き出すこと。範囲を忘れると最大値を頂点側で取り違えます。なお当塾公開の解答PDFの途中文には f(−1/√2) = 1/2 と符号の誤植がありますが、平方完成の定数項 −1/2 のとおり −1/2 が正解で、PDFの囲み解答も −1/2 になっています。
〔II〕漸化式を等比型に直し、最後は桁数で締める
a₁ = 2 で、an+1/n − 3an/(n+1) = 2/{n(n+1)} を満たす数列 {an} を扱います。
① 二項係数の値
n+1C₂ = (n+1)n/2 = n(n+1)/2。これが漸化式の分母の正体で、両辺に掛けるべき量を教えてくれます。
② a₂
両辺に n(n+1) を掛けると (n+1)an+1 = 3n an + 2。n = 1 として 2a₂ = 3·2 + 2 = 8、a₂ = 4。
③④ 置換して一般項へ
bn = n an とおくと、上式はそのまま bn+1 = 3bn + 2 になります(③)。
特性方程式 x = 3x + 2 の解 x = −1 を使って bn+1 + 1 = 3(bn + 1)。b₁ = 1·a₁ = 2 なので b₁ + 1 = 3。よって bn + 1 = 3ⁿ、bn = 3ⁿ − 1(④)。
したがって an = (3ⁿ − 1)/n です。
⑤ a₁₀₀₀ を超えない最大の整数の桁数
まず 3ⁿ − 1 と 3ⁿ の桁数が一致することを示します。もし桁数がずれるなら 3ⁿ が 10 の倍数、つまり 3ⁿ = 10ᵏ の形でなければなりません。しかし左辺は 3 の倍数、右辺は 3 の倍数ではないので不可能です。
そこで log₁₀(3¹⁰⁰⁰/1000) = 1000 log₁₀3 − 3 = 477.1 − 3 = 474.1。
474 < 474.1 < 475 より 10⁴⁷⁴ < 3¹⁰⁰⁰/1000 < 10⁴⁷⁵ なので 475桁。
「−1 があるから桁数が変わるかもしれない」という疑いを、3の倍数と10の倍数の両立不可能性で潰すのがこの問題の山場です。ここを飛ばすと減点対象になります。
〔III〕同じベクトルを2通りに表して係数比較
三角形ABCで、辺ABを t : (1−t)(0 < t < 1/2)に内分する点をP、ACの中点をQ、直線BCと直線PQの交点をRとします。AB = b、AC = c とおき、BR = αBC、PR = βPQ と表します。
① 経路 P → B → R で表す
PB = AB − AP = b − t b = (1−t)b、BR = α(c − b) なので
PR = (1−t)b + α(c − b) = (1 − t − α)b + αc
②③ 経路 PQ の定数倍で表す
PQ = AQ − AP = (1/2)c − t b なので、PR = βPQ = −βt b + (1/2)β c。
④⑤ 係数比較で α, β を決める
b と c は一次独立なので係数が一致します。
1 − t − α = −βt …(i)/ α = β/2 …(ii)
(ii)を(i)に代入して 1 − t − β/2 = −βt ⇔ 1 − t = β(1 − 2t)/2。
β = (2 − 2t)/(1 − 2t)、α = β/2 = (1 − t)/(1 − 2t)。
0 < t < 1/2 という条件は 1 − 2t > 0 を保証するためのもので、Rが線分BCのC側の延長上に定まることに対応しています。
⑥ 三角形QCRの面積が三角形QAPの2倍になる t
三角形ABCの面積を S とします。
三角形QAPは、頂点Aの角を共有し、AP = t·AB、AQ = (1/2)AC なので、面積比は辺の比の積で [QAP] = (t/2)S。
三角形QCRは、頂点Cの角を共有します。CQ = (1/2)CA で、CR = BR − BC = (α − 1)BC。
α − 1 = {(1−t) − (1−2t)}/(1−2t) = t/(1−2t) なので、[QCR] = (1/2)·{t/(1−2t)}·S。
条件 [QCR] = 2[QAP] より
t/{2(1−2t)} = 2 · (t/2) = t ⇔ 1/{2(1−2t)} = 1 ⇔ 1 − 2t = 1/2
面積を座標や三角比で計算する必要はありません。角を共有する三角形どうしは、はさむ2辺の長さの比の積がそのまま面積比になります。
この年の学習ポイント
3題とも「そのままでは扱いにくい対象を、扱いやすい1変数や1本の関係式に翻訳する」という共通構造を持っています。〔I〕は合成で三角関数を t に、〔II〕は bn = n an で係数つき漸化式を等比型に、〔III〕は同一ベクトルの2通り表現で連立方程式に翻訳しました。
翻訳したあとに「もとの変数の制約がどう移るか」を書き出す習慣があるかどうかで差がつきます。〔I〕の −√2 ≦ t ≦ √2、〔III〕の 1 − 2t > 0 がその例です。
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